2009年4月21日 (火) 掲載

◎世界料理学会が開幕

 国内外から気鋭の料理人が集う「2009世界料理学会inHAKODATE」(実行委主催)が20日、函館市末広町の五島軒本店で開幕した。21日までの2日間で17人が独自の調理方法や料理哲学などを映像を交えて披露。初日は東京や青森、スペインなどから参加したシェフらが発表し、海外の料理学会参加経験者らによるオープニングトーク「料理学会とは」や開催記念パーティーも行われた。(宮木佳奈美)

 料理人が技術向上のため、学会形式で情報交換するスペイン・バスク地方サンセバスチャンの「ロメホールガストロノミア(最高美食会議)」をモデルに、市内のスペイン料理店「レストラン・バスク」オーナーシェフ深谷宏治さんの呼び掛けで今年初めて函館で開かれた。初日は約260人が参加した。

 オープニングでは、日本料理「龍吟」(東京)代表の山本征治さん、フランス料理店「アロニア・ド・タカザワ」(東京)のオーナーシェフの高澤義明さん、スペイン料理店「エル・ポニエンテ」(大阪)のオーナーシェフ小西由企夫さんが料理学会について意見交換した。

 山本さんは「料理学会は料理人が自分の考え、哲学を述べる場で、技術を公開し、皆で共有して底上げすることになる」と指摘。函館での開催について、高澤さんは「地方は食材の宝庫。地方との文化交流には意義がある」とし、小西さんは「東京に集中してしまうので、地方で努力している料理人にスポットを当て新しい技術を共有した方がいい」と語った。

 このほかスペイン・サンセバスチャンから出席した料理人のダニエル・ロペスさんらが自身の店、レシピやその調理方法などを映像で紹介した。実行委代表の深谷さんは「料理人の創造性やこだわり、新しい感覚を知ってもらいたい。函館だけでなく日本各地に広まり、地方の活性化にもつながれば」と話していた。

 21日は午前9時半から午後5時まで。「地方レストランのあり方」をテーマにしたパネルディスカッションのほか、キッチンとの実況中継を交えた発表なども行われる。当日券は2000円。



◎函館市、定額給付金 DV被害者に同額支給

 函館市は、配偶者からの暴力(ドメスティックバイオレンス=DV)から逃れるために住民票を元の住所に残したまま別の住居に避難し、定額給付金や子育て応援特別手当を受け取ることができない人を対象に、これらと同等の金額を支払う「DV被害者生活支援特別給付金給付事業」を実施する。2月1日現在に被害実態があることなどが条件。40世帯の110人が対象となる見込みで、5月1日に申請の受け付けを開始する。

 DV被害者の生活支援を目的に函館市の予算で行い、約200万円の支出を想定する。定額給付金は19—64歳に1万2000円、64歳以上と18歳以下に2万円が、子育て応援特別手当は2002年4月2日から05年4月1日までに生まれた第2子以降の子ども1人当たりに3万6000円が支払われており、給付金額はこれと同額となる。

 給付対象となるのは、世帯主である加害者と別居中で、2月1日以前に公的機関や支援団体などに面接相談したDV被害者と、その子どもや祖父母などの同伴者。継続的に同市内に住み、申請時以降も市内に住み続けると見込めることが必要だ。

 受け取るには、5月1日以降に電話または来所での申し出が必要。この時に状況などを聞き取りして確認したのち、申請書を送付する。申請書のほか、本人確認の書類やDV実態が確認できる書類(裁判所の保護命令決定書、面接相談の証明となる記録書類など)が必要となる。

 申請受け付けは11月2日まで。受け付け、相談窓口は男女共同参画課TEL0138・21・3478。

 函館市は20日、市役所と各支所に定額給付金の申請受付窓口を開設。初日の申請件数は各所合わせて1256件だった。市定額給付金事務局によると、いずれの場所でも待ち時間はほとんどなく対応したという。市役所を訪れた堀川町の石川千栄美さん(49)は「不安な部分があったので窓口を選びました。3分ほどでスムーズに終わりました」と話していた。

 同市には20日までに、郵送で全体(約14万2400通)の約66%に当たる9万3972通の定額給付金申請書が到着しており、職員は連日午後10時まで作業するなどの対応に追われている。(小泉まや)



◎函館市、津波ハザードマップ作製

 函館市は津波災害時の被災予想地域を記した「津波ハザードマップ」を作製した。2万部を印刷し、弁天町や末広町、若松町、海岸町、港町などの13万6000世帯と約200事業所に配布するほか、市役所や支所、中央図書館などで配布する。

