2009年3月8日(日)掲載

◎万年橋幼稚園で閉園式

 函館市立万年橋幼稚園(溝口幸司園長、園児10人)の第33回保育修了式と閉園式が7日、函館市吉川町の同園で行われた。関係者約110人を前に、同園最後の修了児10人が家族や教員らに感謝の言葉を述べ、歌やお別れの言葉を発表。卒園生1090人を送り出した同園は、33年間の歴史に幕を閉じた。

 開式前、会場にかわいらしいはかまや真新しいスーツに身を包んだ園児が入場すると参加者から大きな拍手が送られた。1人ひとりに修了証書を手渡した溝口園長は「小学校でもたくさん友達を作って元気に過ごして」と呼び掛けた。

 保護者が手作りアルバムなどを贈呈した後、園児と卒園生の函館万年橋小6年生が壇上に並んで開園から今までの思い出を振り返り、卒園生が「どの小学校に行っても皆万年橋幼稚園の仲間」と力強く声を掛けた。園児が「楽しかった思い出は、離れていても心の中で会えるからさよならはいわないよ」と話して保護者に感謝の思いをつづったメッセージカードを手渡すと、涙する家族の姿もあった。

 終了後、閉園記念として溝口園長や市内の市立幼稚園教諭らによるミニコンサートも行われた。

 修了児の滝澤優奈ちゃん(6)は「上手にできて歌も楽しかった。1年生になったらチャイムが鳴る前に給食を食べたい」と話していた。

 同園は1976年に開園。市内では少子化に伴う入園者数の減少で同園と日吉幼稚園が本年度で閉園する。日吉幼稚園の閉園式は14日。(新目七恵)



◎障害抱えながら創作活動、3人が合同展

 障害を抱えながら函館で創作活動を続ける田村紋子さん(28)、田中美旭さん(35)、木村公一さん(42)の絵や写真の合同作品展「PASSION!」が、同市赤川町365のカフェ「en(エン)」で始まった。芸術・福祉の振興団体「函館芸術会議(HAM)」が設立した「HAM障害者芸術就労支援基金」への協力を呼び掛けようと、代表の木村さんが企画。「田村さん、田中さんの作品展示は初めてだがとても質が高い。芸術作品として見てもらいたい」と話している。26日まで。

 同カフェの開店5周年を記念したイベントの第1弾。木村さんが、昨年12月にHAMが主催した障害者の創作活動を紹介するディナーライブイベントの出演者だった田村さんと田中さんを誘い、作品展を実現させた。今展には1人12点ずつ作品を出展。会場には募金箱を設置し、同基金への協力も募っている。

 田村さんは両手足に力が入らなくなるなどの障害を伴うギランバレー症候群。初期の作品には指で描いたものがあり、初めて描いた真っ赤な背景との対比が美しい金魚の絵もその一つ。ほかにも動物を題材にしたものが多く、優しいタッチで伸び伸びと描いた作品が目を引く。田村さんは「何かやっていないと不安だったので仕事をするような感覚で絵を描いていたが、今は絵が生きがい。見てくれた人に喜んでもらえたら」と笑顔を見せる。

 田中さんは昨年、広汎性発達障害の診断を受けた。ウェブ制作会社に勤務していた3年前から写真を撮り始め、市内・近郊で見た日常風景を切り取った作品が中心。大きなあくびをする飼い猫などゆったりとした時間を感じさせる心和む写真が並ぶ。田中さんは「ゆるい雰囲気の作品が多いので、気張らずに楽しんでもらえれば」と話す。

 木村さんは東京でフリーのカメラマンとして活躍していた27歳の時、関節リウマチを発症。職業としての写真家活動を断念し、故郷の函館で家業の傍ら写真を撮り続けている。作品は十数年前から今年までにイタリアや東京、道南などで撮影した風景、人物が主。「2人の作品の雰囲気にマッチした作品を選んだ」と3人の作品づくりへの“情熱”が競演する空間を創造している。

 午前11時―午後8時(日曜・祝日は同6時)。(宮木佳奈美)


◎新年度から駅前と本町へ無料バス運行へ

 函館市は新年度、函館商工会議所や本町・五稜郭地区、駅前・大門地区の商店街と連携した商店街の活性化事業に取り組む。両地区へ無料バスを運行し、商店街もこれに合わせて特売やサービスランチの提供などをして消費者の誘い込みを図る。実施時期は未定だが、関連する補正予算案を開会中の第1回定例市議会に追加提出する予定。

