2009年3月5日(木)掲載

◎道南で一斉に公立高入試

 道内公立高校の2009年度一般入試が4日、一斉に行われた。渡島、檜山両管内の25校でも学力検査や面接が実施され、受験生約2800人が合格を目指して試験に挑んだ。渡島教育局などによると、知内高の英語の聞き取りテストで音が聞こえにくくなる機械の不具合が起き、10分間延長して代替問題を実施した。このほかの学校で交通機関や会場のトラブルはなく、無事に終了した。

 函館中部高とともに学校裁量問題を導入した市立函館高(函館市柳町)では、募集人員350人に対し254人が出願した。穏やかな青空に恵まれたこの日、家族らに見送られて会場入りした受験生らは試験を前に緊張した様子で席に着いていた。試験は国語、数学、社会、理科、英語の順に行われ、午後3時半に終了した。

 函館商業高を受験した函館赤川中3年の大泉理沙さん(15)は「資格が取れて将来役に立つから受験した。試験は難しかったけど合格してるといいな」と話していた。

 渡島、檜山両管内の全日制出願者は3069人、定時制は112人。5日も道南の21校で面接試験が行われる。合格発表は17日。(新目七恵)



◎函病で医師7人確保…函館市議会

 第1回函館市議会定例会は4日、代表質問が始まり3会派が西尾正範市長の行財政運営をただした。診療報酬の改定や医師不足などから経営が悪化している市立病院について、新年度は少なくとも婦人科などで常勤医7人を採用できる見通しが示された。西尾市長は「医師・看護師の増員に一定の道筋が付き、外来収益が増える」と述べた。

 板倉一幸氏(民主・市民ネット)の質問に答えた。

 市病院局によると、現在1人の婦人科医が4月に1人、夏に1人加わり3人体制となるほか、4月から腎臓疾患全般を診療する腎臓内科医1人を確保する。さらに現在2年目の研修医が少なくとも4人は函館病院に残って診療する意思があるという。研修医は3年目から常勤医扱いとなり、医師増員となる。本年度の函病の常勤医は88人。一部診療科で医師の減員もあるが、2009年度は最低でも92人となる。

 板倉氏は、病院事業会計への一般会計からの繰入金が、中期財政試算よりも病院事業改革プランの方が年間4億円多く設定していることについて、どう埋め合わせをしたかを質問。西尾市長は「病院事業に対する地方交付税が増額され、一般会計繰入金を2億7000万円増額した。それでも足りない分は医師の増員で収益を増やし、補てんしたい」と述べた。

 改革プランは実効性のある計画策定が求められ、医師の極端な増員などは盛り込んでいない。このため西尾市長は医師増員の手応えを語り、06年度から休診中の産科再開についても「全力を挙げたい」と答えた。

 このほか吉田崇仁氏(新生クラブ)、北原善通氏(市民クラブ)が代表質問した。

 市議会は09年度各会計予算案など43議案を審議する予算特別委員会(11人)を設置し、同委員会は委員長に小山直子氏(民主・市民ネット)、副委員長に金沢浩幸氏(新生クラブ)を選出した。


◎15%のプレミア付き 商品券を3億円分発行…函館市議会

 函館市の西尾市長は4日の市議会代表質問で、経済界と連携して発行する15%のプレミアム付き商品券は3億円分、額面で3億4500万円を計画していることを明らかにした。定額給付金の支給は5月中旬を予定している。

 吉田崇仁氏(新生クラブ)への答弁。

 西尾市長は「地域の消費の落ち込みが厳しいため商品券を発行し、額面1万1500円の商品券を3万セット発行する予定。市の商業振興を担ってきた丸井今井や棒二森屋でも利用できるよう、商工会議所と協議を重ね、取り組みを進めたい」と述べた。

 プレミアム分の10%は市が、5%は経済界が負担。多くの市民に購入してもらうため、商店街やデパートなど利便性の高い場所で販売することを検討しており、市の広報誌や告知ポスターなどさまざまな手段でPRしていく。

 経済対策や生活支援で支給する定額給付金は「5月以降の支給になる」と述べた。市定額給付金事務局は「4月中旬の申請受け付け、5月中旬の支給を目指している」と話している。

