2009年4月10日 (金) 掲載

◎市内ラーメン店主ら「南京そば」…横浜の物産展に出品へ

 函館開港150周年にちなみ復刻された日本最古のラーメンといわれる「南京そば」が、横浜高島屋(横浜市)で15日から開かれる物産展「大北海道展」に出品される。125年の時を経て、市内5つのラーメン店や製めん業者らが再現した“幻の味”を函館以外で提供するのは初めて。同じ開港都市の横浜に乗り込む店主らは「函館の活性化につなげたい」と意気込んでいる。

 南京そばは函館開港150周年プレイベントとして、昨年10月中旬に開かれた「開港五都市oト(めん)フェスタ」で販売。レシピもない中、函館のラーメン店主らが1884(明治17)年の新聞広告や文献、地域の高齢者の記憶をひもといて味を再現し、イベントの2日間で計1400食を完売した。

 開発に携わった市内5つのラーメン店はイベント後、「函館南京そばの会」(会長・平原惣之助「昭和苑」店主)を発足。各店のメニューにも載せたが「知名度はいまひとつで、先細り感もあった」(平原さん)。そんな矢先、同じく開港150周年を迎えた横浜の高島屋から物産展への出店要請が舞い込み、快諾した。

 今回は5店のうち「昭和苑」の平原さん、「えん楽」オーナーの吉川寿樹さん、「元祖バスラーメン」の丸山寿子さんの3人が代表して横浜に出向き、催事場のイートインコーナーで南京そばを提供する。21日までの7日間で各日1000食を販売する予定だ。1杯850円。

 「めんやスープ、具材はすべて函館から持ち込む。現代の国民食になったラーメンのルーツとされる味を少しでも多くの人に知ってもらいたい」と平原さん。横浜高島屋も「横浜と函館の開港イベントを盛り上げる懸け橋になれば」(広報担当)と期待を寄せる。3人は14日に函館をたつ。(森健太郎)



◎中小企業融資、2割増…函館市の制度 今月から限度額拡大

 厳しい経済情勢を反映し、函館市の中小企業融資制度を利用した金融機関の融資額が前年比2割増となっている。世界的な金融危機のほか、国の緊急保証制度で資金が借り入れやすくなったことが背景にある。市は4月から中小企業向けの融資限度額を増額し、資金の集約を図るなどの対策も講じている。

 市商業振興課によると、運転資金や設備資金など市の融資制度を利用し、中小企業が金融機関から借りた額は2008年4月から09年1月末までに総額で38億8900万円。前年同月は32億5900万円で、19・3%増えている。

 国は昨年10月31日から、従来のセーフティーネット保証の対象業種を広げ、認定条件を緩和し、企業が融資を受けやすいようにした。自治体が認定すると信用保証協会の保証付きで市や道、銀行などの各種制度を利用して資金を借りることができる。

 緊急保証制度で市が認定した件数は、昨年11月から今年3月末までの5カ月間で830件あった。従来のセーフティーネット保証は年間50—60件程度といい、大幅に増えている。信用保証協会の保証付きのため、返済不能となっても市が不良債権を持つことにはならない。  市はまた、中小企業融資制度を一新し、融資限度額の拡大や利子低減などを図った。数多くあった各種貸付資金の統合を進め、運転資金と設備資金は一般支援資金に一本化し、借り入れ限度額も運転資金4000万円、設備資金6000万円に倍増した。

 小規模事業資金や特定小規模育成資金を小口ファイト資金とし、融資限度額を2・5—4倍の1250万円とした。融資期間も2倍の10年以内としている。

 同課は「国の緊急保証制度などと合わせて中小企業への資金融資の円滑化を図っていきたい」と話している。(高柳 謙)



◎北海道遺産取材で来函…真宗大谷派札幌別院

 真宗大谷派札幌別院(藤島建樹輪番)が発行する機関紙「さっぽろ東本願寺」の平祐紀編集長(40)と池浦南雄編集員(28)が9日、北海道遺産の取材で函館入りし、五稜郭跡と箱館戦争の遺構などを取材した。門徒向けに発行する機関紙を昨年5月号からリニューアルし、インタビュー記事や旅行記、歴史紹介などでお寺を身近に感じてもらう試みを続けている。

 箱館戦争で旧幕府軍、新政府軍の双方の寺院となった江差別院、明治時代の本願寺道路開削など、東本願寺と北海道のかかわりは深い。無名の先人たちが築いた北海道遺産の紹介をシリーズ化し、函館・道南の取材では五稜郭のほか、姥神大神宮渡御祭と江差追分、内浦湾沿岸の縄文文化遺跡群を取り上げる。

 9日は函館市教委生涯学習部の担当者から、南茅部地域の縄文遺跡群や復元作業が進む箱館奉行所などの説明を受け、南茅部と五稜郭公園を取材。平編集長と池浦編集員は歴史の遺構を目と足で確認し、写真に収めていた。10日も江差町の姥神大神宮や江差追分会館などを訪れる。

 リニューアルした機関紙は隔月発行で、タブロイド判のオールカラー。巻頭に門徒インタビューを掲載している。3月号は北海道ファミリーマート社長の西尾長幸さんで、「幼少期にお経を読まされていたが、父亡き後に別院に足を運び、改めてお寺との縁の深さを感じた」と回想。一門徒の信仰体験などを虚飾なく伝えている。

 平編集長と池浦編集員は「宗教離れが進んでいる今こそ、お寺を身近に感じてもらう取り組みが欠かせず、機関紙を通して敷居を低くし、お寺に足を運んでもらう契機にしたい」と話している。(高柳 謙)

 



◎介護福祉士合格者・大妻高 全国一…昨年度卒業生

 函館大妻高校(外山茂樹校長)福祉科の昨年度卒業生が、第21回介護福祉士国家試験で、団体受験した全国の福祉系高校で最多の合格者数となった。同校受験生63人中57人が合格し、合格率も90・5%と高く、関係者を喜ばせている。

 介護福祉士は高齢者や障害者の介護を行ったり、家族などの介護者に指導や助言をするための国家資格。同校では福祉科が創設された1989年から毎年同科3年生全員が受験しており、卒業生延べ761人中、有資格者は694人を数える。

 昨年度も3年生が受験勉強や技術講習会に励み、1月後半に筆記試験に臨んだ。今回の全国受験者は13万830人で合格率は52%。このうち高校生は8487人、合格率は56・3%だった。

 卒業生の半数以上は主に市内の老人介護施設などで勤務している。函館市中島町の函館共愛会愛泉寮で、卒業生の越崎香さんと共に勤める木村栞さん(18)は「冬休みに毎日学校で勉強して大変だったけど、クラスに一体感があって楽しかった」と振り返り、小田中佳苗さん(18)も「合格は信じられなかった。利用者に信頼されるような介護士になりたい」と語る。

 指導に当たった担当の畔田(くろだ)かおり教諭(40)は「全員合格を目指してきたので不合格者が出たのが残念。今後も生徒と団結して取り組みたい」と話し、外山校長は「合格者数の多さは3年間担当教員と生徒が一致協力した結果」と喜んでいる。(新目七恵)