2009年2月28日(土)掲載

◎「一丸で困難乗り切る」西尾市長が執行方針…市議会定例会開会

 函館市議会の第1回定例会が27日に開会し、西尾正範市長が市政執行方針を、多賀谷智教育長が教育行政執行方針を述べた。西尾市長は、経済・雇用情勢の悪化、少子高齢化、人口減少、中心市街地空洞化、病院事業の経営健全化など多数の課題に直面する市の現状に触れ、「課題を一つ一つ解決に向かわせながら、市役所や企業、団体、市民が力を合わせて困難な時代を乗り越えていかなければならない」と訴えた。

 現下の情勢を「非常時」と位置付け、独自の措置で事態を好転させるため、公共事業の前倒し発注や景気浮揚策に努力したことを強調。さらに多重債務者支援のための支援室設置や、下水道使用料引き下げ、中小企業への融資制度見直しなどを行う。

 その上で(1)市民の安心・幸せづくり(2)地域の活力・元気づくり(3)次代を担う人づくり―の3つの観点から施策や事業に取り組み、「市民の自治を広げ、知恵を集め、函館が魅力と活力あふれる共同体として輝けるよう力をあわせていきたい」と、住民と一体となった行政運営を方針に掲げた。

 主要施策は「心豊かな人と文化をはぐくむまち」や「共に支え合い健やかに暮らせるまち」など5項目に基づき取り組む。旧図書館本館や公民館の活用策、市民体育館のあり方について市民の意見を取り入れながら検討。弥生小学校校舎や椴法華中学校の給食共同調理場の整備を進め、学校の耐震診断と改修に本格的に着手する。

 福祉のまちづくり推進のためには、母子健康手帳と一体で子どもの成長情報を管理できる「すくすく手帳」を発行し、妊産婦健診の助成回数を14回に増やす。市立病院は病院事業改革プランに基づいた経営健全化、国民健康保険事業は収納率の向上に努める。

 開港150周年記念事業では式典やイベントを展開。「函館の魅力と価値を世界に向けて発信し、将来に向け飛躍する契機となるよう全力を尽くす」と決意を述べた。

 多賀谷教育長は「地域の特性を生かした活力あふれる豊かなまちづくりを進める上で、人づくりを担う教育の果たす役割はますます重要」と位置付け、「家庭や学校、地域社会との連携を深めた総合的な教育行政の推進に努めたい」と述べた。

 学校教育では、小中学校の再編計画策定に着手するほか、学校長の裁量で活用できる「知恵の予算」を継続。新学習指導要領の適切な移行や、小学校での外国語活動導入の円滑な導入に向けて各学校を支援する。

 生涯教育では、開港150周年を記念した特別展の開催や、縄文文化交流センターの整備、箱館奉行所の庁舎復元工事を推進。スポーツ合宿誘致の助成制度を創設する。(小泉まや)



◎500トン級フェリーでも収益…大間―函館の航路のあり方検討会

 【青森】函館と大間(青森県)を結ぶフェリー航路の存続に向けた方策を話し合う「大間―函館航路のあり方検討会」の2回目の会合が27日、青森市内の青森県観光物産館アスパムで開かれた。大小5種類の船型を想定したモデルケースで採算性などを検証し、観光振興による利用促進策の素案を審議した。

 検討会は来年1月以降の運航が未定となっている函館―大間航路について、望ましい運航形態や利用増加策を探ろうと、東北運輸局(仙台市)が設置。計3回のうち2回目の会合で、函館市や青森県、大間町、同町の市民団体の代表ら委員約20人が出席した。

 会合では同航路の輸送実績などの調査結果を報告。これらを踏まえ、一定の輸送人員で総トン数100トン―3000トンの5つの船型でシミュレーションしたところ、現行船3分の1に当たる500トン級のカーフェリーが最も収益を上げられることを明らかにした。

 一方、委員からは「船の大きさによる欠航率の違いは」と津軽海峡特有の荒天を懸念する声や、「輸送人員の想定が甘い」「実態に近い数値目標を定める必要がある」といった意見があった。また、「船体規模ありきではなく、観光、生活など需要動向を見極める方が先では」との指摘もあり、来年度以降は分野別の専門部会の設置も検討する方針を決めた。

