2009年2月4日(水)掲載

◎高穂神社節分祭、水ごりで厄払い

 3日は「節分」。季節を分ける日で、函館市内の寺院や神社では1年の無病息災を祈る節分祭などが開かれ、厄払いの行事が行われた。上湯川町の高穂神社(澤口廣宮司)では、節分祭を開く前に澤口宮司や氏子代表ら5人が境内で水ごりを行った。境内にあるオンコの御神木の根本から出るわき水をかぶり、氏子らの健康や社会の平穏を祈った。

 同神社では長年、節分の日に水ごりをして厄払いをしている。この日朝の函館の気温は氷点下1度前後で、澤口宮司らの体は水しぶきが上がるたびに赤くなっていった。最後はクマササにつけた水を氏子らにかけてお払いした。

 澤口宮司は「世の中が厳しいだけに、今年の水は冷たく感じたが、早く明るい兆しが見えるように祈りながら水をかぶった」と話していた。(山崎純一)



◎丸井今井函館店存続などに向け対策会議発足

 道内最大手百貨店、丸井今井(札幌市)の民事再生手続きの開始決定を受け、函館市と経済界は3日、官民合同の対策会議を発足させた。(1)テナントや取引先企業の経営安定(2)従業員の雇用維持(3)函館店(本町32)の存続―を最重点課題とし、9日に札幌市で丸井今井本店と金融機関に存続に向けた要望をすることを決めた。(高柳 謙)

 市と函館商工会議所、函館市商店街連盟、五稜郭商店街振興組合、協同組合五稜郭、新都心五稜郭協議会の6団体トップらで発足。市役所で初会合を開き、西尾正範市長が議長に就任した。

 西尾市長はあいさつで「丸井今井は棒二森屋と並び、函館市を代表する百貨店。今回の事態は地域に計り知れない影響がある」と述べ、市と経済界が一体になった存続運動を呼び掛けた。

 今後の取り組みについて、函館商工会議所の松本栄一商業担当副会頭は「再建の鍵を握る取引銀行への要望も欠かせない。地域で何ができるかを考えなければならず、例えば市や企業の印刷物に丸井デパートを応援するメッセージを載せることなど検討できないか」と提案。協同組合五稜郭の久保一夫理事長もキャンペーン広告に賛成し、「1人1000円でも丸井で使ってもらうことが大事」と述べた。

 このほか、売掛金や売上金の回収ができていない取引業者やテナントの倒産防止、かつての棒二森屋存続運動のようなこまめな要望、テナントからも存続運動が起こるような仕掛けづくり―などが提案された。

 西尾市長は会議後、報道陣に対し「商店街の衰退や百貨店の撤退をもたらしたのは国の規制緩和政策であり、国や地方自治体も変わっていく必要がある」と述べた。


◎丸井さんの灯消さないで 商店街が存続求め署名運動

 丸井今井函館店(函館市本町32)の存続に向け、本町・五稜郭地区の商店主らでつくる五稜郭商店街振興組合(小島正彦理事長、加盟約120店)と、協同組合五稜郭(久保一夫理事長、加盟約30店)は3日、同店の存続を求める署名運動を始めた。小雪の舞う寒空の下、両組合の関係者約30人が「丸井さんの灯を消さないで」と市民に呼び掛けた。

 五稜郭商店街振興組合は役員らが午前と午後の計2時間半、そろいの法被姿で街頭に立ち、拡声器などで買い物客らに協力を求めた。協同組合五稜郭も関係者が午後1時半から、当初の予定時間を延長して約3時間、プラカードを手に支援、存続を訴えた。

 署名は合わせて約2500人分集められ、中には200人分を持参してきた女性や同店の従業員、首都圏の観光客や外国人留学生も。同店は「ありがたい気持ちでいっぱい。当事者である手前、一緒に活動できないジレンマが悔しい」と無念がった。

 署名に応じた市内美原2の女性(81)は「十字街にあったころから数十年来ひいきにしてきた。絶対になくしたくない」と存続を願い、市内千代台町の男性(77)は「丸井さんが終われば、函館も終わりだ」と嘆いていた。

 小島理事長は「高校生からお年寄りまで関心の高さは想像以上。市民の熱い思いを必ず行政や本店に届けたい」、久保理事長も「存続への思いは一つ。この機運を購買や消費運動につなげたい」と意気込む。今後は両組合の加盟店などに署名用紙を置き、両組合とも3万人分以上を目標に掲げている。(森健太郎)


◎鹿部町長選告示、現職、新人の一騎打ち

 【鹿部】任期満了に伴う鹿部町長選が3日、告示された。現職の川村茂氏と元町職員で新人の田名部弘勝氏(63)=届け出順、いずれも無所属=が立候補を届け出た。同町長選としては1989年以来20年ぶりの選挙戦で、現職と新人による一騎打ちとなった。町議選(定数10)には現職9人と新人3人の計12人が立候補を届け出た。投票は8日で即日開票される。(笠原郁実、小川俊之)

 この日は両候補とも出陣式を終えた後、事務所前で第一声を上げた。川村氏は「財政の安定を」、田名部氏は「町民の声を町政に」と訴え、選挙カーで町内くまなく回り支持を訴えた。

