2009年2月27日(金)掲載

◎青函トンネルに新幹線用レール敷設

 JR北海道は26日未明、青函トンネル内で進めている2015年度開業予定の北海道新幹線(新函館―新青森間)のレール敷設作業を報道陣に初めて公開した。在来線のレールの外側に新幹線専用の「ロングレール」を新たに設置。北の大地に高速輸送時代の到来を告げるつち音が響いた。

 この日はJR海峡線の吉岡海底駅(福島町)から青森側に約3キロの地点で、午前1時ごろ作業を開始。作業員約30人が長さ200メートル、重さ約12トンのロングレールを専用のウインチ「レール山越器」でつり上げ、在来線の外側に備え付けられた締結装置にボルトで固定した。

 新函館―新青森間の新幹線と在来線との共用区間は、青函トンネル(約54キロ)を含む約82キロ。新幹線のレールの幅は在来線より約37センチ広いため、上下線とも既存のレールの外側に1本ずつ新幹線専用レールを追加した上で、共用、在来線専用とともに計3本のレールが軌道となる。

 トンネル内での作業は深夜から未明にかけ、列車が通過しない時間帯に限られるため、一日でロングレール3本分(600メートル)しか敷設できないという。JR北海道の中島尚俊社長は「青函トンネルが本来の使命を果たすときが、レール一本ごとに近づいてきた気がする。一日も早い開業を目指し、安全第一で作業効率を上げていきたい」と話していた。

 JR北海道によると、青函トンネル内のレール施設工事は2010年度までの予定で、現在の進ちょく率は共用区間全体の4%程度という。前日の25日午後には新設区間となる新函館―木古内間で最長の渡島当別トンネル(8080メートル)の掘削作業の様子も公開された。(森健太郎)



◎計画策定や外部監査 自主的に財政再建…江差が早期健全化団体に指定へ

 【江差】江差町は4月施行の自治体財政健全化法に基づき「早期健全化団体」に指定される。07年度決算で実質公債費比率が25%を超えたため。財政破たんで国の管理下にある夕張市が該当する「財政再生団体」と違い、市町村の自主的な財政再建により、財政状況の悪化を食い止める狙いがある。今秋には財政健全化計画の策定や個別外部監査といった法律に基づく対応が具体化する。

 同法は実質赤字比率、全会計の連結実質赤字比率、3年平均の起債償還に要した経費の比重を示す実質公債費比率、将来負担比率の4指標を規定している。一定の基準を超えると“黄信号”の早期健全化団体、破たん状態に陥ると財政再生団体になる。07年度決算で早期健全化基準を超えたのは渡島・檜山管内で江差町だけ。

 江差町の実質公債費比率は27・6%で道内ワースト7位。89―01年前後に集中した文化会館や運動公園といった建設事業の借金返済がピークを迎え、数年間は25%を超える見込み。ただ、他の3指標には該当せず、財政再生団体に転落する可能性は低い。江差町は「粛々と借金を減らし数年後には脱却したい」としている。

 今後は5月末の出納閉鎖で確定する08年度決算に基づき、今秋にも財政再生あるいは早期健全化の対象市町村が確定。早期健全化団体は(1)財政健全化計画の策定(2)計画の議会議決と公表(3)知事・総務相への報告―が義務付けられる。公認会計や税理士による個別外部監査も必要で、費用は市町村負担だが、交付税措置も検討されている。総務省は外部監査などの手続きマニュアルを市町村に示す方針だが「国の作業が遅れており準備が進まない状態。経費は新年度の補正予算で対応する」(町財務課)としている。(松浦 純)



◎アースデイ函館実行委19日からイベント

 アースデイ函館実行委員会(榎本陽輔委員長)が、函館市内で行われる環境問題関連のイベント情報を発信し関係機関が交流できる組織「函館環境会議」の設立を目指している。5月の準備委員会立ち上げに向け、3月19日から4月5日までの期間、市内3会場で啓発パネル展などを中心としたキックオフ企画を開催する予定で、ボランティアスタッフを募集している。

 榎本委員長(24)は函館大学商学部3年生で市地域交流まちづくりセンタースタッフとしても活動。環境問題に関心を持つ中、市内での関連セミナーや企画の情報発信や市民団体同士のつながりの少なさを感じ、「環境問題に取り組む団体が一緒に集まり何かできる場を作りたい」と環境会議の発足を考えた。

 正式立ち上げは2010年度を目指しており、在り方を議論する準備委を先に発足させる考え。現在、趣旨に賛同する団体や企業と話を進めている。

 キックオフ企画は環境問題に関する情報媒体や問題に取り組む企業などについてのパネル展示がメーン。ポスターを再活用したバック作りワークショップ(土日祝日のみ・無料)や科学、芸術分野のイベント団体による協力企画なども計画している。

 期間と開催場所、時間は①19―24日が函館駅(午前10時―午後5時、最終日は午後3時まで)②25日―4月1日が市地域交流まちづくりセンター(午前9時―午後9時、最終日は午後3時まで)③同2―5日が五稜郭タワー(午前9時―午後6時)。最終日の5日午後1時からは生音ライブなども行う。スタッフの業務は会場設置や受け付けなどで、20人程度を募集する。

 榎本委員長は「いろいろな人が環境問題に触れる機会とし、自分たちのためにも興味があれば参加してほしい」と呼び掛けている。

 スタッフ募集に関する問い合わせは7日までに榎本委員長TEL090・2877・6046。 (新目七恵)


◎道コカ・コーラボトリングと道警函館本など自販機媒体に防犯広報

 道コカ・コーラボトリング(本部札幌、角野中原社長)と道警函館方面本部、函館中央署、函館西署は26日、函館中央署1階など市内・近郊の5カ所で電光掲示板付きの自販機を活用した情報提供「防犯ほっとインフォメーション」の運用を開始した。同社の自販機を媒体に、3機関が防犯広報などを発信する官民協働事業で、安心で安全な地域づくりを目指す。

 「変化への挑戦~北の大地とともに~」をスローガンとする同社はこれまで、各自治体と協働で道の駅に設置した電光掲示板付き自販機で道路情報などを提供する「おしらせ道ねっと」の運用などを進めてきた。今回、同社が3機関と協定を締結し、激増する振り込め詐欺事件など悪質な犯罪を未然に防ぐことなどを目的に、身近な犯罪情報などを地域に発信する。渡島・檜山管内での運用は初めて。

 設置場所は同署のほか、ビッグハウス・アドマーニ美原店、五稜郭タワー、キングストアー谷地頭店など。今後、道南各地に順次運用台数を増やしていく考えだ。

 この日、運用開始に先立って行われた協定書手交式には、同本部の大江宜信本部長、谷口茂樹函館中央署長、清水博明函館西署長、同社の林繁男専務取締役らが出席。大江本部長は「地域住民の防犯意識を高めることにつながれば」と話し、林専務取締役は「これからも情報の提供に努めたい」と話していた。(長内 健)