2009年4月14日 (火) 掲載

◎大沼で遊覧船が運航開始

 【七飯】大沼国定公園の大沼と小沼を巡る観光遊覧船が12日、今シーズンの運航を開始した。雲ひとつない快晴の下、観光客は駒ケ岳をバックに優雅な水上散歩を楽しんだ。

 同公園では、大沼合同遊船(堀元社長)が5隻の遊覧船(定員120人用20トン3隻、同80人用10トン2隻)を所有し、毎年4月初旬から12月初旬ごろまで、大沼と小沼の景色と自然を楽しむ航路7キロ、約30分のクルージングを行っている。

 この日は天候にも恵まれ、波も穏やかな絶好の遊覧日和。乗客は、デッキに出て心地よい初春の風を浴びながら、駒ケ岳の雄姿や点在する浮島の風情などに見とれていた。

 北斗市に住む親類のところに遊びに来ていた埼玉県の小山修さん(63)と真津子さん(59)夫妻は「大沼にはこれまでも何度も訪れているが、遊覧船に乗ったのは今回が初めて。景色はもちろん素晴らしかったが、風が心地よくて気持ちよかった」と感激の様子だった。

 遊覧船の料金は大人(中学生以上)960円、子ども(小学生以上)480円。幼児は大人1人に付き1人無料。(小川俊之)



◎東京でアンケート、道南旅行は「新幹線」で、開業に向け高い注目度

 道南地域観光戦略会議(事務局=渡島支庁)はこのほど、東京で行った「みなみ北海道(渡島・桧山全域)」に関するアンケート調査の結果をまとめた。みなみ北海道への移動方法を選ぶ設問では、現時点では「飛行機を利用する」が「新幹線を利用する」の10倍以上の差をつけているのに対し、新函館駅開業後では飛行機48%に対し、新幹線34%と肉薄。新幹線延伸に対する注目度の高さと、新幹線を利用する旅行客を迎える準備の重要性が確認できる。(小川俊之)

 同会議は、道南地域の観光協会や観光関連団体、行政機関ら40団体で構成し、全国各地で様々なPR活動を展開。同アンケートは同会議の構成団体の職員19人が2月に東京の高島屋新宿店で行った「北海道物産展」内で実施したもので、設問は11、回収数は108件だった。

 このうち南北海道への移動方法については、現時点では「飛行機を利用する」が75%と4分の3を占め、「八戸まで新幹線を利用し、その後従来線・フェリーを利用する」はわずか6%にとどまった。

 一方、2011年度に新幹線が新青森まで開業した場合については「飛行機」が59%で「新青森まで新幹線を利用し、その後従来線・フェリーを利用する」は23%と大幅アップ。さらに15年度に新函館まで開業した場合は「飛行機」が48%と過半数を割り、「新函館駅まで新幹線を利用する」33%、「木古内駅まで新幹線を利用する」1%と新幹線の利用が合計34%となり、北海道新幹線開業への注目度の高さが現れている。

 他の主な設問では「みなみ北海道に行ったことがあるか」については、「行ったことがある」64%、「ない」30%。「みなみ北海道に関してイメージするもの」については、「函館の夜景」16%、「海の幸」15%、「広大な自然大地」13%、「美味しい食べ物」12%。「函館」11%と、函館に関連する回答が多いのが目立つ。

 また道南地域の「行ったことがある」市町名を選ぶ設問では、函館74%、七飯(大沼)43%、長万部36%、松前22%、江差21%と、20%を超えたのはわずか4市町。一方「行ったことないが地名は知っている」では、奥尻が77%、松前が64%、江差が59%、長万部が57%、知内が55%と高い数字を示したが、「行ったことがないし地名も知らない」で10市町が50%を超えるなど、特定の人気地域以外の知名度の低さが浮き彫りになっている。

 同会議では今回のアンケート結果をふまえ、新幹線を活用した本州方面からの観光客誘致に向け、積極的なPR活動を展開していきたいとしている。



◎しめやかに啄木忌

 石川啄木(1886—1912年)の98回忌にあたる13日、函館啄木会(岡田弘子会長)主催の啄木忌が函館市住吉町の東海山地蔵堂で行われた。啄木を愛する会員や市民ら30人ほどが参加し、法要や「石川啄木一族の墓」への墓参で啄木への思いを新たにした。

