2009年5月12日 (火) 掲載

◎函館―大間、航路活性化へ法定協発足

 【青森】函館―大間(青森県)間のフェリー航路存続問題で、来年以降の存続に向けた具体策を検討する法定協議会「大間・函館航路活性化協議会」の初会合が11日、青森市内の青森県共同ビルで開かれた。会長に金沢満春大間町長が選任され、運航形態や利用促進策を探る「船舶」と「観光」の分科会の設置を決めた。

 法定協は国の「地域公共交通活性化・再生総合事業」による補助制度を活用し、青森県大間町や函館市が主体となって設置。1月から計3回にわたり存続策を協議した「大間―函館航路のあり方検討会」の報告書をたたき台に、遅くとも10月中旬をめどに最終計画をまとめる。

 協議会の委員は、行政関係者中心だった検討会のメンバーに加え、大学教授や旅行・交通関係者、まちづくり団体の代表らを交えた計39人で構成。道内や函館側からも3分の1以上のメンバーが含まれ、副会長には函館市の谷沢広副市長に決まった。

 金沢会長は「『命の航路』は国土の軸としても重要な位置付け。安定運航や活性化に向けて国や地域、事業者らで知恵を出し合って良い方向性を導き出そう」とあいさつ。船舶の種類や採算性などを詰める「船舶分科会」(13人)の会長には元高等海難審判庁長官の岸良彬氏、利用客の増加や観光振興の方策を取りまとめる「観光分科会」(22人)の会長には青森公立大学教授の山本恭逸氏が就いた。

 今後は「地域公共交通の活性化および再生に関する法律」に基づき、国の補助金を活用して航路の利用実態や観光客の需要予測を調査。7月から各分科会でも実務協議を進め、8月下旬から計画案の策定に入る予定。この日の出席委員からは「なるべく前倒しで」との声も上がった。

 函館―大間航路は、道南自動車フェリー(函館市港町3)が青森県や大間町の財政支援を受けて12月末まで暫定運航しているが、来年以降の継続は決まっていない。(森健太郎)



◎小沢・民主代表の辞任表明、道南各政党は比較的冷静な反応

 小沢代表の辞任表明は11日、道南の政党関係者にも驚きを与えたが、比較的冷静に受け止められた。民主党の支持率回復や解散時期は不透明だが、各党は代表辞任を攻勢の機にしている。

 次期衆院選道8区に出馬する民主党現職の逢坂誠二氏は「非常にクレバー(賢明)な判断。目的は政権交代ということを前向き、明確に語り、党内で続投、辞任を求める双方で理解される決断となった。解散時期や政治日程など、与党の判断に揺らぎを生じさせる」と評価した。代表辞任後の党内の結束については「挙党一致の意識が強まる。選挙にもプラスに働くと思う」と前向きにとらえる。

 自民党の8区公認候補、福島啓史郎氏は「小沢代表は13日の党首討論から逃げる形となった。公党の党首であるから説明する責任があり、それを放棄した」と批判。代表辞任で民主の支持率が回復することも想定されるが、福島氏は「そのことはあまり考えていない。党首が誰になっても淡々とやっていくだけで、民主党代議士を送り続けている8区を変える気持ちは変わらない」と語った。

 自民党と連立政権を組む公明党は「民主党内からの反発や厳しい世論もあり、いずれは辞任すると思っていたので驚きはそれほどない」(茂木修道南総支部幹事長)と冷静。今後については「与党にとっては反転攻勢のチャンスであり、地域が一丸となって奮起しなければならない」と引き締めた。

 比例候補の必勝を期す共産党は「自民党政治に明確な対立軸を持てない民主党の弱さが表れた。今の二大政党に閉じ込め切れない政治状況があり、われわれの出番である」(高橋佳大函館地区委員会委員長)と攻勢をかける。 (高柳 謙)



◎北乳不法投棄、渡辺次長に懲役2年6月求刑

 北海道乳業(函館市昭和3、田島久吉社長)のヨーグルト製品製造過程で排出された廃酸(廃シロップ)が北斗市内の牧草地などに不法投棄された事件で、廃棄物処理法違反に問われた同社と、函館市北美原3、同社装置技術部次長渡辺正昭(53)=休職中=、北斗市追分1、同社元社員で農業丹内辰雄(68)の両被告に対する初公判が11日、函館地裁(柴山智裁判官)であった。検察側は論告で「長期間にわたり膨大な量のシロップを捨て続け、極めて悪質で重大な事件。酸性の度合いが強くなった土壌への悪影響も軽視できない」として、同社に対し罰金1500万円、渡辺被告に懲役2年6月、丹内被告に懲役1年8月を求刑し、即日結審した。判決は6月10日。

