2009年3月28日 (土) 掲載

◎新入学児童に保険付きの黄色いワッペン

 保険会社4社が共同で、函館市の2009年度の新入学児童全2074人に、交通事故傷害保険付きの黄色いワッペンとランドセルカバーを贈った。27日、担当者が函館市役所を訪れて西尾正範市長に目録を手渡し、新入学児童代表の函館藤幼稚園の卒園児6人の肩に取り付けた。

 4社はみずほ銀行、損害保険ジャパン、明治安田生命、第一生命。1965年に旧富士銀行が始め、規模を拡大して続いている。昨年4月までの累計寄贈枚数は全国で5426万枚。45回目となることしは全国約120万人の新一年生に贈る。

 寄贈式でみずほ銀行函館支店の土子雄一支店長が「このワッペンを付けることで交通安全の意識を高め、ドライバーの注意を喚起できる。日本の将来を背負う子どもが健やかに成長することを祈ります」とあいさつし、西尾市長に目録を渡した。西尾市長は4社の取り組みに感謝し、子どもたちには「交通安全の決まりを守って学校生活を送ってください」と呼びかけた。

 子どもたちは声を合わせて「交通安全のワッペンありがとうございます。元気な一年生になってがんばります」と言い、お礼の気持ちを込めて歌「ドキドキドン!一年生」を歌った。(小泉まや)



◎支庁再編条例、自民党が改正案提案を容認

 【札幌】高橋はるみ知事が第1回定例道議会への提案を目指す支庁再編条例改正案をめぐり、知事与党の自民党・道民会議は会期末の27日、改正案の議会提案を容認すること決め、道は午後10時に再開した本会議に改正案と地域振興条例案を提案した。定例会は30日まで会期を再々延長することを決めた。自民党では若手道議を中心に「審議時間が確保できない」として継続審議を求める声も根強く、採決に応じるか会派としての結論を保留している。

 一方、道町村会など地方4団体トップとの会談で、振興局から総合振興局への業務集約は、地域の合意を前提に進めるとした高橋知事の方針に自民党が反発。市町村長の意見聴取を定めた改正案の条項を削除するよう要求したが、4団体は「最終合意の破棄につながる」(道町村会)として修正を拒否するなど混乱も続いた。

 高橋知事と道町村会など地方4団体の会談では、道が振興局の組織体制を一方的に縮小することに歯止めを講じるため、総合振興局に業務を集約する際には、地域の合意を前提とすることを確認。道段階と振興局地域に協議機関を常設し、改正案の第3条にも「あらかじめ関係市町村長の意見を聴くものとする」と明記した。ところが自民党は27日未明の予算特別委で、原田裕議員会長(恵庭市)が「道の組織を決める条例にわざわざ市町村の意見を聴く規定を設ける必要があるのか」と高橋知事を激しく非難した。27日には「市町村からの意見聴取を定めた道の行政基本条例と重複している」として、道に第3条の削除を要求した。

 このため道は、条文を「意見を聴くよう努めることとする」と、表現を後退させた上で、修正を4団体に打診したが「180市町村と議会の総意に基づく合意が崩壊すれば4会長は引責辞任せざるを得ない。知事も進退をかける覚悟があるのか」(寺島光一郎道町村会長)と猛反発。昨年6月に道が再編条例の提案を強行した際にも「基本条例に沿った江差など3町長による異議申し立てを道は即刻却下した経緯がある」(同)として、振興局の組織機能を担保するため明文化は譲らない構えだ。(松浦 純)



◎「人権侵犯」受理206件、相談件数は増加

 函館地方法務局(横山和幸局長)は昨年の人権侵犯事件の受理状況をまとめた。同法務局管内(渡島・桧山と後志管内の一部)の受理件数は前年比増減なしの206件で、夫婦や家族間の「強制・強要」や「暴行・虐待」の発生が目立った。相談件数は同487件増の2857件となった。

 侵犯事件の内訳は、公務員や教職員らによる人権侵害が31件で、家族間や近隣トラブルなど、私人間の事件は175件だった。このうち、離婚の強要など「強制・強要」が57件、「暴行・虐待」が46件、騒音や悪臭といった近隣間の「住居・生活安全関係」が26件だった。

 学校でのいじめの受理件数は14件で、相談件数は52件。このほかにも、同法務局と函館人権擁護委員連合会が2006年から各学校に配布し、児童、生徒からの悩み相談を受け付ける「SOSミニレター」での返信が着実に増え、08年4月以降、63通が寄せられている。

 悩みの多くは友人関係に起因するものだが、インターネット上でひぼう・中傷を受けたとする相談もあった。子どもだけではなく、ネット上のトラブルは全国的にも侵犯事件としての受理件数が約23%増加している。同法務局人権擁護課は「いじめ件数そのものが増えているわけではなく、ミニレターや子どもの人権110番の取り組みなどから発覚するケースが増えている。今後はネット上でのいじめが増えるだろう」としている。

 同法務局では、こうした侵犯事件について、法的な助言や関係機関への引き継ぎを行う「援助」や、法務局職員が当事者双方の了解を得た上で仲裁する「調整」などの対応を行っている。詳しくは同課TEL0138・23・9528へ。(今井正一)



