2009年4月9日 (木) 掲載

◎花畑牧場直営店が函館進出

 人気菓子「生キャラメル」の全国的なヒットが続く花畑牧場(十勝管内中札内村、田中義剛社長)が、函館市豊川町11のはこだて明治館内に、道南初進出となる直営店「花畑牧場函館店」をオープンすることが8日、分かった。今月18日の開業予定で、年間3億円の売り上げを目指す。函館観光の新たな人気スポットとして注目を浴びそうだ。

 明治館東側の1階部分にテナントで入居し、売り場面積は札幌や釧路など道内7カ所の直営店で最大級となる約73平方メートル。主力の生キャラメル(1箱12粒入り、850円)をはじめ、直営店限定のチーズやバター、ソフトクリームなども販売する。

 函館店は道内では2月1日にオープンした札幌アピア店(札幌市中央区)に次いで8店舗目。昨年末から道内の主要観光地である函館へ進出に向け、立地や出店スペースを模索していた。これまで道南では函館空港の一部売店でしか取り扱いがなかった。

 店舗はれんが造りの明治館の雰囲気を生かし、馬車の車輪やミルク缶などのディスプレーで牧場の温かみを演出。店内には窓側にカウンターでソフトクリームなどを食べられるイートインスペースも設け、常時3000—5000点が並ぶ予定だ。

 従業員は全員が地元採用で、既に正社員を含め約20人を確保した。函館新聞の取材に対し、田中社長は「道南の方はもちろん、観光客にもぜひ商品を手にとっていただき、皆さまを笑顔にしたい」とコメント。同社は「函館の観光振興や地域貢献につながれば」としている。

 平日は午前10時—午後6時、土日祝日は午前9時—午後6時まで。問い合わせは花畑牧場東京事務所コールセンターTEL0120・929・187。(森健太郎)



◎ナッチャン、連休前の再開断念

 昨年10月末で運航を休止した東日本フェリー(函館市港町3)の青函高速船「ナッチャン」の運航再開が検討されていた問題で、グループ会社の道南自動車フェリー(同)は8日までに、大型連休前の4月下旬の再就航を断念する方針を固めた。今後は夏場の繁忙期に当たる7月中旬をめどに復活を目指す考え。

 高速船の運航に伴う漁業被害を最小限に食い止めるため、函館—青森間の所要時間を従来より延長しなければならず、その場合、採算に見合った集客が見込めない可能性があるため。当初の予定では4月25日から9月ごろまでの一日1往復の季節運航を目指していた。

 高速船は現在、1隻目の「ナッチャンRera(レラ)」が青森港に、2隻目の「ナッチャンWorld(ワールド)」が函館港にそれぞれ係留されているが、市港湾空港部によると、運航再開時にはどちらか1隻を当面、函館港港町埠頭(ふとう)に停泊させる計画が決まっていたという。

 道南自動車フェリーは運航時に発生する波の影響を調査するため、3月から航路で試験運航するなどして、再就航の準備を進めていた。一方、青函双方の漁業関係者からは沿岸操業などへの影響を懸念する声もあり、調整は難航していた。

 同社は「依然として利用客から運航再開を望む声は少なくない。今後はETC(自動料金収受システム)利用に絡んだ需要も予想され、夏場の運航再開に向けて消費動向を見極めたい」としている。(森健太郎)



◎江差線三セク収支予測、30年間で赤字117億円

 2015年度に予定されている北海道新幹線新函館—新青森開業で、JRから経営分離される江差線の五稜郭—木古内間(約38キロ)を第三セクターで存続させた場合、30年間で約117億円の累積赤字が見込まれることが分かった。バス転換ならば累積赤字は約12億円に圧縮される。

 道、函館市、北斗市、木古内町で組織する道南地域並行在来線対策協議会(会長・高橋はるみ知事)が8日、発表した。

 昨年の1日当たりの江差線推計利用者は2418人で、1キロ当たりの輸送密度は760人だった。開業後初年の16年の利用者数は2255人、輸送密度は666人だが、30年後の45年には人口減がさらに進み利用者が1375人、輸送密度は305人に減少する。

