2009年2月22日(日)掲載

◎甘くて柔らかい「新芽コンブ」…南茅部地区で水揚げや日干し

 函館市南茅部地区の海岸沿いで、新芽が出たばかりのコンブ「新芽コンブ」の水揚げが行われている。同市臼尻町の漁業中條俊政さん(70)方では今月から水揚げや日干し作業を開始し、家族ら6人が作業に追われている。

 同地区で水揚げされるのは特産の高級真コンブ「白口浜コンブ」と呼ばれる養殖もので、長さは約2メートル。2日間ほど寒風で乾燥させて縮ませた後、30、90センチに切り、それぞれ数十本ずつ束ねて保管、出荷する。

 新芽コンブは本来7月下旬に収穫する「成熟コンブ」に備えて間引きされるものだが、甘みを含んだ柔らかい実が評判を呼び、おでんや煮物などの具として人気が高い。中條さん方ではコンブの実が硬くなる3月中旬まで作業を行い、南かやべ漁協臼尻支所に出荷する予定だ。

 中條さんは「良いコンブを育てるための間引きだが、新芽コンブはファンが多いから仕事には力が入ります」と意気込んでいる。

 同漁協直販加工センターによると、新芽コンブは早ければ3月中旬にも全国に出荷される。(長内 健)



◎ナッチャン再開検討…4―9月 季節運航目指す

 東日本フェリー(函館市港町3)が昨年10月末まで、函館―青森間で運航していた高速船「ナッチャン」の運航再開が検討されていることが、21日までに分かった。グループ会社の道南自動車フェリー(同)は「まだ正式決定ではなく、関係方面と調整段階」としているが、早ければゴールデンウイーク前の再就航を目指したい考え。

 道南自動車フェリーによると、再開案では一定の需要が見込める4―9月に季節運航し、一日1往復を運航。夏場の繁忙期には「プラス1往復程度」(同社幹部)の増便も検討しているという。同社は「燃油価格が下落し、地域からも運航再開を望む声が大きい。地域貢献という意味でも前向きに検討している」としている。

 高速船は現在、1隻目の「ナッチャンRera(レラ)」が函館港に、2隻目の「ナッチャンWorld(ワールド)」が青森港(2月下旬まで和歌山県で定期検査中)にそれぞれ係留されているが、固定資産税や人件費など年間で数億円規模の維持費がかさむという。

 同社は「ナッチャン」のどちらか1隻での運航を想定し、もう1隻は再開時に別の場所に停泊する予定。運航主体は同社か東日本フェリーのいずれかになる見通し。また、これまでに国内外の複数社から高速船購入の打診があることも明らかにし、同社は「運航再開と合わせて引き続き検討中」としている。

 東日本フェリーは2007年9月に「レラ」、昨年5月に「ワールド」と、青函航路で高速船を相次いで導入したが、燃料価格の高騰や利用客の伸び悩みから、昨年10月末で運航を取りやめた。

 西尾正範函館市長は「もし再開となれば函館開港150周年記念事業の大きな後押しになる。観光、物流両面の活性化にもつながり、市にとっては大変喜ばしい」と話している。(森健太郎)



◎新米校長時代の苦労話満載…坪川さん「奮闘記」自費出版

 函館市富岡町の元小学校校長、坪川英司さん(66)がこのほど、自身が初めて校長となった時の苦労などを紹介する「新米校長奮闘記」を自費出版した。校長時代に書き留めていたことを昨年、約半年かけてまとめた。「校長として教師、児童、地域がそれぞれ良いかかわりを持つ大切さを知ってもらい、新しく校長になった人たちや学校関係者のほか、子育て、人を育てる立場の人の役に立ってくれれば」と話している。

 坪川さんは1942(昭和17)年、函館で生まれ、67年から渡島管内の小中学校の教壇に立った。97年に校長となり、松前町の小学校に赴任。奮闘記では、同小での2年間の体験を、自身のほか登場人物の名前を変えたフィクションでつづっている。

 坪川さんは当時、前校長との違いを出しながら学校や教師の力を高めようと、あらゆることを実践した。子どもたちとの信頼関係を築き、農業を体験させるなどして地域にとけ込んだ。児童の思いを感じられる感性を持った教師を育成し、教師のやる気を育てるため、地域の人に学校を見てもらうようにした。

