2009年4月3日 (金) 掲載

◎6月にもスイーツアンテナショップ…15品目を認定 函館の会

 函館発のブランド菓子創出を目指す「函館スイーツの会」(若山直会長)は2日、函館市末広町の五島軒本店で例会を開き、会規定の「函館スイーツ」として認定する菓子を決定した。9社が新開発した15品目の菓子を認定し、6月にも認定商品を販売するアンテナショップを市内の大門地区に開店する。若山会長は「全国区の人気となるような商品を生み出したい」としている。

 函館の土産売り場で函館ブランドの菓子を求める声が数多く寄せられたことから、菓子業者10社が2007年8月に「函館スイーツを立ち上げる会」を結成。以来、函館発のブランド菓子の創出を目指して研究を重ねてきた。

 当初、地産地消を認定の判断基準に入れていたが、素材が限定されることから今年の函館開港150周年をコンセプトに各社独自の菓子を生み出した。

 認定は自社製造が条件で、フランチャイズ商品や函館圏以外で製造、他社の仕入れ販売は除かれる。最終的には味やパッケージなどの判定で10社全部の承認が必要だ。

 この日の例会では、各社出品作の審査を行い、「ふっくりんこ」の米粉、マルメロを使用したパウンドケーキやコロッケをイメージした焼き菓子、イカ墨パウダーと八雲町熊石地区の海洋深層水から取った塩を使った塩羊かんなど創意工夫があふれるオリジナルが第1弾の「函館スイーツ」に認定された。 

 アンテナショップの開店に向けては国の「ふるさと雇用再生特別交付金」を活用する予定。若山会長は「国の交付金に関係なく、当初の予定通り開港記念日(7月1日)前には開店させたい。参加業者を増やし、スイーツブランドを発展させていきたい」と意気込みを述べた。(鈴木 潤)



◎2月道南 景況「一段と厳しさ増す」…日銀支店

 日本銀行函館支店(市川信幸支店長)は1日、2月の道南地方の金融経済動向を発表した。景気後退で民間の設備投資意欲が急速に減退し、雇用環境の悪化や観光客の減少も歯止めが掛からない状況が続いていることから、管内の景況判断を「一段と厳しさが増している」と3カ月ぶりに下方修正した。

 個人消費は株価下落などによる消費者心理の悪化から「弱まっている」と判断。主要小売店10社の売上高は冬物衣料の不振や節約志向の高まりで、前年比6・5%減(速報値)と24カ月連続の前年割れだった。家電販売は好調だった薄型テレビの増勢が鈍り、「低調な動き」から「弱まっている」に下方修正。新車登録台数は普通・小型車が同33・5%減、軽乗用車同15・3%減となり、減少率も全国平均を上回るペースの苦戦が続いている。

 観光は「厳しい状況にある」から「一段と厳しさが増している」と3カ月ぶりに判断を引き下げた。函館空港乗降客数は国内便が同11・1%減と33カ月連続、国際便が同26・9%減と8カ月連続で前年実績を割り込んだ。主要ホテル宿泊客数(20社)や観光施設の利用客はいずれも前年比2けた台の減少で、下げ幅も拡大傾向にある。

 設備投資は「横ばい圏内で推移」から「減少している」に一段悪化。函館市内の非住宅着工は棟数で同25・0%減、床面積で同57・4%減と大幅に落ち込んだ。同支店は「前年にあった総合病院の移転・新築の反動減もあるが、JR函館駅前の専門学校の着工があったにもかかわらず低い水準」としている。

 同時に発表した3月の道南の企業短期経済観測調査(短観)によると、2009年度の企業の設備投資計画は全産業で昨年度より58・7%減を見込んでいる。(森健太郎)



◎厚沢部・ネットで移住や滞在情報、乙部・携帯で農産物生産など確認…総務省の地域ICT 活用モデル事業

 【厚沢部、乙部】総務省は本年度着手する「地域ICT(情報通信技術)活用モデル構築事業」で、厚沢部町によるインターネットを活用した移住や長期滞在の情報提供システムの整備と、乙部町が実施する携帯電話などを利用した農産物の栽培管理支援システムの整備を事業委託先に決めた。

