2009年4月30日 (木) 掲載

◎道新幹線 並行在来線の経営分離 誰が線路保有する?

 北海道新幹線新函館—新青森開業後、JRから経営分離される並行在来線の江差線五稜郭—木古内間(約38キロ)の代替輸送について、沿線3市町と道で議論が始まる。多額の赤字が見込まれる第三セクター鉄道で存続された場合でも、赤字見通しが小さいバス輸送に転換した場合でも、五稜郭—木古内間はJR貨物が走り、線路は残る。だが、JR貨物は法律で線路などの資産を持つことができない。ならば誰が線路を保有、管理していくのかという問題がある。

 函館、北斗、木古内の2市1町と道でつくる道南地域並行在来線対策協議会がまとめた需要予測調査では、三セク鉄道で路線を維持した場合、30年間で100億円以上の累積赤字が見込まれている。運賃の値上げや三セクへの人件費支援、道などが線路を保有、管理した場合など、最大限の負担軽減をした場合でも赤字は約21億円までしか圧縮できない。バス転換した場合では、30年間で約25—12億円の累積赤字が見込まれている。

 函館市と木古内町は「三セク鉄道でもバス転換でも、地元負担の大きさが判断材料」という。北斗市は「基本的に鉄路を残した存続方法を模索したいが、函館市と木古内町との調整も必要」との意向。3市町とも需要予測をたたき台に、望ましい公共交通の在り方を議論していく。

 新幹線開業後の並行在来線は全国で全4路線。いずれも第三セクター方式により運行が続けられている。青森県の「青い森鉄道」は、県が線路などの鉄道施設を保有し、会社は列車の運行だけをする「上下分離方式」を採用し、公共の負担が大きい。

 先の議論になるが、赤字の大きさから仮に五稜郭—木古内間の代替輸送をバスとした場合、全国で初めて並行在来線を廃止するケースとなる。しかし、JR貨物は走るため函館市の幹部は「三セク鉄道にしろバス転換にしろ、誰かが線路を持たなくてはならない」と指摘する。JR貨物は基本的に線路を持つことができないためだ。

 渡島支庁は「並行在来線の経営分離後、道が責任を持って貨物線路は守ることを約束している」といい、仮に旅客輸送が廃止になっても道などの公共が線路を維持する方向となっている。結局、どちらを選んでも線路は維持しなければならないため、三セク鉄道の方向を模索すべきという声も出てきそうだ。

 5月7日に渡島支庁で道南地域並行在来線対策協議会が開かれ、議論が始まる。(高柳 謙)



◎SL函館大沼号が今季の運行開始

 ゴールデンウイークが本番を迎えた「昭和の日」の29日、函館市内は好天に恵まれ初夏並みの陽気となり、行楽地などで本格的な観光シーズンが幕を開けた。函館—森駅間を結ぶ蒸気機関車「SL函館大沼号」が今シーズンの運行を始め、行楽地なども大勢の家族連れや花見客でにぎわった。

 この日の道南の最高気温は木古内町の17・4度が最も高く、函館15・7度、北斗14・9度、八雲14・7度、松前12・8度などと6月上旬から5月上旬並みの暖かさとなった。

 JR函館駅で行われたSLの出発セレモニーで、松原光雄駅長は「開港150周年を機に北海道の玄関口である函館に多くのお客様を迎えたい」とあいさつ。対面ホームでは函館開港150周年記念のシンボルマークをあしらった特急列車もお披露目された。

 出発前には函館共愛会保育園の園児約20人が童謡「汽車ポッポ」を合唱したほか、「箱館五稜郭祭」の実行委メンバーも衣装姿で駆け付け、祝砲を放った。カメラを構えた鉄道ファンらが見守る中、SLは黒煙を噴き上げながら、満席の224人を乗せてゆっくりと出発した。

 同園の伊波大河君(5)は「この日をずっと楽しみにしていた。SLを運転してみたい」と大はしゃぎだった。SL函館大沼号は、大型連休中は5月6日まで毎日1往復運行する。全席指定で、30日と5月1、6日以外はほぼ満席という。(森健太郎)