◎懐メロレコード鑑賞会開催500回

 函館市西旭岡町の先名康幸さん(80)が、近隣の老人福祉施設、旭ケ岡の家在宅ケアセンター「ベレル」(中村哲也施設長)で1998年から毎週続けている「懐かしのレコード鑑賞会」が26日、500回の節目を迎えた。2台のレトロな蓄音機から流れる昔の流行歌に、同施設の利用者は大喜び。先名さんは「毎回楽しみにしてくれる利用者や職員の皆さんに支えられることがなければ、500回も達成することはなかった」と振り返る。

 サハリン(旧樺太)出身で自宅が理髪店だったという先名さんは、小さいころから店内の蓄音機をいじっては当時の歌謡曲に夢中になった。30代になってから趣味で蓄音機とレコードの収集を始め、これまでに集めたレコードは300枚以上。戦前戦後の歌謡曲をはじめ、民謡、ジャズなどジャンルはさまざま。

 レコード盤が減るため同施設では日ごろカセットテープに録音した曲を流すが、大きな行事や記念の時などでは蓄音機を持ち寄り、その味わい深い音色を楽しませている。この日は「有楽町で逢いましょう」(フランク永井)や「青い背広で」(藤山一郎)などの懐メロ12曲をかけた。「あのころは森永のミルクキャラメルや明治の板チョコなんか食べましたね。みんなは覚えてるかな」などと当時の様子も交えた口上も評判だ。

 中村施設長は「1000回まで頑張ってほしいです」と期待を見せる。利用者の逢見八重子さん(84)は「先名さんが聞かせてくれる曲はわたしたちの青春時代を思い起こさせてくれる。懐かしさについつい口ずさんでしまいます」と笑顔を見せる。

 2007年秋からは北斗市の福祉施設も訪ねている先名さん。「元気なうちは利用者のためにも、そして自分のためにも、生きがいであるこの活動を続けたい」と話す。(長内 健)



◎2月の有効求人倍率0・39倍

 函館公共職業安定所は27日、2月の渡島・桧山管内の雇用失業情勢を発表した。仕事を求めている人1人に対する求人数を示す有効求人倍率は前年同月を0・12ポイント下回る0・39倍と、20カ月連続の前年割れとなった。前月(1月)より0・03ポイント改善したものの、事業主都合による離職者増に歯止めがかからず、管内の雇用情勢は一段と深刻さを増している。

 20カ月連続の前年割れは前月に続き、過去最長の記録を更新。2カ月連続で0・40倍を割り込んだのは2000年12月―01年1月以来、約8年ぶりで、同職安は管内の情勢判断を「厳しさが増している」と2カ月連続で据え置いた。

 有効求人数は前年同月比12・4%減の4213人だったのに対し、有効求職者は同15・7%増の1万850人と、昨年9月の世界同時不況以降、6カ月連続で増加。それでも昨年12月、今年1月に比べ数字のぶれ幅は落ち着き、「派遣切りや大型倒産が一段落した反動」(同職安)もあるという。

 雇用の先行指標となる新規求人倍率も同0・09ポイント低下の0・67倍で11カ月連続の前年割れ。特に新規求職者2749人のうち、対前年比で増加した3・0%(79人)は、ほとんどが事業主都合で離職を余儀なくされた人たちとみられ、2月の事業主都合離職者は同12・4%増の690人に上った。

 産業別の新規求人は、不況や消費低迷を受け、製造業や小売業、サービス業などで落ち込みが目立った。同職安は「数字上は回復の兆しも見られるが、正社員求人の減少など求人の質・量とも低下している。相次ぐ閉店や事業撤退で求職者の増加は予想されるが、企業の採用は手控え傾向が続くだろう」とみている。(森健太郎)


◎支所機構改革などで意見交わす…地域審議会

 函館市と合併した渡島東部旧4町村の意見を聞く地域審議会が27日、南茅部、椴法華、恵山の各支所で開かれた。各地域に関係する市の新年度予算が示されたほか、意見交換では支所の機構改革や地域振興について質疑を交わした。

 このうち、南茅部審議会(秋本明敏会長)は委員13人が出席。4支所の市長部局は新年度から、これまでの5課体制から、保健福祉、住民サービスの両課を統合した市民福祉課、建設、産業の両課を統合した産業建設課、地域振興課の3課体制となり、南茅部支所の職員数は37人から28人に減少する。委員から「地域振興に支障を来し、住民サービスの低下を招かないか」との指摘があり、梅田誠治支所長は「3課体制となったが、これまでの支所機能を堅持している。職員の資質向上を図ることで人員減を補うことが可能」とした。

 課の統合でできた支所の空きスペースも地域の意向を聞きながら有効活用していくことも申し合わせた。

 同地域の新年度の事業計画は大船遺跡史跡整備事業に3800万円、今年7月に着工予定の縄文文化交流センターの整備費に1億7000万円を計上。同センター完成後の管理、運営方法について市教委は博物館法にのっとった登録博物館を目指しており、指定管理者制度を適用する考え。岡崎圭子生涯学習部次長は「供用開始予定の2011年5月から逆算すると10年度には指定管理者の選定に向け、予算措置や具体的な動きをしなければならない。新年度は指定管理者のあり方を検討していくことになる」と述べた。(鈴木 潤)