 全国で42件が委託先に選ばれた。道内では両町と旭川・美唄両市の4件だけ。両町の事業費はそれぞれ数千万円規模に上る。インターネットなどの大容量・高速通信網や携帯電話によるデータ通信など、有線・無線を問わないデジタル通信ネットワークの整備を通じて、地域経済の活性化や少子高齢化への対応など先進的なモデル事業を展開する。委託先となる都道府県や市町村などのモデル事業には、国が1事業で1000万円から1億円の範囲で費用を負担する。

 移住や長期滞在の受け入れによる交流人口の拡大に取り組む厚沢部町は、インターネットを活用して、総合的な移住・滞在情報を掲載するホームページ「ちょっと暮らしナビ」を開設する。首都圏をはじめ、道外の移住・滞在希望者を対象に、生活情報のほか特産品販売、就農説明会などの情報を提供。移住や長期観光をめぐる問い合わせを受け付ける「ちょっと暮らし地域サポートコンタクトセンター」も設け、電話や電子メールによる問い合わせなどにも一元的に対応する。

 一方、乙部町は、インターネットや携帯端末を活用した「栽培管理支援システム」を整備する。農家によるブロッコリーなど農産物の生産や集出荷体制の効率化を図る。農家が携帯端末で当日の出荷量や出荷時間を入力し、システム上で農家ごとの収穫状況を確認した集荷担当者が、効率よく農産物を選別施設に運び入れる。出荷先となる道外の卸商社や小売業者でも、生産や出荷の状況をシステム上で確認できる体制を整備し、流通段階での作業効率化も図る考え。

 また、センサーと携帯電話を接続した観測ロボットが集めた気温や湿度などの気象データや、専門家による栽培技術指導などの情報もシステム上で提供。農家による作付けや収穫時期の判断などにも役立ててもらう。農家の高齢化に対応して「情報機器に不慣れな高齢者にも利用しやすいシステム作りを目指す」という。システムの活用により、農家ごとの生産履歴情報も流通業者、小売業者、消費者に提供し、農産物の信頼感を増すことで付加価値の向上も狙いたい考えだ。(松浦 純)



◎市税滞納 差し押さえ強化…函館市

 函館市は税負担の公平性を保つため、支払う能力がある市税滞納者への差し押さえを強化している。市役所は税務署と同様に、調査権や家宅捜索の権限を持つ。督促状や催告書を再三にわたり送っても一切連絡のない場合などは財産調査予告をして実行するなど、強い姿勢で臨んでいる。

 市納税課によると、国税還付金を除く市税滞納者の差し押さえ件数は、2004年度87件、05年度72件、06年度61件、07年度73件で、08年度は2月末で168件に達している。差し押さえは預貯金のほか、給料、家賃、生命保険、不動産など。

 08年度は2月末までの差し押さえ168件のうち、預貯金が71件で突出している。この9割方が軽自動車税の滞納という。

 軽自動車税は商用で1台4400円、乗用は7900円で、5月末が納期。08年度の市の税額は3億8800万円で、2月末時点の滞納は1950万円、納付率は95%となっている。単純計算で20台中1台が支払っていない。税額が極端に高いわけでもないため、可能であれば差し押さえをしている。

 軽自動車税の差し押さえはこれまで、滞納分に対して実施してきたが、08年度は現年度分も着手した。滞納者には督促状、催告書、最終警告書などを送付しており、それでも連絡が一切ない場合は悪質とみて、差し押さえを検討する。各種税金の支払いが困難な場合は随時、納付相談もしている。

 定額給付金の差し押さえについて、総務省は「給付金の趣旨に合致しない」との見解示している。市も厳しい経済情勢下での生活支援や景気対策という趣旨を踏まえ、差し押さえはしない。

 同課は「納期内納付をしてもらうための措置で、支払う能力のある滞納者が増えるとそのための職員を配置し、結果として税金を使ってしまう。本当に苦しい人の納付相談に応じるのが本来の仕事であることを理解してほしい」と話している。(高柳 謙)