 投票は8日午前7時から午後8時まで町内5カ所で行われ、午後9時から町役場で開票される。2日現在の同町の選挙人名簿登録者数は3873人(男性1872人、女性2001人)。期日前投票は4―7日の午前8時半から午後8時まで町役場で行われる。


◎支庁再編、16日に町村会など4団体と知事会談 

 【札幌】道の支庁再編をめぐり、高橋はるみ知事と道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)など地方4団体トップとの直接会談が、16日に札幌市内で行われることが決まった。道町村会などは1月に再編条例の施行などを前提としない無条件での会談を提案しており、高橋知事が4団体側の申し入れを受け入れる形となった。

 会談には道町村会、道町村議会議長会、道市長会、道市議会議長会の4団体トップが出席する。桧山支庁など5支庁を支庁出張所(振興局)に格下げするとした道の再編計画に対し、根強い反対運動を続ける道町村会では“出張所”の文言削除を含む条例修正を迫る方針。修正に難色を示す高橋知事との激しい議論も予想される。

 条例施行の前提となる道議会議員の定数条例改正などの関連条例を、今月下旬に開会する定例道議会で審議するには、遅くとも1月下旬までに、道議選挙区を現行の支庁所管区域を基本とする公職選挙法を改正しなければならなかった。しかし、国会では法案提出のめどすら立っていない状態だ。

 法改正と条例の審議が困難となったことで、高橋知事が目指す4月の条例施行は事実上不可能な状態になっており、会談では条例の扱いをめぐり高橋知事がどのような方針を示すのかも注目される。(松浦 純)


◎「認知症サポーターの輪」 もっと

 認知症を正しく理解し、本人やその家族を見守る「認知症サポーター」を増やそうと、函館認知症の人を支える会(通称・赤とんぼの会)が道南の各種団体の依頼で出向き、知識や対応方法を広めている。両親ら6人の介護経験がある佐藤悠子会長(65)は、患者や家族が暮らしやすい地域づくりを目指し、これまで300人を養成した。3日に市内で開かれた市民団体「ゴミ土楽(どーらく)の会」主催の養成講座で、「人は誰もが老いる。認知症は自分の問題であると認識し、患者やその家族の心を分かろうすることから始めて」と呼び掛けた。(宮木佳奈美)

 厚生労働省が進める全国で100万人のサポーター養成を目指す運動の一環で、「全国キャラバン・メイト連絡協議会」(東京)に認定された講師役(キャラバン・メイト)が自治体に実施計画などを提出し、養成講座を開催。受講者にはサポーターの証しとなるオレンジリングを配布している。

 講座ではキャラバン・メイトが認知症の症状、それに伴う支障、患者への適切な対応、治療、予防などについて解説。赤とんぼの会には06年に認定を受けた佐藤会長ら5人のキャラバン・メイトが在籍する。

 佐藤会長は脳の細胞が壊れることで直接起こる記憶障害などの中核症状、本人の性格や環境などによるうつなどの周辺症状について説明。「認知症の人は何も分からなくなった人ではない。忘れる不安を感じ、自信を失っている」と自尊心を傷つけない対応の重要さを説いた。

 市内のキャラバン・メイトとサポーターの数(昨年12月10日現在)は1809人。同会では近年、学校や町会など地域から依頼を受けるようになった。

 佐藤会長は「子どもから大人まで社会的にもっと広げていきたい」とし、講座の依頼を受け付けている。問い合わせは佐藤会長宅TEL0138・64・7876(ファクス兼用)。


◎佐藤さんが調理技術コン全国大会へ

 函館短大付設調理師専門学校(下野茂校長、学生181人)調理師科の佐藤亜美さん(19)が、17日に東京で開かれる「調理技術コンクール全国大会」(社団法人全国調理師養成施設協会主催)に道南で唯一、出場することが決まった。西洋料理部門で、地区大会を勝ち抜いた全国の調理師養成学校生ら34人と技術を競い合う。佐藤さんは「できる限りのことをやりたい」と意気込んでいる。

 全国大会は今年卒業見込みの調理師を目指す学生を対象に、昨年まで通称「グルメピック」の名で開催され、今回で24回目。今年からは第1回全調協食育フェスタの一環として行い、西洋料理、日本料理、中国料理の3部門に計94人が参加する。

 佐藤さんは函館出身。函館大妻高卒業後、興味のあった料理を学ぶ道に進んだ。コンクールには指導する吉田徹教頭から声を掛けられ、「やってみたい」と快諾。昨年11月、札幌で開かれた予選会で西洋部門の参加者8人中の上位3人に残り、全国への切符を手に入れた。「手が震えるほど緊張して、全国に選ばれるとは思わなかった」と振り返る。

 決勝大会では、エビを主材料にした冷製前菜と牛肉の温製主菜の創作料理2品を3時間以内に作る。佐藤さんは調和の取れた味と明るい色の組み合わせが特徴の「エビとアボガドのサラダ 赤ピーマン風味」と、「牛肉のソテーデュクセル詰め赤ワインソース」に挑戦する。

 料理のテーマは「夢に向かって」。いつか地元で自分の店を持つのが夢という佐藤さん。「不安もあるけれど、ここまできたのでやるだけやりたい」とし、吉田教頭も「他校生の真剣な様子を見るのも良い経験。自分の夢への第一歩として頑張ってほしい」とエールを送っている。(新目七恵)