2009年4月28日 (火) 掲載

◎若者と地域つながる場に…戸倉にコミュニティカフェ、あすプレオープン 

 函館に住む若者たちが、戸倉町5にコミュニティカフェ「goes around cafe(ゴーズ・アラウンド・カフェ)」を開こうと準備を進めている。目的は同世代の学生らが地域や人とのつながりを広め、街を好きになる居場所作りだ。29日のプレオープンを前に、立案者の前川未来代表(26)とプロデューサーの國分晋吾さん(26)は「ワクワクする思いを発信し、函館を皆で元気にしたい」と意気込んでいる。

 前川代表は函館出身。アメリカと大分の大学を卒業後、2007年にFMいるかに就職した。パーソナリティとして多くの人と出会い、地域の魅力を再発見した反面、地元で夢をあきらめた友人や目標を見つけられず何となく働く仲間の姿に胸を痛めていた。

 一方、埼玉出身の國分さんは東京の大手企業の営業マンとして働きながら友人と学生向け自己分析セミナーなどを企画。07年秋初めて函館を訪れて以降、食や人の良さに引かれ何度も来函していた。

 そうした中、國分さんが耳にしたのは函館を悲観的にとらえる地元の若者の声だった。「人に元気を出させることが得意」という持ち前の前向きさと行動力から、「何かしたい」と考えるようになり、同じ思いを抱いていた前川代表と意気投合。学生が気軽に集えるカフェを活動拠点にすることにした。

 2人はカフェ作りから多くの人を巻き込みたいとインターネットサイト「mixi(ミクシイ)」で仲間を呼び掛けたところ、100人以上の反響を受けた。そうして集まった主婦や学生、会社員らと一緒に、2月ごろからメニュー作りや内装など店のほぼすべてを手作りで進めてきた。

 店名は「互いに刺激、還元し合える場所」のイメージを学生の移動手段である自転車と掛けた。正式オープンは5月2日午後5時2分。午後1時—同零時に営業し、喫茶メニューのほか夜は酒類も用意する。ライブやパーティー、各種企画に対応する。

 前川代表は「函館を夢をあきらめる街からかなえる街にしたい」と話している。プレオープンは午後6時、入場料500円。問い合わせは同店TEL0138・59・4777。(新目七恵)



◎豚インフル感染拡大…市民から問い合わせ 各保健所「安全」を強調

 豚インフルエンザ感染拡大の懸念を受けて27日、市立函館保健所や渡島保健所の相談窓口には、市民から「豚肉を食べても大丈夫なのか」との相談が寄せられた。各保健所では豚肉からインフルエンザ感染の可能性がないことを説明。市内のスーパーなどでは、現在のところ豚肉の売り上げに影響は出ていないという。

 市立函館保健所は26日に、渡島保健所は27日に窓口を開設。27日には両窓口ともに一般市民から、豚肉の安全性についての問い合わせがあった。市立函館保健所は「インフルエンザウイルスは生きている動物を介して感染するため、死んでいる状態の豚肉は大丈夫」とあらためて強調する。

 畜産業者は事態を冷静に受け止める。3000頭の食用豚を飼育する山辺畜産(函館市亀田中野町)の山辺武悦社長は、「養豚業者では無菌豚に限らず豚の健康には気を付けている」と説明。養豚農場に対し衛生指導する渡島家畜保健衛生所は「養豚場はきちんと衛生管理されており、特定のウイルスがまん延することはない」と話す。ただ今回の件を受け、万が一異常があった場合には速やかに連絡するよう各業者に伝えたという。

 市内のスーパーでは、豚肉買い控えなどの動きは見られない。道南ラルズは「肉の売れ行きや種類の割合には影響はなく、普段通り売れている」とし、グルメシティ北海道やコープさっぽろでも同様の状況だ。

 渡島保健所の豚インフル相談窓口は、平日午前9時から午後5時半まではTEL0138・47・9541、平日午後5時半から9時までと土・日曜日、祝日の午前9時から午後5時半はTEL同47・9400。(小泉まや)



◎ユジノ便 路線維持へ働き掛け…西尾市長 サハリン航空と交渉も

 函館市の西尾正範市長は27日、市役所で定例記者会見を開いた。ロシア・ユジノサハリンスク—函館を結ぶサハリン航空定期便が一時運休した問題に対して、同市長は同航空に定期便の路線維持を求めていく考えを示した。

 同航空は利用客の低迷で5月末まで同定期便の運休を決めている。6月以降の運航方針は明らかになっておらず、予約状況に応じた運航への転換も取りざたされている。就航当初は週2便の運航だったが、現在は週1回。同航空の幹部が22日、市役所を訪れ、運休を伝えるともに運航再開に向け協力を求めていた。

