2009年2月24日(火)掲載

◎チョウザメ、スイスイ…臨海研究所で飼育、公開

 水産や海洋に関する産学の研究拠点、函館市臨海研究所(大町13)の1階交流ラウンジで、珍しいチョウザメ2種類が飼育、公開されている。北大大学院水産科学研究院、足立伸次研究室の協力を得て、アムールチョウザメ3匹、ベステル2匹を展示。水槽の中を元気に泳ぐ姿を家族連れなどが見学している。

 同研究所によると、チョウザメは硬骨魚類で、軟骨魚類のサメとは違う。うろこの形が蝶(ちょう)のように見え、現存する魚で最も原始的な骨格を持ち、体型は3億5000万年前からほとんど変わらない“生きた化石”。卵を塩漬けにしたキャビアは世界三大珍味の一つ。

 アムールチョウザメは、ロシアのバイカル湖やアムール川など、主に淡水域に生息し、最大で2・5メートル、体重150キロを超える。ベステルはオオチョウザメとコチョウザメを掛け合わせた改良種で、最大1・5メートルまで大きくなる。

 展示されているのは15―30センチの稚魚で、同研究所は「成熟まで4―5年かかるが、少量ながら養殖もののキャビアもある。この機会にぜひ訪れて見学して」と話している。(高柳 謙)



◎道南経済「厳しくなっている」…10―12月期 3期ぶりに下方修正

 函館財務事務所は23日、昨年10―12月期の経済概況「道南経済レポート」を発表した。消費不況や来函客数の減少、雇用情勢の悪化などを踏まえ、概況を「厳しくなっている」と判断し、3期ぶりに下方修正した。2005年4―6月期以来の「停滞」から「厳しい」に表現が一段と強まり、道南経済の急速な悪化傾向が浮き彫りになった。

 全8項目中7項目が前期(昨年7―9月)の判断より悪化した。同事務所は「管内の情勢は厳しさを増しているが、北海道新幹線や開港150周年事業など今後の可能性に懸け、官民で歩みを続けていくことが必要」としている。

 個人消費は大型小売店(7社)の売り上げが前年同期比8・7%減少。消費者の節約志向の強まりや気温が高めだったことから、冬物衣料や防寒用品が不振だった。一方、食品スーパー(4社)は新規出店効果もあり、全体の売上高は前年同期と横ばいにとどまった。新車販売台数は同10・0%減で4期ぶりに前年を割り込んだ。

 観光関連は青函高速船の終航に加え、航空機の関西空港便の廃止・減便や、機材の小型化の影響で、道外や海外からの観光客が減少。青函航路のフェリーが同5・5%減と1年ぶりの前年割れとなったほか、航空機は同15・2%減、主要宿泊施設(15施設)の宿泊者数は観光、ビジネス利用とも不振で同16・5%減など、全体では前年を大きく下回った。JRは急行はまなすが好調で3期ぶりに前年を上回った。

 企業の生産活動は、最終製品の需要減から当面の受注を確保する造船を除き全体的に低調。住宅建設は本州資本の集合住宅の貸家が増加傾向にあるものの、住宅着工戸数(函館、北斗両市)全体では持ち家、分譲住宅がの販売不振が響き前年を下回った。(森健太郎)



◎はこだて動画甲子園で「国際民俗芸術祭」組織委が最優秀賞受賞

 函館市の観光資源を紹介する短編映像の作品コンテスト「はこだて動画甲子園」の審査結果が23日までに発表され、昨年8月に市内6カ所で世界9つの国と地域から約100人のアーティストが出演し、開催された「はこだて国際民俗芸術祭」の模様を撮りため、アレンジした同祭組織委員会(イアン・フランク委員長)が最優秀賞に選ばれた。

 コンテストは市が取り組む「はこだてブランド映像制作業務」を受託する、映像編集会社「シンプルウェイ」(同市本通1、阪口あき子社長)が初めて企画。「世界に発信したい函館の新しい魅力!」をテーマに1分程度にまとめた作品を募集し、32件の応募があった。

 同委員会事務局のふくだたくまさん(34)はこの日、市役所を訪れ、阪口社長から表彰状を受け取り、谷沢広副市長は「アクティブに函館を表現しており、町のイメージを高めてもらえる良い仕上がり」と評価。

