2009年2月3日(火)掲載

◎ギャラリー村岡で土佐和紙展

 世界で一番薄いと言われる紙「土佐典具帖紙(てんぐじょうし)」などを並べた「浜田幸雄の土佐典具帖紙と高知の手漉(てすき)和紙展」が、函館市元町2のギャラリー村岡で開かれている。2001年に人間国宝に指定された手漉和紙職人の浜田幸雄さんの作品をはじめ、国の伝統工芸品として指定されている高知県の土佐和紙を使ったはがき、封筒など約250点が展示されている。24日まで。

 同店を営む村岡武司さん(65)が「守り続けてきた日本の伝統技術のひとつ、土佐和紙を知ってほしい」と企画、高知県手すき和紙協同組合に依頼して実現した。

 会場には浜田さんの作品で、「カゲロウの羽」とも呼ばれ、文化財を包む際などに使用する厚さ0・03ミリの土佐典具帖紙や、ちぎり絵などに使用される顔料で染色した色彩豊かな和紙などがずらり。手漉和紙で作ったレターセットや名刺も並ぶ。

 村岡さんは「世界に誇る日本の紙すき文化の粋を感じてほしい」と来場を呼び掛けている。入場無料。水曜を除く午前10時―午後7時。(山田孝人)



◎丸井存続へ対策会議、官民一体できょう設置

 札幌地裁から民事再生手続きの開始決定を受けた道内最大手の百貨店、丸井今井(札幌市)について、函館市と函館商工会議所、地元商店街などは3日、官民一体で支援や存続運動を展開する対策会議を立ち上げる。(高柳 謙)

 対策会議は市、函館商工会議所(高野洋蔵会頭)、函館市商店街連盟(渡辺良三会長)、五稜郭商店街振興組合(小島正彦理事長)、協同組合五稜郭(久保一夫理事長)のトップらで組織し、西尾正範市長が議長に就任する予定。市役所で3日午前11時から初会合を開き、今後の存続運動や支援について協議する。

 会議は丸井今井の問題を受けて設置するが、協議事項は市や近隣地域の雇用・経済対策全般にわたる。必要に応じて議長が招集する。

 西尾市長はこれまで、丸井今井函館店(市内本町32)の支援について、店内に市の関係機関を入居させることを検討案として示している。市内には丸井今井以外に大型店や商店街があることから、行政が前面に出て丸井今井の支援や存続運動をすることには限界がある。このため、地域経済や雇用、税収問題など全体の中で、経済界や地元商店街、道などと一体になった運動を進めていく形を取る。


◎協同組合五稜郭が市と会議所へ丸井存続要望

 協同組合五稜郭(久保一夫理事長、約30社加盟)は2日、函館市役所と函館商工会議所を訪れ、丸井今井函館店の存続に関する要望書を提出した。官民を挙げた対策会議の設置と早急な運動、函館店内への公的機関の設置を求めている。

 久保理事長と阿相博志副理事長、前田克俊専務理事が市経済部を訪問。「グルメシティ五稜郭店の5月末の撤退に続き、丸井今井まで最悪のケースとなれば、本町・五稜郭地区だけでなく函館経済全体が沈下してしまう」と述べ、早急な対応を求めた。市の備前悟部長は「関係団体で対策会議を設置し、丸井本店への要請活動など官民でできることをしていきたい」と応えた。

 函館商工会議所では古川雅章専務理事が「商業担当の松本栄一副会頭から、市と連携し、スピードを持って対応するよう指示を受けた」と述べ、会議所としても存続へ全力を挙げることを伝えた。

 一連の問題を受け、協同組合五稜郭は存続と利用を呼びかける新聞広告を掲載したほか、早急に署名運動などを実施していく考え。(高柳 謙)


◎「りぼん」が小児がんと闘うイラクの子どもたちに向け新曲制作

 函館市在住の奥井直実さん(42)と高島啓之さん(39)の音楽ユニット「りぼん」が、小児がんと闘うイラクの子どもたちをテーマにした新曲「LovePeace&Chocolate(ラブピース・アンド・チョコレート)」を制作した。昨年12月から市内で行われているイラク医療支援のための「チョコ募金」をPRする曲で、啓発イベントとして15日午後3時から、市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で開かれるチャリティーライブで初披露する。(宮木佳奈美)

 「チョコ募金」は1口500円で、募金者にはアーモンドチョコレートがプレゼントされる。1口の募金額で400円がイラクの子どもの一日分の薬代に充てられる。長野県のNGO(非政府組織)JIM―NET(日本イラク医療支援ネットワーク)が全国で展開し、函館ではフリースペース「むげん空間 小春日和」を主宰する大野友莉さん(26)が呼び掛け、チョコ募金を啓発するチャリティーライブも主催する。

