2009年3月9日(月)掲載

◎函水高実習生42人が帰港

 中部太平洋で長期乗船実習に取り組んでいた函館水産高校(齋藤隆校長)の実習生42人が8日、函館港に帰港した。48日間の船上生活を終え、たくましさを増した生徒たちは家族らと再会し、航海の無事を喜び合った。

 乗船実習は海洋技術、機関工学両科2年生を対象に毎年実施。道教育庁実習船管理局所属の「北鳳丸」(664トン)に乗り込み1月20日に函館港を出発した。実習生は乗組員約30人から機器の取り扱い実習やマグロのはえ縄漁業などを学び、ハワイでの3泊4日を経て帰路に就いた。

 同日午前8時40分ごろ、函館港に実習船が姿を現すと集まった家族や同級生らは手を振ったり、カメラで撮影するなどして帰港を喜んだ。下船式で齋藤校長は「この48日間を契機に海洋王国日本の礎となるよう頑張って」とあいさつした。実習生を代表し、機関工学科の豊原誼之さん(17)が「忍耐力や協調性が身に付き、生涯忘れることのできない経験だった」と話し、全員で乗組員に向かって「ありがとうございました」と声を合わせた。

 実習生らは迎えに来た家族から「おかえり」と声を掛けられると、顔をほころばせて再会を喜んでいた。同科の阿部裕介さん(17)は「初めは船酔いがつらくて船上生活も大変だったが、漁業実習は一生の思い出になりハワイも楽しかった」と話していた。(新目七恵)



◎市民体育館のあり方検討 改築、新築…議論自由に

 函館市は新年度、市民体育館のあり方に関する検討懇話会を立ち上げ、1年間かけて競技団体や学識経験者らの自由な意見をまとめる。体育館整備を前提とした懇話会ではないが、開館して35年が経過した現在の市民体育館(湯川町1)を改修して使用するか、新築するかが大きなポイントになりそうだ。第1回定例市議会でも複数の議員が取り上げ、西尾正範市長の考えをただしている。(高柳 謙)

 体育館整備は2007年4月の市長選で争点の一つとなった。当選した西尾市長は改修してできる限り長く使用することを訴えた。前市長は体育館とコンベンション施設の整備をセットで掲げたが、西尾氏もコンベンション施設に関しては整備する公約を掲げている。

 現体育館は1975年に完成。市や市教委によると、体育館の本体そのものは理論値で50―60年かそれ以上持つとされるが、設備や機能面で大規模な改修が必要な時期という。配管や電気、ボイラーなどの交換のほか、床の傷みもあり、全道レベルの大会を開くには張り替えが必要。機能面でも、観覧席が2方向しかなく、バスケットボールコートが2面しか取れない。大きな大会では最低でも3面取れる面積が必要という。

 これまで外壁や屋根、天井のアスベスト除去など約3億円をかけて部分改修を実施。全面改修となれば10億円以上の費用がかかる見込み。一方で新築となれば概算で50億円ほどが見込まれている。ただ、施設整備に合併特例債を活用できると市の負担は約3分の1になる。特例債の活用期限は2014年度までで、西尾市長は市議会で、仮に期限内に整備する場合、10年度に基本構想、11、12年度に設計、13、14年度の建設とのスケジュールを示した。

 市議会では5会派中3会派が新年度予算の要望で体育館の整備を要望した。市議会の代表質問、個人質問で西尾市長は「競技団体や市民からの要望が高いのは承知している。厳しい財政状況を考慮すると難しく、建て替えと改修の両面で検討してきた。懇話会で広く意見をいただきたい」と答弁している。



◎みなみ北海道観光写真コンで上田さん、冬フェスフォトコンは池田さんが最優秀

 「第57回みなみ北海道観光写真コンテスト」、「2009はこだて冬フェスティバルカラーフォトコンテスト」(ともに実行委主催)の審査結果がこのほど発表された。「みなみ北海道―」の最優秀賞には函館市の上田紀子さんの「園亭の散歩道」が、「はこだて冬フェスティバル―」の最優秀賞は同市の池田大さんの「光の帰路」が受賞した。

 「みなみ北海道―」は函館や南北海道で、観光地の風景、行事や各地の特異な風俗、生活のにおいのする風景などをテーマに作品を募り、昨年より46点多い165点の応募があった。上田さんは函館市の見晴公園内にある園亭の中をエゾリスが駆ける姿をとらえた。このほか、特選2点など計22点が入賞した。