 今後の地域経済活性化対策は「国や道と連携し、地域の経済情勢などを見極め、厳しい財政状況だが積極的に取り組んでいきたい」とした。(高柳 謙)


◎依然「苦しい状況続く」…道南の金融動向

 日本銀行函館支店(市川信幸支店長)は4日、1月の道南地方の金融経済動向を発表した。景気後退に伴う個人消費の弱まりや観光客の減少に加え、雇用環境が急速に悪化していることから、管内の景況判断を「厳しい状況が続いている」として3カ月連続で据え置いた。。

 個人消費は消費マインドの悪化から「弱まっている」と判断。主要小売店10社の売上高は冬物衣料の不振や買い控えが続き、前年比4・9%減(速報値)と23カ月連続の前年割れだった。新車登録台数は普通・小型車(前年比27・1%減)が6カ月連続で、軽乗用車(同11・4%減)が2カ月連続で前年を下回り、減少幅も拡大している。。

 観光も引き続き「厳しい状況にある」とした。函館空港乗降客数は国内便(同8・5%減)が32カ月連続で前年を下回ったほか、国際便が海外経済の減速や円高の影響で同37・3%減と大幅に落ち込み、7カ月連続の前年割れとなった。主要ホテル20社の宿泊客数や函館山ロープウェイ、五稜郭タワーの利用客も前年比2けた台の減少と苦戦が続いている。。

 雇用は前月の「非常に厳しい状況にある」から「一段と厳しさが増している」と判断を引き下げた。有効求人倍率(0・36倍)は5年8カ月ぶりに0・40倍を割り込み、2001年1月以来8年ぶりの低水準となった。生産は携帯電話や自動車向けの受注が減少し、電子部品の操業度が大幅に低下。公共投資は函館市内の国道改良工事があり、同81・1%増だったのに対し、設備投資は非住宅着工が棟数がわずか1棟にとどまり、床面積とも大幅に前年を下回った。(森健太郎)


◎障害者雇用の場守りたい セラピア「支援を」…就労のNPO

 函館市亀田町20で、障害者の就労支援施設を兼ねた喫茶店を運営するNPO法人「セラピア」(同所、平田聡理事長)がこのほど、国から障害者自立支援法に基づく就労継続支援A型(雇用型)事業所の指定を受けた。指定されると利用者の人数に応じて一定額の給付金が支給される。ただ、これまで行政の支援が受けられず、支給が始まる5月中旬までの約2カ月、資金繰りが大変という。平田理事長(37)は「皆さんの協力を仰ぎながら利用者の雇用の場を守りたい」と支援を呼び掛けている。

 同法人は2006年4月発足し、国道5号沿いに地域活動支援センター(共同作業所)を開き、喫茶店「セラピア」を開店。同8月、NPO法人化した。喫茶店では、ソフトクリームやイカ形のたい焼きのほか、地元の野菜、雑貨なども販売。車いす用マップを作成し、定期的に子育てサロンを開設するなど福祉活動も展開してきた。

 受け入れ人数は10人と小規模だが、平田理事長は「きめ細かな指導、サービスが可能。利用者が交通手段を使わず通える施設が地域単位で必要」と語る。現在、20―40代の身体、知的、精神障害者6人が登録、軽作業や接客をしながら自立に向け活動に励む。

 自力での運営は厳しく函館市に援助を求めたが、新規事業所だったため市の計画に登載されず助成を受けられなかったという。同A型事業所の条件を満たすため、昨年6月ごろから施設のバリアフリー化や医療機関との連携構築などを進め、2月に申請、今月1日付で指定を受けた。

 運営資金は月額約25万で、喫茶店の家賃と人件費が支出の大半を占める。これまでの収入は喫茶店の売り上げや賛助会員の会費、マップの広告料など。赤字の補てんは、一般の障害者を応援するために設けた基金を切り崩してきたが、平田理事長は「自助努力は限界にきているが、障害者の就労、自立を支援しながら社会貢献を続けたい」と難局を乗り切る覚悟だ。

 賛助会員を呼び掛けており、個人は1000円から、法人は1万円から。問い合わせはセラピアTEL0138・45・1287。(鈴木 潤)