2009年4月5日 (日) 掲載

◎函館市灯台資料館で来月、海と船の巡回展

 函館市恵山岬町の函館市灯台資料館「ピカリン館」(西巻勝幸館長)が1日から今シーズンの営業を開始した。隣接する恵山岬灯台の情報を中心に、国内外の灯台をテーマとした珍しい資料館として市民や観光客の人気を集めている。5月には、東京の「船の科学館」からの展示物を使った「海と船の巡回展」を開催する予定になっていて、西巻館長は「ぜひ多くの人たちに足を運んでもらいたい」と来場を呼びかけている。

 同館は、旧椴法華村時代の1995年に恵山灯台公園内にオープン。1890年から地域の海の安全を守ってきた恵山岬灯台の初代レプリカをはじめ、貴重な資料を数多く展示している。現灯台と同じ高さ(44メートル)から太平洋と恵山岬を一望できる大展望台では、備え付けの望遠鏡を使って灯台守の擬似体験ができるなど、子どもから大人までが楽しめる観光スポットとして親しまれている。

 また同館では、初の巡回展を5月1日から同31日まで開催する。海の科学館から借り受けた「海のトイレット」「海のクラフト工房」「泳ぎの回転寿司」など、10点のユニークな体験用アイテムが登場。西巻館長は「ゴールデンウイーク期間に、ぜひ家族連れで遊びに来てほしい」と話している、

 同館の開館時間は午前9時15分から午後5時まで(入館は午後4時半まで)。休館日は月曜日(祝日と重なる時はその翌日)。入館料は一般400円、高校生以下200円。問い合わせはTEL0138・86・2115。(小川俊之)



◎韓国人観光客、食べ物と温泉 低い評価

 函館市はこのほど、韓国人観光客を対象に実施した函館観光の実態調査結果をまとめた。夜景の優れた函館山や自然の美しさは好評だが、不満点として韓国語のコミュニケーション不足や食べ物が上位に挙げられた。温泉や食など函館観光の目玉が必ずしも韓国人の満足度を高めておらず、国際観光都市を目指すうえで示唆に富んだ結果となった。

 調査は民間業者に委託し、昨年8月(夏季)と同12月(冬季)の2回、函館空港を訪れた韓国人観光客計400人に聞き取りをした。

 観光スポットの認知度は、「函館山」が夏季、冬季とも90%以上で認知され、次いで「大沼公園・鹿部町」「トラピスチヌ修道院」「五稜郭」「元町地区周辺」の順で50%前後の知名度があった。

 印象度も「函館山」が夏季、冬季とも49%とトップ。認知度が高い「大沼公園・鹿部町」「トラピスチヌ修道院」はそれぞれ20%、10%の低水準にとどまった。

 函館観光の目的は「温泉や露天風呂に入る」が高いポイントを示したが、「湯の川温泉」の認知度、印象度は他の観光スポットと比べ低い結果となり、周知の必要性が課題として浮き彫りとなった。

 満足点では、「街・都市の景観」「自然の美しさ」「宿泊施設」「市民の親切心」の順で高かったが、不満点は「コミュニケーション」「案内の外国語標記」と、ホスピタリティー(もてなしの心)がかかわる要素が上位を占め、函館の売りである「食べ物」が3番目に続いた。

 食べ物の支持率はすしがトップだったが、牛乳、乳製品、ソフトクリームが高い支持を得ている。食べ物が不満点の上位につらねたことについて、市ブランド推進課は「料理そのものの不満ではなく、外国人の食文化に沿ったメニューを一品でも出すなどもてなしの部分が不備だったのでは」と分析。

 調査結果をもとに民間業者が掲げた提言は①滞在日数を増やす魅力づくりのポイントは温泉②「湯めぐり」など外国人に人気のあるメニューを提供する体制づくり③地元乳製品のブランド化―などを掲げた。

 同課は「不満点、課題を解消していくことが観光の魅力づくりに不可欠。今回の調査結果を受け止め、官民一体で取り組みたい」としている。(鈴木 潤)



◎北朝鮮ミサイル発射「誤報」、道南も混乱

 北朝鮮が「人口衛星打ち上げ」と主張する弾道ミサイルについて、発射予告期間の初日を迎えた4日、道南地域の各自治体や関係機関は、特別態勢で万一の事態に備えた。正午過ぎには政府が一時「ミサイル発射」を発表しながら、直後に誤報であると訂正するなど、住民の不安は広がった。結局この日は発射されず、5日以降も警戒態勢は継続される。

 函館市役所では小柏忠久理事、谷口諭総務部次長をはじめ職員4人が本庁舎6階総務部のフロアに常駐し、国や道からの連絡対応に当たった。

 午後零時17分、緊急情報ネットワークシステム「エムネット」が作動し、武田忠夫防災担当参事の机上にあるパソコンの画面に「北朝鮮から飛翔体が発射された模様」と記されたメールが受信され、現場は緊張感に包まれた。しかし同21分に再び受信音が鳴り、「誤探知」の画面を確認した職員らは、拍子抜けしながらも安堵(あんど)した様子だった。