 会見で西尾市長は、幹部の表敬訪問を受けた際、週2便を前提とした定期便の運航や利用人数に応じた機材の導入などを強く要求したことを明らかにした。今後に向け「しばらく様子を見るが、サハリン航空側に出向いた交渉もあり得る」とし、札幌の総領事館などを通じて路線維持を働き掛けていく考えを述べた。

 これまでの経過で、ユジノサハリンスクと姉妹都市提携を結び、経済交流や医療支援の協力を約束したこと、ビザの発給が函館側で4分の3を占めていることに触れ「函館は対ロシアの日本の拠点となりうる。サハリンに対しウエルカムで迎えることができるのは函館」と優位性や利便性をを強調。

 定期便の週2便運航を国家間交渉で取り決めた経緯にも言及し「国土交通省や外務省とも打ち合わせしたうえで対応したい」と述べた。(鈴木 潤)



◎海洋都市形成に意欲…西尾市長 研究機関など年度内に方向性

 西尾市長は27日の定例記者会見で、旧函館ドック跡地に建設する国際水産・海洋総合研究センターの具体的な整備計画と集約する研究機関について、本年度中にめどをつけたい考えを語った。4月に発足した一般財団法人「海洋都市推進機構」を母体に、世界屈指の水産・海洋研究都市の形成を目指す。

 研究機関について、市長は「まだ話はついていないが、まずは北大大学院水産科学研究院の一部と、北大北方生物圏フィールド科学センターの水圏部門、これにできれば道立函館水産試験場も入ってもらいたい」と述べた。ただ、道の財政難から水産試験場の移転整備が難しいため、公共事業で市が施設を整備し、研究機関に施設を貸与するリース方式で整備する考え。

 第1期整備の事業費は約30億円で、建設費が約3分の1で済む合併特例債の活用を考えている。特例債の適用期限(2014年度)を踏まえ、予定通り本年度内に構想、10年度から基本設計、実施設計、建設を進め、13年度の完成を目指す。

 海洋都市推進機構の機構長と副機構長に、水産・海洋関係の学者2人が就任したことに期待。過去に指定された文部科学省の都市エリア事業のように、国や道の研究事業の採択が得られるよう、産学官の連携や民間研究所の誘致などを進める。

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 西尾市長は27日で就任2年を迎え、残り2年も市民や現場の声を聞きながら全力で市政に当たる決意を述べた。経済不況のほか、人口減少や少子化などの問題を抱えている中で「縮小するまちの着地点を作らなければならない。身の丈に合った、小さくても輝けるまちで、函館のオンリーワンという価値をみんなで見つけ、一つずつ伸ばしていきたい」と語った。

 厳しい経済・雇用情勢が続くことについて「まずは生き残ってほしい。カンフル剤を打ち、財政出動もする」と述べた。財源については、国会に提出された政府の補正予算のほか、市の基金からの借り入れなどを挙げ、「今の時代を生き抜くをことを最優先にしたい」とした。(高柳 謙)



◎業務に公益に 歩んだ道輝く…春の褒章 道南から5人

 政府は28日付で、2009年春の褒章受章者を発表した。全国の受章者は728人で、このうち道内は45人。道南からは渡島管内から5人が栄誉に輝いた。業務に精励した黄綬褒章が2人、公益の利益に尽力するなどした藍綬褒章が3人だった。29日に発令する。(小川俊之)

 ◎黄綬褒章・業務精励(電気工事業)

 佐藤電気社長・北海道電気工事業工業組合副理事長 佐藤征次さん(70)=函館市弥生町

 100年一度と言われる経済不況の中、函館地域の電気工事業界も厳しい状況に置かれており、「今回の受章のニュースが少しでも業界に明るい希望をもたらしてくれれば」と力をこめる。

 中学卒業と同時に電気工事関係の会社に就職。「電気についての興味はなかったが、高校に通いながら働かせてくれる条件だったので選択した」と、函館工業高校の定時制に通いながら知識と技術を磨く毎日だった。

 仕事のノウハウも身についてきた23歳の時、会社が突然の倒産。「自分にはこの仕事しか続けられることはない」と一念発起し佐藤電気商会を設立すると、これまでの取引業者などの協力にも支えられ、気が付けば半世紀にわたり函館の電気工業を支る企業に成長していた。

 函館地方電気工事協同組合の理事長として、来年9月に全日本電気工事業工業組合連合会全国大会の函館誘致を成功。「2000人以上の会員が函館に訪れることになるので、地域活性化の手助けできればうれしい」と期待する。

 ◆このほかの褒章受章者(道南分)◆

 氏名、年齢、現住所、功績概要、主用経歴の順(敬称略)

 【黄綬褒章】

 中野良司(58)北斗市押上、業務精励(鉱山保安業務)、北斗鉱産鉱務課長

 【藍綬褒章】

 荒木健一(83)函館市石崎町、統計調査功績、元国政調査員

 境千枝子(75)、函館市若松町、更生保護功績、保護司

 白崎智子(74)、函館市花園町、更生保護功績、保護司