2009年4月1日 (水) 掲載

◎「青函フェリー」に新造船…北日本海運

 「青函フェリー」を運航する北日本海運(函館市浅野町、丹羽雅城社長)が函館―青森航路で導入する新造船「あさかぜ21」のしゅん工披露式が31日、函館港北埠頭(ふとう)に係留中の同船内で開かれた。同社にとって11年ぶりの新造船の就航を祝い、物流、旅客両面での活躍を誓った。

 「青函フェリー」は北日本海運と共栄運輸(函館市海岸町、兵頭法史社長)が函館―青森間を2隻ずつ共同運航している。北日本海運のカーフェリー「あさかぜ」(1134トン、1986年就航)が老朽化したため、昨年夏から代替船の建造を進め、同日夜、始発便が青森港に向けて出港した。

 同社の新造船導入は98年4月の「あさかぜ5号」(1958トン)以来。「あさかぜ21」は全長101メートル、総トン数2048トン。旅客定員は198人で「あさかぜ」の約3・5倍に拡張された。船内に車いす用の昇降機を設け、トイレや客室も「バリアフリー化」したのが特徴だ。

 車両甲板には大型トラック(12メートル換算)で24台と、小型トラック(9メートル換算)で2台の計26台分を積載できるスペースを確保した。あさかぜは既に海外へ売却する契約を結んでいるという。

 この日の式典には市内の海運、物流関係者ら約100人が出席。船内を見学したり、祝杯を上げたりして新たな船出を祝った。丹羽社長は「フェリーもトラックも業界は厳しいが、本道と本州をつなぐ航路の意義を再認識し、安全第一で運航したい」と話していた。1日以降、「あさかぜ21」は一日2往復4便運航し、便数や運航ダイヤに変更はない。(森健太郎)



◎支庁再編条例改正案が成立

 【札幌、江差】現行の14支庁の枠組みを維持したまま、渡島など9支庁を総合振興局、桧山など5支庁を振興局に再編する支庁再編条例改正案が3月31日、道議会本会議で可決された。道は10月の条例施行に向けて振興局地域ごとに設置する協議会で、振興局の組織体制や総合振興局に移行する広域的業務の内容を詰める。江差町は、支庁存続運動の舞台を直接協議の場に移し、農林水産部門など産業振興や地域活性化に不可欠な組織機能の存続を求めていく方針だ。

 改正案は慎重な議論を求めて反対した共産党を除く、自民、民主、公明、フロンティアの4会派による賛成多数で可決した。

 10月の条例施行に伴い渡島支庁は、現在の組織体制をそののまま受け継ぎ「渡島総合振興局」に、桧山支庁は「桧山振興局」になる。「桧山」からは3年程度の時間をかけて、総務・企画部門などの両管内にまたがる広域的業務を「渡島」に移行する。移行対象の業務は、道段階と振興局地域に設置する常設の協議会で議論する。

 改正案可決について、道町村会長の寺島光一郎乙部町長は「振興局と総合振興局が対等の関係になったことで、支庁として必要な組織機能は削減できない。市町村の合意を前提とする振興局地域での協議を見守った上で、必要に応じて道段階では地方4団体の意見を述べたい」とし、道との関係修復に意欲を示す。10月の条例施行までに振興局の組織機能をめぐる道との直接協議を控えている江差町は「今後の協議が正念場」として、支庁存続運動の体制を堅持しながら協議に臨む方針だ。(松浦 純)



◎鹿部道路など整備一時凍結

 国土交通省は31日、全国で整備予定の直轄国道617件のうち、18件を2009年度に一時凍結すると発表した。このうち道南では国道278号鹿部道路(鹿部町大岩―同本町間約7・7キロ)と同230号国縫道路(長万部町国縫―今金町花石間約14・9キロ)が対象に挙がっており、地元自治体や周辺地域に衝撃が広がっている。

 鹿部道路が凍結対象となった鹿部町ではこの日、川村正町長が函館開発建設部など各関係機関に出向き情報収集に努め、一両日中にも町議員と今後の対応を話し合うとしている。同町の高橋利之副町長は「今回の凍結規準は費用対効果のみに焦点を当てており、地域にとっての重要性が考慮されていない。駒ケ岳噴火時の避難ルート、豊富な水産物の輸送ルート、大沼国定公園や恵山道立自然公園を結ぶ観光ルートなどさまざまな役割を持ち合わせる重要路線であることに変わりはない。これまで同様に一日も早い開通に向けて働きかけていきたい」と話す。