 新曲は「小春日和」で展示されていた1枚のポスターをきっかけに生まれた。ポスターは卵巣がんのため11歳で亡くなったイラクの少女ハニーンちゃんの写真。奥井さんは「この子の視線が刺さり、何か書かずにはいられなくなった」という。イラクでは、戦争で使われた劣化ウラン弾の放射能が原因とみられるがん、白血病の子どもが増加している。

 募金でもらったチョコレートを食べた分だけ、イラクの子どもたちの未来が開ける―。そんなメッセージを込めて奥井さんが作詞した。「チョコレートを食べた時、口に広がるアーモンドの香りは子どもたちの未来の香りだと思った。ポスターを見て、曲を聴いてもらいたい」と話す。

 作曲、歌を担当する高島さんも「ポスターを言葉にした詞だと思う。優しいメロディーにしたが力強さも表現し、思いを届けたい」と募金活動の広がりに期待する。

 歌詞に感動した大野さんは曲名をチャリティーライブのタイトルにした。「この曲はすべての人に贈る愛の歌。チョコ募金のテーマソングになれば」とし、録音してJIM―NETに贈るという。

 チャリティーライブの会場では「国際小児がんデー」(15日)にちなみ、啓発パネルやイラクの子どもたちの写真、絵画作品のポスターが展示され、チョコ募金も行われる。


◎ケアホーム認定ミス問題、サービス 当面継続へ

 ケアホーム(身体障害者の共同生活支援施設)の利用対象外でありながら、函館市の認定ミスで七飯町のケアホームに入所している四村真さん(31)に対し、同市が1月末でのサービス打ち切りを通告していた問題で、両者による話し合いがこのほど、函館市役所で行われた。この中で同市は打ち切り方針を一時撤回し、今後も話し合いを重ね、最善な対応策を探っていくことで両者が合意した。

 今回問題になったのは、障害者自立支援法で規定されたケアホームの利用対象者が、知的障害者と精神障害者とされている部分。重度の脳性まひで身体のみの障害を抱える四村さんは該当しないことになるが、同市はこの規定の解釈を間違えていたとしている。

 同市は「厳しい財政状況の中、市が独自に身体障害者へのケアホーム利用を認めることは難しい」と判断し昨年12月5日、今年1月末でケアホーム利用のサービスを打ち切ることを四村さんに通告。同時に、入居を続ける方法として、知的か精神障害があることを証明するか、新たに生活保護と訪問介護サービスを受けることを提示した。

 打ち切り期限を前にした1月30日の話し合いでは、同市があらためてミスを謝罪したうえで、四村さんの「今後の対応について考える時間をもらいたい」との申し入れを受け、当面は現在のサービスを継続することを約束した。

 四村さんは「自分の意見をしっかりと聞いてくれた市の対応には感謝している。現行の制度でケアホームを利用することは難しいことが分かったので、一緒に生活している仲間とも話し合って最善の方法を導きたい」と話している。(小川俊之)


◎知内でバスケットボール熱高まる

 【知内】野球やバレーボールを中心に、多くの町民がスポーツで交流している知内町で、バスケットボール人気が広がりつつある。1日には町スポーツセンターで町内外の社会人愛好者約40人が集う「第1回ファムファターズ杯バスケットボール大会」が開かれ、リーグ戦形式で熱戦が展開された。豪快なシュートやち密な連携パスのほか、転倒などアマチュアならではの“珍プレー”も。「もっと参加者を広く募り、今度は6月の開催を目指したい」と関係者は意気込んでいる。(田中陽介)

 「レベルの高い試合で切磋琢磨(せっさたくま)しながら技術を磨こう」と町内のバスケットボール愛好会「ファムファターズ」(田中裕明代表)が企画。昨年11月から大会プログラムの製作や会場確保、出場チームの募集に取り組んだ。

 大会委員長の介護士田中秀明さん(23)は「愛好会が発足した3年前は、町内でバスケを楽しむ雰囲気はほぼなかった。親が楽しむ様子を見て、子どもたちは自然と野球・バレーの少年団に入るのがこれまでの流れだった」と振り返る。

 転機は昨年11月に函館市民体育館で開催された日本バスケットボール公式戦。知内町ニラ生産組合(石本顕生組合長)が協賛企業となり、ニラ束をモチーフにした特製風船の応援道具を1000組配布し、来場者を喜ばせた。田中さんは「あのニラの応援が知内のバスケブームに火をつけた。部活などの経験者はもちろん、素人の町民が愛好会に参加して一緒に心地良い汗を流している」とし、「5人、10人とメンバーが増えつつある。古里のスポーツ文化として定着させていきたい」と張り切っている。

 町内の運動関連施設の利用料はすべて無料。野球場などを管理する町教委の赤田敏美さんは「町内外問わず、誰でも無料なのが知内の利点。多くの愛好者が集うことは地域経済にもプラスになる」としている。