2009年3月14日(土)掲載

◎函館洋蘭倶楽部「春の洋蘭展示会」

 道南の洋ラン愛好者で作る「函館洋蘭倶楽部」(境昭三会長、会員45人)の「春の洋蘭展示会」が13日、函館市美原1の亀田福祉センターで始まった。会員27人が丹精込めて育てたデンドロビュームやコチョウランのほか、レパンテスやハエマリエといった珍しい種類など約160点が並ぶ。15日まで。

 同倶楽部は1968年創立、道内で活動するランの愛好団体では最古。春の展示会は41回目で、大ぶりで鮮やかなカトレアのほか、袋状の花びらを持ったり、細い茎の先端に1つの葉をつける特徴を持つなどの種類が並ぶ。同会の秋元稔事務局長は「ランは野生種でも3万種あるが、その中でも珍しいものも並んでいる」と紹介する。

 15日は午前10時45分と午後2時半から、札幌の「えるむ花園」の川面豊樹さんが栽培管理に関する講演会を行う。秋元さんは「家で育て方が分からないランがある人は会場に持ってきて育て方のアドバイスを受けてみてください」と話している。入場無料。時間は午前9時から午後5時(15日は同4時半)まで。(山崎純一)



◎金谷さん漢検1級に合格

 函館市内で小、中学生対象の学習塾を営む金谷暢彦さん(51)がこのほど、日本漢字能力検定(漢検)1級に合格した。5年前から同級に挑戦し、13回目で念願の合格証書を手にした。金谷さんによると、今回函館会場で1級を受験したのは1人のみで、「函館では珍しいのでは」と話している。

 漢検は2007年度には約270万人が受験した。試験は10級から1級の12段階で、年に3回実施する。最難関の1級は、本年度の第2回試験では全国で1372人が受験し、合格者は188人、合格率は13・7%だった。出題範囲は6000字に上り、合格には200点満点の内80%以上の得点が必要とされる。

 函館出身の金谷さんは、道南の高校などで数学教師として勤務した後、1986年に同市赤川で学習塾を開いた。漢検挑戦は塾での授業中に誤字を生徒に指摘されたことがきっかけだった。試験の2カ月前から仕事が終わった深夜に2時間ほど勉強して挑戦を続けるも、得点は毎回140点前後で伸び悩む。金谷さんは「とにかく暗記する量が多く、仕事と両立させながら勉強を続けることが難しかった」と当時を振り返る。

 1級挑戦13回目の今回、勉強方法を書き取り中心に変えたことが功を奏し、見事165点を獲得。2月25日に合格が発表され、今月6日に証書が届いた。「周囲も喜んでくれ、今は達成感でいっぱい。生徒にもいい刺激になっていると思う」(金谷さん)。「漢検を受けてみようかな」と話す生徒もいるという。

 金谷さんは「漢字を勉強する過程で、人生教訓などを知ることができた。覚えた知識を活用して、小説などを書いてみたい」と話していた。漢検を主催する財団法人日本漢字能力検定協会(京都)は「1級は過去の合格者がもう1度受験して合格するケースも多い。仕事を続けながら初の合格を果たした結果は評価されるべき」としている。(山田孝人)



◎高橋知事、14支庁存続へ修正

 【札幌】高橋はるみ知事は13日、桧山など5支庁を「支庁出張所(振興局)」に格下げする支庁再編条例を修正し、再編後の9総合振興局と5振興局を同列の「支庁」に位置付けることを決め、条例修正案の骨子を道議会に提示した。4月1日の施行を目指し、週明けに修正条例案を道議会に提案する。しかし、知事与党の自民党・道民会議では意見集約が難航。野党会派でも早期の議会提案に慎重論が根強い。

 江差町などは、修正後の支庁体制の在り方や振興局の組織機能の具体案が示されておらず、関係自治体との協議を欠いたまま修正を強行することに猛反発しており、議会提案の時期はなお流動的だ。

 条例施行前に内容を修正することは道政史上異例の事態となる。修正案の骨子は(1)支庁出張所を規定した条文を削除し、総合振興局とともに地方自治法上の支庁とする(2)広域事務は総合振興局が振興局地域の事務を所管できる規定を設ける(3)広域事務の内容は地方4団体の意見を聞きながら取りまとめる―などの内容。本支庁での職員削減の加速、将来的な人口減少などを勘案した、再度の支庁体制見直しにも言及している。定例道議会での冒頭提案を見送った地域振興条例案は、振興局地域への財政支援策を定めた項目を削除。全道的な地域振興の指針に位置付けを改め、再編条例とともに4月1日の施行を目指す方針。

 道議会では審議日程を変更し、16日には自民・民主両会派が高橋知事の認識をただす。しかし、自民党では修正をめぐり賛否両論が噴出して調整が難航。野党会派でも「振興局地域の理解は得たのか。協議には十分な時間が必要だ」「会期末を控えた時期の提案は余りにも唐突」(議会関係者)として、慎重な対応を求める声が根強く、週明けの道議会は条例修正をめぐり波乱含みの展開も予想される。(松浦 純)



◎管内中学校などで卒業式

 渡島・桧山管内の公立中学校63校と函館大谷短期大学で13日、卒業式が行われた。保護者や教職員に見送られ、卒業生たちは数々の思い出が詰まった学びやに別れを告げた。(新目七恵、小川俊之)

 ○…函館市弥生町の函館西中学校(信夫恵美子校長、生徒102人)では午前10時から開式し、制服に身を包んだ3年生32人が1人ずつ名前を呼ばれると壇上で大事そうに卒業証書を受け取った。