 今回は凍結の対象外となったが、鹿部道路と同じ国道278号に整備が計画されている尾札部道路(函館市尾札部―大船間約14・8キロ)の建設促進を訴える、尾札部道路建設促進協議会(加藤詔三会長)も驚きを隠さない。加藤会長は「地域が心から望んでいる道路整備が、このように簡単にストップさせられるのはやりきれない。現場の状況をしっかりと把握した上で判断してほしい」と訴える。

 鹿部、尾札部両道路を含めた函館周辺の幹線道路の整備促進を訴える函館広域幹線整備促進期成会(会長=西尾正範函館市長)も、今回の発表にすばやく反応。この日、同期成会事務局と川村町長が今後の対応について話し合った。同事務局は「5月に行われる期成会の総会で鹿部道路の問題を取り上げ、一致団結して解決策を探っていきたい。防災、観光、物流などの役割を背負っている重要な幹線道路を一日も早く開通できるように、関係機関全体で知恵を絞っていきたい」と話している。(小川俊之)



◎退任の亀谷桧山支庁長らを「江差観光ふるさと大使」に

 【江差】江差観光コンベンション協会(打越東亜夫会長)は、31日に道職員を勇退した亀谷敏則桧山支庁長、定期異動で江差を離れた新村治桧山教育局長の2人を道内外で江差町の良さをPRしてもらう「江差観光ふるさと大使」に任命した。

 同協会の打越会長と小笠原隆副会長が、両氏に任命書とともに、町内の開陽丸や姥神大神宮渡御祭などをあしらった大使専用の名刺を贈った。亀谷氏は2007年6月、道企画振興部次長から桧山支庁長に着任した。江差町が計画している「山車会館(仮称)」の整備をはじめ桧山管内の観光振興に力を注いだ。勇退後は道社会福祉事業団(札幌市)に再就職する予定。新村氏も同年4月、道立白老東高校長から桧山教育局長に着任。学校現場での経験を生かして管内の教育活性化に尽力した。4月からは道立札幌北陵高(札幌市北区)校長に就任する。

 打越会長は「姥神大神宮渡御祭をはじめ江差の良さをPRして下さい。再び江差でお会いできることを楽しみにしています」とあいさつ。亀谷氏は「道職員を退職しますが、新しい職場でも仕事を通じて江差ファンの拡大に努力します」とあいさつ。新村氏も「新しい生徒に江差の素晴らしさをPRしたい」と語った。

 ふるさと大使は、町内で勤務した転勤族や町外で活躍する江差出身者を任命する協会の独自制度。06年3月に第29回江差追分全国大会優勝者で、テレビやラジオでも活躍する民謡歌手の木村香澄さんを第1号に任命。これまでに札幌に住む江差出身者でつくる江差同郷会の山形博会長や、元桧山支庁長の武内良雄氏ら5人が任命されている。(松浦 純)



◎道南の特産物で「ご当地おむすび」

 北海道キヨスク函館支店(佐々木将充支店長)とJA新はこだて(畠山良一代表理事組合長)、アイ・エス・アイ興発(奥津大輔社長)は、道南地域の特産物にこだわった新たな“ご当地おむすび”を共同企画した。商品名は「はこいりむすび」で、知内のカキやニラ、函館のイカ、森産SPF豚など多彩な具材を使った8種類を用意。4日からJR函館駅のキヨスクで販売を始める。

 地元食材を使った弁当商品「箱館烏賊内海(いかないかい)物語」シリーズの第2弾とし、米は道南産「ふっくりんこ」を使用。カキを丸ごと1個入れた「知内カキニラ握飯」、森産SPF豚で包み、塩と焼き肉ダレの2種類を用意した「森町ぶたじゅうむすび」、イカの足をふんだんに混ぜた「函館いかバター醤油むすび」など幅広い種類で、いずれも調味料や味付けもできるだけ地元にこだわった。価格は1個180―250円。今後も道南圏の食材を使ったオリジナルおにぎりを売り出すほか、各自治体のホームページに接続するQRコードを付けて産地発信する考え。

 佐々木支店長は「地域活性化につなげたい」、奥津社長は「1つ1つが違っておいしい」、同JA米穀課の田山光幸課長は「町や具材の価値観を高め、生産者が自慢できる商品になれば」と期待を寄せている。

 問い合わせはアイ・エス・アイ興発TEL0138・46・9977。(新目七恵)