2009年3月4日(水)掲載

◎開港150周年記念ソング担当の小林亜星さんが市長訪問

 函館開港150周年を記念した新しい歌を作る作曲家の小林亜星さんが3日、函館市役所を訪れ、西尾正範市長と懇談した。小林さんは「函館はハイカラなイメージがあり、文明開化そのもの。自分たちの文化は大事だなあと思い起こせるような曲を作りたい」と抱負を述べた。

 開港150周年のメーン事業の一つで、市民らから歌詞を募り、小林さんが曲に仕上げる。市の記念事業実行委員会によると、2月末の締め切りまでに全国から416件が寄せられ、応募者は8歳から84歳まで幅広かった。3月にプロの手で歌詞をまとめ、4月中に小林さんが作曲、5、6月に練習して7月1日の記念式典で発表する予定。

 西尾市長は「同じ開港150周年を迎えた横浜市では既に記念ソングが作られ、イベントを盛り上げるために歌われているが、函館はイベントをきっかけに歌い継がれる記念ソングとしたい」と述べ、小林さんに期待した。

 小林さんは「みんなで詞を作って、みんなで歌うのは良いアイデア。メロディーはまで浮かんでなく一抹の不安があるが、この不安がいい。子供からお年寄りまで親しんでもらえる歌を作りたい」と応えた。

 都はるみさんの「北の宿から」など、数々のヒット曲を生み出してきた小林さん。北海道関連では帯広市の菓子メーカー「六花亭」の社歌を作ったばかりという。「作曲は早ければ2時間ぐらいでできる場合もあるが、合唱なのでアレンジに時間がかかると思う」と話していた。(高柳 謙)



◎北斗市議会定例会/海老沢市長が執行方針 新幹線や経済対策強調

 【北斗】北斗市議会の第1回定例会が3日開会し、海老沢順三市長が市政執行方針、藤巻博司教育長が教育行政執行方針を述べた。海老沢市長は新幹線時代到来に向けたまちづくりや産業活性化、経済雇用対策の推進、教育環境の充実などを強調し、「市民が市政の主役であるという住民参加の行政を政治哲学とし、市民福祉の増進のための市政を進めたい」と述べた。(石井 克)

 第一次市総合計画を基に、旧上磯町と旧大野町の住民の融和や両町事業の継続性と発展に向け、「次代を担う子供たちが、わが古里を誇れるようなまちづくりをしていきたい」と協力を求めた。

 道新幹線の新駅周辺整備について、2015年度を完成目標に進む土地区画整理事業は、道路や公園、宅地造成などの実施設計を行うほか、家屋などの物件調査や宅地の再配置をする換地設計をしていると報告。新駅北側は北口広場から国道5号を結ぶ新函館停車場七飯線(仮称)として、09年1月に道道認定の告示を受け、早期着工に向け取り組んでいるとした。

 また、開業後にJRから経営分離される並行在来線対策について、道や函館市、木古内町で構成する協議会が委託した将来需要予測などの調査結果が3月末に出ることから、これに基づき、分析と検討を重ねて11年度末までには方向性を決定したいとした。

 赤字が続く国民健康保険財政について「重い課題となっている」と前置き。08年度決算見込みでも大幅な収支不足が予想されることから、「安定的で持続可能な国民健康保険制度を構築するため、抜本的な税率改正について検討を重ね、09年度中に基本方針を示したい」とした。

 藤巻教育長は「子供たち一人ひとりの確かな学力と豊かな人間性、健やかな心と体をバランスよくはぐくみたい」と述べ、学校給食費の値上げについても言及。食育の推進に向け、栄養教諭を新たに配置し、正しい食習慣を身につけさせる考えを示した。


◎不法投棄で北海道乳業次長ら3人逮捕

 函館中央署、道警函館方面本部生活安全課などは3日、ヨーグルト加工時に排出された廃シロップを大量に不法投棄したとして、北海道乳業(函館市昭和3、田島久吉社長)の幹部社員ら3人を廃棄物処理法違反の疑いで逮捕した。

 逮捕されたのは、函館市北美原3、同社装置技術部次長渡辺正昭(53)、北斗市追分1、同社元従業員で農業丹内辰雄(68)、同市一本木、長男の同丹内喜久(42)の3容疑者。

 同署などの調べによると、3容疑者は、2007年5月から08年6月までの間、産業廃棄物の廃シロップ計約1000キロリットルを北斗市内の数カ所の牧草地などに計455回にわたり不法投棄した疑い。辰雄、喜久両容疑者経営の農事組合法人「丹内有機肥料」(同市一本木)では、03年から同社から出た廃シロップの運搬や一部を利用してたい肥の製造を行っており、大量に余ったシロップを辰雄容疑者所有の牧草地などにまいていたとみられる。廃棄物処理の担当にあった渡辺容疑者がシロップ廃棄を辰雄容疑者らに指示していたという。

