2009年2月10日(火)掲載

◎鹿部町長に川村氏再選

 【鹿部】任期満了に伴う鹿部町長選は8日、投開票が行われ、無所属で現職の川村茂氏(58)が、無所属新人で元町職員の田名部弘勝氏(63)をかわし、2選を果たした。川村氏は1期4年の実績を強調し、兆しが見え始めた町財政の健全化や漁業振興を訴え、859票差で圧勝した。町議選は無所属で新人の川村裕司氏(59)が412票でトップ当選、続く406票を獲得した船橋敦子氏(57)が町内では初の女性議員に当選した。町議選、町長選ともに投票率は90・20%だった。

 町長選は1989年以来20年ぶりの選挙戦。町議会事務局長や助役を歴任した川村氏は2005年、無投票で初当選し、昨年6月の町議会で再出馬を表明した。2期目を目指し、10カ年の町財政改革の着実の遂行と町経済を支える漁業振興、福祉の充実を呼び掛け、「小さな町にも光が見える町政を」と訴え続けた。

 公務と並行した選挙戦や、若年層や漁業関係者らとの対話の場の少なさに不安はあったものの、地元建設業者や歴代町職員らの多くが支持。4年間の着実な町政執行に町民は2期目の期待をかけた。

 田名部氏は20年間無投票当選が続いた町長選を「町民の声が町政に届いていない」と批判。漁業振興や開かれた役場づくりなどを訴え、漁業者らに支持を広げたが、出馬表明の遅れや知名度不足に泣いた。

 川村氏は1950年同町生まれ。1968年に大野農業高卒業後、鹿部村役場入り。

 当日有権者数は3826人で、投票者は3451人。投票率は90・20%で、1989年の町長選の96・73%を6・53ポイント下回り、2005年の町議選88・30%を1・9ポイント上回った。(笠原郁実)

 ■鹿部町長選開票結果

 当2134 川村  茂 58 無現

  1275 田名部弘勝 63 無新

 (有効3409、無効42)

 当412 川村 裕司59 無(1)

 当406 船橋 敦子57 無(1)

 当403 盛田 鉄次73 無(5)

 当316 佐藤 頼幸61 無(7)

 当312 中川  一59 無(3)

 当304 朝井 翔二64 無(1)

 当286 野田 重毅61 無(6)

 当229 伊藤 辰男72 無(5)

 当201 竹ケ原公勝59 無(7)

 当194 浦  梅吉65 無(3)

  186 小林 勲66 無

 169 吉  英樹55 無



◎「丸井」存続を要請 市長ら道庁や経産局へ

 【札幌】丸井今井(札幌)の民事再生手続きを受け、函館市の西尾正範市長ら地元の官民でつくる対策会議のメンバーが9日午前、道庁や道経済産業局など札幌市内の関係機関を訪れ、函館店(本町32)の存続に向けた支援を要請した。

 西尾市長をはじめ、函館商工会議所や本町・五稜郭地区にある商店街の幹部ら計8人が訪問。道庁では西尾市長が「函館店は117年の歴史があり、地域経済の重要な役割を担っている」と強調。署名運動など地元の取り組みを紹介し「最大限の支援を」と申し入れた。嵐田昇副知事は「地元の熱意が伝わった。連携して存続運動を進めたい」と述べた。

 この後一行は、北洋銀行と北海道銀行の両本店も回り、北洋銀の横内龍三頭取や道銀の堰八義博頭取に取引先企業に対する金融支援や速やかな再生計画の策定に向けた協力を求めた。

 要請後、西尾市長は「函館店が地域にとって重要な位置付けにあることはご理解いただけたと思う。今後も活動を継続し、地域を挙げて存続運動を盛り上げたい」、函館商工会議所の松本栄一副会頭は「ようやく活動の緒に就いた。再生計画がまとまるまで関係機関を精力的に回りたい」と語った。

 10日には丸井今井の畑中幸一社長らが函館市役所を訪問し、西尾市長ら対策会議のメンバーと会談する。(森健太郎、高柳 謙)


◎廣瀬量平さんしのび演奏会

 昨年11月に亡くなった、函館市出身の作曲家・廣瀬量平1さん(享年78歳)の追悼演奏会「~市民と奏でる~廣瀬量平の音楽世界」(函館市文化・スポーツ振興財団など主催)が8日、函館市芸術ホール(五稜郭町)で開かれた。約800人の満員の来場者は、美しい名曲の調べに聞き入りながら、偉大な芸術家の死を悼んだ。

 廣瀬さんは1930年函館市に生まれ、北大卒業後に東京芸大作曲家に進み、60年代から本格的な作曲活動に取り組み国内外で高い評価を受けてきた。また「はこだて賛歌」の作曲者としても知られており、2008年には函館市栄誉賞を受賞している。

