2009年4月27日 (月) 掲載

◎春なのに…突然の雪

 26日の道南は日本海と三陸沖にあった発達中の低気圧が接近した影響で、強い風や雪の大荒れの天気となった。25日にサクラの開花宣言が出たばかりの函館市内では、路面や芝生が雪で覆われた所も見られた。市内湯川町を歩いていた男性は「季節の逆戻りにも程がある」と困惑した様子。七飯町大沼では午後から大雪となり、大沼国定公園は春の大型連休中とは思えない、一面銀世界となった。

 自然公園美化管理財団大沼支部によると、昼ごろから雪が断続的に降り始めたという。同町大沼町の男性は「毎年4月下旬に天気は崩れることはあるが、こんな大雪は初めて」と話していた。

 函館海洋気象台によると、道南の積雪は午後8時現在、大沼と森で33センチ。函館の降水量は25日午後8時からの降り始めからで63・0ミリに達した。風は松前で午前4時55分に最大瞬間風速27・4メートルを観測した。27日の天気は昼すぎから晴れと予想している。(山崎純一)



◎道南女性グループが中東平和サイクリングへ参加

 道南の女性グループが、10月に行われる中東平和サイクリング「Follow the Women」に参加する。世界各地の女性数百人がパレスチナやレバノンなど中東4カ国を自転車で走りながら平和を訴える市民活動で、道内からの参加は唯一。メンバーは本番に備えて準備を進めており、協賛スポンサーを募集している。

 この活動は中東地域の女性や子どもの現状を世界に発信しようと2004年に始まり、年1回開催。これまで約40カ国から10—60代の女性延べ約1000人が参加し、1日最長60キロを自転車移動しながら難民キャンプや現地住民と交流してきた。ことしの開催期間は10月8—20日までで、日本人の参加枠は20人。

 昨年10月、日本人で初めて中東平和サイクリングに参加した山崎美緒さん(東京在住)が来函し、イベントでこの活動を紹介。90年から3年間、青年海外協力隊員としてヨルダンに赴任したことのある北斗市在住の主婦、前田貴子さん(42)が関心を寄せ、知り合いの三野直子さん(37)を誘って仲間を集めた。

 前田さんは「ヨルダン赴任当時は女性が自転車に乗ること自体タブー。現状を見てみたい」と動機を説明。三野さんはアメリカでマウンテンバイクの魅力に取りつかれアマチュアレースに参加した経験を持ち、「国境を越えた人が自転車を通して何か伝える活動に魅力を感じる」と話す。

 参加メンバーの津田千恵子さん(34)はケニアでの青年海外協力隊員時代、暴動で友人を亡くした悲しい記憶があり、「中東の人に優しさを配りたい」と語る。岡田朋子さん(40)は「私見を広げたい」、藤田抄子さん(25)は「出来ることを模索したい」、上田朋佳さん(24)は「この機会に勉強し、自分の考えを持って参加したい」と話している。

 メンバーは七飯町大沼に事務所「FTWはこだて」を構え、大沼周辺でのトレーニングや広報準備に取り組んでいる。スポンサーは企業1口3000円、個人同1000円。9月末には壮行会も開く。問い合わせは事務所TEL0138・67・3505。(新目七恵)



◎豚インフル、市立函館保健所が相談窓口開設

 メキシコや米国で豚インフルエンザの人から人への感染が確認されたことを受けて、市立函館保健所は26日、保健予防課に豚インフルエンザに対する相談窓口を開設した。平日は職員が直接対応し、土・日曜日、祝日は午前9時から午後9時まで専用ダイヤルTEL0138・32・1539で応じる。

 相談窓口は、メキシコや米国方面の感染状況が収束するまでの設置。同課の加藤美子課長によると、26日までには市民からの相談は寄せられておらず「インフルエンザの症状がでていなければ感染の心配はない」とする。ただ、「これらの地域に最近渡航した人で高熱が出るなどの症状がある人は、旅行歴をきちんと伝えて医療機関を受診してほしい」と勧める。

 豚肉については「肉を介して豚インフルに感染の可能性はないと思うが、豚肉には他の細菌もあるのできちんと加熱して食べることと、調理後は手を洗うなど通常の対応を心掛けて」と話す。

 また小樽検疫所函館出張所は港湾などの検疫体制を強化し、25日からはメキシコや北米からの入国者を対象に、発熱を感知するサーモグラフィー検査を実施している。同出張所によると「函館には経由を含めてメキシコからの入国者はほとんどいない」と言う。(小泉まや)