 三陸沖地震や十勝沖地震などによる津波被害は、JR函館駅やベイエリア周辺が最も懸念され、最大で3・2メートル(標高2メートルの場合は1・2メートル)の浸水が予想されている。想定される浸水を4段階に色分けしているほか、避難所として市役所や水道局などの公共施設、避難ビルとしてホテルグランティア函館駅前、ロワジールホテル函館、函館国際ホテル、ラビスタ函館ベイの4ホテルがあることを伝えている。

 旧4町村地域では、女那川(恵山)、矢尻川(椴法華)、八木川(南茅部)などの河口で逆流やはんらんが予想されている。

 2003年の十勝沖地震での被害を踏まえ、総務省は道に、沿岸部の浸水予想図の作製や避難対象エリアを指定するよう求めた。市は道の浸水予想図を活用してハザードマップを作製。住んでいる地域が危険な場所であることを知ってもらい、避難場所を確認し、日ごろからの防災意識を高めてもらう。

 ハザードマップはA3判の両面カラー印刷。市のホームページでも紹介している。問い合わせは市総務部防災担当TEL21・3648。(高柳 謙)



◎判員制度開始まで1カ月、函館地裁では3分の1が辞退申告

 5月21日以降に起訴された重大事件が審理の対象となる裁判員制度のスタートまであと1カ月。函館地裁管内の裁判員候補者名簿に記載された1500人に発送した調査票の回答結果によると、申告した辞退理由が年齢や疾病などの条件に該当した人は、死亡やあて先不明を含め、全体の約33%に当たる494人となった。辞退は認められる可能性が高く、同地裁管内では残る1000人余りの名簿の中から裁判員が選ばれる見通しとなる。

 調査票は昨年11月、最高裁が全国の候補者約29万5000人に名簿記載の通知とともに発送。学生や70歳以上の高齢者、重い病気を抱える人、裁判員となることができない職業(司法関係者、警察官、自衛官など)の人、参加が困難な月を把握するための事前調査で、同地裁管内では、約50%に当たる749人から回答を得た(3月10日現在)。

 辞退を申告した494人の内訳は、「70歳以上の高齢者」が285人で最多。次いで「重い疾病・障害」が161人、「学生・生徒」が9人、「過去4年間に検察審査員経験者」は5人となった。このほか、司法関係者ら就職禁止事由該当者が7人、あて先不明23人、すでに死亡など4人となっている。

 制度の対象となる重大事件は殺人や強盗致傷、現住建造物等放火などで、同地裁管内の2008年までの過去5年間の平均事件数は13・6件。仮に、09年は5月以降の約8カ月間が対象となるため、事件数を3分の2の9件、補充裁判員を除き1事件に必要な裁判員数を6人として試算すると、名簿残数の約1000人から選ばれる確率は約18人に1人となる。

 同地裁では「辞退申告者の人数は予想された範囲内。制度開始後に、裁判員が不足することはなく、支障はないだろう」としている。(今井正一)



◎道南理容競技大会、若手ら腕前競う

 第62回道南理容競技大会(道理容生活衛生同業組合道南地区会主催)が19日、函館市中島町の函館理容美容専門学校で開かれた。同組合に加盟する市内・近郊の若手理容師や同校の学生10人が出場し、腕前を競った。

 競技は、モデルを使って伝統的なオールバックスタイルを仕上げる「クラシカルカット」など7部門。定められた時間内で規定をクリアすることを条件に、カットやセットの技術、出来栄えなどを競う。

 開会式で同地区会会長の横山邦彦大会長は「練習成果を十分に発揮してほしい」とあいさつ。9人の審査員が見つめる中、競技が始まると、出場者は真剣な表情でモデルやウィッグに向い、日ごろの練習成果を披露した。

 審査委員長の浅井司さんは「学生も含め全体的にレベルの高い作品が多かった。全道大会でも上位入賞する力がある」と評価。今年は出場した10人全員が6月15日に札幌で開かれる全道大会に出場することになり、10月19日に京都で行われる全国大会を目指す。(宮木佳奈美)

 結果は次の通り(敬称略)。

 ▽第1部門(クラシカルカット・イブニングスタイル)優秀賞=安藤繁樹▽第2部門(レディースカット・モードスタイル)優秀賞=滝川勇一▽第3部門(3A—tion)=優勝・東幸範、準優勝・杉村雅彦、3位・菅原洋治▽第4、5部門=出場者なし▽第6部門(クラシカル・バックスタイル・アイロン仕上げ)優秀賞=増田智樹▽理容学生部門(チャレンジ)=優勝・穂積弘平、準優勝・大坂明日菜、3位・対馬巨樹、敢闘賞・斉藤隆三郎