2009年3月21日(土)掲載

◎熱帯植物園のサル山で行動展示導入に向け実験

 函館市営熱帯植物園(湯川町3)のサル山に、動物本来の習性を観客に見せる「行動展示」を導入しようと、同園を管理・運営するNPO法人函館エコロジークラブが試行錯誤している。サルは同園の目玉でもあり、大型連休には実施する計画だ。同法人の坂井正治さん(71)は「サルの腕力や跳躍力など素晴らしい特性をお見せしたい」と話している。

 行動展示は動物の生態を観察できる展示方法で、旭山動物園(旭川市)の手法として全国的に有名だ。同法人はサルを生かした植物園を目指し、3月上旬からサル山の遊具の鎖にかごをぶら下げ、中に入れた餌をどうやって取り出すか反応を見る実験を始めた。かごの両側面にはサルが餌を取り出せるよう丸い穴を開けている。

 サルは鎖の上を渡ったり仰向けのまま鎖にしがみつき、はうようにかごへ近づいたりと多様な“技”を披露。左右に揺れるかごを必死に押さえ、片手を入れて器用に餌を取り出すサルもいれば、あきらめるサルもいる。

 3月現在102匹のサルを飼育し、実験は毎日午前11時―正午ごろに実施している。坂井さんは「反応はまずまず。好奇心の強いサルが興味を示して挑戦しているようだ。サルの生態を楽しんで見てもらえるようにもっと工夫したい」としている。(宮木佳奈美)



◎支庁再編修正案で振興局の「出先」扱い検討 

 【江差】道が支庁再編条例の修正問題をめぐり、桧山など5地域に設ける振興局を、知事権限で9総合振興局の出先機関とする特例規定を改正案に盛り込む方向で検討していることが20日、関係者の話で分かった。条例修正により14支庁を対等の位置付けとすることを求める道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)などの反発を招くことは必至だ。道の動きは、24日に行われる知事と道町村会など地方4団体トップとの直接会談にも影響を与えそうだ。

 高橋知事は4団体の要請を受ける振興局を、地方自治法で定める「支庁出張所」とした支庁再編条例(総合振興局設置条例)を修正する方針。条例施行で9総合振興局と5振興局が発足するが、法律上の位置付けはいずれも「支庁」のまま。道議会議員の選挙区割りの関係で必要だった公職選挙法の改正は不要となる。

 ところが道は、改正案に特別規定を盛り込み、知事権限で振興局を総合振興局の出先機関あるいは出張所に位置付けることを検討している。規定で振興局を総合振興局の出先機関とすることは知事権限で可能とされ、公選法など関連法令の改正も必要ない。道は特別規定により、改正前の再編条例を上書きする形で「本庁→総合振興局→振興局」という上下関係を持たせ、従来の計画に沿った形で再編を進める方針。高橋知事は、総合振興局と振興局との機能分担は、改正案の成立後、4団体と協議を進める考えだが、道の関係者は「所管区域や名称変更は必要が無い。振興局の組織機能も策定済みの再編計画に沿って検討する形になる」との認識を示す。

 しかし、道町村会は9総合振興局と5振興局への組織再編に伴い、組織の規模や職員数の差が生じることはやむを得ないとしながらも“支庁出張所”の文言削除により14支庁を同列に位置付けることが「解決に向けた最低限のライン」(寺島会長)とし、議会提案前に改正案の内容や振興局の具体像を提示するよう求めている。ある道議は「昨年6月の再編条例提案時にも直前まで『支庁出張所』の文言が伏せられた」と経緯を明らかにする。その上で「道町村会や関係自治体が改正条例案を警戒するのは当然だ。前回と同じだまし討ちのような手法で改正を進めれば取り返しが付かない事態を招く」と語り、直接会談への影響を懸念している。(松浦 純)



◎「函館の歴史を学ぼうかい」活動充実

 函館や周辺の歴史を学ぶ市民団体「函館の歴史を学ぼうかい」(飛田政泰会長)は2009年度、活動内容を充実させる。新たに函館在往の2人の講師を迎えて内容に幅を持たせるほか、史跡巡りを開催し、歴史の舞台を体感する。飛田会長は「皆が函館を知ろうという意欲にあふれている。これからも会員の希望を踏まえて実施したい」と話す。

 同団体は昨年10月、函館市教育委員会が主催する「まなびっと体験講座」の運営委員や受講生有志らが集まり、市民が自主的、継続的に学ぶ場を提供しようと設立。始めは23人だった会員は現在、60―70代を中心に55人に。主に市中央図書館で、身近な歴史について学ぶ場を開いている。

