2009年5月11日 (月) 掲載

◎女だけの相撲大会 名勝負に観衆沸く

 【福島】千代の山と千代の富士の両横綱の古里、福島町の福島大神宮(常磐井武典宮司)境内土俵で10日、「第19回北海道女だけの相撲大会」(福島町観光協会主催)が開かれ、盛り上がった。本格的な土俵で年に一度開催される“横綱の里場所”に全国から64人が出場。押しの強さで勝ち上がった「田辺山」こと北広島市の介護士、田辺千乃(かずの)さん(39)が2年ぶり5度目の優勝を飾った。

 毎年「母の日」に行われ、米国や豪州など海外出身の外国語指導助手(ALT)ら4人も参加し、国際色豊かな大会となった。近郊から大勢が来場し、「満員御礼」となった。

 開会式で常磐井宮司が神事を済ませ、安全を祈願。女相撲の発案者で、昨年、大会後に急逝した先代宮司の常磐井武宮氏の功績をたたえ、全員で黙とうした。

 初戦の成績で2ブロックに分け、トーナメントで対戦した。力士は短パンでこしらえた特製の「まわし」を締めて登場。「やさしく出してね海」「ゆっくり出してね山」「おばば山」などユニークなしこ名で真剣勝負を繰り広げた。

 昨年の覇者「おでぶ山」こと札幌市の会社員山本静香さん(33)が3回戦で退くなど番狂わせが相次いだ。大技のたびに大歓声に包まれ、「ごめんね。痛かったでしょ」と対戦相手をいたわるほほえましい姿にも大きな拍手が起きた。また、一回戦の敗者同士によるブロックは伊達市のパート森友美さん(41)が優勝した。

 松前町から母親と一緒に観戦した松城小3年生の須田真優さん(8)、心ちゃん(3)姉妹は「みんな強くてびっくりした。家に帰ったらお姉ちゃんと相撲で遊ぶ」と満足の様子。上位に賞金やスルメなどの特産物、6畳の高級じゅうたんが贈られ、「豪華景品は母親や家族にプレゼント。また来年、福島で会いましょう」と心優しい“女力士”たちは再会を誓っていた。(田中陽介)



◎無料買い物バス運行スタート

 地元の百貨店や周辺商店街での消費拡大を促そうと、函館市と函館商工会議所などが実施する無料の買い物バスと市電の運行が10日、始まった。初日はJR函館駅前・大門地区への便を運行したが、バスの利用客は行きと帰り合わせて延べ138人と低調な滑り出しとなった。

 バスは7路線10往復あり、第1・3土曜が本町・五稜郭・梁川地区、第2・4日曜が駅前・大門地区への買い物客を送迎する。市電は第1・3土曜が五稜郭公園前か中央病院前、第2・4日曜が松風町か函館駅前で乗り降りした場合に無料となる。運行期間は来年1月までの予定。

 バスの起点は函館市内が石川町第一公園、赤川、日吉営業所前、南茅部支所前、椴法華支所前の5カ所で、北斗市が富川会館前、七飯町が七飯役場前の各1カ所。市電はバスの運行日に合わせ、本町・五稜郭地区が10往復、駅前・大門地区が12往復する。

 この日は七飯役場前から出発した路線が計22人と最も多く、各地を午前中に出発した行きの便には計92人が乗車。一方、帰りの便は計46人と半減した。行き帰りとも乗客ゼロの路線もあり、市経済部は「想定よりも少ない利用で、市民への周知不足が露呈した」と今後の課題を挙げた。

 南茅部地区から乗車した女性(72)は「通常なら片道1000円以上掛かるので助かる。帰りの時間まで余裕もあって便利」と満足げ。別の女性(76)は「バス停に書いてあるのを見て初めて知った。まだ路線や時間を知らない人も多いのでは」と漏らした。

 無料バスの運行に合わせ、駅前・大門地区の函館都心商店街振興組合は加盟店約60店で5―10%の割引や粗品のプレゼントなどのイベントを実施。同地区の商店主は「人が集まってこそ消費が生まれる。百貨店とも競争しながら共栄していきたい」と話していた。(森健太郎)



◎市民体育館のあり方懇話会、来月初会合

 函館市教委は、市民体育館のあり方に関する検討懇話会を6月上旬に立ち上げる。市民体育館の役割と機能について考えてもらい、新築や補修、立地場所などの議論を自由にしてもらう。懇話会の公募委員2人を15日まで募集している。