 「はこだて冬フェスティバル―」は同イベントにちなんだ作品を対象とし、昨年より31点少ない71点の応募があった。池田さんの作品は雪に包まれた夜の五稜郭公園で、サクラと人物のシルエットが浮かび上がっている。このほか、特選2点など計21点が入賞した。両コンテストの入賞作品は23日から29日まで、函館市末広町13の金森洋物館赤煉瓦(れんが)ギャラリーで展示される。

 両コンテストの主な受賞者は次の通り。受賞者はすべて函館市在往。(敬称略)

 ◇第57回みなみ北海道観光写真コンテスト▽最優秀賞=上田紀子▽特選=高橋春子、永井修▽準特選=神垣慎一、若松永章、斉藤美代子、成田哲夫

 ◇2009はこだて冬フェスティバルカラーフォトコンテスト▽最優秀賞=池田大▽特選=高橋春子、岩佐敏子▽準特選=神垣慎一、青山弘志、斉藤美代子


◎こどもとヤングの江差追分・民謡発表会

 【江差】江差追分に代表される郷土芸能に情熱を注ぐ子供たちが一堂に会する「第2回こどもとヤングの江差追分・民謡発表会」が8日、江差追分会館で開かれた。幼児から20代の若手ホープまで約100人が出演。会場を埋めた家族や大勢の観客が見守る中で、若さあふれる歌や踊りを披露した。

 オープニングでは、地元で江差追分を学ぶ30人の子供たちが江差追分の大合唱を披露。続いて、五勝手保育園の園児12人が江差追分とソーラン節を、水堀保育園の園児21人も、ニシンを運ぶ「もっこ」を背負った法被姿でソーラン節の元気な踊りで会場を沸かせた。

 幼児やきょうだいによる江差追分の独唱や合唱も大好評。東美羽音ちゃん(5)は大人顔負けの歌声を披露し、弟の来希君(3)も絶妙なタイミングで「ソイ~ソイ!」と、江差追分特有の合いの手である「ソイがけ」を務めて観客をうならせた。

 道立江差高校を1日に卒業したばかりの前田真伸君(18)は、発表会の司会を務めながら、選択授業で初めて習った江差追分を水嶋潤一教諭のソイがけで発表。町内の女子児童らでつくる「Hamanasu(はまなす)会」のメンバーは、町の無形民俗文化財にも指定されている「江差追分踊り」を演じた。カモメが宙を舞う様子や、船をこぐ動作を取り入れた優雅な踊りが大勢の観客を楽しませていた。

 発表会は、江差追分などの多彩な郷土芸能の未来を担う子供たちに、発表の場を提供することで上達の励みにしてもらうほか、町を挙げて子供たちや若手を応援しようと昨年度から開催。濱谷一治町長は「江差追分は町を挙げて守るべき財産だ。大勢の子供たちに歌い継がれていくことは心強い。これからも江差が誇る民謡や郷土芸能と一緒に応援して欲しい」と話している。(松浦 純)


◎ゆうあい養護学校で卒業・閉校式

 【北斗】北斗市当別のゆうあい養護学校(大場靖子校長、生徒9人)高等部の卒業式と閉校式が8日、同校で行われた。大勢の関係者が駆けつけ、卒業生9人の門出を祝うとともに、慣れ親しんだ校舎にそれぞれの思いを寄せた。

 自主・自立精神を掲げて、1973年4月に夜間学級を任意で開設したのが前身。資金難などを乗り越え、78年4月には全日制課程としての開校にこぎつけた。以後、道内唯一の私立養護学校として知的障害教育に力を注ぎ、各種イベントの開催で地域づくりにも貢献してきた。

 卒業式では、保護者ら約100人が見守る中、大場校長から生徒に卒業証書が手渡された。大場校長は「ここで学んだ自主・自立の精神を今後の人生に役立ててほしい」と式辞。生徒代表で加藤純一さん(18)が、「卒業はうれしいが、学校がなくなるのは寂しい。楽しかった思い出を忘れない」とあいさつした。

 続いて行われた閉校式では校歌斉唱後に、卒業生がハンドベル演奏を披露。「卒業写真」と「ふるさと」のやさしいメロディーが会場を包んだ。また、卒業生退場の場面では、同校OBがハープを奏で、式典に花を添えた。 (石井 克)