2009年4月11日 (土) 掲載

◎バンクに熱視線…函館競輪が開幕

 本年度の函館けいりんが9日、市営函館競輪場で開幕した。初日からナイター競輪の「スターライト函館」開催とあり、仕事を終えたサラリーマンらが来場。鍛えあげた力と技で競う選手たちに大きな声援を送っていた。

 ことしは10月下旬までの計58日間開催する。このうち、8月9日から11日までの函館記念(G㈽)以外はすべてナイターで行う。開幕初日は第8レースが始まる午後6時半ごろには日が暮れ、スーツ姿の来場者も増え始め、バンクに視線を注いでいた。

 同競輪場によると、この日の入場者数は939人だった。

 同競輪場では11、12の両日午後3時から同8時まで「ペンギンふれあいパーク」を開催。ケープペンギンと触れ合う企画で、家族連れの来場も呼び掛けている。(山崎純一)



◎交付金事業へ事業提案…海洋都市推進機構

 函館市の国際水産・海洋都市構想を具現化していく一般財団法人「函館国際水産・海洋都市推進機構」(沼崎弥太郎代表理事)の設立時評議員会が10日、函館市大森町のホテル函館ロイヤルで開かれた。同機構設立までの母体組織である同構想推進協議会の会長を務めた高野洋蔵氏(函館商工会議所会頭)を評議員長に選任。同機構の長野章副機構長が、地域主体の取り組みを支援する内閣府の交付金事業「地方の元気再生事業」に事業提案し、申請したことを明らかにした。

 評議員は西尾正範市長や経済界、教育機関の役員ら10人で構成。同機構側から沼崎代表理事、伏谷伸宏機構長ら理事、委員約30人が出席した。

 冒頭、旧協議会から同機構への事業引き継ぎのセレモニーが行われ、西尾市長が伏谷機構長に構想書を、高野氏から沼崎代表理事に設立趣意書が手渡された。

 同機構が内閣府に申請した提案事業は「はこだて『水産・海洋』で元気なまちづくり」と称した内容で、同構想に基づき、産学連携ネットワークと人材育成を狙った5項目の取り組み・活動を展開する。予算額を2800万円で申請した。

 水産物の流通と情報技術(IT)を結びつけ、高付加価値化を図るほか、水産系廃棄物のエネルギー化、新幹線輸送の可能性調査、イカ学研究所の開設などを行う考え。伏谷機構長は「採択された場合、さらに具体的な事業を考え、2010年には本格的に進めていきたい」としている。

 5月中旬に採択の可否が判明する見通し。08年度の応募状況は1186件で、採択されたのはそのうちの1割に当たる120件という。

 このほか、同機構が過日開かれた設立理事会の決定事項を報告。旧協議会の財産1700万円、市からの補助金2000万円を受け入れ基本財産としたほか、事業計画では、旧協議会が支援した「オーシャンウイーク」の開催や次代を担う子どもたちを対象とした「水産・海洋体験学習プログラム」を継続して支援し、まちかどデジタル水族館の有効活用も検討する。(鈴木 潤)



◎奥尻島の魅力PR…函館空港でフェア

 奥尻島の観光や物産を紹介する「春の奥尻島フェア」が10日、函館空港旅客ターミナルビル(函館市高松町)で始まった。奥尻島で栽培されたブドウで造った「奥尻ワイン」の第1号も初めて発売され、利用客らの関心を集めていた。フェアは12日まで。

 奥尻島の魅力を広く知ってもらおうと、奥尻町や奥尻島観光協会、奥尻商工会が百貨店の物産展など以外では初めて企画。「奥尻島」などと書かれた法被姿の関係者約10人が、乗降客らに観光パンフレットを配り、空の便の函館—奥尻線の利用拡大もPRした。

 目玉のワインは同町の農業生産法人「奥尻ワイナリー」が販売。2007年秋に収穫したドイツやフランス系品種の6種類が並んだ。価格は1本(750ミリリットル)2000—2800円で、初日だけで100本以上売れる上々の滑り出しとなった。

 シャルドネ(白)を試飲した東京都内から出張中の男性(42)は「香りも良く、飲みやすい味わいで気に入った」と手みやげを品定め。奥尻ワイナリーを操業する海老原建設の海老原孝社長は「300人以上に試飲してもらい、手応えを感じた。奥尻の地域振興につなげたい」と話した。

