2009年2月7日(土)掲載

◎光のアートにうっとり ラビスタでデジタル掛け軸開始

 デジタル画像を壁面などにランダムに映し出す「デジタル掛け軸(D―K)」が6日、函館市内のホテル、ラビスタ函館ベイ(豊川町12、高橋浩司総支配人)で始まり、函館・ベイエリアの夜に極彩色の異空間が広がった。

 函館開港150年を記念して、地域活性化に貢献しようと同ホテルが企画。D―Kは石川県小松市在住のデジタルアーティスト長谷川章さんが考案した空間芸術で、国内外の建築物やイベント会場などで披露されている。

 この日は午後5時半から、計6台のプロジェクターで100万枚の幾何学模様が描かれた画像を約1分ごとに、JR函館駅側のホテルの壁面に投影。刻々と変化する光のアートの出現に、周辺を訪れた観光客らから驚きの声も漏れていた。

 同ホテルは「世界的なアートが函館で楽しめる貴重な機会。バレンタインシーズンなので若いカップルなどに楽しんでもらえれば」と話している。16日までの期間中、日没後から午後10時まで点灯される。問い合わせは同ホテル営業企画担当TEL0138・23・6111。(森健太郎)



◎「丸井さんなくさいないで」…売り上げ好調 市民買い支え署名も集まる

 道内最大手の老舗百貨店、丸井今井(札幌)が民事再生法の適用を申請後、存廃で揺れる函館店(函館市本町32)の売り上げが好調だ。毎年人気を博す催事も重なり、前年同期比で1割程度の伸びをみせた。未曾有の消費不況で大型店の閉鎖や低迷が続く中、函館市民の「丸井さんをなくしたくない」との強い思いが、買い支えや署名運動の盛り上がりにつながっている。

 「朝から1時間以上は並んだ。それでも食べたいものは食べたいから」。全国各地の食の名産品を集めた「第103回全国うまいもの大会」が始まった1月28日昼。函館店7階大催事場は人気の惣菜やデザートを求める買い物客で終日ごった返し、両手に買い物袋を下げた市内の主婦はそう話した。

 翌29日午後、丸井今井は札幌地裁から再生手続き開始の決定を受けた。同社によると、この日から2月5日までの函館店の売上高は前年同期比65%(1億3000万円)増の3億3000万円。催事だけで1億円余りを売り上げ、それに伴う増収分を差し引いた売上高も2億2―3000万円と同10%前後増えた。

 前年と催事の時期、期間が異なるため単純比較はできないが、同社秘書広報室は「報道で心配になったというお客様に多く購入いただいた」と打ち明ける。全国的に衣料品販売が苦戦する中、同期間は紳士・子ども服、呉服なども前年比プラスに推移し、催事目当ての客がほかのフロアを回る“シャワー効果”も表れたという。

 地元商店街の動きも活発化してきた。本町・五稜郭地区の商店主らでつくる協同組合五稜郭(久保一夫理事長、約30店加盟)と五稜郭商店街振興組合(小島正彦理事長、約120店加盟)は6日までにそれぞれ2回、街頭で署名運動を行い、計4700人分の存続への“思い”を集めた。

 今年に入り、函館店に対面するグルメシティ五稜郭店(本町24)の撤退も表面化し、市街地の空洞化が懸念される本町地区。久保理事長は「署名をやってみて、(丸井今井函館店が)どれほど市民にとって『特別な存在』だったかを思い知らされた。今できることはその思いを購買に結び付けるしかない」と力を込める。(森健太郎)


◎日ASEAN会合 6月に函館開催決定

 函館市が開催を誘致していた「第7回日ASEAN次官級交通政策会合」が、6月に函館で開かれることが決まった。日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国の交通担当省高官による会合で、函館での政府間レベルの国際会議は初めて。西尾正範市長は「函館開港150周年の節目を迎え、こうした会合が函館で開催されることは大変意義深い」と話している。

 6日に道と市が発表した。国土交通省の主催で、日本とASEAN加盟10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)で交通に関する課題を整理し、交通政策や協力の枠組みなどについて協議する。

