2009年2月5日(木)掲載

◎立春 陽気に誘われウソひょっこり

 4日は二十四節気の一つ「立春」。春の始まりとされる日で、函館の最高気温は3月上旬並みの2・5度まで上がった。1月から暖冬ぎみの日が続いていたものの、晴れ間が広がる穏やかな天気は、暦を感じさせていた。

 函館山のふもとでは、陽気に誘われウソが飛び交い、ソメイヨシノの花芽を食べる姿が見られた。ウソはスズメ目アトリ科の小鳥。頭部は黒く、雄はのどの回りに赤い毛がある。函館山ふれあいセンターによると、今年は1月20日ごろから少しずつ飛来しているという。(山崎純一)



◎経済対策で10億円補正…函館市

 函館市の西尾正範市長は4日、緊急経済・雇用対策として約10億円の本年度補正予算を議会に提出すると発表した。新年度予算で予定していた公共施設の維持補修など約7億円分の小規模工事を前倒し発注し、不況であえぐ地元零細業者の経営を支える。20日に臨時市議会を招集し、補正予算の議決を得る考え。

 世界同時不況を受け、1月からの緊急雇用対策に続き、西尾市長が大型補正の実施を明言していた。一般会計と港湾事業、水道事業、下水道事業の各会計予算で補正する。

 国の第二次補正予算で約9億円の地域活性化・生活対策臨時交付金が見込まれ、これに予備費や不用額を加えて総額11億円規模の経済対策となる。基金(貯金)を取り崩すことはしない。

 公共工事の前倒し発注は117件、約7億円を予定。建築や土木、板金、塗装、建具など全般にわたり、西尾市長は「新年度予算で公共工事を発注すれば、事務作業を経て工事は5月の連休明けからになる。前倒し発注することで3月中旬―4月に工事が実施でき、企業は運転資金などを確保できる」と語る。発注するのは小学校や児童館の改修、体育館の壁工事、屋根工事、水道管工事、道路補修など。割り返せば1件平均600万円だが、個別には10万―1000万円単位と幅があるいう。

 このほか、誘致企業や整備投資をした企業に2009年度から3年間で交付する予定の補助金を本年度に一括して支払うこととし、約2億円を計上。別に約2億円を地域振興基金に積み立て、新年度からの臨時職員の雇用、漁業者への機械購入費貸付金などの原資にする。

 10日に発表する新年度予算でも、約6億円の経済・雇用対策を盛り込む予定。(高柳 謙)


◎候補者に聞く 鹿部町長選【届け出順】…漁港整備で活性化図る

 ●川村 茂氏(58)

 ――出馬の動機は。

 2005年2月の就任以来、やれることとやれないことを考えながら進めた。だが、やり残したこと、計画を立ててやっていかなければならないことなどがあり、再度の出馬を決めた。三位一体の改革による交付税の減額、近隣町との市町村合併協議の破たんなどを経て、町単独でやっていくためには何をするか、何をやらなければならないか―。まずは財政安定を目指し、着任後から健全化に取り組んできた。結果、成果も目に見え、見通しも立ってきた。

 ――最も訴えたい政策は。

 さらなる漁業の活性化を目指し、財政は厳しくとも2013年完成予定の衛生管理型の漁港整備については引き続き力を入れたい。コンブや海藻の活用法についても見直し、収入の安定源につなげたい。

 また、商工観光では、間欠泉公園の入場者数は約9万人をピークに減少を続け、現在約5万人なため、新年度には役場や漁協、商工会などと観光客を引きつけるような観光を見直すとともに、新幹線を基盤とした呼び込みを行いたい。

 福祉については本年度から中学生までの医療費無料や町立幼稚園の延長保育など子育て支援を行っているが、さらなる見直しを図るとともに少子高齢化対策についても健康維持とともに取り組みたい。

 ――有権者の反応は。

 前回は無投票当選だったため、戸惑いはあるが、1期だけでは「自分のカラー」を出せない。ミニ集会などで町の状況を説明している。

 ――町政の目指すものは。

 鹿部町は道内でも一番小さな町。だが、小さい町にも光が見える町政を更に進めたい。

 かわむら・しげる 1950年同町生まれ。1968年、大野農業高卒業後、鹿部村役場入り。町役場議会事務局長、助役を経て、2005年の町長選に出馬し、無投票で初当選。(聞き手・笠原郁実)


◎谷地頭温泉売却へ…水道局・温泉事業の経営健全化対策案

 函館市水道局(中林重雄局長)は4日、温泉事業の経営健全化対策案を明らかにした。温泉事業として取り組む3事業のうち、温泉供給事業は供給量を現行より3割縮減するとともに料金を値上げ。公衆浴場事業は谷地頭温泉を売却し民営化、熱帯植物園事業は同園を社会教育施設に移管するなどして効率化を図り、2018年度までに約15億6700万円の効果を見込む。

 同日に開かれた、市議会経済建設常任委員会(小山直子委員長)で報告。

 対策案によると、温泉供給事業は09―12年度に計2億2500万円を投じて、湯川地区に温泉をくみ上げるポンプを整備。職員を段階的に削減するとともに、業務の委託化を進める。温泉水位の低下が懸念されていることから資源保護のため、14年度までに年間5%の温泉供給量縮減に着手し、10年度から5年間の経過措置を設けて供給料金を改定する。14年度の料金は現行から70%の増加となる。

 谷地頭温泉は12年度に泉源や土地を含む施設を民間に売却。売却予定額は8億円と試算している。

 熱帯植物園は本年度の決算見込みで10億9300万円の累積赤字が見込まれ、今後も赤字額が膨らむ公算が高く、水道局は公営企業としての経営が困難と判断。しかし、年間約10万人の利用があるため、社会教育施設として一般会計に移管したい考えだ。(浜田孝輔)


◎丸井今井存続 市に要望…商店街と近隣3町会

 五稜郭商店街振興組合(小島正彦理事長、約120店加盟)と、本町、五稜郭町、梁川町の3町会の代表が4日、函館市役所を訪れ、丸井今井函館店(本町32)の存続に関する申し入れ書や要望書を提出した。地元商店街での消費を促す条例や地域商品券の策定などを求めた。

 組合側は小島理事長と大場宅二副理事長ら6人が訪問し「函館店が閉店すれば、市全体の商業界に動揺が広がり、地域商店街の疲弊や景気後退に拍車がかかる」と述べ、市の備前悟経済部長は「対策会議を踏まえ、やれるべきことをやっていきたい」と応じた。

 具体的には▽近郊の商店街で消費を促す条例の制定▽定額給付金の半額を割り当てるような特別商品券の発行―などを要望。また、同組合は同日、検討委員会を立ち上げ、5日午前10時から、函館店周辺で2回目の街頭署名活動を行うことも決めた。

 函館店の近隣3町会からも大川鐵男本町会長、沢田穰梁川町会副会長の2人が訪れ、「地域住民は大変な思いをしている。行政の力で何とか存続できるよう支援を」と訴え、備前部長は「なくなれば地域の疲弊につながる。対策を講じたい」と述べた。(森健太郎)