 定例市議会で、丸尾隆子氏(共産党)の質問に西尾正範市長が明らかにした。

 本町・五稜郭地区では5月末でグルメシティ五稜郭店の閉店が決まっているほか、丸井今井が民事再生手続きを開始した。駅前・大門地区でも商店街の衰退が進み、取り巻く状況が一層厳しくなっていることを受けて実施する。

 無料バスは、市がバス会社に委託する運行費用を負担する。特売やサービスランチは、各商店街や飲食店が自主的に実施し、バス運行の効果を利用して客の獲得に努める。バスの運行地域や規模、回数など詳細は未定で、西尾市長は「議会に相談しながら積極的に支援してまいりたい」と述べた。

 市は、対象となる五稜郭商店街振興組合(小島正彦理事長)と、協同組合五稜郭(久保一夫理事長)、函館都心商店街振興組合(渡辺良三理事長)と打ち合わせを開始。その中でこれらの取り組みが発案された。

 市は見直し作業を進めている中心市街地活性化基本計画でも、現在の対象エリアである駅前・大門地区に本町・五稜郭地区も加える方針を決めており、両地区の商業振興を一体となって進める考えだ。 (小泉まや)


◎函館市民オペラの会、定期公演初めて休止

 函館市民オペラの会(会長=金山正智・同市文化・スポーツ振興財団理事長)の2009年第1回総会が7日夜、市内梁川町のホテルテトラで開かれた。09年度事業計画案などを協議し、創立以来毎年続けていた定期公演を休止し、オーケストラを伴わない小規模なオペラ公演を函館市内や近隣で実施することを決めた。

 休止の理由は近年、公演収入の減少で財政運営が厳しくフルセット・フルオーケストラ規模の公演が難しくなったためで、今年1年を充電期間とし、来年の公演を目指す。

 代わりに第4回オペラ研究室公演を行う。若手育成の目的で定期公演とは別に実施していて、2005年以来4年ぶりに復活。演目はロッシーニ作曲の「シンデレラ」で、11月28日に市芸術ホールで上演する。もう1カ所は未定。

 公演規模は音楽部門、舞台製作など総勢50人を見込んでいる。キャストは公募せず、これまでの実績を考慮し運営委員会で決定。シンデレラ役に次藤正代さん、ラミーロ役に前田治さんが選ばれた。

 指揮・音楽監督は大坂吉明さん(副運営委員長)、演出は中村勝雄さん(運営委員)。 

 このほか、10月7日のバーデン国立オペラの公演「ドン・ジョバンニ」(同財団主催)に合わせて、プレイベントを7月12日、芸術ホールで開催する。

 同会は地域文化の発展に貢献していこうと1990年に発足。翌年の91年から18回連続の定期公演を続けてきた。 (鈴木 潤)


◎路上生活者対象に無料相談会

 函館市海岸町の海岸町会館で7日、市内・近郊の路上生活者らを対象とした無料相談会(函館地方社会保障推進協議会主催)が開かれた。さまざまな事情で住まいや職を失った人が訪れ、振る舞われた豚汁やおにぎりで体を温めながらメンバーに雇用や健康に関する相談をした。

 市内・近郊の病院や労働団体などでつくる同協議会(堀口信代表)が路上生活者の実態調査に乗り出し、1月下旬にも相談会を実施。メンバーは今月1、6日夜、市内・近郊のJR駅などで調査を行ったところ、前回調査(1月24日)で確認できた人に加え、20代の男性らを新たに確認。道南でも厳しさを増す雇用環境の悪化に加え、雇用保険が切れる路上生活者の増加などが懸念されるため、再び開催した。

 訪れたのは30―60代の7人。車上生活を続ける失業者も来場し、それぞれが約1時間、市議や医師らのメンバーと相談した。このうち5人が週明けにも生活保護を申請し、4人が市内の下宿に入居することが決まった。

 昨年末に愛知県の製造・加工会社を解雇され、函館に戻ってきた男性(55)は「路上生活は身に応える。失業保険を使って地道に求職活動を続けるつもりだが、手持ちの金がいつまで続くか」とため息をついていた。

 同協議会は「今後も派遣社員の解雇は続くだろう。4月にまた実施できれば」と話している。(長内 健)