◎函館開港記念フォーラム

 「函館開港記念フォーラム・研究会」(津軽海峡研究会主催)のオープニングイベントが26日、函館市末広町の市地域交流まちづくりセンターで行われた。開港150周年に向け、公立はこだて未来大学生らが製作中のDVDが初披露され、鈴木克也教授は「西部地区の魅力を再発見したい」と活動への思いを語った。

 記念フォーラムはDVDのPRなどを目的に9月まで5回にわたり実施する。このDVDは函館開港の歴史や文化、産業などについて市内の研究家らに聞いた内容を学生が2分間の映像にまとめ、約50種類を用意する計画。参加者約50人は冒頭の1時間、出来上がった映像を鑑賞した。

 道国際交流センターの山崎文雄代表理事(73)は「(DVD製作は)すばらしい事業でうれしい。函館は異質なものと共生できる街であり、21世紀に向け歴史を掘り起こしてほしい」とあいさつした。

 続いて、函館日米協会顧問の井上能孝さん(78)がペリーロード構想を提案し、「歴史の節目に当たったことは幸福なこと。市民で盛り上げ、150周年を味わおう」と語った。最後に鈴木教授が同大のプロジェクト学習の一環として「開港」にスポットを当て活動している経緯を説明。「西部地区は『歴史の博物館』。その魅力が十分認識され、発信されているか調べ、学生らと一緒にいろいろな形で情報発信できる仕組みを作りたい」と話した。

 次回の「フォーラム〜開港150周年を語る」は5月23日午前11時から、ロワジールホテル函館で行う予定。(新目七恵)



◎【企画・変革の道 折り返し】西尾市長就任2年(下)
・不協和音 政策や公平性に異論も

 権力の在り方を問い、前市長との“庁内対決”を制し、函館市長に当選して2年。西尾正範氏は選挙戦で前市長や経済界、議会の一部を痛烈に批判する発言を続けた。当選後の市議会でも問題となり、市長は「権力構造を分かりやすく説明する例えだった」と答えている。

 庁内外に選挙戦のしこりを残し、現在でも前市長・現市長派の確執があるというのが職員や議会、関係者の一般的な見方だ。しかし、西尾市長は「何十年と安定しているものを変えるとき、不協和音は出てくる。選挙のしこりではない」と否定する。

 教育・子育て・人づくりを重視し、大きな転換のかじを切ったが、その方向は正しいのか。ある幹部は「市長は胸襟を開いて部下の意見をよく聞いて、考えてくれる。人を見下すような人ではない」と語る。西尾市長も「変える方向が正しいのか誤りなのか、常に議論が必要。職員同士でも議会でも、そうした意見の対立や論議が不協和音に映るのではないか」という。

 「頑固で昔から人の言うことを聞かない」との評について、別の幹部は「一度跳ね返されると“言っても無駄”と思い、しおれる職員がいるのではないか。跳ね返されてもまたぶつかり、市長を論破するぐらいの気概が欲しいし、市長もそれを望んでいる」と説明する。

 当選して本格的な人事を2回した。市長は「人事は助役時代から案を各部長に示し、よく議論して作業をしている」と強調する。

 しかし、今春の人事では、一見して総務部からの昇格者が目立った。ある幹部は「誰もが納得し、満足する人事はできないが、なるべく多くの職員に日が当たるように配慮すべきでなかったのでは」と声を潜める。

 市長に批判的な市議は「取り巻きで自分を囲み、選挙で主張した公正・公平な市政を自分でゆがめている。今回も更迭人事の案があったが、いろんな経緯で止まったケースもある」と厳しく指摘する。団塊世代の退職が続き、来年は部長職が10人ほど退職し、新たな登用が進む。

 一般的に、組織は部下が支え、トップが束ねる。部下が上司に報告しながら動く。これに対し、西尾市長は「いい話題があれば市長を通さなくてもいいからどんどん発表するように指導している。責任はトップが取るが、私に付いて来い、というのは理想像ではない。前線を歩む部長たちがそれぞれのケルン(登山道の石の山)を作ってほしい」と思いを語る。

 築いたケルンを束ねて、どう推進力にするか。賽(さい)の河原になってはならない。西尾市長の発言や行動で紛糾するのは「市政」というより「姿勢」の問題が多い。個性ある姿勢をどう市政の発展に結び付けるか。1期目の残り2年の手腕と成果が求められている。(高柳 謙)