 田島社長、渡辺、丹内両被告は罪状認否で起訴事実を認めた。

 検察側は冒頭陳述などで、2003年1月ごろ、渡辺被告が丹内被告に廃酸の処理を依頼し、同年3月ごろから丹内被告所有の畑などに投棄を開始したと指摘。丹内被告が大量の廃酸を処理しきれなくなった以降も、渡辺被告は商品製造への影響や処理費用がかさむことなどを考え、投棄を継続するよう指示していたとした。同社が処理費用を削減して得た利益は起訴事実の07年5月―08年6月の間に約3677万円、03年から計算すると、約1億3000万円に上るとした。

 被告人質問で、田島社長は「廃酸は適正に処理されていると認識していた。社長としての監督、管理が不行きだった」と述べ、利益を優先させたわけではないと弁明。投棄現場の土地所有者に対し、謝罪の意向を示した。渡辺被告は「毒性もなく、実害はないと判断していた。コスト削減とは言え、大きな問題となり申し訳ない」と供述。丹内被告は「(渡辺被告に)3カ月くらいで代わりの処理業者を探すと言われ、すぐにやめるとは言えなかった」とした。

 論告によると、渡辺、丹内両被告は、07年5月24日ごろから08年6月23日ごろまでの間、ほぼ毎日、計451回にわたり、北斗市大工川などの畑に、北乳の製品製造に伴って生じた廃酸計約1000リットルを不法投棄したとしている。



◎箱館戦争 戦没者の供養祭

 箱館戦争(1868―69年)で新政府軍による総攻撃が行われ、新撰組副長土方歳三や多くの兵士が戦死した11日、函館市内各地で戦没者の供養祭が行われた。参列者は無念の死を遂げた犠牲者に思いをはせながら、祭壇に手を合わせ冥福を祈った。(宮木佳奈美、鈴木 潤)

 ○…同戦争で亡くなった会津藩士を祭る「傷心惨目(しょうしんさんもく)の碑」がある高龍寺(船見町、永井康人住職)では、函館福島県人会(熊坂成剛会長)が藩士たちを供養する「碑前祭」を行い、参列した20人が戦没者のみ霊を慰めた。

 1869(明治2)年5月11日、箱館病院の分院となっていた同寺に新政府軍が乱入して傷病兵らを殺傷して放火し、多くの会津藩士が犠牲になった。80(明治13)年に旧会津藩有志がこの碑を建立。1962年に発足した同会が80年から毎年供養に訪れている。

 この日はあいにくの雨で急きょ社務所内に会場を移し、同寺の監寺日比優道老師ら僧侶4人が読経する中、参列者が焼香した。熊坂会長は「幕府軍の人たちの思いがどうだったか考えながら手を合わせた。碑前祭が何十年も続き、県人会の先輩たちの思いがつながってきたことに感謝している」と話していた。


◎桧山7町の町職員削減 進ちょく率は105・9% 

 【江差】全国の市町村が行財政改革の推進を目的に策定した「集中改革プラン」に基づき、桧山管内7町が設けた町職員の定員管理に関する数値目標は、7町平均の進ちょく率が105・9%に達し、全道町村平均の95%を10・9上回った。

 同プランは2006年度、総務省の要請で全国の市町村が策定。行政コストの圧縮に向けて、人口規模に見合った職員数の適正化が中心となっている。

 道のまとめによると05年4月現在、管内7町の職員数は1151人。内訳は江差町131人、上ノ国町109人、厚沢部町106人、乙部町112人、奥尻町170人、今金町180人、せたな町343人。同プランは05年4月を基準に、10年4月までに102人を削減するとしている。

 プラン4年目となる08年4月現在、新採用の職員数を差し引いた削減実績は、7町合計で117人に上る。05年4月を基準とする進ちょく率は、7町平均で105・9%。町別の削減数は江差町11人(進ちょく率157・1%)、上ノ国町8人(同42・1%)、厚沢部町5人(同62・5%)、乙部町10人(111・1%)、奥尻町15人(同100%)、今金町9人(同100%)、せたな町59人(同168・6%)。上ノ国・厚沢部の2町を除く5町が計画水準を達成している。

 道内145町村の平均進ちょく率は95%。政令指定都市の札幌市を除く道内179市町村の平均は86・9%。管内で全道平均を上回るペースで職員削減が進む背景には、人口減少に伴い行政規模の縮小を迫られている現状がある。各町とも事務職を中心に、定年などで退職した職員を穴埋めせず、新規の採用数を抑制する減員不補充の手法で職員数を調整している。削減数が目標水準に達したとして、新規採用を再開する動きもあるが、深刻な財政難からさらなる削減を迫られている町もある。一方で「職員採用が滞ると組織の新陳代謝が進まない。組織運営のノウハウが断絶してしまう恐れもある」(ある町幹部)と、職員数管理の難しさを指摘する声もある。(松浦 純)