2009年1月31日(土)掲載

◎「新春洋蘭展」始まる

 色鮮やかな洋ランを取りそろえた「新春洋蘭展」が30日、函館市湯川町1の花びしホテルで始まった。胡蝶蘭(コチョウラン)やカトレア、オンシジュームなど約30種の花々が所狭しと咲き誇っている。2月1日まで。

 七飯町の洋ラン専門店オーキッド百蘭(花輪百合子代表)と、同店と親交の深い札幌のえるむ花園(川面豊樹社長)の共催。多くの市民に生の洋ランの魅力を知ってもらおうと、5年前から毎年この時期に開催している。

 洋ランの香りが心地良く漂う会場には、D、(りん)とした美しさを持つ胡蝶蘭をはじめ、色彩豊かなデンドロ、洋ランの女王と称されるカトレアや愛らしい花を咲かすミニカトレアなど約600鉢がずらりと展示されている。花輪代表(61)は「香りと美しさを感じてほしい」と来場を呼び掛けている。入場無料。午前10時―午後6時。また31日と2月1日の午後1時から2時まで参加無料の「洋蘭の育て方講習会」を同ホテルで開く。問い合わせは同ホテルTEL0138・57・0131。(山田孝人)



◎市、道が丸井存続へ連携

 自主再建を断念し、札幌地裁から民事再生手続きの開始決定を受けた道内最大手の百貨店、丸井今井(札幌市)をめぐり、函館の地元自治体や商工会議所、商店街などが存続に向け早くも動き始めた。具体的な支援策は現時点で乏しいが、関係者は今後示される再生計画の内容を注視しながら対応を検討している。(森健太郎)

 道は高橋はるみ知事を本部長とする「丸井今井再建対策会議」を組織。29日夜には高橋知事から西尾正範函館市長へ、情報を共有しながら札幌店と地方店の存続に向けた運動を呼び掛ける電話があり、連携と協調を約束した。

 西尾市長は「道や函館商工会議所と連携し、存続に向けて要請活動などをすることになるだろう」とし、具体的な支援策については「棒二森屋の中に市消費生活センターが入居しているように、丸井今井の中にも公的機関を入れることはできないか」と話す。

 函館商工会議所の高野洋蔵会頭は「大変残念なことで驚いている。函館店の存続が再生計画に盛られ、雇用が守られることを願うとともに、再生のため地域を挙げてしっかりと支援していくことが必要」とコメント。今後は市と連携しながら具体的な支援策を探る考えだ。

 函館店も含め本町・五稜郭地区の商店主約30社でつくる「協同組合五稜郭」(久保一夫理事長)は30日、臨時理事会を開き、近日中にも函館店への支援、利用を市民に呼び掛ける新聞広告の掲載を決めた。久保理事長は「(函館店存続へ)全市的なウエーブを起こしたい」と躍起だ。

 また、同地区の個人事業主ら約120社でつくる「五稜郭商店街振興組合」(小島正彦理事長)も同日、臨時の役員会を開催。来週中にも市に要望書を提出し、今後、存続を求める署名活動などを展開する方針を固めた。

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 一方、テナント店舗など取引先にも影響が出始めた。函館店にテナントで入る市内の洋菓子店には、本来は30日に入金されるはずの昨年12月分の売り上げ約1500万円分が入金されず、100万円を超える債権についてはカットするという丸井今井側の措置の対象となった。同店の経理担当者は「クリスマスのある12月は年間売り上げの最盛期。社員総出で何日も徹夜して稼ぎ出したケーキの売り上げが、一律100万円で切られるなんて。丸井さんを応援したいのは山々だが…」と漏らし、今後の資金繰りに懸念を示した。


◎「大間―函館航路のあり方検討会」発足

 【青森】函館市や青森県、同県大間町などは30日、青森市安方1の青森県観光物産館アスパムで会合を開き、「大間―函館航路のあり方検討会」(座長・長町哲次東北運輸局海事振興部長、委員21人)を発足させた。大間―函館間のフェリー運航事業者、道南自動車フェリー(函館市港町3)が12月末を暫定運航の期限としていることから、出席者はそれ以降の航路存続に向けた方策を探るため、今後の議事の進め方や協力体制を確認した。