 この日は合唱とフルート作品が中心のプログラムで、第1部では函館少年少女合唱団が「春の風」など6曲を、さわやかな歌声で披露。第2部では京都市交響楽団首席フルート奏者の清水信貴氏が「岬のレクイエム」などの特殊技巧を駆使した難曲を見事に吹きこなし、廣瀬氏の個性的な世界を再現していた。

 第3部では公募による混声合唱団「廣瀬量平を歌う会」のメンバー、総勢120人が登場し、「pケ木による五つの函館のうた」と「風よまわれ」をしっとりと歌い上げた。最後は「はこだて賛歌」を熱唱した後、会場全体で黙とうを捧げて個人の業績をしのんだ。 (小川俊之)


◎厚沢部で人材受け入れツアー、移住促進を提言 

 【厚沢部】道外の経営者や商社OBから町の活性に向けたアイデアを提言してもらう「人材受け入れツアー」の第1陣6人が7日から3泊4日の日程で厚沢部町を訪れた。9日には町内で渋田正己町長ら関係者との意見交換会を開き、優れた環境を生かした移住促進や交流人口の拡大策について議論を交わした。

 首都圏や関西圏から参加した6人は、町内に宿泊しながら、町内の商工・観光業者や福祉関係者との対話をはじめ、観光地や農産物集出荷施設の見学、近隣町の視察といった日程を精力的にこなし、厚沢部を取り巻く地域事情をつぶさに見て歩いた。

 意見交換会で6人は「温暖化で本州は住みにくい。厚沢部の優れた自然や環境は有利」「大都市では高齢化のしわ寄せがこれから出てくる。厚沢部では高齢化を見据えた対応が取られていることは利点だ」と述べ、移住促進の取り組みを評価。特産のメークインや町内産の本格焼酎ブランド「喜多里(きたさと)」などの特産品を活用して「定期的に特産品を配達する『厚沢部友の会』を組織すべきだ。日常生活に厚沢部の名前が定着するとマチを訪れるきっかけになる。厚沢部ファンの獲得が大切」といった提案も。6人は全員が「夏には家族や友人と厚沢部を訪れたい」と述べて町への支援を約束。また、共同提案として、全国的な自動車不況で職を失った日系ブラジル人家族の受け入れも検討するよう求めた。

 渋田町長は「安心安全な町を全国にPRする必要性を実感した。できることは即刻実行する」と述べ、提案に感謝の言葉を述べた。渋田義幸厚沢部商工会長も「町内ではノウハウや人材が不足している。長期的な支援をお願いしたい」と訴えた。ツアーの第2陣7人は11日に町内入りする。(松浦 純)


◎全道実績発表大会、大野農高が食料・生産部門で優秀賞

 農業高校生徒が日々の活動成果を発表する「第60回全道実績発表大会」(日本学校農業クラブ北海道連盟主催)が5、6日の両日、函館市湯川町の花びしホテルで開かれた。道内3ブロックの地区大会を勝ち抜いた21校約250人が参加。食料・生産など4部門で研究成果を報告し、最優秀賞、優秀賞が発表された。道南から唯一出場した大野農業高(北澤住人校長、生徒337人)は食料・生産部門で優秀賞に輝いた。

 同大会は農業を学ぶ高校生の技能向上などを目的として行われている。食料・生産、環境、文化・生活部門の最優秀校は10月に茨城県で開かれる全国大会に出場する。

 大野農はカスピ海ヨーグルトに含まれるクレモリス菌を子牛に飲ませ、効率的な栄養摂取を実現する研究を発表した。メンバーの3年生柴田明輝君(18)は「入賞できてよかった」、池田敏幸君(18)は「初の全道大会はレベルが高かった」、對島翔太君(17)は「いい思い出になる」と入賞を喜んでいた。

 6日の閉会式では各部門の最優秀校に表彰状とトロフィーが授与され、大会運営にあたった当番学校会長の大野農2年の岡本里穂さん(17)が「全国大会での活躍を願っている」と話し、このほか北澤校長らがあいさつした。

 受賞校は次の通り。

 ◇食料・生産▽最優秀=岩見沢農▽優秀=旭川農、岩見沢農、大野農、標茶、帯広農

 ◇環境▽最優秀=岩見沢農▽優秀=倶知安農、旭川農、美幌農、別海、帯広農

 ◇文化・生活▽最優秀=静内農▽優秀=静内農、岩見沢農、富良野緑峰、真狩

 ◇クラブ活動▽最優秀=旭川農▽優秀=岩見沢農、ニセコ、富良野緑峰(山田孝人)