 市民体育館(湯川町1)は築35年を経過している。市教委などによると、建物自体は50年以上もつとされるが、配水管や電気、ボイラーなどの設備面は改修が必要という。全道、全国レベルの大会開催やコンベンション(会議や大会)ができる機能面の充実について、競技団体や関係者から要望が寄せられている。

 懇話会の検討項目は①市民体育館の役割と機能②スポーツコンベンション等の誘致③体育館の立地場所―などで、市教委スポーツ振興課は「懇話会の検討結果を一つの方向にもっていくのではなく、全体を整理した中で少数意見も添えて教育長と市長に提言してもらう」と語る。

 懇話会の委員は競技団体や経済界などからの推薦委員が7人、学識経験者が3人、公募2人を予定。12月まで5回開催し、提言をまとめる。

 公募委員の条件は、市内在住の20歳以上で、知識や関心のある市民。同課で配布している申込書に必要事項を明記し、15日(当日消印有効)までに市教委スポーツ振興課(〒040―8666、函館市東雲町4の13)へ。市教育委員会のホームページからも申込書を入手できる。問い合わせは同課TEL21・3475。(高柳 謙)



◎「はこだてもりあげ隊」の朝市大盛況

 地域を盛り上げようと取り組む異業種交流の団体「はこだてもりあげ隊」が主催する本年度の朝市が10日、函館市美原1のパチンコ富士駐車場で始まった。初回は野菜や魚、菓子など多彩な23社が参加し、多くの市民でにぎわった。10月末までの毎週日曜日午前9時―同10時に行う。

 はこだてもりあげ隊はパチンコ富士の恩田泰久副社長や八百―ねっとの高坂重勝さんらが昨春に発足させた。各活動の情報共有やイベント企画などを行い、これまでに約150社が参加。朝市は実践の一環に「物・人・心の交流の場」として続けている。

 会場にはさまざまな野菜や珍味、ケーキなど食料品のほか、雑貨のフリーマーケットも並び、「安いよ」「新鮮だよ」と元気な掛け声が飛び交った。この日は開催を待ちわびた市民が開始の1時間前から来場し、買い物を楽しむ家族連れの姿も目立った。

 朝市の企画・運営担当の山崎健さん(大沼ガロハーブガーデン)は「出店数も多いし大盛況。魅力ある商品を作る人が集まっているのでぜひ応援して」と話し、恩田副社長も「情報を交流すると心のつながりができる。来場者も出店者が元気になる情報を発信してほしい」と話している。(新目七恵)


◎新社会人応援企画④…悩んだ分だけ成長できる・函館音楽協会会長 吉田淳子さん(55)

 「自信を持ってやってれば必ずうまくいくよ」。ピアノ・デュオ「りら」の活動を続けて34年目。平たんな道のりではなかったが、自身のエネルギーを信じて苦境を乗り越えてきた。

 函館出身。4歳からピアノに夢中になり、上野学園大学短期大学(東京)で技術を磨いた。古里に戻ると志望していた河合楽器製作所カワイ音楽教室に就職。22歳のとき、同郷の後輩、斎藤裕子さんとデュオを組み、初のリサイタルを開いた。

 客席から注がれる聴衆の視線とステージの熱気。とにかく目の前の鍵盤にだけ神経を集中させたが納得の演奏には至らなかった。聴衆を楽しませてこそ真の演奏家。だが、自分のことしか考えていなかった。

 プロに演奏批評は付きものだ。函館音楽協会主催の定期演奏会に出演、失敗するたびに批判を受けた。「2人の音楽観は違うんじゃない?」「デュオから転向したら?」。コンビとしての存在意義まで問われた容赦ない意見に涙を流したことも。

 30歳のとき、2人で今後の方向性を話し合った。「誰に何と言われようが自分たちには自分たちのスタイルがある」。共に励まし、固い結束を誓うと体が軽くなった。音色にも自然と深みが増し、聴衆も演奏を楽しんでくれるようになった。

 「誰だって初めは周りが見えなくて当たり前」と笑う。仕事がつらくても、若いうちはこつこつ目の前の仕事を片付けるだけでいい、と話す。「悩んでいるときは自分について真剣に考えている証拠。どんな職業でも悩んだ分だけ人は成長できるんだから」。その表情には、一点の曇りもない。(長内 健)