 三セク鉄道を設立した場合、JRからの資産譲渡や車両購入などの初期投資に約41億円が必要。開業初年から赤字で、初期投資資金を会社が借り入れした場合、30年間で累積赤字は約185億円に達し、初期投資の全額を自治体などが補助しても30年間で約117億円の赤字となる。

 このため収益増やコストダウンが必要となる。赤字117億円の補助金方式をベースに運賃を3割増しにした場合、30年間の累積赤字は約106億円になる。それに三セクへ人件費を支援した場合、累積赤字は約81億円に圧縮。さらに自治体などが鉄道施設を維持管理し、三セク会社は運行だけをする場合を加えても、累積赤字は約21億円で黒字にはならない。仮に三セク鉄道の赤字を最低限に抑えたとしても、道や地元自治体など公共の負担が増えることは間違いない。

 一方、バス転換した場合、列車に比べて定時性や輸送力が下がり、運賃は上がるため、乗客はさらに減少する。バス転換も開業初年から赤字だが、乗客が50%減少した場合は30年間で累積赤字が約25億円、乗客減が25%でとどまった場合は同約12億円の赤字で済む見通し。

 調査結果は8日、道が道議会新幹線総合交通体系特別委員会に報告した。同協議会は5月に渡島支庁で開く会合で報告を受け、11年度までにJRから経営分離後の江差線の代替輸送をどのようにするか結論をまとめる。(高柳 謙)

 



◎豪華な駅弁、期間限定販売

 4月10日の「駅弁の日」にちなみ、JR函館駅構内で駅弁を販売する「みかど」は、道南産の食材などを盛り込んだ駅弁「春の彩り」を9日から12日までの期間限定で販売し、旧市内を対象に1個から宅配(無料)も受け付ける。

 「駅弁の日」は数字の「4」、漢数字の「十」を組み合わせると弁当の「弁」の字に見えることから、日本鉄道構内営業中央会が定め、ことしで17回目を数える。

 毎年この時期に期間限定の駅弁を販売する同社は今回、知内町産ヒラメの押しずし、長万部町産の純正黒豚「六白(ろっぱく)」のそぼろ肉を混ぜた巻きずしを取り入れた。サワラの照り焼き、菜の花のからしあえなど旬の食材、紅花で色付けした「あきたこまち」の米粉めんで彩りを添え、春らしさを演出した。

 同社函館営業所の太田真美さんは「市民にも地元の駅弁をぜひ味わってもらいたい」と薦める。200ミリパックの緑茶付きで1050円。宅配は希望時間の2時間前まで、昼ごろの時間指定は前日までに予約が必要。「春の彩り」以外の駅弁も配達する。予約は同営業所TEL0138・22・2690。(宮木佳奈美)



◎丸井今井本社へ存続願う署名提出

 【札幌】民事再生手続き中の道内百貨店、丸井今井函館店の存廃問題をめぐり、函館市や函館商工会議所、地元商店街らでつくる官民の対策会議の代表が8日、札幌市内の丸井今井本社を訪れ、畑中幸一社長にこれまでに募った約3万5000人分の存続を願う署名を手渡した。

 市の備前悟経済部長や同会議所の古川雅章専務理事、市商店街連盟の渡辺良三会長ら4人が訪問。備前部長が「まだまだ予断を許さない状況だが、何とか存続に向けてお願いしたい」と述べ、地元商店街やテナント会、関係機関などが集めた計3万4947人分(8日現在)の署名を提出した。

 丸井今井側は畑中社長と菊地敏郎経営政策部長の2人が臨席。会談は非公開で行われ、市などによると、畑中社長は「スポンサーの再建案についてはまだ承知していない。地方店の存廃は白紙の状態で、何も決まっていない」と強調、明言を避けたという。

 会談では支援を表明している三越伊勢丹ホールディングス(東京)と高島屋(大阪)の再建案提出が15日に行われることも正式に表明したという。市や同会議所などは早ければ5月にも、市内・近郊と丸井今井函館店などを結ぶ無料バスの運行を検討するなど、百貨店の存続に向けた支援を続ける方針。(森健太郎)