2009年3月18日(水)掲載

◎極東大、TMO、朝市…派遣研修 今月で終了

 函館市議会の予算特別委員会(小山直子委員長)が17日から始まり、教育を除く総務常任委員会所管分を審議した。小柏忠久理事は、地方公務員法に基づき実施している職員の派遣研修で、学校法人函館国際学園(ロシア極東大函館校)、はこだてティーエムオー(TMO)、函館朝市協同組合連合会について3月末で廃止する考えを述べた。西尾正範市長も開会前の同委員会席上で、4月に立ち上げる一般財団法人「函館国際水産・海洋都市推進機構」への派遣法に基づく職員派遣を中止する考えを伝えた。

 能川邦夫氏(民主・市民ネット)への答弁。

 市が先にまとめた「研修派遣の基本的な考え方(素案)」で、民間派遣は特定の業種や企業に偏らないことや、人的支援とならないことなどを定めた。これを踏まえ小柏理事は「朝市は協定書通り本年度で終了したい。函館国際学園とTMOは長期間継続して派遣していることや、業務支援的な色合いが強くなる懸念があり、それぞれ本年度をもって終了したい」と述べた。

 市が給与を負担する派遣研修全体の廃止を意味するものではなく、貴重な経験を積み、視野を広げる派遣研修は今後も積極的に続ける。道市長会を通じて要請があった夕張市への派遣も予定通り4月から実施し、30代の男性職員が決まったという。

 能川氏はまた、派遣法に基づく公益法人などへの派遣の在り方を質問。自治体が補助金や委託料を出して職員の給与を保証している派遣で、小柏理事は、市住宅都市施設公社や市文化・スポーツ振興財団などが該当するため、同様の自治体の対応を調査し、慎重に判断する考えを伝えた。

 委員会開会前に西尾市長が中止を明言した国際水産・海洋都市推進機構への派遣も「派遣法派遣」。5日の定例市議会個人質問で、福島恭二氏(民主・市民ネット)が神戸市の事例を挙げ、「派遣法派遣をめぐり大阪高裁で違法判決が出ている」と述べ、財団が独自に職員を雇用し、派遣を中止するよう求めた。市長は当初、予定通り実施する考えを貫いたが、撤回した。

 理由について西尾市長は、市の顧問弁護士から「補助金や委託料の算定で、派遣職員そのものの人件費が積算されている場合、司法判断も厳しいだろう」との見解を受けたことなどを挙げ、見直す考えを伝えた。当初は3人を派遣する予定だったが、推進機構が職員を採用する見通し。(高柳 謙)



◎函館八幡宮で厳かに祈年祭

 函館市谷地頭町の函館八幡宮(中島敏幸宮司)で17日、今年の五穀豊穣、国家の安泰を願う「祈年祭」が行われた。氏子ら約30人が中島宮司とともに厳かに祈りを捧げたほか神楽を奉納した。

 祈年祭の「年」は稲の意味があり、生命の糧への恵を祈る。一般的には立春がすぎ、春の始まりの2月17日に開かれるが、函館八幡宮では雪深い時期から遅らせ、毎年3月のこの日に開いている。

 中島宮司が御神体を奉っている部屋の戸を開け、神職が野菜などを、奉賛会や氏子らが幣帛(へいはくを)を捧げた。祝詞奏上に続き、石崎地主海神社雅楽会による神楽「豊栄の舞」(うらやすのまい)が奉納され、最後に参加者全員が玉ぐしをささげた。(山崎純一)



◎函館市が差額問題など調査へ…ロシアセンター整備で

 ロシアの政府系財団「ロシアの世界」が昨秋、ロシア極東大函館校に整備したロシアセンターの事業費が当初見込みを大幅に上回り、同校が約900万円を函館市の補助金などから負担した問題について、工藤寿樹副市長は17日の市議会予算特別委員会で「なぜこのような事態になったか、市としても調査したい」と述べた。