 しかし、取り組みの最初のころは、地域との交流を深めようとする姿勢などに教師から反発を受け、狭心症となり約半年間入院した。その時「今、自分がした苦労や、これから立ち向かうことは、時代が変わっても起こりうる話。自分の体験を誰かに生かしてもらおう」と、入院生活中や復帰した後、児童や教師、親と向き合ってしてきたことをしたためた。

 坪川さんは「赴任当時の学校は荒れていたが、2年間掛けて直すことができた」と振り返る。完成した本を手に「児童は先生に見られているから頑張ろうという気になる。教師はそのためにも顔を合わせ、目を見つめ合い、ありのままを見せ合うことが大切。そんな先生を地域から応援してもらう学校経営のヒントになれば」と話す。

 このほか、98年から3年間にわたり友好を深めた、中国・天津市交流団とのかかわりを詳しくまとめている。

 A5変形判、297ページ、定価1500円。300部を発行し、現在は市内川原町の三省書店で発売中。取り扱ってくれる書店を探しているという。問い合わせは坪川さんTEL0138・41・9550。(山崎純一)


◎松前で19件被害…道南大荒れ

 21日の道南は発達した低気圧が通過した影響で、深夜から未明にかけて強い風が吹くなど荒れた天候となった。松前町では最大瞬間風速30メートルを超える突風が吹き、小学校や住宅の屋根がはがれるなどの被害が出た。各交通機関も乱れた。

 函館海洋気象台によると、最大瞬間風速は江差町33・9メートル(午前10時3分)、松前町31・7メートル(同1時27分)、せたな町25・9メートル(同2時45分)、函館市川汲20・1メートル(同6時9分)。

 松前町によると、この風の影響で松前白神小学校の屋根や同館浜小学校の窓ガラスが損壊。小島や大沢地区などの住宅6棟の屋根が壊れるなど合わせて計19件の建物に被害が出た。けが人はなかった。

 空の便は、全日空(ANA)が函館と丘珠を結ぶ4往復8便が欠航し計170人に影響。北海道エアシステム(HAC)は函館と丘珠、新千歳、奥尻、釧路の道内各空港を結ぶ計7便が欠航し、102人に影響があった。

 フェリーは道南自動車フェリーが函館―大間の3便を欠航し、約30人が影響。ハートランドフェリーは江差―奥尻間の1往復2便を欠航し、75人に影響した。

 JRは青森県内の海峡線や東北線の除雪作業のため八戸―函館間を結ぶ特急「スーパー白鳥」11本などが運休し、約4300人に影響が出たほか、札幌に向かう特急に運休や遅れが出た。


◎緑の大切さ「わかった!」…イベント「みんなでつくる緑の島公園」

 森林保護の大切さを伝えるイベント「みんなでつくる緑の島公園」(ハマナスの会主催)が21日、函館市の山の手児童館で開かれた。紙芝居や童謡コンサート、ハマナスの種と鉢の配布など多彩な催しを通じて、来場した親子連れなど約100人が、森や緑の大事さを学んだ。

 同会(工藤えみ代表)は潮風に強いとされる、ハマナスの植樹を通じた市内の緑化活動や清掃活動を行っている。イベントでは約100セットのハマナスの種と鉢が配布され、参加者が各自の家庭で育てて、今秋に同市大町の緑の島に植栽する予定。

 はじめに工藤代表が「緑や山の大切さをじっくり勉強して」とあいさつ。同会メンバーが作成した、植物を植える大切さを訴える紙芝居「はっぱのてがみ」と「月夜のコンサート」の読み聞かせが行われた。続いて声楽家の徳永ふさ子さんが、七飯町でピアノ教室を主宰する池田みどりさんの伴奏で「赤とんぼ」や「山の音楽隊」「待ちぼうけ」などの童謡約10曲を独唱した。イベント終了後には、製本した紙芝居の絵本などが来場者にプレゼントされた。

 参加した北日吉小5年の祖母浦雛さん(10)は「緑の大切さがよくわかった。家で種を植えてきれいな花を咲かせたい」と話していた。(山田孝人)