2009年4月26日 (日) 掲載

◎勇壮 武者行列で開幕…松前さくらまつり

 【松前】250種、1万本のサクラを誇る松前町松前公園で25日、「第62回松前さくらまつり」(実行委主催)が開幕した。連日の低温で多くはつぼみだが、フユザクラは満開となり、「ほかの花が咲いていない分、際立って美しい光景だ」と観光客が見入っていた。まつりは5月17日まで。

 気温10度前後と肌寒い中、午前10時に松前神社で安全祈願祭を実施。前田一男町長ら関係者が約1カ月間の無事を願った。

 曇り空に加え、時おり強い潮風が吹いたが、恒例の「武者行列」でまつりは熱気ムードへ。城下時代を連想させる勇壮な音楽の中、甲冑(かっちゅう)をまとった30人が公園内を歩き、「かっこいい」と子どもたちを喜ばせた。

 江別市から訪れた松本玲子さん(65)は「満開のサクラを眺めることができなくて残念でしたが、松前に住む孫の元気な表情を見られたので最高です」と目を細めていた。

 役場によると、5月の大型連休には園内一帯のサクラは満開になる見込み。29日—5月5日まで、公園特設会場で「春の松前物産フェア」も開かれる。

 問い合わせは役場TEL0139・42・2275または松前観光協会TEL同42・2726。

 26日には同公園近くの国道228号沿い、唐津駐車場(唐津379)に道の駅がオープンする。午前11時半にテープカットを予定している。(田中陽介)



◎サクラ開花宣言…平年より8日早く

 函館海洋気象台は25日、函館でサクラが開花したと発表した。本道にサクラ前線が上陸したのは平年より8日早く、昨年より3日遅かった。五稜郭公園では、来園者がひと足早く花を咲かせたソメイヨシノに集まり、写真を撮るなどしていた。

 同気象台が午後に、同公園北側にある標本木で花が数輪開いたことを確認。この日は同公園と函館公園でちょうちんが夜桜を演出する「花見電飾」が始まったが、夜はあいにくの冷たい雨と風になり、訪れる人は少なかった。

 同気象台によると、開花から満開まで3—4日かかる。昨年は4日後に満開となった。

 花見電飾は両公園とも5月10日までの間、午後7時から同9時まで(土・日・祝日は同10時まで)行われる。(山崎純一)



◎函館博物館で中空土偶展開幕

 市立函館博物館(函館市青柳町17)の特別展「国宝中空土偶と函館の文化財」が25日、始まった。開館と同時に市内外から国宝を一目見ようと大勢の人が訪れ、ガラスケースの中の“縄文の美”に注目していた。

 中空土偶の展示は、市民や観光客のニーズを受けて毎年実施している。今回は5月17日までで、5月の大型連休に合わせて日程を組んだ。この日は108人が来館。午前9時の開館時間に合わせて続々と訪れ、函館市内のほか札幌から来た人もいた。

 展示内容は、函館にある国や道、市指定の文化財や関連資料など函館市内の文化財について広く紹介しているのが特徴。田原良信館長は「市指定の文化財をこれだけ多く一堂に集めて展示する機会はめったにない。国宝は複製を見慣れている人もいるかと思うが、本物にはやはり本物の魅力があるので、この機会に確かめてみて」と話している。

 期間中の休業は5月11日のみ。入場時間は午前9時から午後4時半。入館料は一般300円、高校・大学生は200円、小中学生は100円。問い合わせは同館TEL0138・23・5480。(小泉まや)



◎【企画・変革の道 折り返し】西尾市長就任2年(中)
・行革と再編 職員削減の中 組織太る

 「市政を組み立て直す」。西尾正範市長は一昨年6月、当選後初の定例市議会の市政執行方針でこう述べた。

 目に見えて変わった一つに組織機構がある。庁内外の根強い反対を押し切り、商工観光部を経済部と観光コンベンション部に再編。公約の労働政策室、健康づくり推進室、子ども未来室の3室を立ち上げたほか、公約外では債権回収対策室とくらし支援室をセットで設置。環境部内でも課を統合して環境保全対策室を新設した。室長は次長職。

 いずれの新組織も役割を発揮し、時代の懸案に対応しているが、経済界や市OBからは「行財政改革で職員削減を進めている中で、組織を太らせてどうする」という批判が根強い。これに対して西尾市長は「優秀でやる気のある団塊世代などの人材に目的を与えている。人や時代に合わせて組織が膨らむことも必要」と反論する。

 2008年度から始まった新しい行財政改革5カ年計画では、12年度までに職員650人を削減する。病院局を除き3060人いた職員を2410人まで減らす計画だ。実施済みの旧計画と合わせると1000人以上の削減となる。

