2009年3月13日(金)掲載

◎青函両岸への波の影響調査…「ナッチャン」試験運行

 東日本フェリー(函館市港町3)が昨年10月末で運休した高速船の運航再開に向け、グループ会社の道南自動車フェリー(同)は12日、函館―青森間で高速船「ナッチャン」の試験運航を行い、沿岸への波の影響を調べた。

 青森港に係留中の高速船「ナッチャンRera(レラ)」が同日午前11時15分に函館港に向けて出航。片道約2時間45分かけて航行時に発生する引き波の規模を調査した。函館側では北斗市内の七重浜、東浜両沿岸で漁船2隻が出て操業への影響などを確認。青森側も沖合2個所で行った。

 道南自動車フェリーは今回の試験運航について「沿岸漁業への影響を最小限に抑えるため」とし、運休前より低速での運航も検討している。今後は調査結果を基に青函双方の漁業団体などと協議し、早ければ4月下旬から秋までの期間限定の運航を目指している。

 函館のフェリーターミナルに近い上磯郡漁業協同組合によると、北斗周辺ではホッキ貝やウニ、アワビなど沿岸漁業も多く、高速船の引き波の影響を受けやすいという。ある漁業関係者は「その日の天候にもよるが、高速船が運航すれば岸に10メートル前後の波が押し寄せることもある。操業時間と運航時間も重なったため、波で浸水して丘まで流された船もあった」と話した。(森健太郎)



◎カー用品〝ETC特需〟…購入助成制度スタート

 自動料金収受システム(ETC)の搭載車を対象に休日の高速道路料金が28日から引き下げられるのを前に、函館市内のカー用品店が“ETC特需”に沸いている。購入費用を助成する制度が12日から始まり、各店には問い合わせや予約、来店客が殺到している。

 ETC車載器の購入費用は取り付け料を含め1万3000円―2万円程度。助成を行う高速道路交流推進財団が指定する店で購入すれば、乗用車は5250円、二輪車は1万5750円割引になる。支払期間2年以上の分割払いで買うことなどが条件。31日まで。

 スーパーオートバックス函館店(昭和3)は2月中旬から店内に特設コーナーを開設。これまでに予約は数百件に上り「助成制度が報道されて以降、販売台数は前年比10倍ぐらい伸びている」と五十嵐久泰店長。売れ筋は1万円強の「アンテナ分離型」で、助成を利用した独自の支払いプランも用意している。

 イエローハット函館新道店(桔梗町)では1万5000円前後の価格帯を約10種類そろえ、初日だけで50台近くが売れた。取り付け作業は2―3時間待ちの状態で、既に売り切れの商品も。来店した市内の主婦(55)は「年2回帯広に行くのですぐに元が取れそう。身近に高速道路がなかったのでETCは必要ないと思っていたが、この機会に買いたい」と熱心に品定めしていた。

 各店とも商戦ピークを今週末とにらんでおり、イエローハット函館新道店の川崎明哲副店長は「品薄状態が続いているため早めの来店を」と呼び掛けている。(森健太郎、山田孝人)



◎函館山の樹木一望…ボランティアガイド8人歩いて調べた「分布図」

 函館市青柳町6の函館山ふれあいセンターでは3月末まで、函館山ボランティアガイドの中里知子さんを中心とした8人のメンバーが、実際に旧登山道を歩いて調べた樹木約59種類を記入した分布図を展示している。

 分布図は入口からつつじ山駐車場までの旧登山道をA3の紙14枚に描き、どの辺りにどのような樹木があるかを記した。わかりやすく展示するために試行錯誤を重ねた結果、14枚をつなげて同センターの床に張り付けた。縦5メートル、横2.5メートルの大作で、分布図の側にはアオダモやイタヤカエデなどの葉を並べた。

 同センター自然観察指導員の時岡浩和さん(48)が呼び掛け、メンバーが昨年5月から半年間にわたって調べ、一つ一つ樹木名を地図に記入して作成。下山した登山者が「この樹木は確かにあった」などと、分布図を見ながら確認するなど好評を得ているという。時岡さんは「歩き慣れた旧登山道だが、分布図をよく見ると樹木の種類が豊富であることがよくわかると思う。ぜひ見てほしい」と話していた。

 4月以降はファイルにまとめて、自由に閲覧できる形をとる予定。3月の開館時間は平日の午前8時45分―午後5時30分。問い合わせは同センターTEL0138・22・6799。(山田孝人)



◎産婦人科外来 週5日に…道立江差病院 来月から

 【江差】2007年1月に産婦人科の出産取り扱いを休止した道立江差病院(江差町伏木戸町484)は4月から、週1回に縮小してきた平日の外来診療を再開する方針を江差町に伝えた。しかし、出産取り扱いは再開のめどは立っておらず、町は「出産可能な産婦人科実現に一層努力する」としている。

 4月からは、札幌医大から週単位で産婦人科医の派遣を受けることで、平日の外来診療を再開するという。しかし、江差町をはじめ檜山南部5町が、道や札幌医大などに繰り返し要請してきた、常勤産婦人科医による出産取り扱いの再開は未定のままという。

 濱谷一治町長は、11日開会の第1回定例町議会で「江差病院での出産再開は、道の中でも優先順位が低い扱いにある。平日診療の再開は大きな前進だ。次のステップに向けた足がかりになる」と、出産取り扱いの再開に向けた期待感を表明。産婦人科の利用率向上に向けた対策を南部5町で協議する方針を示した。(松浦 純)



◎企画・ステップ!新天地へ羽ばたく高校生】(2)
景井千紗都さん(18) 料理で笑顔増やしたい

 4月から東京都内でステーキレストラン5店舗を展開する「スエヒロ」に調理師として就職する。「早く働きたい気持ちでいっぱい」と、やる気に満ちあふれた目で力強く語る。小学生の時から料理を作るのが好きで、函館清尚学院高校の調理科に進学。在学中に始めた飲食店のアルバイトを通じて、進もうと決めた料理の道だ。

 函館市出身。父と母、姉2人、弟、妹の7人家族の中で育つ。両親は共働きで、母が仕事の時には弟や妹の食事を作っていた。「上京して家を空けることが心配。母もわたしを頼っている部分があるので、ちゃんとやっていけるかどうか」と、話す家族思いだ。

 就職を選んだのは高校2年の時、アルバイト先のハンバーグレストランで調理を担当したことがきっかけ。「現場で経験を積むうちに、調理を仕事にして人に喜んでもらいたい」と、考えるようになった。程なく、学校での2者面談で担任の先生に打ち明けると「あなたなら大丈夫」と背中を押してくれ、家族も賛成してくれた。

 東京では会社の寮に入る予定だが、初めての一人暮らしとあって不安も募る。「函館から遠く離れた東京の街、職場になじめるのか」などと、4月が近づくにつれその気持ちも大きくなっているが、仲の良い友人が都内に進学するとあって「東京でも会えるから心強い」と笑顔を見せる。

 就職先では、元気なあいさつと身だしなみを心がけ、「わからない事はどんどん先輩に聞いて、早く仕事を覚えていく」と、アルバイト先で学んだ社会人としての姿勢を実践していくつもりだ。当面の目標は「少しずつでも実家に仕送りすること」。おいしい料理で多くの人を喜ばせる調理師の道を、遠く離れた東京で歩み始める。(山田孝人)