 昨年6月12日、北斗市職員が同市茂辺地で不法投棄を目撃し渡島支庁に報告、後日、同支庁から同署に届け出があった。茂辺地や同市大工川の現場周辺では悪臭による苦情が以前からあったという。同署は、昨年9月下旬に同社の家宅捜索や現場検証するなどして、押収した資料などから、裏付け捜査を進めていた。

 調べに対し、渡辺容疑者は「廃棄コスト削減のためにやった」と容疑を認めているといい、同署は03年以降、約1億3000万円の処理費が削減できたとみて、全容解明を進めている。

 同社によると、問題のシロップは同社の主力商品「フルーツサラダヨーグルト」の製造工程で出た缶詰入り果物の残り汁。一日平均3トン前後が排出され、適正処理した場合の処理費は、運搬料などを含め、1トン当たり約2万円という。

 同社は昨年7月に渡島支庁から指摘され、同問題を認識したといい、渡辺容疑者は同社に対し「シロップは飼料をつくるための発酵促進剤として活用している」と報告していた。中村泰三取締役総務財務部長は「認識不足が招いた結果だが、組織ぐるみの関与は一切ない。事件が起きたことは真摯に受け止め、二度とこのようなことがないよう再発防止に努めたい」と話していた。


◎函館港強殺、森被告に無期懲役

 函館市若松町の函館港「海岸町船だまり」で昨年7月22日未明、同市海岸町の無職清水裕久さん(当時46)が殺害された事件で、強盗殺人罪に問われた同市宮前町、無職森清文被告(32)と、強盗殺人ほう助罪に問われた同市高盛町、漁業野崎俊被告(21)の判決公判が3日、函館地裁であった。柴山智裁判長は森被告に対し「体が不自由で無抵抗な被害者を執拗(しつよう)に殴打するなど暴行を加え、瀕死(ひんし)の被害者を海に投げ込むなど、極めて残忍で冷酷。強固な殺意があった」として、求刑通り無期懲役を言い渡し、野崎被告に対し、懲役7年(求刑・懲役8年)を言い渡した。

 量刑理由で、柴山裁判長は「金銭に窮していた森被告はささいなことから被害者を恨み、強盗を実行し、自己保身のためにやすやすと殺害を遂げた。動機は利己的で身勝手極まりなく、酌量の余地は皆無だ」と指弾。共犯の同市高盛町無職、本間正美被告(48)=強盗殺人罪で起訴済み=を恐れて犯行に従ったとする弁護側の主張を退けた。

 また、野崎被告が清水さんの顔面を殴打した事実を認定し「共犯者の凶行に安易に追随し、殺害行為にまで加担した。野崎被告の行動が犯行に大いに影響していることは看過できない」と述べた。

 判決によると、森被告は本間被告と共謀し、昨年7月22日午前零時半ごろから同午前2時ごろまでの間、清水さんを乗用車で連れ回し、清水さんに対し「死にたくなかったら金出せや」などと脅迫、顔面や腹部などに多数回にわたり暴行を加えた。同2時ごろ海岸町船だまりで、清水さんから車の鍵など(約2800円相当)を奪った上、瀕死の状態の清水さんを海中に投げ込み、本間被告が野崎被告から手渡された鉄製のいかり(約13キロ)を顔面にぶつけるなどして水死させた。この際に、野崎被告は森被告らに従い、逃げようとする清水さんを制止するなどし、森、本間両被告の犯行をほう助した。


◎日乃出清掃工場、故障で焼却炉ストップ

 函館市のごみ焼却場「日乃出清掃工場」(同市日乃出町、上戸久二工場長)のすべての焼却炉が、2日午後2時ごろから運転を停止していたことが分かった。集めたごみをためるピットから、炉にごみを送り出すクレーンが故障したため。3日も停止を余儀なくされたが、4日は修理作業に入り、午後には再開できる見込み。この間受け入れる「燃やせるごみ」はピットに収まる見通しで、ごみの収集、受け入れ業務は通常通り行っている。

 故障したのは、クレーンを制御するコンピューター。クレーンは2台あり、どちらか1台を交代で使用していた。2月16日にこのうち1台のコンピューターが故障。機械メーカーと交換準備を進めていたが、今月2日になりもう1台が同様の状態に。焼却炉にごみを送ることができなくなったことから、同日午後2時には焼却作業を停止した。故障したコンピューターは今年9月には定期修繕工事を予定していた。

 同工場は通常24時間稼働し、1日の最大処理能力は420トン。3日は通常通り一般家庭からの燃やせるごみを収集し、ピットには同日の収集を終えた時点で約1000トンのごみが蓄えられた。これはピットの容量に等しいが、積み上げるとさらに2―3割は入れることが可能なため、事業者が持ち込む約100トンの搬入を予定する4日も通常通り受け入れる。

 同工場では3日、収集車の混乱などを避けるため多くの職員が車両誘導などの業務を行った。上戸工場長は「収集できない事態は避けられたので良かった」と話す。同工場によると、故障による焼却炉の全停止はここ数年ないという。(小泉まや)