2009年3月20日(金)掲載

◎江差商工会、プレミアム商品券発売に住民殺到 

 【江差】江差商工会(飯田隆一会長)は19日、定額給付金に合わせた「江差町プレミアム商品券」を発売した。30%ものプレミアムが付くお買い得な商品券だけに、第1弾で発行した4000万円分の商品券は、わずか1時間45分で完売した。販売会場の町文化会館には、ピーク時で500人を超える住民が長蛇の列を作るほどの人気。商品券を手中に収めたのは496人にとどまった。商工会は4月3日にも第2弾となる2000万円分の発売を予定している。

 販売は混雑が予想されるため町文化会館で行われた。商品券は1セット(1000円券10枚)が7000円。購入限度額は1世帯10セット(7万円)。午前9時すぎに会場に一番乗りしたという町内の主婦(67)は「7万円で10セット買います。灯油や日用品の購入にあてます」と意気込んだ。

 同11時の発売直前になると大勢の住民が続々と詰め掛け、最後尾では早くも「本当に買えるんだろうか…」と不安な様子。発売直後には500人を超える住民が、会場の外で長蛇の列を作った。「行列に驚き、足早に会場を後にした人も少なくない。会場を訪れた人は700人を超えるようだ」(町の担当職員)。

 商工会によると購入者の大半は、上限の10セットを買い求めたという。飯田商工会長は「予想以上の反響。地元への波及効果も大きい」と期待する。準備した4000セットが完売したのは午後零時45分。会場に残った約50人が最後までチャンスを待ったが、係員が売り切れを告げると「えーっ!」というため息交じりの悲鳴も上がった。50代の主婦は「ずっと並んだのに残念です。次回は早朝から並びます」と、がっかりとした表情で会場を後にした。

 商品券の発行総額は6000万円。このうち2000万円は町が補助している。次回の発売は4月3日だが、発売枚数は今回の半分となる2000セット(2000万円分)。予想を上回る人気ぶりだけに、商品券の争奪戦は一層ヒートアップしそうだ。(松浦 純)



◎函館市議会予算委「清和荘」の合葬墓建設へ

 函館市議会の予算特別委員会(小山直子委員長)は19日、民生常任委員会所管分を審議した。市は養護老人ホーム「清和荘」(同市湯川町)の移転・民営化で、入居者の遺骨を埋葬する合葬墓を船見町の共同墓地内に整備することを明らかにした。現在、別に供養している引き取り手のない生活保護受給者の遺骨なども埋葬する方針。秋には利用を開始する予定。

 浜野幸子氏(新生クラブ)への答弁。

 清和荘は旧市立函館病院分院跡地(同市西旭岡町)へ移転・民営化し、2010年度の開設を予定している。現在の施設は1974年に建設され、主に経済的な理由から在宅での養護を受けることが困難な65歳以上の自立者が生活している。老朽化に加え、個室化が進んでいないことなどから移転する。

 これまでに亡くなった引き取り手のない遺骨約210体は施設内の納骨堂に安置しているが、民営化にあたり市が引き取って管理する必要がある。このため、市営の船見町共同墓地の一角に、横3メートル、奥行き1メートル、深さ2メートルの納骨堂を整備する。費用は540万円。約1500体を埋葬できる見込みで、市の試算では40―50年ほどは受け入れが可能という。

 引き取り手のいない生活保護受給者の遺骨は現在、戸井地区の小安町にある海難供養塔に納めている。この遺骨も埋葬するほか、数カ所の寺院に安置している身元不明の病死人(行旅病死者)の遺骨も移す予定。これらの遺骨は年間20体ほどあるという。

 野氏は「市の墓地なので特定の人だけでなく、遺族が引き取りを拒否する場合や、函館を離れる人が管理していた遺骨なども受け入れるべき」と主張。岡田芳樹福祉部長は「趣旨は理解できるが、民間事業者も合葬墓を持っている。他都市の状況を踏まえて検討したい」と答えた。 (小泉まや)



◎函館大火から75年。花田アイさん 惨事 今も脳裏に

 1934(昭和9)年3月21日夜、住吉町の民家から上がった火の手は折からの強風にあおられ、函館市内の3分の1を一気に焼き尽くし、2100人余りの命を奪った。函館最大の火災被害として記録に残る「函館大火」。その惨事は被災者の胸に強烈に焼き付いている。市内に住む花田アイさん(85)も恐ろしく、そして悲しい記憶をたぐり寄せながら21日を迎える1人だ。あの悲劇から今年で75年―。

 「火が出た!」「逃げろ」。当時、宇賀浦町に住んでいた小学4年の花田さんは近所の人の声を聞いて母ときょうだい4人と逃げ出した。幼い弟をおぶった母を追い、必死に歩いたのを覚えている。  逃げ惑う人々。あふれる怒声と泣き声。「風で大きな火の粉が飛び、逃げる人の荷物に火が燃え移っていた」。住み慣れた街は惨状となっていた。

 一家は日乃出町にあった砂山を目指したが、人混みで思うように進めなかった。「離れたら駄目だよ!」。母の声を頼りに、海岸通りをひたすら湯川方面に向かった。

 やっとたどり着いた倉庫に避難し、寒さに震えながら見知らぬ人たちと一晩を明かしたが、「一睡もできなかった」という。倉庫には翌朝、家族や知人を探す人が次々に訪れた。近くの浜にはたくさんの水死体があがり、むしろにくるまれ並んでいた。

