2009年4月29日 (水) 掲載

◎新型インフルエンザで函館市が対策本部設置

 世界保健機関(WHO)が豚インフルエンザの警戒レベルをフェーズ4に引き上げ、「新型インフルエンザ」と認定したことに伴い、28日には道南の関係機関でもさまざまな動きがあった。函館市は対策本部を立ち上げ、渡島支庁の関係機関と会議を開催して連携して対応する方針を確認。函館—ソウル(仁川)間を結ぶ大韓航空の函館到着便では、発熱を感知するサーモグラフィー検査や健康質問票で乗客への調査を開始した。

 同日、函館市は西尾正範市長を本部長とする「函館市新型インフルエンザ対策本部」を設置。連携して対応する必要性から、渡島支庁に置かれた「渡島支庁新型インフルエンザ対策地方本部」と合同の対策会議を、函館市消防本部で開催した。

 対策会議には小樽検疫所函館出張所や道警、函館市医師会、函館市病院局、函館市消防などから約30人が出席。西尾市長は「国や道と連携して情報収集や迅速な対応に務めたい」とあいさつ。寺山朗渡島支庁長も「対応に連携は不可欠」としたうえで、情報収集と道民への提供、抗ウイルス薬の備蓄などに努めていることを伝えた。

 市立函館保健所の山田隆良所長は、情報の収集と提供や疾患発生状況の把握、予防とまん延防止、相談業務、職場での感染防止と業務の継続・自粛要請などを行っていることを報告。対策としては流行地域への渡航自粛に加え、「通常のインフルエンザ対策が有効」として、せきの飛沫(ひまつ)を飛ばさないようマスクなどを着用するせきエチケットの意識を求めた。

 渡島保健所の岡崎弘行所長は、感染症病棟のある市立函館病院と八雲総合病院に、発熱外来の設置を要請したことを報告。市福祉部からは介護状態にある人の対策について質問があり、山田所長からは「うがいや手洗い、健康管理など、通常の集団予防が望ましい」との考えが示された。

 小樽検疫所函館出張所は、フェーズ4となったこの日から、サーモグラフィー検査を強制的に実施できるようになった。この日運航があった大韓航空の函館—ソウル便の乗客に対しては、合わせて質問票で健康状態や10日以内の居場所確認などの調査を実施。乗客と乗組員合わせて185人に異常は見つからなかったという。今後も入国者に対しては継続して調査する方針。(小泉まや)



◎来月6日に「ナッチャン」一般公開

 道南自動車フェリー(函館市港町3)は大型連休中の5月6日、同社函館ターミナル(同)の専用岸壁に係留中の青函高速船「ナッチャンWorld(ワールド)」を一日限り一般公開する。船内フリーマーケットなどが企画され、市民や観光客に7月中旬の運航再開をPRする。

 大型連休の最終日に家族で楽しめる場を提供しようと企画。同社は7月18日から期間限定で高速船の運航を再開する計画で、まだ乗船経験がない市民や観光客らに「ナッチャン」を広く知ってもらう狙いだ。

 当日は同ターミナル3階の専用ブリッジから乗船。船内の車両甲板で約30店舗が出店するフリーマーケットが開かれる。海に面したターミナルのウッドデッキには焼きそばやイカめし、ビールなどを販売する屋台のほか、青森県大間町の観光PRブースが設けられ、在来船の出港時には大漁旗が振られる演出や太鼓演奏などもある。

 入場無料。当日、高速船の運航はない。午前10時—午後5時まで(フリーマーケットは午後2時まで、乗船受け付けは同4時半まで)。臨時駐車場も200台分用意する。問い合わせは同社TEL0138・43・4881。(森健太郎)



◎有効求人倍率0・38倍 21カ月連続前年割れ…3月の道南・雇用失業情勢

 函館公共職業安定所は28日、3月の渡島・桧山管内の雇用失業情勢を発表した。有効求人倍率は前年同月を0・13ポイント下回る0・38倍と、21カ月連続で前年割れとなった。例年求人数がピークを迎える年度末にもかかわらず、前月(2月)より0・01ポイント悪化し、求人数と求職者数の乖離(かいり)が続いている。