◎シナリオ大賞作品を募集…イルミナシオン映画祭

 毎年12月に函館山山頂で開催する「函館港イルミナシオン映画祭2009」の実行委員会(米田哲平委員長)は、第13回シナリオ大賞の応募作品を募集している。5月には04年長編部門佳作が原作となった「おと・な・り」の全国公開を控えるなど近年受賞作の映画化が相次いでおり、実行委は多くの参加を呼び掛けている。応募締め切りは7月31日(当日消印有効)。

 シナリオ大賞は函館から映画や人材を発信しようと96年度から実施。これまでに「うた魂♪(08年、日活)など10作品が映像化され、現在も1作品が製作準備中だ。

 応募資格はプロ・アマは問わず、共同脚本も可。未発表のオリジナルでテーマは自由。シナリオ本文の枚数は400字詰め75—100枚を厳守。グランプリ賞金は300万円、準グランプリは10万円。両受賞者は同映画祭の授賞式に招待する。

 過去に最終審査で複数作品が残り、差を付けにくい場合もあったことなどから、今年からはグランプリの複数受賞も認め、賞金を等分することにした。

 申し込みは応募用紙(ホームページからダウンロード可)に必要事項を記入し、2部を同封して同映画祭シナリオ大賞係(〒040—0053 函館市末広町4—19 函館市地域交流まちづくりセンター内)に郵送する。問い合わせは東京事務局TEL03・5367・6073。(新目七恵)



◎大妻高が介護福祉士養成施設に認可

 函館大妻高校(外山茂樹校長、生徒461人)はこのほど、厚生労働省と文部科学省から介護福祉士養成施設としての認可を受けた。社会福祉士・介護福祉士法改正に伴う措置で、道南で介護福祉士を養成している福祉系の新規指定校としては唯一。大学や専門学校と同じ位置付けとなり、同校は「しっかりした教育体制で質の高い介護福祉士を育てたい」としている。

 介護福祉士制度ではこれまで、専門学校などの養成機関で2年以上学んだ場合は国家試験を受けなくても資格を得ることができた。本年度の改正法施行で資格取得は国家試験に一本化され、福祉系高校の場合、授業時間数増や施設設備・教員要件などの厳しい基準すべてを満たして両省から認可を受ける必要がある。

 文科省によると、全国約220校のうち認可を受けたのは160校程度にとどまり、残りは負担増などを理由に受けていない。道内で認可されたのは9校で、森高は時限措置付きで要件が緩和される「特例高校」として申請受理された。

 28日、函館市役所で会見した外山校長によると、同校は以前から受験対策講習や実習棟の設置、教員の複数配置など高い教育環境を整えており、比較的スムーズに基準を満たした。介護実習は従来の3倍の時間が必要なため、幅広い種別の施設に協力を要請し、67施設から許可を得ており、福祉科の畔田かおり主任は「あらゆる福祉施設を網羅し、生徒の視野も広がる」とメリットを話す。

 外山校長は「20年間の実績を生かし、高い合格率を誇る教育体制を継続し、高齢化社会に対応していきたい」と話している。(新目七恵)



◎観光シーズン本番…大沼で安全祈願祭

 【七飯】駒ケ岳・大沼湖安全祈願祭(大沼観光協会等主催)が29日、大沼湖周辺で行われた。町内外から観光業者ら約400人が出席。観光シーズン本番に向けて大沼国定公園や駒ケ岳の安全と平穏を願った。

 同祈願祭は毎年の恒例行事。以前は駒ケ岳開山祭山として行われていたが、1998年に駒ケ岳が入山規制されるようになってからは、安全祈願祭として行われている。

 参加者のうち約100人が遊覧船に乗り、地域の守り神とされる相原防守政胤碑が奉られている大沼湖に浮かぶ相原島へ移動。湖畔全体を見渡せる雄大な景色を背に、安全祈願を行った。

 続いて一行は大沼の中心部に移動し、堀元大沼観光協会会長や中宮安一町長らが「安全祈願」と書かれたかぎ型のプレートを湖面に投げ入れ、湖水の開錠を行った。この後湖畔にある駒ケ岳神社へ移動し、駒ケ岳の平穏も祈願した。

 中宮町長は「今年は大沼湖水まつりが100回を迎える記念の年。大沼で事故が起こらず、たくさんの人に愛される場所であるように願っている」と話していた。

 祈願祭終了後は、4月に町立の分校となった大沼学園の生徒も参加し、湖畔のごみを拾い集める清掃活動も行われた。(石井 克)