 会場には奥尻産のアスパラやギョウジャニンニク、ウニやサクラマスの加工品なども市価よりも安く並んだ。初年度のワインは計1万5000本が出荷され、10日から順次、市内の専門店などで販売される。フェアは午前8時—午後7時半まで。(森健太郎)

 



◎精神障害者のグループホーム「ゆうあい」を開設

 函館市内のNPO法人「障害者・高齢者地域支援ゆうあい」(佐々木豊理事長)がこのほど、同市釜谷町19に精神障害者のグループホーム「ゆうあい」を開設した。個人でNPO法人を立ち上げ、グループホームを運営するのは異例で、佐々木理事長は「当事者が社会に出られるような環境整備が必要。1つでも2つでも受け入れ先を増やすきっかけにし、次世代に引き継ぎたい」と話している。

 佐々木理事長は15年前に長男が統合失調症になり、精神障害者家族会の会長を務めた。長年、当事者支援にかかわる中で「親亡き後、誰が当事者の面倒を見るのか」との心配は尽きず、支援を受けながら地域で暮らせるグループホームの必要性を感じていた。

 市内には支援があれば地域で生活できる状態の精神障害者が140人程度いるとみられるが、住居や就労先がない当事者を受け入れる施設の不足などで退院できないでいるケースもある。こうした実態も踏まえ、佐々木理事長らは2006年に市障がい者基本計画等策定推進委員会にグループホームの開設を要望していたが、08年4月に家族会のメンバーや賛同する仲間とNPO法人を立ち上げ、自ら設立計画を進めてきた。

 グループホームは戸井地区の海に面した木造2階建ての民家を借り、内部を改修した。改修費は600万円で、国から300万円、市から150万円の補助を受けた。定員は5人で全室個室。入居者同士、地域住民との交流や、障害者・高齢者の相談を受けるコミュニティールームを設けた。佐々木理事長は「高齢者と障害者が触れ合いながら過ごせるユートピアを作りたい」と期待を込める。

 毎日、佐々木理事長ら職員が朝から夜まで常駐する。花見や浜辺でのジンギスカンパーティーなどの催しも企画。敷地内には倉庫も隣接しており、佐々木理事長は「作業訓練の一環で廃油をリサイクルした燃料作りにも挑戦したい」と話す。365日3食付きで利用費は月額6万円。空きがある4室の入居者を募っている。掃除などのボランティアスタッフ、賛助会員(一口2000円)も募集中。問い合わせは佐々木理事長TEL0138・42・7502。(宮木佳奈美)



◎情報集めアイデア提案…「アンテナ職員」任命式

 函館市が本年度からスタートする予算措置を伴わない新事業「アンテナ職員制度」で、アンテナ職員として応募した職員15人への委嘱状交付式が10日、函館市役所で行われた。西尾正範市長は「常識に縛られず、新しい視点からの考えを期待している」と呼びかけた。

 同制度は意欲ある職員を募り、年間10人程度を「アンテナ職員」として任命。この職員が得た情報などを元に直接市長に報告、事業提案などをすることで、埋もれがちなアイデアを行政運営に生かす。任期は1年間で、基本的に再任はしない方針。具体的な活動としては、年間1回以上、意見交換を兼ねた市長との昼食会を予定するほか、アンテナ職員同士の意見交換会を不定期で開催する。

 報告や提案は封書で秘書課を通して直接市長に渡され、(1)事業化(2)詳細調査(3)保留(4)却下—のいずれかとなる。事業化などが見込まれる場合、副市長ら幹部職員で構成する庁内会議「都市経営会議」に提案する。

 15人は、総務や財務、福祉、土木など各部のほか、戸井支所や水道局、交通局、教育委員会などから集まった28—46歳の職員。任命式で西尾市長は、一人一人に任命書を手渡し「よろしくお願いします」と言って固い握手を交わした。

 任命された職員は抱負として、「自分のためにもなると考え、参加した」「生活の中で見落としていることに興味を持ちたい」「頭を柔らかくして業務に貢献したい」などと述べた。(小泉まや)