 その後は政府からの連絡、情報はなく、午後4時で初日の任務を終えた。武田参事は「北朝鮮が発射すると通告しているので、引き続き緊張感を持って取り組む」と述べた。

 函館市消防本部では、管理職4人による情報連絡室を立ち上げ、午前10時から午後5時まで同本部内に常勤し不測の事態に備えた。道の危機対策局から「ミサイル発射」の情報を受けた際には、自宅待機していた各部署の責任者11人が数分で同本部に駆けつけるなど、緊張感に包まれた。

 渡島支庁では防災担当職員3人が臨時で常駐。各自治体でも防災担当の職員を出勤させたり、自宅待機させるなどの対応を取り、ミサイル発射予告期間の8日まで緊急体制は継続する。

 一方、一般市民の中には、やり場のない憤りが高まっている。函館市北美原の男性会社員(41)は「これ(ミサイル発射)をきっかけに最悪の場合は戦争の状態になることも考えられるので、政府はもっと危機感を持って対応すべき。万一の場合どこに逃げたら良いか分からず、家族がいるのでとても不安だ」と訴える。市内の無職亀谷涼子さん(79)は「(今日)発射されなかったことはひと安心。このまま中止してほしいが、まだ期間があるので油断はできない。昼の誤探知情報にはびっくりした。機械なので誤作動もあるのだろうが、できるだけ正確な情報を提供してほしい」と苦言を呈した。



◎西洋の名画83点…道立函館美術館で絵画展

 西洋の伝統美術を紹介する「山寺 後藤美術館所蔵 ヨーロッパ絵画の輝き~ロココの華・バルビゾンの田園~」(道立函館美術館など主催)が4日、函館市五稜郭町37の同美術館で開幕した。山形県出身の実業家、後藤季次郎氏が長年にわたり収集したコローやミレーの油彩画など83点の名画が展示されている。5月24日まで。

 史跡名勝の地、山形市山寺に所在する「山寺 後藤美術館」のコレクションから、18~19世紀のヨーロッパ絵画の秀作を展示した。同美術館での本格的な西洋絵画展は2005年以来となる。

 会場は「宮廷絵画からアカデミズムへ」「バルビゾン派とその周辺」「ヨーロッパ諸国の絵画」の3部構成となっている。ナティエやブーシェ、ロイスダールなどをはじめとする、西洋美術史を華麗に彩る巨匠たちの作品が並び、隆盛を誇ったヨーロッパ絵画を堪能できる。訪れた市内の鈴木敏代さん(71)は「展示作品はどれも描写が素晴らしく、数も多くて見応えがある」と話し、札幌の美大生福田由依さん(21)は「時代や場所によって作風の違いが感じられて楽しめる」と名画に見入っていた。

 これに先立ち、この日は関係者ら約70人を招いて同展の開会式が開かれ、午後には展示作品にまつわるビデオ上映が行われた。初日は215人が来館した。

 観覧料は一般1000円、高校、大学生600円、小中学生300円。午前9時半―午後5時(入場は午後4時半まで)。会期中は11日に美術映画上映会、18日は同展のギャラリーツアーなど多彩なイベントが行われる。問い合わせは同美術館TEL0138・56・6311。(山田孝人)



◎鳴海さん、コンブの大吊り橋をそば店に寄贈

 【福島】特産の養殖マコンブを材料に、新幹線などの模型を作っている福島町日向460の鉄工所社長、鳴海健児さん(69)が4日、「福島町千軒大吊(つ)り橋構想」を題材にした作品を同町千軒のそば店「千軒そば」に寄贈した。早速店内に飾られ、来客の目を楽しませている。

 同構想は豊かな自然を生かした吊り橋の設置で観光振興を図り、広域的な地域活性化を目指す。福島町千軒地域活性化実行委(三浦勇会長)が発案し、各地で講演会が開かれ、反響を呼んでいる。

 「コンブ細工職人」の愛称を持つ鳴海さんが「ぜひ協力したい」と同店に寄贈を申し出た。「千軒よろこんぶ大吊橋」と名づけ、長さ1・2メートル、高さ70センチの“橋”に大千軒岳をかたどった“山”もある。ほら穴もあり、ひもを引くとヒグマ人形が出前そばを持って顔を出す。

 千軒在住でまちおこしに励む笹島義広さん(73)と相談し、20日間かけて制作。江戸時代に砂金掘りで栄えた様子を伝えようと、知内川に見立てた場所には、コンブ独特の黄金色が輝く。

 江差町の祖父と来店した札幌市の奥山麗翔(れいか)さん(11)、舞翔(まいか)さん(10)姉妹は「コンブの色がきれい。クマのおもちゃが面白い」と笑顔を見せていた。

 同店営業は水・木・土・日の午前11時半―午後2時半。28―5月10日までは無休。(田中陽介)