 職員を減らせば、おのずと仕事のやり方を変え、職員一人一人の能力向上を図らなければならない。4人の仕事を3人でこなすために、会議のあいさつ文などは不要とし、市長自身の出張は可能な限り一人で出かけ、秘書課の職員も12人から8人に減らした。

 議会答弁の勉強会も簡素化し、以前は深夜までかかったが今は午後8時ごろには終わるという。

 ただ、市長の議会答弁はこれまで、さまざまな摩擦や不要な混乱を招いた。部下が積み上げて、着地点が見えてきた論議を根元から崩すような発言がある。公益法人への職員派遣をめぐり「違法判決が出たからといって軽々に従うことはできない」「職員派遣は成果があるが、議会を分断させてまで続けようとは思わない」などの言葉に議会は空転し、結局は市長が方針や発言を撤回、修正した。

 職員の能力向上を目的とした派遣研修の成果は、議会も否定はしない。議会が指摘したのは法律や制度上で運用に問題があったことだ。

 増えた次長についてはどうか。一時は次長を廃止する議論もあったというが、次長は部長に上がる訓練期間で、議会答弁や政策の立案能力、指導力などを身に付けてもらいたいという。ただ市長は「頭でっかちなのもいけないから、来年は各部の庶務担当課長を次長が兼務することも考えている」という。

 就任1年目に行革担当の特別職「理事」を新設する際、二重組織で行革に逆行する、と議会の反発を招いた。その結果、理事は総務部長を、水道局長と交通局長は管理部門の部長を兼務することなどで収拾を図った。その時の議会からの批判は「場当たり的な対応」だった。(高柳 謙)



◎にぎわう春到来 大型連休スタート…寒いけど観光熱く・ベイエリア

 ゴールデンウイーク(GW)初日の25日、函館市内や道南は低気圧の接近などの影響で曇りや雨のあいにくの天気となり、静かな幕開けとなった。市内西部地区の観光地では、全国から訪れた観光客がマフラーや手袋姿で寒さをしのぎながら観光を楽しんでいた。函館海洋気象台によると、26日は雨で気温は10度を下回る見込み。行楽の本格化は29日からとなるようだ。

 人気菓子「生キャラメル」を販売する花畑牧場(十勝管内中札内村)の直営店進出や、金森赤レンガ倉庫内のリニューアルなど話題がそろった西部地区のベイエリア。この日は函館港から冷たい風が吹きつける中、観光客は防寒着姿で新しい観光スポットを巡っていた。

 建物内ではお目当ての商品を探したり、食事でくつろいでいたが、外に出ると身をすくめて目的地に急いだ。兵庫県加古川市から親子3代で訪れた自営業の今堀義満さん(66)は「こんなに寒いとは思わなかった。3歳の孫に風が当たらないようにしなければ」と話した。千歳市から車で訪れた会社員の武部亮栄さん(53)は、自動料金収受システム(ETC)の搭載車で高速道路の割引制度を利用して来函。「道南は暖かいのかと思っていたが、天気の崩れでは仕方ない。明日帰るが大雨にならないか心配」と語っていた。


◎池見石油がレンタカー事業に参入

 函館市内でガソリンスタンド(GS)を展開する池見石油店(豊川町10、石塚大社長)は26日から、車検堂イケミ十字街店(同、船板悌二所長)で新たに中古車を活用したレンタカー事業を始める。競争が激化するGS業界の生き残り策の一環で、同社によると、GSによる同様のサービスは市内初という。

 これまでの自動車整備や中古車販売事業の強みを生かして、新事業にかかる初期コストを削減。市場価格の半額程度に抑えた低料金が最大の特徴だ。土地柄、主力となる観光客に加え、景気悪化で車を手放した個人客や、短時間だけ利用したいビジネス客の需要も取り込みたい考え。

 街乗りレンタカー「車レン太」と銘打ち、当面は1000㏄—1500㏄のトランク付きのサービスクラスと、ハッチバック式のベーシッククラスの2種類、計4台を用意。料金は6時間で初回3045円、2回目以降は会員価格として2520円からで、1週間や1カ月間の長期レンタルもできる。

 既にホームページなどで告知し、大型連休中の予約も好調だという。同社は「販売している中古車を有効活用できるため、これだけの低価格を実現できた。自社整備工場でのメンテナンスも万全で、観光客や市民らの多様化するニーズに応えたい」とし、台数や車種などを今後増やすことも検討している。問い合わせは同店TEL0138・22・2565。(森健太郎)