 国土交通省や市によると、日程や議題など詳細は調整中だが、函館市内のホテルを会場に6月中旬から下旬に4―5日間にわたり開かれる。約80人が参加し、政策会合のほか、視察が行われる。視察場所も今後の協議となるが、交通に関連する場として北海道新幹線の建設現場や函館空港などが考えられるという。

 これまでの会合では貨物の取り扱いや自動車保有台数など交通に関係する情報や統計の集約、公共交通機関の利用促進に向けた各国の取り組み、日本とASEANの交通連携や技術支援―などが話し合われている。

 西尾市長は「市の魅力をアジア各国に向けてアピールできる貴重な機会で、開催地として市を挙げて協力したい」との談話を発表。道国際課によると、高橋はるみ知事も「官民一体となって国際会議の開催誘致に取り組んでおり、決定を大変うれしく思う。地元の函館市とともに、会議の成功に向けて努力したい」と歓迎している。(高柳 謙)


◎「近代化産業遺産群」函館の5遺産認定

 近代産業化の過程を物語る存在として経済産業省がまとめ、6日に発表した「近代化産業遺産群」に、函館市内の5件が認定された。(1)旧函館恵山小学校で展示する国産工作機械(2)青函連絡船記念館摩周丸の展示物(3)船入潤防波堤(4)笹流ダムと元町配水池(5)金森赤レンガ倉庫で、産業史や地域史上での役割、価値が認められた。

 幕末から昭和初期にかけての産業近代化の過程が、今日の「モノづくり」の基礎として意義深いとの考えから、複数の遺産を関連付けて、産業史や地域史をもとに構成した33のストーリーを軸に認定した。昨年度に「近代化産業遺産群」がまとめられ、今回はその続編となる。

 遺産は公募し、専門家らで構成する産業遺産活用委員会が会議や現地視察を行って決定した。道南では函館の5件のみとなった。

 国産工作機械は旋盤など7つの金属などを加工する機械で、工作機械・精密機器の歩みを示す遺産として認められた。摩周丸の展示物は青森市の八甲田丸とともに鉄道連絡船の歩み、船入潤防波堤は海運業隆盛の基礎となった港湾土木技術を物語る。ダムと配水池は近代水道の歩み、倉庫群は赤レンガ製造業発展を知る建造物とされた。

 国産工作機械を申請した函館産業遺産研究会の富岡由夫会長は「機械を収集した苦労が報われた思い。函館はこのほかにも函館山要塞など近代遺産の宝庫で、これらを活用して地域活性化につなげてほしい」と話している。(小泉まや)


◎賛否両論 ケータイ小説…知内図書館で特別展

 ケータイ小説は話し言葉やメールに近い文章で、絵文字やせりふが多いのが特徴。活字離れが指摘される中、ケータイ小説は人気の的になっている。  展示は町内のPTA研修会に合わせて昨年11月20日から開始。12月末までの予定だったが、「子どもたちを取り巻く現状を、もっと多くの住民に把握してもらい、問題があるとすれば相互に解決を目指さなければならない」と田中教育長が呼び掛け、2月14日までの延期を決めた。  1月下旬から町内各地で開催された行政報告会でもこの特別展の様子を紹介。田中教育長は「地域の大人が積極的に課題に取り組む姿勢を示すためにも、ぜひ一度足を運んでほしい」とし、「携帯電話やインターネットによる事件や事故が多発している。通信機器を駆使するのが悪いのではなく、その使い方に問題があるはず。各家庭でこの問題を話し合うきっかけに」と呼び掛けた。  渡島西部4町の図書館では、ケータイ小説関連書籍を扱うのは知内だけ。携帯電話を所有する児童がサイトの新刊広告を見て、リクエストカードにその図書の購入を求めるケースが多いという。  受け付けを担当する町教委の小林亮主事(34)は「『これはだめだ』と初めから拒否感を抱くのは良くない。マイナスの要素があるとすればそれを前向きにとらえることが重要」とし、「リクエスト図書は必ず職員が内容を何度も確認している。教育上好ましくないと判断した場合は保護者らに意見を求めるなどし、トラブルを未然に防いでいる」としている。  函館市中央図書館(函館市五稜郭町26)でも、ケータイ小説の関連図書があり、映画化となった作品を中心に頻繁な貸し出しがあるという。(田中陽介)