 志賀谷隆氏(公明党)の質問に答えた。

 ロシアセンターは当初、1階の小部屋に1200万円で整備する予定だったが、2階の2部屋を貫いた約95平方メートルに整備方針が変わり、事業費は2800万円になった。財団が全額負担する予定だったが、最終的に振り込まれた額は20万ドル(約1900万円)で、同校が約900万円を負担した。市内の資材会社が請け負い、予定より広くなったため市内の建設会社と提携して整備した。

 志賀谷氏は、1階から2階に変わった時期や業者選定の経緯、同校を運営する学校法人函館国際学園が理事会に諮らず900万円を負担したことの是非をただした。

 渡辺宏身企画部長は、市がウラジオストクを公式訪問した昨年10月7日、財団側から1階の部屋の設計図を受け、同10日に場所を2階に変更することが決まり、同学園が業者にも話をしたことを説明。「昨年春の時点で大学側の事業計画にロシアセンター整備があった。11月4日のラブロフ外相来函に合わせた急な整備だったが、補助金からの支出が理事会の承認なしに行われたことなどは不適切」と述べた。

 志賀谷氏は、函館国際学園が市の補助金などから運転資金約1000万円を蓄え、その中から900万円が支払われたことは補助金の目的外使用で、市の補助金交付規則にも違反しているとした。

 工藤副市長は「ロシア側の悪意や故意で曲がった進め方をされたとは思っていないが、一連の手続き、手順が適正になされたか疑問がないわけではない」と述べ、調査する意向を伝えた。(高柳 謙)



◎127年目で初のしゅんせつ作業…BAYはこだての掘割 

 函館市ベイエリアの金森赤レンガ倉庫(豊川町11)のリニューアルに向け、BAYはこだての掘割でしゅんせつ作業が進んでいる。17日には掘割の底から1882(明治15)年の完成当時のものとみられるれんがを発見。127年の時を経て港町・函館を知る水面下の歴史遺産が姿を現した。

 石垣の補修や底にたまった汚泥などを取り除く目的で、掘割を所有する金森商船がBAYはこだて1号館のリニューアルに合わせ、2月中旬から作業を行っている。しゅんせつ作業は掘割の完成以来、今回が初めて。

 金森商船によると、掘割は当時の三菱商会函館支社の倉庫建造時に、艀(はしけ)船の積み降ろし作業をするために造られたという。間口約16メートル、奥行き約108メートル、深さ約4・4メートルで、両脇に計12段の石垣が積まれていることも判明した。

 これまでに函館港とつながる開口部に仕切り板が設置され、水抜き作業や石垣の補修を実施。17日に掘割内の一部をさらにせき止めると、石畳のような底が現れ、現場から明治時代のものとみられるれんがも複数見つかった。

 視察に訪れた市教委生涯学習部の田原良信文化財課長は「市内で現存する唯一の掘割であり、明治時代の工法がうかがえる貴重な資料」と話していた。しゅんせつ作業は3月下旬まで行われ、BAYはこだて1号館は4月中旬にリニューアルオープンする予定。(森健太郎)



◎「あった!」「やった!」公立高合格発表

 道内公立高校の2009年度入試の合格発表が17日、行われた。渡島、桧山両管内の25校でも約2900人が「春」をつかみ、家族や友人らと喜び合った。

 函館市時任町の函館中部高(全日制定員240人、定時制定員80人)では午前10時、生徒玄関前に合格者283人分の番号が張り出されると、待ち構えていた受験生や家族らが駆け寄った。自分の番号を見つけた合格者は「あった!」「やった!」と声を上げ、携帯電話のカメラで番号を撮影したり、目を潤ませたりして喜びをかみしめていた。

 函館桐花中の熊谷奈織さん(15)は「ひたすら勉強したけど合格する自信はなかったので、ただうれしい。充実した高校生活を送りたい」と喜んでいた。北斗浜分中の川原雄介君(15)も「勉強したかいがあった。卓球部に入り、部活と勉強を両立させたい」と高校生活に思いをはせていた。

 道教委によると、推薦選抜者などを除く実質倍率は全体で1・00倍。合格発表は道内248校で実施され、約3万7700人が合格した。

 高校の二次募集人員は各校で19日から発表し、24日に道教委が状況まとめを発表する。出願は25―27日までで、合格発表は31日までに行う。(新目七恵)