2009年3月24日 (火) 掲載

◎函館駅で連絡船しのぶ…開港150周年100日前イベント

 函館開港150周年を迎える7月1日のちょうど100日前に当たる23日、JR函館駅(若松町)で青函連絡船をしのぶ記念イベントが開かれた。特急列車の出発時に、元乗組員が往時の連絡船の出港を告げたドラを打ち鳴らす演出があり、函館の玄関口に懐かしいかねの音が響き渡った。

 記念事業を広くPRしようと、JR北海道函館支社が開港記念日(7月1日)の150日前に続いて企画。イベントの開催月日にちなみ、午後3時23分発の特急「北斗15号」が出発する同駅ホームで行われ、連絡船のファンらも大勢詰め掛けた。

 直径約40センチの銅製のドラをたたいたのは、函館市在住の青函連絡船の元船客長、森栄蔵さん(80)。当時の制服を着た森さんは出発5分前と出発直前の計2回、先頭車両付近でドラの音をとどろかせ「昔の光景がよみがえる思い」と感慨深げに語った。

 この日は同特急の出発時刻に摩周丸の汽笛も鳴らしたほか、ホームでは乗客ら150人に連絡船をかたどったクッキーが配られた。同駅の松原光雄駅長は「150周年は函館の『第2の開港』と位置付け、北海道の玄関口である函館駅からも記念事業を盛り上げたい」と話していた。(森健太郎)



◎函館の商業地2年ぶり下落…道南の公示地価

 国土交通省は23日、1月1日現在の公示地価を発表した。渡島管内の1平方メートル当たりの平均地価は5万1200円で18年連続で下落。下落率も前年比3・5%と1・1ポイント拡大するなど、景気悪化の影響が色濃く出ている。函館市内では、昨年16年ぶりに上昇に転じた(前年比0・7%増)商業地も、同2・8%減と2年ぶりに下落したほか、住宅地も同4・2%減で下落率が前年比0・5ポイント拡大。桧山管内の平均価格は2万1200円で9年連続の下落。下落率は前年比2・0ポイント拡大の5・8%だった。調査は渡島管内2市6町計96地点、桧山管内3町9地点を対象に実施した。

 ■渡島の住宅地

 平均価格は3万9100円で、10年連続で下がった。下落率は前年比0・2ポイント拡大の3・7%だった。

 函館市の平均価格は5万1700円で11年連続の下落。下落率は4・2%で前年比0・5ポイント拡大。郊外部を中心に下落傾向が続いている。

 函館市周辺地域では、北斗市が2万6800円。下落率は2・3%で前年比0・3ポイント拡大。合併前の旧上磯地域と旧大野地域を比較すると、旧大野地域の下落率が高くなっている。七飯町は2万900円。下落率は3・9%だが、下落幅は前年比1・0ポイント縮小した。

 ■渡島の商業地

 平均価格は8万1800円と18年連続のマイナス。下落率1・9%の35万7000円だった。下落率は3・3%と、昨年の0・5%から大幅に拡大。地価1位は函館市本町32―13のピア21で、昨年は16年ぶりの上昇となった函館市も前年比2・8%減の9万5000円となり、下落幅も3・5ポイント拡大。郊外型大型店との競合などから、中心地の価格が大きく下がったのが要因とみられる。

 ■桧山の住宅地、商業地

 住宅地の平均価格は2万1200円で7年連続で下がった。下落率は5・4%と前年比2・2ポイント拡大。地価1位は江差町上野町35―5。前年比6・7%減で3万4800円。商業地の平均価格は3万2000円で、9年連続で下がった。下落率は6・3%と前年比1・4ポイント拡大。地価1位は江差町新地町50―1内。前年比7・3%減で5万500円。

 一次産業を取り巻く経済環境の悪化および断続的な人口減少により、経済基盤が弱体化していることが下落率の拡大につながっていると考えられる。

 公示地価 地価公示法に基づき国交省の土地鑑定委員会が毎年1回、標準値の1平方メートル当たりの価格を鑑定評価し公表する。一般の土地の取引価格に対しての指標や、公共事業用地の取得価格の規準などとして用いられる。(小川俊之)



◎不況の影響鮮明…公示地価

 昨年の公示地価は、函館市内の商業地が16年ぶりに上昇に転じ、住宅地の下げ幅も縮小傾向が見られていたが、世界的な不況の影響で、下げ止まりから一気に下げ幅拡大に移行。果たしてこの傾向は今後も続くのか。市内の不動産鑑定士、森元浩さん(森元不動産鑑定事務所=函館市若松町2)に動向を聞いた。