 1―2月に、今後の活動方針の参考にしようと会員にアンケートを実施。開催時間や場所、会費、史跡巡りの開催などについて聞いた。史跡巡りは回答した27人中21人が参加する意思を示した。今後の講座内容は、函館の開港当時の様子のほか、明治―大正期の政治、経済や暮らしのほか、道南全域の歴史などについての希望があった。

 これらを踏まえ、4―9月までの講座内容を決定した。4月10日には新年度最初の講座「国宝中空土偶の謎について」を予定。新しい講師の一人、日本考古学協会会員の千代肇さんが登場する。史跡巡りは6月に行い、四稜郭から神山稲荷神社(旧北海道東照宮)、大円寺に至る約2㌔の箱館戦争の地を訪ねる。

 もう一人は郷土史家の小沼健太郎さん。8月に「明治の商家について(仮)」を予定。これまで講師を務めてきた郷土史家の近江幸雄さんも継続して、函館の町名などの話題を提供する。飛田会長は「いろいろな興味に応えられるよう、随時意見を聞き活動に反映させたい」と話している。

 入会は随時受け付けしている。体験入学は1回のみ可能。問い合わせは飛田会長TEL0138・51・8721。(小泉まや)



◎玉光堂松風店が26日閉店

 音楽CD販売の道内大手、玉光堂(札幌)は、函館市松風町2の松風店を26日の営業を最後に閉店する。同店がテナントで入居するビルの所有権をめぐる係争で、今後の店舗運営に支障が生じたため。市民からは店の撤退を惜しむ声が上がり、シャッターを閉ざした空き店舗が目立つ大門地区の一層の空洞化も懸念されそうだ。

 同店は1981年11月、松風町交差点の一角にある函館北央ビル1階にオープン。CD約2万枚、DVD約7000枚という市内随一の品ぞろえが最大の売りだったが、近年はインターネット音楽配信などの影響で売り上げが低迷していたという。

 そんな同店を支えたのが演歌ファンの会員組織「演歌くらぶ」だ。60―70代を中心に会員限定のイベントや各種特典があり、現在の会員数は約380人に上る。同店の平山紀子店長(35)は「対面販売特有のお客さんとのコミュニケーションが30年近く愛された理由だと思う。今は感謝の気持ちでいっぱい」と閉店を無念がる。

 今後、同社は函館市内では楽器も取り扱う五稜郭店(本町17)の1店舗体制となる。松風店では26日まで、一部商品を除くCD、DVDなど全品が半額となる閉店セールを行っている。同店をよく訪れるという市内の女子高校生(17)は「好きなビジュアル系バンドの品ぞろえが良かった。町のレコード店がなくなる気がして寂しい」と漏らした。

 大門地区では2004年にも函館の老舗書店、森文化堂が閉店し、現在も空き店舗のままとなっている。また、周辺では老舗の飲食店やゲームセンターなどの閉店も相次ぎ、老朽化した建物が解体されて更地や駐車場になるケースも増えている。(森健太郎)



◎市税などコンビニ納付のシステム構築へ

 函館市は新年度、市税、国民健康保健料、保育料をコンビニで納付できるシステムを構築し、2010年度から実施する。納付できる手法や窓口を広げ、収納率の向上が期待できる。市納税課は「全国どこでも24時間納付でき、市外在住者や夜型の生活習慣など多様な生活スタイルに対応できる」と話している。

 水道料金のコンビニ収納は1999年から実施しているが、税の科目にも対象を広げることを検討してきた。新年度予算に約6800万円の関連経費が盛り込まれ、1年間でシステム構築と周知、PRを進める。全国の自治体で導入が進み、近郊では七飯町が実施している。

 同課によると、市税などの窓口納付は金融機関と市役所、支所でできるが、市外では郵便局と一部の銀行でしかできない。市内に土地や家屋を所有する本州在住者の固定資産税などがコンビニで納付できれば利便性が増す。共働き世帯など、日中が忙しい場合も利用しやすくなる。

 コンビニ納付による収納率の向上は、全国他都市の事例で0・2―0・6%ある。函館市の収納率が仮に0・2%向上すると、市税は7300万円、国保料は2200万円程度伸びるという。金融機関の窓口納付と同様、コンビニ納付の手数料も市が負担する。手数料は全国で1件あたり60円前後と幅があり、最近は52・5円が多いという。

 今後、コンビニ納付の収納代行事業者を公募方式で選定する予定。同課は「市内にあるコンビニであればどこでも対応できる。手数料だけでなく、公金を安全・確実に収納でき、機器のトラブルなどにも速やかに対応できる事業者を選びたい」と話している。

 市議会予算特別委員会でこのほど能登谷公氏(市民クラブ)が質問し、市が実施内容を答弁した。 (高柳 謙)