2009年3月19日(木)掲載

◎道南の公立小89校で卒業式

 渡島、桧山両管内の6割に当たる公立小学校89校で18日、卒業式が行われた。4月から統合する函館西小(村上一典校長、児童73人)と函館弥生小(佐野太三校長、児童177人)は最後の卒業式となり、卒業生たちが保護者や後輩に見送られながら6年間通った学びやを後にした。

 函館西小では、集まった保護者や下級生の温かな拍手に包まれ最後の卒業生14人が体育館に入場。1人ずつ檀上で村上校長から卒業証書を受け取ると、「中学校でバスケ部に入りたい」「数学と英語を頑張りたい」などと抱負を発表した。村上校長は「西小の卒業生として誇りと自信を持ち、将来の夢と希望を実現するため新しい時代を歩み続けて」とエールを送った。

 渡島管内の8校は既に卒業式を終えており、道南の残りの学校は19―24日に掛けて順次実施される。本年度の卒業生は約4100人。(新目七恵)



◎4支所長に各100万円…函館市 自由に地域応援を

 函館市は新年度、合併4地域の住民活動の活性化を図るため、4支所長が自由に使用できる予算を400万円計上した。住民要望に速やかに対応する予算で、地域との懇談会開催や軽微な修繕、生活環境向上などに充てることを想定している。

 2004年12月に合併した渡島東部旧4町村の人口減少や高齢化は旧市地域を上回る勢いで進んでいる。こうした中で市地域振興課は「4地域の支所長は地域住民の要望を聞き、行政サービスの向上や地域振興などに努める必要があり、支所長の裁量で要望に柔軟に対応できる予算を新規に計上した」と説明する。

 支所にも一定の予算を計上しているが、道路整備や漁業振興、治山などの要望は本庁などと協議が必要で、支所長の裁量で自由に使える予算はなかった。合併地域の意見を聞く地域審議会や移動市長室でも要望があり、地域コミュニティ推進経費として支所長1人当たり100万円を配分する。

 予算の使い方について南茅部支所の梅田誠治支所長は、「例えば市道や私道がぬかるんで砂利を敷く場合、予算で砂利を購入し、敷く作業は住民が実施する。社会福祉協議会の事業とは別に地域独自で高齢者サービスをする場合、縄文を生かした地域振興を考える懇談会の茶菓代、地域会館の軽微な修繕など、さまざまな活用例が想定される」と語る。

 合併4支所にはかつての役場の感覚で要望が寄せられるが、旧町村時代に比べて権限が少ない。住民の要望に迅速に対応し、住民とともに地域をつくり上げる「市民協働によるまちづくり」にもつながる効果が期待できるという。

 旧恵山地域では新年度、恵山コミュニティセンターの建設が行われ、地域の活力維持に向けた取り組みが進められている。センター建設がハード事業、支所長の予算がソフト事業的な位置付けになる。(高柳 謙)



◎開港事業の運営で質疑…予算特別委

 函館市議会の予算特別委員会(小山直子委員長)は18日、経済建設常任委員会所管分を審議した。7月1日を皮切りに繰り広げられる開港150周年記念事業について、実行委員会の運営形態やイベントプロデューサーの選定方法について、福島恭二氏(民主・市民ネット)が疑問点を挙げた。

 福島氏は、記念事業の準備がワーキンググループ(WG)主体で進められ、実行委員会の活動が見えてこないことを指摘。記念事業実行委事務局長の会田雅樹港湾空港部参事は「WGは実行委の下部組織だが、両者の風通しを良くして連携を強化するよう改善に努力していく」と述べた。

 同事務局は、記念事業開催まで半年前の段階で、構想が具体化されていなかったことから、イベント運営に実績のある神奈川県在住の男性をプロデューサーに迎えたことを明らかにした。

 福島氏はプロデューサーの選定方法について「公募で実施するのが本来の手順、手続き。市内にも人材はいた」と述べ、契約の解除を求めた。同事務局は、WGの要望を受け、事業の迅速化を図る目的でプロデューサーの人選に着手した経緯を説明し、「アイデアがワーキンググループの大多数から支持されたこともあり、事務局として今後アドバイスしていただくよう打診し、2月12日に開いた実行委の会議で了承された」と述べた。