 父は不在で家族は皆無事だった。ただ、祖父は避難中、着物に火がついた花田さんと同じ年頃の少女に「助けて」とすがりつかれてその火が燃え移り、顔と体の一部にやけどを負った。少女がその後どうなったかは分からない。

 宇賀浦町の自宅は全焼。数日後、一家は父の仕事場があった松前町に一時引っ越すため末広町の桟橋へとトラックで向かった。移動する中で目にしたのは、見渡す限りの焼け野原。「形ある物はほとんどない。真っ黒く焼けた倉庫がポツンポツンとあるだけ」。変わり果てた街の様子にあぜんとした。

 花田さんは20代前半で結婚。夫の実家は34年当時宝来町で米屋を営んでおり、義母は発火直後、孫の手を引き、嫁入り道具の炉鉤(ろかぎ)と顧客台帳を抱えて避難したという。

 義母は隠居後も亡くなるまでその炉鉤を大事にし、毎朝磨くのが習慣だった。「きれいにしないとおばあちゃんが泣く」。火の手を逃れた金色の炉鉤は、花田さんの手で今もピカピカなまま保管されている。(新目七恵)



◎西署万代交番が優秀交番に

 本年度の道警の優秀交番に管内から、函館西署万代交番が選ばれた。昨年1年間の刑法犯減少や職務質問による摘発、積極的な地域への情報発信など、治安向上に貢献したことが評価された。道警函館方面本部で19日、表彰式が行われ、大江宜信本部長から、同交番の柳田朗巡査部長(49)らに盾や賞状が手渡された。柳田巡査部長は「優秀交番の名に恥じぬよう尽力してまいります」と決意を新たにしていた。

 同表彰は、昨年度に導入。市民生活の安全や安心につながる地域の問題解決や、犯罪抑止に尽力した道内311カ所の交番から、本年度は大通交番(札幌中央署管内)など計6カ所が選ばれた。函館西署管内では昨年の函館駅前交番に続いて2年連続の受賞となった。

 万代交番の管轄は、函館市万代町や松川町、宮前町など5町内で、署員6人が勤務。昨年、同交番管内の刑法犯認知件数は71件で前年比39件減少し、職務質問で23件を摘発した。11月には、管内で相次いでいた車のタイヤを狙った連続器物損壊事件を地道な張り込み捜査で解決に導いた。

 業務は、地域の巡回や職務質問など街頭での活動が中心だが、交番には家庭内や隣人トラブルの相談に訪れる市民も多い。奥崎裕樹巡査部長(44)は「何か困りごとを抱えて交番に来る人は、勇気を持って訪れる。届け出や相談に大小はなく、丁寧に対応することを心掛けている」と話す。柳田巡査部長は「全署員の活動が昨年の犯罪件数減や西署管内の死亡事故ゼロにつながった。万代交番だけの力ではなく、代表で選ばれただけ。ことしも積極的に街頭活動をやっていきたい」と話している。(今井正一)



◎大沼トンネルの多重事故、運転時 路面状況に注意を

 七飯町峠下の国道5号「大沼トンネル」の札幌方向に向かう下り線で今月1日と15日の昼ごろ、複数の車がかかわる衝突事故が相次いで発生した。15日には、トンネル出口付近でスピンした車両を皮切りにわずか30分間に計16台が事故を起こし、3人が軽傷を負った。函館中央署は「一歩間違えれば、大惨事にもつながった。急激な路面変化に対応できずに起きた融雪期特有の事故だ」として注意を呼び掛けている。

 同署によると、15日の事故は、午前11時半ごろから正午すぎにかけて発生。左側の車線を走行していた車両が、トンネル出口手前50メートル付近で何らかの原因でスリップし、横になって停止。この車を避けようとして停止したり、急な車線変更をしようとした後続車両が次々と追突事故を起こし、さらに、内部の状況に気付かず、入り口付近でも数台が事故に遭った。当時、トンネル外は湿潤した路面で、トンネル内の気温変化により、出入り口付近は一部凍結していたという。

 同署交通第一課の塩入信一課長は「トンネル内だけではなく、橋の上や日陰の部分など、一見して乾燥した路面でも凍結している場合がある」と指摘。発進、加速、ブレーキ、ハンドル操作など「急」の付く運転操作は危険性が高いが「凍結路面では『急』の付く動作ではなくても、バランスを失い、スピンすることがある」(同)と話す。

 また、大沼トンネルは、上下線とも一方通行の2車線道路で、白の実線が引かれているため、トンネル内では進路変更はできない。しかし、実際は無理な追い越しや車線変更をして走行する車両が見受けられ「ドライバーの認識が不足している」とする。

 雪解けが進み走りやすい路面となる春先は、ドライバーが速度を上げて走行する傾向にあるが、速度超過は事故時の被害拡大にもつながる。塩入課長は「少しくらい速度を上げても目的地までかかる時間は変わらない。路面変化に即応できる制限速度を守り、ゆとりのある運転をしてほしい」としている。(今井正一)