2009年2月16日(月)掲載

◎千両役者!歓声こだま…初春巴港賑

 函館の各界名士が繰り広げる歌舞伎公演、初春巴港賑(はつはるともえのにぎわい)の第31回公演(実行委、函館市文化・スポーツ振興財団主催)が15日、函館市民会館大ホールで開かれた。舞台あいさつの口上を含め4演目が上演され、迫真の芝居やハプニングの“名演技”に満員の観客から大きな拍手が送られた。

 「初春―」は、函館の新春の風物詩として親しまれており、経済、医療、教育などで活躍する市民や函館子ども歌舞伎の団員らが出演する。今均実行委員長、谷沢広副市長ら5人による口上に続き演じられた「一本刀土俵入」では、主人公の駒形茂兵衛の登場シーンなどに歌や踊りなど独自の演出を凝らし、観客は娯楽性あふれる展開を楽しんだ。

 おなじみの「白浪五人男」には、今年が函館開港150周年ということもあり、函館山ロープウエイの小笠原忠専務のほか、市内のホテル関係者など観光事業の5人が出演。大捕り物の場面で名乗るとき、「函館にお越しのお客様はぜひ当ホテルを利用して」など、それぞれのPRを含めたせりふに歓声が起こった。

 最後は源平の合戦で敗れた安倍貞任、宗任の兄弟が八幡太郎義家に対し親の敵討ちをしようとする「奥州安達原三段目(おうしゅうあだちがはらさんだんめ)」。一瞬にして衣装が変わる「引き抜き」と呼ばれる技を使ったほか、ベテラン出演者の高い演技力が観客の心を打ち、盛大な拍手が送られた。

 17年間連続して観劇しているという函館市美原の主婦森宮麻美さん(61)は「本物の歌舞伎らしさに加え、本来の歌舞伎にない面白みを加えた演出が楽しい。せりふが出てこない場面もあったが、一生懸命練習してきた出演者に心から拍手を送りました」と話していた。(山崎純一)



◎行革効果額14億7900万円…函館市新年度

 函館市が発表した2009年度一般会計予算案で、新年度の行財政改革効果額は14億7900万円となっている。財源不足は42億円だが、職員削減による人件費節減などの行革がなければ57億円が不足した計算。厳しい財政状況に変わりはないが、地方交付税の増額と行革による歳出削減で財源を確保し、一定の事業を盛り込むことができた。

 昨年11月に公表した中期財政試算では、09年度の行革効果額を12億4000万円とし、新年度予算案では2億3900万円上積みされた。市行政改革課によると、概算で見積もっていた人件費の抑制が試算以上あったことや、事務事業の見直しで嘱託職員の採用を抑えることができたことなどが要因に挙げられるという。

 新年度の行革効果額は、職員数の削減と事務事業の見直しでねん出した。職員削減では一般会計分で150人を減らし、人件費は約12億円削減した。半面、事業の民営化や委託などで約3億2000万円がかかり、差し引きで8億7000万円の効果額となった。

 事務事業の見直しでは、出張や事務経費など経常経費の節減のほか、管理職手当の5%削減、特別職の給与減額、起債(借金)の繰り上げ償還による利子の軽減、中央卸売市場の地方卸売市場化による負担軽減などで6億円の経費を節減した。

 新年度予算案では、交付税の不足分を起債で賄える臨時財政対策債が大幅に増え、実質的な交付税収入を前年度比15億円増の365億円と見込んだ。このため、縄文文化交流センターなどの大型事業の着工が予定通り進む見通しがつき、西尾正範市長の公約である教育・子育て・人づくりの新規事業も盛り込まれた。

 市総務部は「交付税の増収も大きいが、人件費も毎年、8―9億円ずつ落としている。予算案では見えないが、行革の効果額は市の財政を底支えしている」と話している。(高柳 謙)



◎ゴッコ汁でポカポカ…えさんまつり

 函館市恵山地域特産の魚「ゴッコ(ホテイウオ)」の味覚を楽しんでもらうイベント「第19回えさんごっこまつり」(実行委主催)が15日、同市日ノ浜町の恵山海浜公園で開かれた。ゴッコを材料にした汁物や焼き物などを目当てに、多くの市民らが詰め掛けた。

 近海では強風によるしけがここ数日続いており、1匹丸ごとで販売するゴッコが当初予定していた1000匹から400匹に減少。それでも、オスとメスのセットが1袋1000円と市価の半分以下で手に入るとあって、買い物客が長い列を作った。