 今後は大間、函館双方の実態調査をさらに掘り下げて進め、3月中旬に開く3回目の会合で必要事項を修正、追加した素案をまとめる考え。同検討会の座長を務める同運輸局の長町哲次海事振興部長は「暫定運航の期限が12月に迫るため、地元の要望と現実問題の落としどころを探る必要がある。優先順位を絞り込み、船体や観光などテーマごとの議論も重ねたい」と話した。(森健太郎)



◎開港記念館あすオープン…旧イギリス領事館

 函館開港150周年を記念し、函館市が整備を進めてきた旧イギリス領事館の開港記念館(元町33)が完成し27日、報道陣に公開された。1階の開港記念ホールに「世界大鳥観図」を敷き詰め、幕末の箱館を中心とした世界地図を配した。3月1日にリニューアルオープンする。

 世界大鳥観図は、1868年の『箱館真景』をモチーフに、開港当時の町並みや外国船、ペリーが来航した航路などを記している。実行寺、称名寺、浄玄寺などの寺院が並び、イギリスやロシアなど各国の領事館があった場所も分かる。

 2階の開港記念館は、船底をイメージした造り。開港するまでの歴史や文化をパネルで紹介している。現在の基坂の風景が、明治時代の風景に変わる「タイムスリップフォト」、航海気分が楽しめる「波乗りベンチ」などがある。

 3代目領事のリチャード・ユースデンを紹介する2階の領事執務室と家族居室は、従来は奥まで入れなかったが、机に座って写真撮影などができるようになった。

 1日午前9時からオープニングセレモニーを行い、同日は入場無料。2日からは入場料が一般300円、学生まで150円。開館時間は午前9時から午後5時まで。(高柳 謙) (新目七恵)


◎オンパク開催場所 湯の川に絞り“原点回帰”

 2009年はこだて湯の川オンパク実行委員会は27日、次回開催の「第5回はこだて湯の川オンパク(はこだて湯の川温泉泊覧会)」の考え方や開催時期を発表した。内容を充実させ期間を延ばした前回から方向転換し“原点回帰”を掲げて開催場所を湯の川地区に絞り、9日間という短期間に約20のプログラムを集約する。実行委の河内孝善事務局長は「湯の川温泉の強みである和食を中心とした食企画を充実させたい」と話す。

 オンパクは4年目を迎え、次回は5回目となる。開催期間は11月28日―12月6日に決定。3回目までの16日間、前回の23日間に比べ、大幅に短縮した。

 66のプログラムを開催した前回は、約45は直接同温泉に関係しない内容。河内事務局長は「『焦点がぼけてきた』などの意見があり、原点に帰って湯の川らしさに重点を置いた内容にしたい」と話す。

 前回までに開催された道南各地や青森に出かけるプログラムは、函館市体験観光案内所が運営するタイケン観光案内所(http://hakodate-taiken.com/)で紹介し、依頼があった場合に調整を受け付ける。

 このほか、湯の川温泉の宿泊客が温泉街を散策する「デイリーオンパク」(4月25―11月中旬)と、函館の四季の魅力に触れるトレッキングなどの「四季を楽しむオンパク」(年4回程度)は引き続き開催する。(小泉まや)


◎地域の防災力高めて…リーダー研修会

 本年度の函館市自主防災リーダー養成研修(市主催)が25、26の両日、市消防本部と亀田福祉センターで開かれた。各町会の防災担当者ら計100人が受講し、地震や津波発生のメカニズム、救急救命、防災への心得などを学んだ。

 防災に対する知識や技能を修得し、地域の防災力向上を目指す目的。亀田福祉センターでは60人が参加し、市総務部防災担当の武田忠夫参事が「大規模災害時は行政を含め関係機関だけでは対処できず、地域の皆さんの力を借りて消火や救助活動をして、被害を最小限にとどめなれければなりません」と述べ、協力を呼びかけた。

 函館海洋気象台観測予報課の雁原良範主任技術専門官が「地震・津波防災について」と題して講義。4つのプレート(地殻)に囲まれた日本近辺で発生する地震は世界全体の10%を占めることを紹介し、「周囲の状況に応じて、慌てずに身の安全を確保する。“自分だけは大丈夫”と思わないで」と呼びかけた。

 市消防本部と市総務部の担当者による救急救命講習、自主防災組織についての講義も行われ、参加者はメモを取るなど真剣に学んでいた。

 3月には旧4町村地域を対象に同研修を開く。(高柳 謙)