2009年1月30日(金)掲載

◎丸井今井、再生法を申請 函館店は当面営業

 経営再建中の道内最大手の百貨店「丸井今井」(札幌市、畑中幸一社長)が29日、札幌地裁に民事再生法の適用を申請し、再生手続きの開始決定を受けた。道内経済や個人消費の低迷で昨年後半から急速に売り上げが落ち込み、資金繰りが悪化したため自主再建を断念した。函館店(函館市本町32)の営業は当面、続けられる。負債総額は約502億円で、道内小売業では2000年7月の札幌そごうを抜き、過去最大の経営破たんとなった。

 丸井今井は1872(明治5)年の創業。現在は札幌本店のほか、函館、旭川、室蘭の3都市に地方店舗があり、いずれも当面は営業を継続させる見通し。今後、存廃や事業譲渡を含め採算性を検討する。従業員は函館店(計218人)を含む全体で約1500人。処遇については未定だが、希望退職なども検討しているという。

 主力取引銀行だった北海道拓殖銀行が1997年11月に経営破たんした後、バブル期の多角化戦略の失敗が表面化し、経営危機に直面。2005年には不採算店舗を会社分割で切り離し、小樽店と苫小牧店の2店舗を閉鎖した。

 同年に伊勢丹(東京)と業務提携で経営改善を図ったものの、個人消費の低迷や競争激化などで売り上げは漸減傾向。08年1月期決算では売上高が815億2500万円と前期比で10%近く落ち込み、約43億8300万円の当期赤字となった。09年1月期には5億円超の債務超過に陥る可能性が出たため、法的整理に踏み切った。

 その後も業績不振は続き、同社秘書広報室は「昨年11月以降、売り上げが前期比15%程度ダウンし、特に客単価の高い冬物衣料の不振が響いた」と説明。他店との競合もあり、函館店の売上高も昨年1年間で約121億2300万円と前年比で1割近く落ち込んでいた。

 今後は伊勢丹の業務支援を受けながら、民事再生のスポンサー支援も要請する。同社の畑中社長は同日午後、札幌市内で記者会見し、「最悪の事態を回避するために(法的整理を)決定した。お客様にはご迷惑、ご心配かけ申し訳ない」と陳謝した。



◎貿易センター、香港へコンテナ輸出

 函館国際貿易センターは30日、函館市の港町ふ頭コンテナヤードで、香港向けの貨物を韓国・釜山航路のコンテナ船に積み込む。香港で2月27日から3月19日まで開かれる第1回北海道フェアに出品する道内23社の飲料や食料品で、うち7社が道南企業。地元企業の貿易促進に取り組む同センターは、物産展を通して商品の継続輸出につながるよう期待している。

 同センターの香港向けコンテナ輸出は4回目。積み込むのは香港の北海道発展有限公司が集めた食品で、40フィートコンテナ1本(長さ12メートル、縦横2.4メートル)に10トン分。30日に入港する南星海運(韓国)の定期貨物船に積み、荷物は韓国・釜山を経て香港に運ばれる。

 函館からは北海道製菓のイカせんべい、かまだ商店のだしコンブ、サラダコンブ、小原のガラナ飲料、昭和製菓のバタークッキーなどの商品がある。物産展は香港のスーパーマーケットグループの主催で、香港での市場開拓や販路拡大、企業の知名度アップなどに結び付く好機という。

 貿易センターによると、香港での北海道産食料品の人気は高く、品質が良いというブランドイメージが定着しているという。2月4日にも同物産展に出品する竹田食品の松前漬けや塩辛、だるま食品本舗の納豆などを同航路で輸出する予定。

 同センターは「新たな貨物の掘り起こしやポートセールス、貿易と販路拡大を今後も進めていきたい」と話している。 (高柳 謙)


◎函館市農業委員会、農家の経営安定に向け 農水相に要望書提出へ

 函館市農業委員会(坂爪庄一会長、委員25人)と同委員会農業振興特別委員会(土井清美委員長、委員12人)は29日、石破茂農水相に対し、農家の経営安定に向けた要望書を両委員会連名で提出することを決めた。

 肥料・飼料や農業資材などの高騰に伴う生産コストの上昇で、農家の経営が悪化する中、打開策を見い出そうと同農業委員会は昨年11月に特別委を設置し、対応を協議。策定した要望書案がこの日開かれた本年度の第1回農業委員会総会で示され、全委員の承認を得た。

 要望書では(1)生産者が赤字にならず、消費者にも分かりやすい「生産者価格の最低保障制度」の創設(2)同制度の将来にわたる維持(3)生産コスト上昇分を適切に生産者価格に転嫁できる仕組みづくり(4)燃油や肥料などの購入に割引・還元制度の導入(5)国産農産物や規格外品の消費拡大に向けた啓発の実施―の5点の検討を求める。

 両委員会は石破農水相のもとを訪れて要望書を手渡す意向だが、国会会期中のため今後農水省と連絡を取って日程を調整。土井委員長は「農家の窮状を理解してもらうために文書を郵送するのではなく、直接会って厳しい畑作の現状を口頭で訴えたい」と話している。(浜田孝輔)


◎渡島支庁08年の旅券発給 2年連続減少

 渡島支庁は2008年の管内一般旅券(パスポート)の発給状況をまとめた。発給件数は前年比19・2%減の5424件で、2年連続の減少。前年からの減少幅は、統計が残っている1986年以降3番目の大きさで、原油高による旅行代金の高騰や世界的不況による経済の悪化などが響いている。

 同管内の発給件数は1996年に過去最高の1万1662人、2000年にも1万1651人を記録したが、米同時多発テロの影響により01年には8194人(前年比29・7%減)、03年には新型肺炎(SARS)の流行で5168人まで落ち込んだ。その後回復基調となり04年以降は6000人台が続いていたが、今回5年ぶりに5000人台に落ち込んだ。

 発給内訳では、10年旅券が同15・5%減の3170件。5年旅券は同24・0%減の2254件。年代別では20代がトップで1019件(同17・9%減)、50代が949件(同25・4%減)、30代が889件(同13・6%減)。以下、未成年778件(同20・6%減)、60代736件(同16・5%減)、40代711件(同19・5%減)、70代298件(同19・2%減)、80代44件(同26・7%減)。男女別では男性が2577件(同20・7%減)、女性が2853件(同19・2%)となっている。

 市町別では函館市が全体の74・8%を占める4058件(同19・0%減)で、2位は北斗市の450件(同26・2%減)、3位は七飯町の323件(同19・7%)と3市町で全体の89・1%を占めている。

 渡島支庁では「燃油価格の下落や円高メリット影響から今年に入って発給件数は回復傾向にある」と話している。 (小川俊之)