 ■商業地

 昨年は7地点で見られた上昇地点が、今年はゼロに。下落率1・0%以下は美原2―13―8、メディカルビルの0・9%(1平方メートル当たり11万3000円)1件のみで、昨年の上昇率が10・4%だった本町11―12、キングスランド行啓ビルが下落率1・7%(同11万5000円)、同じく7・7%だった若松町20―1の和光デパートが下落率2・9%(同20万3000円)と急落しているのが目立つ。森元さんは「新幹線開業を見込んだ地元以外からの資本による地価の上昇が下火となったところに、世界的な経済不況が直撃した格好。下落傾向は今後ますます拡大する可能性が高い」している。

 ■函館市内住宅地

 昨年までは、商業地の上昇の影響で、中心部の一部で上昇傾向も見られたが、そろって下落率が拡大。それでも本町や柏木町、人見町、松陰町などの利便性のよい中心部は下落率1%前後と人気は高く、それ以外では中心部、郊外問わず下落率が4―6%と広がっており、ここ数年来続いている二極化傾向はさらに大きくなりそうだ。

 ■全道

 道内全体の平均価格は1平方メートル当たり5万3900円で18年連続の下落。下落率は昨年より0・7ポイント拡大し3・8%。このうち札幌市では住宅地が6万6300円で下落率3・4%、商業地が21万5800円で下落率6・2%といずれも4年ぶりの下落。札幌を除く人口10万人以上の8都市も住宅地、商業地ともすべて下落している。(小川俊之)



◎ロシアセンター整備 市長が口利き否定…市議会予算委

 函館市議会の予算特別委員会(小山直子委員長)は23日、教育委員会所管分を審議し、審査日程を終了。2氏が西尾正範市長に総括質疑をした。志賀谷隆氏(公明党)は、ロシア極東大函館校に昨秋整備されたロシアセンターについて、受注、共同施工した業者2社が昨年10月に西尾市長とともにウラジオストク訪問に同行していることから、「市長は業者選定に関与していないか」とただした。

 市長は「契約した資材会社とは初対面で、あなたが(工事を)やりなさいと言うわけがない。ウラジオでの行程も別々だった」と述べ、口利きを全面否定した。

 西尾市長は、ロシアの政府系財団が全額負担する予定だった事業費の支払いが計画通り進まなかったことを「昨年12月議会の前に聞いた」と述べた。志賀谷氏が「なぜ議会に相談しなかったか」とただすと、市長は「市の補助金を受けているとはいえ、独立した学校法人。理事会や評議員会に報告された後で、市が議会などに報告するものだと思う」とした。

 同センター整備は当初計画より大規模になったため事業費が膨らみ、結果として学校法人函館国際学園が市の補助金などから900万円を負担した。市長は「結果として理事会の承認を得ておらず、不適切で遺憾」と述べた。志賀谷氏は、契約した資材会社がセンター建設の資格要件を満たしていないのではないか、と指摘した。

 福島恭二氏(民主・市民ネット)は、函館開港150周年記念事業実行委員会のプロデューサーを、公募などをせずに決めたことが問題であるとした。西尾市長は「仮にプロポーザル(公募)をして選んでも随意契約となる」と述べ、問題がなかった考えを示した。

予算特別委員会は付託された議案44件の審議を終え、裁決は23日午後11時15分現在、行われていない。(高柳 謙)



◎つやつや おいしそう…日新中・生徒「とば」作り体験

 函館日新中学校(鈴木利春校長)の全校生徒が本年度初めて取り組んできた戸井産サケの手作り「とば」が、このほど完成した。23日には在校生22人が持ち帰り、家族と北国伝統の風味を味わった。

 サケのとば作り体験は市教委の「知恵の予算」を活用。生徒らは昨年11月にサケをさばき、12月上旬から約3カ月半、学校敷地内に干して寒風にさらし、完成の日を楽しみにしていた。

 とばは身が締まり、魚脂のつやが光るおいしそうな出来栄え。子どもたちは自分の番号の付いたサケとばを手に取るとうれしそうにしていた。

 2年生の飯野香澄さん(14)は「けっこう重たい。早く食べたかったけど、出来上がるのに時間が掛かることを知った」と話していた。

 吉田耕平教頭は「基幹産業である漁業や食の安全へ関心を高め、学校生活の良い思い出になったのでは」とし、「来年度も継続してもっと工夫したとばを作りたい」と話していた。(新目七恵)