2009年4月25日 (土) 掲載

◎ナッチャン7月復活へ 道運輸局に認可申請

 道南自動車フェリー(函館市港町3)は24日、昨年10月末で運航を休止した函館—青森間の高速船「ナッチャン」について、7月18日から9月30日までの間、期間限定で運航を再開するため、北海道運輸局函館支局に認可を申請した。早ければ5月中にも認可される見通し。

 同社は当初、大型連休前の4月下旬の運航再開を目指していたが、青函双方の漁業関係者との調整が難航。運航に伴う波の影響に配慮し、速度を落として函館—青森間の所要時間を就航当初より約1時間長い2時間45分に設定することで合意に達した。

 期間中は高速船2隻のうち昨年5月に就航した「ナッチャンWorld(ワールド)」を使用。運航ダイヤは7月18日—31日と、8月24日—9月30日が一日1往復2便、繁忙期の8月1日—23日は一日2往復4便運航する。船員数を減らしてコスト削減を図るため、定員は従来より4割以上少ない450人。

 所要時間の延長や船内サービスの簡素化に伴い、料金は従来より最大で約30%引き下げる。エコノミーが大人片道4000円、上位クラスのエグゼクティブが同7000円で、ETC(自動料金収受システム)搭載車などの需要を見込む乗用車も1台当たり従来の2万3000円から2万1000円に値下げする。

 函館市は20日付で同社に早期の運航再開を求める要望書を提出していて、港湾空港部は「今年は開港150周年や青函ツインシティ20周年の節目を迎えるため、観光振興への期待も大きい」と歓迎。同社は「運休後に利用客から復活を望む声を多くいただいた。地域への貢献や活性化につなげたい」としている。(森健太郎)



◎市内大学、学生確保へ独自色

 少子化で大学間の学生獲得競争が厳しさを増す中、函館市内の大学は特色作りに力を入れている。学費の値下げや学科再編、ブランドの構築に乗り出す大学も出てきた。各校は生き残りを図るために独自色を打ち出しつつ、連携強化で地域全体の魅力度アップを目指す。

 23日、2010年度の学科統合と入学定員削減を発表した函館大学(溝田春夫学長)。学科再編の目玉は共通科目「商学実習」の新設だ。

 函館の地域性から「観光」と「食」にスポットを当て、地域企業と協力して学生がイベント企画や市場調査などを実施。活性化に向けた課題を検討した結果を地域へ発信する。同大を経営する野又学園の野又淳司常務理事は「身近で国際的な分野。地域を題材にして商学の魅力を伝えたい」と狙いを語る。同大は入学金と学費の引き下げにも踏み切り、志願者増を目指す。

 同学園の函館短大は本年度から保育学科を開設した。函館医療保育専門学校の保育科を移行する形で、「より高度な教育環境を整え、社会的ニーズに応えたい」(野又常務理事)という。

 一方、教員養成系から教養系へと課程変更した道教大函館校は、本年度から独自のブランド化に着手した。デザイナーの協力を受け、教職員や学生、地域住民に学校のイメージを調査し、学校の「良さ」や「売り」をデザイン化する。完成したキャラクターなどは今後の広報活動で全面的に打ち出す計画だ。大江洋広報室長は「(教員の資質向上などの)FD活動と2本柱とし、質、量ともに向上させたい」と意気込む。

 また、ロシア極東大函館校はロシアビジネス関連の科目強化の準備を始め、即戦力となる人材育成を目指す。

 こうした大学個別の取り組みに加え、市内では8高等教育機関が連携し、地域全体で魅力を高めようという組織活動「キャンパス・コンソーシアム函館」も本格化している。本年度からは在籍校以外の講座でも単位認定が可能になる「単位互換」制度も本格的に始まった。

 事務局は「多くの学生に活用してもらい、魅力ある高等教育機関づくりを進めたい」と話し、各校の特色作りにもつなげたい考えだ。(新目七恵)



◎【企画・変革の道 折り返し】西尾市長就任2年(上)
・公約と事業 安心と活力掲げ前進

 「走り続けた2年間だった」—。前市長との選挙戦を制し、27日で就任2年を迎える函館市の西尾正範市長は、任期の折り返しを迎えこう振り返った。自主財源で実施するソフト事業を広く公約に盛り込み、財政難や根強い反対論がある中でも一定程度は実現させた。

 ソフト事業では子供医療費の助成拡大、妊産婦健診の拡充、私学助成の拡大、校長の裁量で創意ある教育を実践する「知恵の予算」などを軌道に乗せた。ハード事業は、南茅部地区の縄文文化交流センター、五稜郭公園内の箱館奉行所、恵山地区のコミュニティセンターなどが計画通り進む。昨年度末の補正予算では10億円規模の経済・雇用対策を実施し、小規模な公共工事の前倒し発注などで地域経済を下支えした。

