2009年3月6日(金)掲載

◎10日から新たな出張医…木古内町国保病院

 【木古内】医師8人のうち2人(小児科・内科)が3月末付で退職することが決まり、医師不足が懸念される木古内町本町708の木古内町国保病院(松谷茂幸院長)の一連の問題で5日、新たな男性医師1人が3月10日から出張医(非常勤)として勤務することが分かった。内科・消化器科の専門医で、函館市美原3の協立病院が派遣する。診察は週3回(火・木・金)午後1時半から。契約は3月末までだが、町は4月以降も継続した診療体制を打診し、関係者によると協立病院側も前向きに検討しているという。

 5日開会した定例町議会で、同病院の地本隆利事務長が報告。関連経費として、内科医派遣委託料90万円を本年度国保病院事業会計予算案で計上し、原案通り可決した。

 国保病院は5日現在で常勤医8人、出張医4人が在籍し、2010年5月オープン予定で新・木古内町国保病院の移転改築工事が進む。

 1月23日に医師不足問題が浮上して以来、「緊急を要する問題」と町や議会側、病院事務局などが医師確保に向け関係機関に協力を求めていた。

 病院開設者である大森伊佐緒町長は函館新聞社の取材に対し、「地域医療を支えようと力になってくれる関係者に感謝を申し上げたい。(医師不足の)深刻な状態から脱した感はあるが、引き続き医師確保に向け全力を注ぎたい」と述べた。

 4月以降の小児科医の後継者は決まっていながいが、内科医が診療を担当する。(田中陽介)



◎職員派遣めぐり対立…海洋構想推進機構

 第1回函館市議会定例会は5日、代表質問に2氏、個人質問に2氏が立った。福島恭二氏(民主・市民ネット)は個人質問で、4月に官民で設立する一般財団法人「函館国際水産・海洋都市推進機構」に市が職員3人を派遣することについて「補助金の名目で派遣職員の給料を出すことに違法判決が出ている」と述べ、反対。西尾正範市長は「条例に基づく派遣」などとして、予定通り実施する考えを伝えた。

 公益法人への派遣法6条1では、派遣元が派遣職員に給与を支給することを禁止しているが、同条2では「地方公共団体の委託を受けて行う業務」などでは給与の支給ができるとの例外規定がある。

 福島氏は、神戸市が外郭団体へ派遣した職員の給与を補助金で支出したことに神戸地裁、大阪高裁が違法判決を出したことを挙げ、海洋都市推進機構への職員派遣をやめ、財団が独自に職員を雇用するよう求めた。

 西尾市長は「推進機構にはこれまで海洋構想に密接にかかわってきた職員を派遣するのが望ましい。行政目的を達成するため公益法人を作り、職員を派遣しているのは全国どこの自治体でもやっている」「判例が出たからといって軽々に従うことはできない。今後の対応は全国市長会などを含めて検討させてほしい」と述べ、対立した。

 福島氏は「法を順守する気持ちはあるのか。百歩譲って今まで継続している派遣であれば理解できなくもないが、新たに立ち上げる財団では判例を尊重すべき」と詰め寄った。市長は上部団体との意思調整を図る考えを伝えたが、職員派遣の予定を変える姿勢は見せなかった。

 このほか瀬尾保雄氏(公明党)、高橋佳大氏(共産党)が代表質問、松尾正寿氏(新生クラブ)が個人質問をした。(高柳 謙)


◎14支庁は存続へ・・・道、再編条例の修正検討

 【札幌】道と道議会自民党は5日までに、桧山など5支庁を「支庁出張所(振興局)」に格下げする支庁再編条例を見直し、現行14支庁体制を維持する方向で調整に入った。再編条例が定める9総合振興局と5振興局の組織フレームは維持し、広域的な政策立案機能のみを総合振興局に集約する方針。支庁問題の早期解決を目指す道は、開会中の第1回定例道議会に修正案を提案する方向。だが、9年に及ぶ支庁改革をめぐる議論が事実上白紙化されることに、道や議会側の慎重論は根強い。条例修正を求める道町村会も、振興局になる5支庁の機能や権限の維持が担保されるかは不透明として拙速な条例修正には慎重だ

 道と自民党では、道町村会が求める再編条例の修正を容認し、本定例会で条例修正を行うべきとの早期解決論が急浮上した。道町村会との対立長期化が衆院選に悪影響を及ぼす一方、道政停滞を懸念する声も背景にある。振興局の位置付けを従来通り支庁とすれば、条例施行のネックになっている法改正は必要が無くなる。