 啄木が亡くなった1912年の翌年の一周忌で、啄木が身を寄せていた同人「苜蓿社(ぼくしゅくしゃ)」のメンバーが同会を立ち上げて以来、啄木忌は現在まで行われている。参加者は同地蔵堂での法要と石川啄木一族の墓で一人一人焼香を済ませた。

 この後の追悼講演会には、上ノ国町職員で国際啄木学会会員の北村克夫さんが江差、函館の歌人西堀秋潮(しゅうちょう)と啄木の交流について講演。歌人与謝野鉄幹が創設した「新詩社」の社友に、函館で一番初めに入ったのが西堀であることや、西堀が小樽で営んでいた書店に啄木が通っていたとされる様子を語り、「啄木は鉄幹が一目置いていた西堀と文学談義で盛り上がり、文学活動の意欲を高めていたのでは」と話した。

 西堀の孫にあたる吉村征子さん(71)は「祖父と啄木の交流が語られるということで来ました。啄木忌だけでなく、文学作品がこれからも世に語り継がれてくれれば」と話していた。 (長内 健)



◎商工会議所が事務所移転

 函館商工会議所(高野洋蔵会頭)は13日、函館市若松町7の新事務所に移転し、業務を開始した。同会議所では1967年以来、42年ぶりとなる「自社ビル」の取得で、この日は開所式や祝賀会などが行われ、地元の新たな経済拠点の誕生を祝った。

 移転先のビルは、昨年9月まで本町地区に移転した野村證券函館支店があった旧野村證券ビルで、鉄骨造り4階建て延べ床面積は約1200平方㍍。1—3階を事務所として使い、2階に役員室、3階に収容規模100人の会議室などを設けた。

 この日の業務開始を前に、新事務所前で開所式が行われ、職員らが見守る中、高野会頭や西尾正範函館市長、市川信幸日本銀行函館支店長ら5人がテープカットして、新事務所の開設を祝った。

 同日夜には記念の祝賀会もあり、出席した経済界の関係者約120人を前に、高野会頭は「開港150周年の記念すべき年に新事務所で業務を開始し、職員一同気を新たにしている。オピニオンリーダーとして地域の発展のため努力したい」と抱負を語った。

 新事務所2階には旧事務所の函館北洋ビル(若松町15)6階にあった中小企業基盤整備機構北海道支部函館オフィスも移転した。(森健太郎)



◎棒二森屋で年金支給日に割引や特典

 函館市内の百貨店、棒二森屋(若松町17、井上裕司店長)は15日から、偶数月の年金支給日に合わせ、65歳以上の買い物客を対象に割引や特典を受けられるサービスを始める。消費不況や節約志向で苦境に立たされる百貨店業界だが、シニア層の購買意欲を刺激し、生活に密着した“お得感”で集客力アップを狙う。

 名付けて「シニアパスポートデー」。65歳以上であることが確認できる年金手帳や免許証などを持参し、店頭で「シニアパスポート」を入手するのが条件。年金支給日の15日とその翌日に買い物をする際、同パスを見せれば、本館の各フロアやアネックス地階などで一部商品を除き割引や粗品のプレゼントがある。

 婦人服や紳士服、服飾雑貨、家庭用品などが最大で20%引きになるほか、宝飾品や地下の食品売り場でも対象商品で5—10%の割引がある。また、シニアパスポートデーは購入金額3150円以上の場合、市内・近郊へ無料配送する(通常は5250円以上)。

 同店によると、年金支給日の売り上げは通常より2割ほど多いという。一方で、食品や衣料品は近年、大型スーパーなど専門店に顧客が流れる傾向があり、「普段から使っていただける商品を中心に優待制度を拡充し、少しでも生活に密着、応援しようと企画した」(営業企画)。

 同店が入る百貨店の中合(福島市、安藤静之社長)グループ6店では昨年12月から順次、同様のサービスを開始している。今後は、年金支給日の偶数月ごとに対象となる商品や割引率などを見直す考えで、同店は「お客さまの反応や要望をみながら、一層のサービス充実を図りたい」としている。(森健太郎)