 同事務局は閉会後の取材に対し「他都市の事例から今回のような選定で行った。実行委方式での開催なので入札やプロポーザルなど公募で選ぶ必要性はないと判断した」と話している。

 また、西部地区の都市再生整備事業の一環で、680万円の予算を計上しているコミュニティーバス運行の社会実験について、見付宗弥氏(民主・市民ネット)が質問。市都市建設部は乗客が自由に降車できる区間を検討し、大人100円、子供50円の料金設定で運行する予定していることを伝え、「住民アンケートの結果から1日360人が利用すると見ている。400―450人の乗車で採算ベース」との見方を示した。

 09年度が最終年度となっている市交通局の経営健全化計画の検証について、バス事業を廃止した02年度の不良債務が24億5000万円から08年度決算見込みで13億1000万に圧縮したことから、若狭正男交通局長は「ある程度目標が達成された」との見解を示し、「09年度中に新たな計画の策定を進めたい」と述べた。井田範行氏(市民クラブ)への答弁。(鈴木 潤)



◎来月にも新協議会発足…函館―大間航路検討会

 【青森】函館市と大間町(青森県)を結ぶフェリー航路の存続策を協議する「大間~函館航路のあり方検討会」の3回目となる最終会合が18日、青森市内の青森県観光物産館アスパムで開かれた。月内に船の規模を含む運航形態や利用促進策の素案を盛り込んだ報告書をまとめ、4月にも検討会を発展的に解散した協議会を立ち上げ、さらに具体策を詰める方針を決めた。

 報告書には青森県下北地区の交通体系や観光実態の調査結果に加え、フェリー会社や利用者、物流業者らへの聞き取りで浮かび上がった現状と課題を明記。総トン数100トン―3000トン級まで輸送能力別に5モデルの運航をシミュレーションし、収益見通しも提示した。

 それによると、小型船の場合は新造船の初期投資が少なく、コストを抑えた経済的な運航ができる半面、冬季や荒天時の安定運航が課題だ。特に11月―2月の間は1500トン級の現行船でも欠航が多く、試算で最も高い収益を上げられるとされる500トン級では不安材料も残る。

 また、1979―87年まで函館―大間航路を運航していた800トン級の第3大函丸、第5大函丸は、年間の欠航率が10%前後と高いことも判明し、座長を務める長町哲次東北運輸局海事振興部長は「今後はコストや欠航率、船の大きさを総合的に判断しなければならない」と述べた。

 会合では委員から「下北地区全体で観光需要を伸ばさなければ」などと航路維持と同時に観光振興を求める声が多く、新年度の4月以降に新たに立ち上げる協議会では、旅行会社などの有識者も交えた専門部会を設け、遅くとも今秋には運航会社側との協議に入りたい考え。(森健太郎)



◎市消防本部が住宅防火診断を開始

 死者・行方不明者2845人、被災者10万人超の未曾有の惨事となった1934(昭和9)年3月21日の「函館大火」に合わせて、函館市消防本部は18日、市内の住宅防火診断を開始した。この日は、消防署員らが新川町や弥生町など6町内約5500件を訪問。居間や台所など火の元を中心に点検を行い、2011年6月から義務化される住宅用火災警報器の設置や火の用心を呼び掛けた。

 この診断は春先に多くなる火災への注意や防災意識を高めてもらおうと、函館大火の日にちなみ毎年行われている。19日までの2日間で延べ約110人の署員らが木造住宅が密集する地区を中心に市内11町、約9000件を巡回する。

 このうち、北消防署大縄出張所などの署員15人は新川町の約1200件を訪問。火災警報器設置を促すチラシを配布し、ストーブの設置状況や敷地内に放火などされやすい可燃物がないかを確かめ、注意を促していた。

 診断を受けた同町の主婦(80)は「函館大火の時は子供だったが、記憶は鮮明に残っている。火の元の確認はしっかりしている。これからも防災意識をしっかり持っていきたい」と話していた。(小杉貴洋)