 検討会設置は東北運輸局(仙台市)の公共交通活性化総合プログラムに沿った取り組みの一環。この日示された作業計画案では、(1)旅客または貨物のどちらに重きを置くかを含む規模・性能に関する使用船舶の選択方法(2)観光振興や人的交流によるフェリーの利用促進―の2点を重要課題に掲げる。

 東北運輸局の村上玉樹次長は「来年以降の航路の在り方については、地域の意向を踏まえて広い視点で考えていく必要がある。検討会には津軽海峡を挟んで両岸の関係者が一堂に会しており、調査・検討を通じて次のステップにつなげていきたい」とあいさつ。検討会では今後、船舶設備や気象などに関する情報収集に努めるほか、関係自治体、事業者、フェリー利用客へのヒアリング調査を実施。2月下旬の会合で支援策などを協議した後、3月中旬の会合で課題の解決に向けた素案を策定する予定。

 この日の会合に先立ち、大間町の町おこしグループ「大間活性化委員会(やるど会)」の田村正美会長が、金子一義国土交通相にあてた航路存続の支援を求める署名2万480筆を村上次長に提出。田村会長は「本州と北海道を最短で結ぶ航路は古くから海上交通ルートの拠点となっており、地域住民にとって欠かすことのできない生活、産業、観光、防災の航路。廃止された場合には地域にとって大きなダメージ。特段の配慮を」と述べた。(浜田孝輔)


◎日銀支店12月の景況判断「厳しさが増している」

 日本銀行函館支店(市川信幸支店長)は30日、12月の道南地方の金融経済動向を発表した。景気後退で個人消費や雇用環境が厳しさを増す中、観光客の減少にも歯止めが掛からない状況が続き、管内の景況判断を「厳しい状況が続いている」と2カ月連続で据え置いた。

 個人消費は消費マインドの悪化から2カ月連続で「弱まっている」とした。主要小売店10社の売上高は冬物の衣料や靴などが不振で、前年同期比8・9%減少。家計の節約志向の高まりから買い控えが進み、2002年7月(同12・0%減)以来の大幅なマイナス水準となった。

 観光は引き続き「厳しい状況にある」とし、函館空港乗降客数が国内便(同19・2%減)に加え、海外経済の減速や円高の影響などで、国際便が33・0%減と落ち込みが目立つ。主要ホテル20社の宿泊客数や五稜郭タワーの利用客数も前年比2ケタ台の減少を見せ、いずれも8カ月連続の前年割れとなった。

 生産は電子部品について前月に続き「国内外の需要減少を反映し、操業度を引き下げている」とした。携帯電話や自動車向けの受注が減少する半導体や水晶デバイスの受注減が続き、雇用環境の悪化にも連鎖している。公共投資は木古内町国保病院の移転改築といった大型案件があり、同44・3%増と大幅に増えたが、全体としては「横ばい圏内の動き」となっている。(森健太郎)


◎東高校新聞局OBが「続・青雲時報縮刷版」刊行へ

 旧函館東高校(現市立函館高校)新聞局のOB有志でつくる「青雲時報縮刷版刊行委員会」(岩佐章夫委員長)が、学校新聞「青雲時報」の1977年から2007年分(101―169号)を集めた「続・青雲時報縮刷版」を3月末にも刊行、販売する。縮刷版の発行は1977年以来32年ぶり。岩佐委員長(66)は「東高校の歴史や学校生活を懐かしむことができる貴重な資料。OBだけでなく、市民にも手に取ってもらいたい」と話している。(長内 健)

 青雲時報は50年7月に創刊。それ以来、2007年3月の閉校まで約57年間、局員が少なくて発行できなかった1984年度を除き、大勢の局員が年1―5回発行してきた。

 77年の縮刷版は100号発行を記念したもので、今回は当時のメンバーら13人が閉校を機に「続編を残そう」と企画。東高校の卒業生で構成する「青雲同窓会」からの資金援助と同刊行委の自費で活動資金を賄い、昨年7月から全国各地のOBら総勢267人に資料提供を呼び掛け、編集作業に取り組んできた。上田昌昭事務局長(65)は資料集めについて、「東高校が閉校となり、資料や写真を探すのに市立函館高校の倉庫を訪ねたりもした」と振り返る。

 「続・青雲時報縮刷版」には、同校最後の学校祭「第57回青雲祭」や、同校の名物行事「あんどん行列」などのほか、学校祭の在り方、制服の自由化など校内の問題を扱った記事もある。高校生ならではの視点で、函館の現状など社会問題を取り上げた記事もあるという。

