2009年4月17日 (金) 掲載

◎函館五稜郭病院 栄養サポート室開設

 函館五稜郭病院(函館市五稜郭町38、高田竹人院長)は今月から、患者の栄養管理、指導を専門的に行う「栄養サポート室」(室長・高金明典診療部長)を新たに設けた。管理栄養士や看護師など、職種の異なる職員が兼務しながら行っていたこれまでの栄養サポートチーム(NST)を強化した新組織で、専任の8職員を配置し、患者の栄養管理を個々の症例や治療内容に応じて適切に実施していく。

 同病院では2003年にNSTを組織し、これまで主治医の治療や通常の薬の処方だけでは改善できなかった症状を、不足栄養素の補給で快方に向かわせるなどの効果を挙げてきた。専門技能を持つ資格者の養成にも力を入れてきた。

 ただ、メンバーが他の専門職と兼務をしながら活動していたため、患者の栄養状態をきめ細かく管理することが難しく、新たな体制の強化が課題として挙げられていた。

 今回立ち上げたサポート室には、医師と管理栄養士、看護師を各2人ずつ、臨床検査士と薬剤師を各1人ずつ配置。室長を高金明典診療部長が、副室長を目黒英二外科主任科長と挽野治子検査科長が務める。目黒副室長は「継続的に患者の栄養状態を診ることで小さな変化にも対処でき、早期回復につなげることができるのでは」と期待する。

 また新体制発足に合わせて、メンバー4人が日本静脈軽腸栄養学会認定のNST専門療法士の資格を取得。NST活動で実績を挙げている高知県の近森病院に研修に行くなど、個々のスキルアップも図った。

 同室専従の横堀恵子管理栄養士は「これまで以上に情報や知識を蓄え、患者の治療の手助けにつなげていきたい」と話している。(鈴木 潤)



◎サハリン航空 ユジノ線支援要請

 函館—ユジノサハリンスク線を運航するサハリン航空(ロシア・ユジノサハリンスク)から函館市へ16日、「経営状態が厳しいため支援を要請したい」とする連絡が入った。サハリン航空本社から来週、担当者が市を訪問する予定で、市は情報収集と日程の調整を進めている。

 サハリン航空函館支店から市空港課に連絡があった。情報収集中だが、ユジノ線は10年ほど前に廃止問題が浮上したことがあり、今回も存続問題に発展する可能性もある。サハリン航空の要請は財政支援が想定されるが、財源問題のほか、大韓航空のソウル便など他路線もあることから、難しいとみられる。

 函館—ユジノ線は1994年4月、函館空港初の国際定期便として就航した。同課によると、36人乗りの双発プロペラ機が週2往復し、搭乗率は98年度の73・5%が最高。2007年1月から108人乗りのジェット機に変更し、機材の大型化で事実上、週1往復となり、07年度の搭乗率は29・0%、08年度は28・3%と低迷している。

 予定では本年度の早い時期に約50人乗りの双発プロペラ機に変更し、週2往復に戻ることが期待されていた。

 函館空港の定期路線では昨年11月から日本航空が関西空港便を運休しているほか、今月に入ってエアーニッポンネットワークが丘珠便5往復を新千歳に移行する考えを市などに伝えている。(高柳 謙)



◎手話検定 函館から3人 最年少合格

 函館市に住む函館神山小2年の笹谷博美さん(7)、函館大妻高1年の鈴木麻那さん(15)、長谷川渉さん(27)=税理士法人アグス函館事務所勤務=がこのほど、第3回全国手話検定試験の5級、4級、3級にそれぞれ合格した。函館聴覚障がい者協会などによると、3人は函館地区で各級の最年少合格者。ろうあ者や手話通訳士の家族を持つ3人は、「もっとうまく話したい」「コミュニケーションを取りたい」との強い思いから手話を独学で習得してきた。関係者は合格を喜び、「手話への関心が高まれば」と期待を寄せている。

 笹谷さんの父、光一さん(35)は生まれつき耳が聞こえない。物心ついた時から指文字や手話を使って会話した笹谷さんは、時には母の智子さんに通訳してもらいながら少しずつ手話を身につけてきた。

 試験は母の勧めで、小学1年だった昨年10月に挑戦。「緊張したけど頑張った。合格を知って『やったあ!』と思った」と振り返り、「お父さんとうまく会話したいから手話をもっと勉強したい」と話す。光一さんは「(娘の合格は)大変うれしかった。将来は1級まで目指してほしい」と喜ぶ。

 鈴木さんは両親が手話通訳士として市内外で活動する。母とろうあ者の集まりに出ることも多く、「気が付いたら手話を教えてもらっていた」という。手話通訳士を目指しており、4級合格は手話技術を向上させるための励みになった。「ろうあ者の手話はかっこいい。ろうあ者の言いたいことをちゃんと伝えられるとうれしい」と魅力を語る。