 信夫校長は「途方に暮れた時、先生や見守るお母さんお父さんがいることを忘れないで。すてきな風と共に幸多い人生を歩んで」と語り掛けた。2年生の土屋愛実さんの送辞に対し、3年生代表の橋本航平君(15)は「どんなことがあっても逃げずに立ち向かい、自分に責任を持って生きていくことを誓います」と答辞を述べた。閉式後の全校記念合唱では、涙を拭きながら歌う3年生の姿もあった。

 本年度の卒業生は渡島・桧山管内で約4200人。檜山管内では1校が15日に卒業式を行う予定。

 ○…函館大谷短大(福島憲成学長)の卒業式と修了式は函館国際ホテルで開かれた。保護者や教職員が見守る中、振り袖やドレス、スーツなどに身を包んだ卒業生らは緊張した表情で式に臨んだ。

 卒業生は2学科86人、修了生は1専攻科10人。福島学長が一人ひとりに「卒業おめでとう」と声をかけながら学位記と修了証書を手渡した。

 福島学長は式辞で「社会へ踏み出すことに不安も多いと思うが、一歩一歩確実に新しい時代を築き上げてほしい」あいさつ。同短大後援会の村上幸輝会長が「100年に一度の世界的不況といわれる厳しい時代だが、皆さんの奮闘と努力で変革をもたらしてほしい」とエールを送った。

 卒業生代表の戸根るり子さん(こども学科)は答辞で「学生生活で学んだことを生かし、社会に貢献できる人間になることが指導してくれた先生方や育ててくれた両親への恩返しになる。力いっぱい努力していきたい」と誓った。



◎五稜郭病院、がん診療拠点病院に

 函館五稜郭病院(函館市五稜郭町38、高田竹人院長)が今月1日、厚生労働省から地域がん診療連携拠点病院に指定された。指定期間は4月1日から4年間で、渡島・桧山管内では市立函館病院(港町1)に次ぐ2カ所目となる。高田院長(64)は「函病と相互に協力しあうことで道南圏に質の高い医療を提供できる。患者の選択肢が増え、地域医療の向上にもつながる」と話している。

 地域がん診療連携拠点病院は、がんの治療技術の地域格差を是正し、全国どこでも質の高いがん医療を提供できるよう2002年度に制度化。知事の推薦などをもとに同省が指定し、4年ごとの更新義務がある。

 指定には、地域の医療機関との連携体制の構築や専門的な知識のある医師の配置、放射線治療機器の設置、緩和ケアの提供、相談支援センターの開設などの要件が必要。

 五稜郭病院は拠点病院が制度化される前からがん医療の体制強化を図り、地域連携クリティカルパス(診療計画表)を導入するなど指定に必要な診療体制や治療実績を築いていた。

 06年、がん対策基本法が制定され、国や道もがん医療の整備に力を入れ始めた。同病院も昨年6月、院内にがん相談支援室を開設。治療にかかわる認定看護師の育成、保健師や薬剤師など専門の職員を配備し、昨年8月、道に申請。このほど開かれた同省の「がん診療連携拠点病院の指定に関する検討会」の会議で正式に決まった。

 道南圏で拠点病院が2カ所となり、高田院長は「地域住民が安心してがん診療を受けられる体制が整ってきた」と語る。

 今後、拠点病院の使命として他病院、診療所への指導、研修や住民への啓発など地域に向けた取り組みを積極的に打ち出す。院内でも緩和ケアチームや医師、薬剤師などが連携した診療を進め、認定看護師、専門医の育成も推進していく。

 道内のがん拠点病院は今回の指定で10病院から20病院に増加。札幌市にある北海道がんセンターが「都道府県がん診療連携拠点病院」に指定され、23日には道内の全拠点病院でつくる連絡協議会が発足される。(鈴木 潤)


◎【企画・ステップ!新天地へ羽ばたく高校生】(3)
 植原一騎さん(18) 機械操作が昔からの夢

 4月から、神奈川県川崎市の製鉄下請け会社に就職する。機械操作が好きで、夢だったという機械荷役オペレーターとしての仕事がまもなく始まる。「早く作業着を着て汗を流したい」と目を輝かせる。

 函館市生まれ。小さいころ、工場や建築現場などで見かけるフォークリフト、ダンプカーなどの作業に興味を持ち、「あの大きな乗り物を操縦する。たったそれだけのことがとても魅力的に感じた」と振り返る。

 将来を真剣に考えた昨年春、両親の「好きなことをやりなさい」との言葉に、フォークリフトに乗って働く機械荷役オペレーターを意識し始めた。夏には実際に川崎市の志望企業を訪問。社員が得意先へ発送する鉄製品の管理に気を配り、フォークリフトや天井大型クレーンなど機械作業に携わっている現場に感銘を受けた。「『お客さんのために』という職場の熱気も肌で感じることができた」と就職を決意した。

 情報処理・簿記検定など、目指した資格を函館商業高校で取得。「誰でも、どんな職業でもスタートは同じだと思う。謙虚に一から頑張るだけ」と意気込む。中学、高校の6年間はサッカー部の活動に明け暮れた。厳しい練習の毎日だったが、先輩や先生への礼儀や仲間との協調性を学ぶことができた。「新しい環境でも生きるはず」とスポーツで得た“財産”も大切にする。

 親元を離れるが、寮生活を送ること、川崎市に親せきが住んでいるということで、不安はそれほどない。遠く離れた川崎市では寮生活を送る。当面は新しい仲間たちと一つ一つ仕事を覚えながら、運転技能講習などに励むという。「早く一人前になって函館に戻り、家族に成長した顔を見せたい」。そんな思いを膨らませ、函館を発つ。(長内 健)