 閉校までの年表や生徒の学校活動の写真、歴代の新聞局員が当時をつづった寄稿文も掲載。さらに、創刊号からの全号を収録したCDも添付する。上田事務局長は「パソコンで創刊号から最新号までの紙面を見比べるのも面白いはず。時代の流れや、高校生が感じた社会情勢の変遷が分かるかもしれない」としている。

 縮刷版はA4判360ページ。1部2000円(送料500円)で予約受け付け中。1000部限定。問い合わせは上田事務局長TEL090・8276・9487。


◎今金町でBSE発生

 【今金】厚生労働省などは30日、今金町の牧場で死亡した乳牛1頭がBSE(牛海綿状脳症)と診断されたと発表した。桧山両管内でのBSE発生は3例目。国内での発生は36例目。道は家畜伝染病予防法に基づき、死亡牛と同じ牧場内で飼育している牛の移動制限を指示した。

 道BSE対策本部によると、問題の牛は生後8年4カ月になるホルスタイン種の雌。BSEの原因と考えられる牛の肉骨粉を使った飼料が禁止される以前の2000年8月、この牧場で生まれ乳牛として飼育。26日に安楽死させ、石狩家畜保健衛生所(札幌)の検査でBSEの陽性反応が出た。30日に農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所(茨城県つくば市)による確定検査でも陽性とされ、同省の専門家委員会がBSEと診断した。

 陽性反応が出た牛の肉や内臓は焼却処分されるため、市場に流通することはない。

 桧山支庁は同日、BSE防疫対策本部(本部長・亀谷敏則支庁長)を設置。本部会議で、亀谷支庁長は「BSE検査がしっかりと機能しており、地域の牛肉や牛乳の安全は確保されている。地域の酪農・畜産に対する支援を」と訓示した。今金町役場でも現地対策会議を開き、31日から桧山家畜保健衛生所を中心に、死亡牛に与えた飼料の履歴やBSEの疑いがある同居牛がいないか調べる方針を決めた。

 BSEの発生は道内25例目。桧山管内では06年5月に今金町、07年12月にせたな町で確認された。渡島管内では発生がない。(松浦 純)


◎清尚高生がインスタントラーメンコン全国大会へ

 函館市の清尚学院高校(土屋康宏校長、生徒233人)調理科3年の伊藤玲美さん(18)が、2月11日に東京の女子栄養大学で開かれる社団法人日本即席食品工業協会(東京)主催の「インスタントラーメンオリジナル料理コンテスト2009」の全国大会に道内で唯一、出場することが決まった。応募総数1464点中、書類審査を通過したのは12人。伊藤さんは07年に続き2度目の予選通過となり、「北海道らしい食材を使った。入賞したい」と意気込んでいる。

 このコンテストは身近な即席めんを使った健康的なメニューを提案してもらおうと年1回行い、7回目となる。対象は栄養士や調理師を目指す生徒。大会では予選通過者が応募したレシピに基づき実際に調理し、審査を受ける。

 同校は生徒に料理に対する創造力などをはぐくんでもらおうと、05年から毎年応募。伊藤さんは07年、めんをイカに詰める「なんちゃってイカ飯」で東日本大会に参加している。今回も同校から2、3年生約50人が応募した。

 伊藤さんの作品名は「雪稲荷(いなり)」。ゆがいた塩味のめんに調味料で味を付け、米の代わりに油揚げに詰める。このめん入りいなりにフライパンで焼き色を付け、周囲にタラのそぼろを振り掛けたり、タラコを詰めたレンコンなどを添えた一品。めんは函館ならではの塩味を選び、そぼろは雪をイメージして食紅で色を付けず、白いまま使ったのがポイントだ。

 伊藤さんは「スーパーにあった総菜のいなりずしを見て思い付いた。カリッとした揚げと濃いめのめんの味がよく合うはず」と話す。

 本番に備え、同校で練習した30日は、調理時間の目安である45分間を約10分超えてしまったが、伊藤さんは丁寧な包丁さばきで作業を進め、手順を確認していた。

 卒業後は都内の和食料理店への就職が決まっている伊藤さん。「高校生活最後に料理の大会に出たかった。目指すは入賞」と力を込めた。(新目七恵)