 来場者に振る舞われたゴッコ汁は、しょうゆベースで野菜をふんだんに取り入れて煮込んでおり、寒さで冷え切った来場者の体を温めた。2、3日干したゴッコを鉄板焼きにした身は、風味が豊かで香ばしいにおいが食欲を誘った。

 市内大手町の会社員門明祐介さん(32)はゴッコ汁を味わい、「初めて食べたが、ゼラチン質でやわらかくておいしかった」と話していた。

 会場ではこのほか、市内の農協と漁協青年部による異業種交流事業として、道南産のブランド米「ふっくりんこ」の試食提供をはじめ、サケ、イカ、ホタテといった新鮮な海産物の販売も行われた。(浜田孝輔)


◎札幌から「グルメ列車」 ツアー客函館入り

 札幌発着の1泊2日の列車旅行「ご当地グルメ&スイーツ満喫列車!函館湯の川温泉への旅」の一行52人が15日、函館入りした。車内では沿線市町で名産のハンバーガーやデザートなどが振る舞われ、ツアー参加者を喜ばせた。

 函館市が観光客誘致の施策として企画し、旅行代理店大手の近畿日本ツーリスト札幌営業所(札幌)が商品化。料金は大人一人2万800円からで、1月15日の発売初日に、受付開始から20分で売り切れるほどの好評を得ていた。

 札幌を午前10時半すぎに出発して函館に向かう車内では、恵庭市のパンプキンパイとクッキー、白老町のチキン親子バーガー、函館市のキャラメルシュー、紅茶を提供。北広島市の番地史江さん(18)は高校の卒業旅行として友人と2人で参加し「価格が手ごろで自由時間が多いのが魅力だった。車内での食事は味、ボリュームともに期待以上」と喜んでいた。

 ツアー客は各自で市内観光を楽しんだ後、湯の川温泉街のホテルに宿泊。16日夕に函館を立ち、帰りの車中では上ノ国町のアワビ飯弁当、七飯町の大沼ビール、今金町のシソジュース、函館市のなめらかプリンあずき抹茶、洞爺湖町の白いおしるこが用意される。(浜田孝輔)


◎集客力アップへ全力…台湾観光客誘致訪問団が出発

 函館市や地元経済団体の代表者ら9人でつくる「台湾観光客誘致訪問団」(団長・森川基嗣函館商工会議所副会頭)が15日、台湾に向けて出発した。一行は函館にチャーター便を乗り入れる台湾の航空会社を回り、さらなる増便や定期便開設を要請する。

 昨年11月に函館―台湾間でチャーター便を運航してきたマンダリン航空(台湾)が、今月以降函館への乗り入れを当面見合わせることが明らかになった。昨年1年間の台湾からの来函客数約8万7000人のうち、約45%が同社の航空機を利用していたことから、観光客減少に危機感を抱いた市などが急きょ台湾への訪問を決めた。

 この日、函館空港(同市高松町)で行われた出発式では、森川団長が「台湾は函館にとって観光面で重要な地域。先人が誘致に尽力した思いを胸に、集客を伸ばす役割を果たしたい」とあいさつした。

 訪問団は3泊4日の旅程で、台湾の航空会社3社にチャーター便増便や定期便化に向けた要望書を提出するほか、旅行代理店を訪れて観光需要動向についての聞き取り調査などをこなし、18日に帰函する予定。(浜田孝輔)


◎市民スケート場が今季最後の営業

 函館市金堀町の函館市民スケート場は15日、今季最後の営業を行った。この日は時折小雪混じりの強い風が吹く天候だったが、銀盤の感触を惜しむように大勢の子どもたちや家族連れなど1215人が来場。同スケート場を管理する市文化・スポーツ振興財団の創立20周年を記念したゲームなどの催しも行われ、リンク内には終日、子どもたちの歓声が響き渡った。

 午後にはサブリンクを会場に、隠された赤玉を探すゲームが行われ、約200人の子どもたちが参加し、笑顔で興じていた。友人同士で訪れた函館高盛小4年の佐川豊君(10)は「今シーズンからスケートを始めて、全部で6回も滑った」と話し、佐藤航太朗君(10)は「来季もたくさん滑りたい」と笑顔を見せていた。

 同スケート場によると、昨年12月13日にオープン以来の今シーズンの入場者数は3万4600人。昨シーズンから155人減少したが、今季は昨季より営業日数が約2週間短かったこともあり、1日平均の来場者数は増加に転じた。同財団の屋外スポーツ施設管理事務所の北市邦敏所長(60)は「景気の影響や雪が少ないこともあり、スキー場よりも、単価の安いスケート場に足を運ぶ人が増えたのでは。今季初めて実施したナイター割引などの効果も大きい」と話していた。(山田孝人)