 「安心と活力、人づくりの観点から予算を各部に考えさせた」と市長は言う。これらの事業費は増額した地方交付税や国の交付金、基金(貯金)の取り崩し、行財政改革による歳出削減の効果額から生み出した。しかし、10年度には取り崩せる基金が底を突く見込みで、厳しい財政状況は全く変わらない。

 出生率と出生数の10%アップ、正規雇用者数10%アップなどは何度となく議会でも取り上げられ、西尾市長はその都度「市民運動として実現を目指したい」と答弁が苦しい。ロシア極東大函館校の市立化は、1年間かけて市民懇話会が意見をまとめたが、結論は「市立化は困難」だった。「思いつきで話をする」(議会や経済界)などと批判されるゆえんだ。

 多額の投資をする“ハコ物”には基本的に反対の姿勢だが、コンベンション施設の建設は公約にある。ならば、公約にはないが、市民要望の高い市民体育館の建て替えをどうするかという課題もある。

 体育館の在り方を考える市民懇話会が間もなく設置されるが、3月の議会で西尾市長は「個人的には改修して長く使うことが良いと思う」とも答えた。これに対し「これから始まる議論であり、市長に個人的な意見はない」と指摘する声は幹部からもある。

 大型事業に慎重な理由はある。市長は1990年代に行われた病院・大学・駅前整備などの大事業の公債費償還の大きさを指摘する。その上で「コンベンション施設の規模や体育館の整備問題は需要予測や必要性を理論づけて説明しないとならない」と語る。

 世界同時不況の波は、函館にも容赦なく押し寄せている。派遣切りや雇い止めなどによる失業者の増加、商店街の地盤沈下、地域経済の衰退、少子高齢化、人口流出などの課題が山積する。市長が常々いう「子どもたちの笑顔と地域の未来」を築くために乗り越えなければならない懸案は数知れない。

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従来とは異なる発想や手法で函館市政に臨んだ西尾市長が就任して間もなく2年。これまでの成果を検証し、今後の課題を探る。 (鈴木 潤)



◎丸井存続対策会議 スポンサー決定後に本社へ雇用確保など要請へ

 民事再生手続き中の丸井今井(札幌)の地方店存廃問題で、函館店(本町32)の存続に向けた関係機関の対策会議(議長・西尾正範函館市長)は24日、市役所で第2回会合を開いた。店舗存続を前提にスポンサー企業が決まり次第、丸井今井本店や道庁などを訪れ、取引先の経営安定化や従業員の雇用確保を要請することを決めた。

 対策会議には市や函館商工会議所、市商店街連盟など関係6団体のほか、今回からテナントや納入業者らでつくる「丸井今井函館店の存続を応援する会」や渡島支庁も新たに加わり、この日は約20人が出席した。

 冒頭、西尾市長は「いずれの企業がスポンサーになっても函館店は存続される方向」との見解を示した上で、「今後も対策会議が一丸となって存続に向けて頑張りたい」と述べた。会合は非公開で行われ、スポンサー企業決定後の活動や支援策について話し合われた。

 会合では、函館市内と北斗市、七飯町の計7カ所から、本町・五稜郭地区と、JR函館駅前地区を結ぶ無料バスを大型連休明けの5月にも運行する計画を報告。第1、3土曜は本町・五稜郭地区に、第2、4日曜は駅前地区にそれぞれ一日1—2往復する予定で、スポンサー決定時には地元商店街の振興策として対外的にアピールする狙いだという。(森健太郎)



◎ミス・ツインクルが来社 GWお勧め列車PR

 JR北海道函館支社の本年度キャンペーンガール「ミス・ツインクル」を務める松浦美里さん(22)と滝下ひかりさん(20)が24日、函館新聞社を訪れ、ゴールデンウイーク期間中に運行する特別列車や企画商品をPRした。

 毎年好評の函館—森駅間を結ぶ蒸気機関車「SL函館大沼号」は29日から5月6日までの間、一日1往復運行。今年は約40年ぶりに上下線とも急こう配の仁山駅を経由する。全席指定で、大人片道1700円、小学生以下850円。

 29日に函館駅で開催する同SLの出発式前には函館開港150周年記念のシンボルマークを車体にあしらった特急「スーパー北斗」と「スーパー白鳥」もお目見え。5月22日から1泊2日の団体ツアー「旭山動物園号」で行く「滝上芝ざくらと旭山動物園の旅」も一押しで、函館駅発着で大人3万2700円から。

 松浦さんは「SLの運行は春と夏の期間限定なので、この機会にぜひ利用して自然を満喫してほしい」、滝下さんも「旭山動物園号は車内も車外も車中も楽しめるはず。家族で楽しんでもらえれば」と話している。列車やツアーに関する問い合わせはツインクルプラザ函館支店TEL0138・23・4436、または最寄りの駅へ。(森健太郎)