 21カ月連続の前年割れは過去最長記録を更新。有効求人数が前年同月比13・7%減の4533人に対し、有効求職者数が同16・4%増の1万1893人となり昨年9月以降、7カ月連続で増加した。同職安は管内の情勢について「厳しい状況が続いている」として3カ月連続で判断を据え置いた。

 有効求人数のうち、パートが同0・4%増の1574人だったのに対し、フルタイムの常用が同19・7%減の2959人と落ち込みが目立った。同職安は「企業は正社員雇用を手控える傾向にあり、求人の数とともに質も低下している」と分析している。

 雇用の先行指標となる新規求人倍率も同0・22ポイント低下の0・66倍となり、12カ月連続で前年割れとなった。新規求職者は同17・4%(490人)増の3304人で、「事業主都合の離職者の増加が新規求人の増加につながった」という。3月の事業主都合離職者は同55・2%(336人)増の945人に上った。

 産業別の新規求人は、函館市が緊急雇用対策で50人を追加募集したことで「公務・その他」が同140%増加したが、製造業、卸・小売業を中心に減少が続いている。同職安は「当面は状況が改善するような材料は見当たらず、求人と求職者の開きが拡大する可能性もある」と懸念している。 (森健太郎)



◎「函病の改革評価委」設立

 赤字となっている函館市立3病院の経営改善を目指し策定した「函館市病院事業改革プラン」の評価・点検を行う「函館市病院事業経営改革評価委員会」が28日設立し、市立函館病院で初回の委員会を開催した。委員長に公立はこだて未来大学副理事長で教授の岩田州夫氏を専任。本年度の具体的な行動や時期を示したアクションプランや現状について事務局が説明し、運営方法について意見を出し合った。

 同改革プランには2015年度までの収支目標などが盛り込まれている。委員会メンバーは、同病院関係者のほか、同プラン策定懇話会に参加した函館市医師会や恵山、南茅部地区の住民の代表、市の理事などで構成する。今後7、9月と来年2月に委員会を開催する。

 岩田氏は、同プラン策定懇話会の座長としてこれまでもかかわってきた。あいさつでは「プランの適切な運営には初期段階からの行動とアクションチェックの繰り返しが大切。四半期ごとのチェックで適切な方法を見いだしたい」と決意を述べた。

 病院局は、看護師確保や材料費削減、病棟再編など、本年度の具体的行動を示したアクションプランを説明。各委員からは「アクションプランに具体的な数値目標を示すことが必要」との意見があり、病院局は「直し次第報告したい」と回答し、取り組む考え。ほかに「診療科別のコスト分析を行うべき」との意見もあった。(小泉まや)



◎統廃合や学級削示さず…公立高配置計画 12年度の渡島学区

 渡島管内を対象とした「公立高校配置計画地域別検討協議会」(道教委主催)が28日、函館市美原の渡島合同庁舎で行われた。渡島学区では決定済の本年度から2011年度までの学級減などに変更はなく、12年度の見通しでも新たな高校の統廃合や学級削減などは示されなかった。

 管内2市9町の高校長や教育関係者ら約70人が参加。道教委の新しい高校づくり推進室松山拓男参事らによると、管内では10年度の木古内の募集停止、函館商業の学科転換、11年度での函館西、函館稜北、長万部の各1学級削減などの計画内容に変更はないが、本年度入学者の欠員状況から南茅部は2学級から1学級に減り、学区全体の普通科の学級数は45となった。

 12年3月の学区全体の中卒者は前年度比19人増だが、学級増などについては「欠員の状況や今後の中卒者の減少などについて考慮した検討が必要」とした。13年3月—16年3月における中卒者見込みは354人減となることから「4年間で5—6学級の減」、本年3月—16年3月までは計689人減となり「7年間で10—11学級の減」を今後の検討課題として示した。

 説明後、昨年度から始まった道教委の通学費補助制度に対し、大森伊佐緒木古内町長が対象通学費引き下げを要望したほか、白井捷一長万部町長は町独自の補助制度への支援を要請。溜雅幸南茅部高校長は「公立と私立の募集人員のひずみが大きいのでは」、日向稔市立函館校長は「函館高専を巻き込んだ定員の在り方を」と意見を出した。

 道教委では今回の協議会を踏まえ、6月上旬に12年度までの計画案を作成。7月に第2回目協議会を開催し、9月上旬に最終決定する予定。(新目七恵)