 長谷川さんは両親がろうあ者。進路など自分の複雑な気持ちを伝えるためには手話が必要と感じ、大学卒業後の25歳で手話講座に入門。手話サークルにも参加し、今回は「自分のレベルを知りたい」と受験した。「ろうあ者の歴史を知り、両親への見方が変わった。将来は通訳の仕事に携わりたい」と語る。

 手話を積極的に取り入れるろう学校も増える中、同協会の藤原弘實会長(68)は「手話人口を増やすのが狙い」と試験について説明。光一さんも「商店街や理容室で手話ができる人が増えれば便利。ぜひ多くの人に受けて欲しい」と話している。

 手話検定に関する問い合わせは全国手話研修センターTEL075・873・2646。(新目七恵)

 ■全国手話検定試験■ 社団福祉法人全国手話研修センター(京都)主催。ろう者とのコミュニケーション能力を評価することを目的に2006年度から始まり、5—2、準1、1級の6つがある。5級は自己紹介、3、4級は身近な話題ができる程度などのレベル。試験は全国各地で実施され、函館では昨年度、初めて函館聴覚障がい者協会を中心とし、4、5級の試験を開催。各27人が合格した。第3回の合格率は全国で91・5%。



◎期間中の死亡事故1件 春の交通安全運動まとめ

 道警函館方面本部は16日、春の全国交通安全運動(6—15日)期間中の管内で発生した交通事故状況をまとめた。期間中の死亡事故は、厚沢部町の国道で15日、79歳男性運転の乗用車が街路灯に衝突する単独事故を起こし、同乗者の75歳女性が死亡した事故の1件。人身事故の発生件数は前年同期比2件増の44件だった。事故形態をみると、前方不注意など「うっかり・ぼんやり型」の事故が多くみられた。

 道内全体では、前年同期比53件増の472件で、死者は同6人増の7人で、新潟、茨城県と並んで全国で最も多かった。7人のうち6人が高齢者で、運転者が3人、同乗者が2人となっている。

 管内の事故形態別では、車両同士が25件、自転車対車が10件、歩行者対車が7件、車両単独が2件。車両同士では追突が15件、出合い頭が4件など。事故原因として、交差点などでの安全確認を怠ったものが18件、前方不注意が13件など、安全運転義務違反となるケースが8割を占めた。

 期間中、飲酒運転での逮捕者は3人。6月の道交法改正では、飲酒運転がらみの違反に対する罰則が強化され、酒酔い運転で摘発された場合、免許の欠格期間が3年間となるほか、酒気帯び運転でも呼気1リットルあたり0・25ミリグラム以上アルコール濃度が検出された場合は免許取り消しの対象となる。

 大型連休期間中は花見に伴う飲酒や行楽地への長距離ドライブの機会が増える。同本部交通課は、交差点や高齢者の事故防止対策、シートベルト・チャイルドシート着用の徹底、飲酒運転根絶などの各取り締まりを強化する方針。(今井正一)



◎支庁再編 道との対話促進で一致 桧山町村会

 【江差】支庁制度改革をめぐり檜山支庁管内町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)は15日の定期総会で、桧山振興局(現・桧山支庁)の組織体制や機能をめぐる道と地元市町村の協議をめぐり、従来の対決姿勢を転換し、道が提示する検討案の内容を見極めながら、積極的に対話に応じる方針で一致した。

 桧山町村会は、支庁存続や機能維持を求めて“徹底抗戦”の構えを示してきたが、道と道議会が支庁再編条例を改正し、現行14支庁を同列に位置付け、関係市町村からの意見聴取を条例に盛り込んだことを評価。道が5月中に検討している高橋はるみ知事の桧山入りについても、寺島会長は「条例改正に感謝したい。胸襟を開いて管内の地域振興について意見交換したい」とし、道との対話には積極的に応じていくことを決めた。

 高橋知事は、桧山など5つの振興局の組織体制や機能や、渡島など9つの総合振興局に集約する広域的業務について、地域の合意を得ながら検討することを道町村会など地方4団体と確認。道は10月の新体制移行までに、関係市町村との協議を進める針だが、寺島会長は「総合振興局と振興局は対等。振興局にも一定の支庁機能が維持される。大きな対立点は生じない」と楽観的な見通しを示し、事務レベルでの調整を経た上で、桧山町村会として知事サイドとの協議に臨みたい考えを示した。

 桧山町村会は早ければ月内にも、管内町村議会議長会(会長・若狭大四郎上ノ国町議会議長)をはじめ、檜山管内商工会連合会、新函館農協、ひやま漁協、桧山地区森林組合振興会などの産業経済団体、支庁存続を求める江差町の住民組織などと会合を持ち、道との対話促進に向けた管内全体の意志統一を図る方針という。(松浦 純)