 今年の同祭は、8月7―13日に緑の島などで、昨年の2倍の規模で函館開港150周年記念事業の一環として開かれる予定で、ふくださんは「国際観光都市にふさわしい地域発信力を発揮し、函館にいながらにして本格的な民俗芸術を体感できる場にしていきたい」と話していた。

 なお、入賞作品4件はシンプルウェイが運営する動画サイト「はこだてCM放送局」で視聴できる。アドレスはhttp://omoide.tv/hakdtube

 最優秀賞以外の入賞者は次の通り(敬称略)。

 ▽優秀賞=はこだて未来大・今野芳章▽入賞=StudioSUN・畠中勇、函館高等学校放送局・西村千夏(浜田孝輔)


◎道警函本、中央、西署が啓発用DVD作成…「おれおれ詐欺」など中心に

 道警函館方面本部、函館中央、函館西署は振り込め詐欺被害の防止に役立てようと、啓発用DVD「振り込め詐欺撲滅」を作成した。実際の事例から、被害者の心理につけ込み、言葉巧みに現金を振り込ませる犯行手口と防止対策を紹介。「振り込め詐欺は知っていたが被害に遭ってしまった」という被害者が多いことから、手口の詳細を周知することで、未然防止に役立てる。

 全国で振り込め詐欺被害が多発した昨年は、同函本管内でも被害額が7800万円以上になるなど大きな社会問題になっている。DVDは400枚作成し、函館近郊2市1町の全町会345カ所に配布したほか、函館中央や西署の生活安全課でも貸し出しを行い、各町会の防犯講話などでの利用を想定している。

 内容は、「おれおれ詐欺」「架空請求詐欺」「融資保証金詐欺」「還付金詐欺」の主要4手口を中心に、新たな手口として急増が予想される「定額給付金」対策も盛り込み、イラストや音声で防止を訴える。同函本独自の振り込め詐欺対策標語「いかそうめん」や家族間で合い言葉を取り決めておくことなどを約20分間にまとめた。

 また、管内での未然防止の好事例を紹介する小冊子「私はこうして見破りました」を作成。「携帯電話の番号が変わったは要注意」「家族しか知らない質問をすることは有効な手段」などと、だまされないためのアドバイスを盛り込んでいる。同函本生活安全課は「DVDを繰り返し見てもらうことで、詐欺の被害を1件でも食い止めたい」としている。(今井正一)


◎「江差三下り」大会 全国から民謡愛好家…小野寺さん(東京)に最優秀賞

 【江差】江差追分の“母唄”として知られ、道指定無形民俗文化財である民謡「江差三下り」の第4回発表大会が23日、江差追分会館で開かれ、東京都練馬区の小野寺安喜さん(67)が最優秀賞を受賞した。

 大会は、江差三下り会(会長・濱谷一治町長)の主催。町内をはじめ全国各地の民謡愛好家ら20人が出場し「えさし港の弁天様は わしがためには まもり神」の歌詞で始まる粋な歌声を響かせた。

 最優秀賞に輝いた小野寺さんは民謡歴40年以上で、江差追分東京練馬支部長も務めるベテラン。大会では一昨年、昨年と優秀賞を受賞している。青坂満審査員長からトロフィーを贈られた小野寺さんは「江差三下りは江差追分の母唄。江差追分の力強さとは違う、陽から陰に向かう独特の唄い方に魅力を感じます」と話していた。

 江差三下りは、越後地方で歌い継がれた信州馬子唄をルーツとする。約250年前の北前船時代には江差へ伝わり、花街で歌い継がれる座敷唄として三味線と尺八の伴奏を加えながら、粋な雰囲気の歌となった。江差追分の始祖とされる佐之市(さのいち)が伝えた「ケンリョ節」と融合させることで、現代に伝わる江差追分が成立したと伝えられている。大会入賞者の氏名は次の通り(敬称略)。

 ▽最優秀賞=小野寺安喜(東京都)▽優秀賞=森信佐句(愛知県小牧市)金盛嘉美(江差町)▽審査員特別賞=那須勇(札幌市)佐々木洋子(旭川市)(松浦 純)