 しかし、条例修正は「支庁出張所」の文言削除にとどまらず、支庁制度改革は根幹から見直しを迫られる。窓口機関に格下げされるはずだった振興局の組織機構、総合振興局や本庁との業務分担や事務の流れ、市町村の調整機能といった改革の屋台骨が覆ることになる。道は今回の再編を過渡的段階と位置付け、将来的な支庁の再々編や全廃も視野に入れてきた。だが、結果として14支庁の存続を認めることで、堀達也前知事から引き継いだ、足かけ9年にわたる支庁改革をめぐる議論がスタートラインに後退することに道や道議会の抵抗感は根強く、会期内の条例修正は不透明な要素を残している。

 高橋はるみ知事は2月16日、道町村会など地方4団体トップとの会談で」私だけでは判断できない。道議会の理解を得て欲しい「として、条例修正を道議会に働き掛けるよう要請。これを受けて、道町村会、道町村議会議長会、道市長会、道市議会議長会は6日、条例修正を求める4会長連名の要望書を道議会に提出する。だが、会期中の条例修正について、道町村会長の寺島光一郎乙部町長は「振興局の機能維持や総合振興局との役割分担は不透明だ。機構改革や広域的業務を集約するとの名目で振興局の権能が引きはがされる懸念が残る。拙速な議論は地方に混乱をもたらすだけ」と述べ、振興局の機能を担保するため、道や市町村との十分な議論が必要との認識を示した。江差町でも「条例を修正しても振興局の組織機能が骨抜きにされる懸念がある」として、道側の真意を慎重に見極める構えだ。(松浦 純)


◎函館病院高等看護学院…事故死の3人に卒業証書

 市立函館病院高等看護学院(港町1、吉川修身学院長)の2008年度卒業式が5日、同学院で行われ、看護師を目指し学業に励んだ3年生79人が学び舎を巣立った。この日は昨年、志半ばで亡くなった同期の石田紘三さん=当時(28)と安部郁也さん=同(19)、蒲原理沙さん=同(19)の3人にも卒業証書が授与され、クラスメートが代わりに受け取った。卒業生の門出を祝いながら、故人の思い出をしのぶ卒業式となった。

 2007年7月、石田さんら3人が乗った軽乗用車は、トレーラーとの正面衝突事故で尊い命を失った。突然の訃報に同級生や後輩たちは悲しみに打ちひしがれた。事故から1年8カ月が経過して迎えた卒業式。3人への思いを胸に、臨床現場の実習や専門知識の習得に励んだ79人はたくましく成長していた。故人の写真を抱えて式に臨んだ学生も見られた。

 式では、吉川学院長が3年生一人ひとりに卒業証書を授与。在校生を代表し、2年生の三上愛有さん(20)が「いつも先輩の笑顔に励まされた。患者を第一に考える看護を目指しください」と送辞を述べた。卒業生を代表し、石原亜紀子さん(28)は「困難にぶつかっても市看魂を胸に頑張りたい」と恩師や在校生に誓った後、亡き友3人に向かって「これからもずっと一緒だよ」と悲しみをこらえ呼び掛けた。吉川学院長は仲間の死に直面した経験が人生や看護の糧となることを説き「患者から学び育てられることを忘れず、自己研さんを重ねて」と激励した。

 式後に行われた送る会では、亡くなった3人のために改めて卒業証書授与が行われた。「千の風になって」の合唱が響く中、クラスメートだった土手栄美子さん(20)と宮下舞さん(同)、境千鶴さん(同)が代表してステージに上がり、吉川学院長から証書を受け取った。会場はしんみりとした雰囲気に包まれ、父母らは目頭を潤ませた。

 土手さんは「代わりに証書を受け取った時、初めて皆一緒で卒業したという気持ちになった」と話し、今後の活躍を誓っていた。(鈴木 潤)


◎「定額給付金手続き代行します」不審者にご用心…男女2組、市職員装う

 5日午前11時20分ごろ、函館市役所に市内に住む男性から「市役所から来たという男女が『定額給付金の手続きを代行する』と自宅に来た「」と電話があった。函館市定額給付金事務局は「市職員が自宅を訪問することはない」として、同制度に目を付けた悪質な不審者とみて、函館西署に連絡するとともに市民に注意を呼び掛けている。

 同事務局によると、男性の話では不審な男女は、黄色地の布に赤字で「函館市」と書かれた腕章を着用。市役所の「民生部」から来たといい、「身分証明書を貸してくれれば手続きを代行する」と話したという。不審に思った男性が「市役所に確認する」と話すと、男女はその場から逃げ去ったという。

 市には「民生部」という部署はなく、腕章も架空のものであるという。同事務局は「実際の定額給付金については4月上旬に発送する申請書を郵送で返信して手続きをしてもらう形になる。自宅を職員が訪問して手続きを代行することや電話で口座番号を聞くことはないので注意してほしい」としている。

ており、個人は1000円から、法人は1万円から。問い合わせはセラピアTEL0138・45・1287。(鈴木 潤)