2009年5月16日 (土) 掲載

◎エコポイント 期待と戸惑いの船出…量販店「特需でばん回」、消費者「分かりにくい」

 エネ家電への買い換えを促進する政府の「エコポイント」制度が15日、スタートした。消費不況で販売が伸び悩む函館市内の家電量販店では、エコポイント効果による「特需」を追い風にしようと、期待感が高まっている。一方、ポイントの使い道など詳細が未確定のままの船出となり、消費者からは戸惑いの声も聞かれた。

 来年3月末までに省エネ基準を満たしたエアコン、冷蔵庫、地上デジタル対応テレビを購入すると、国からポイントがもらえ、省エネ製品や商品券などと交換できる仕組み。エコポイントの商品交換は8月に始まる見通し。交換には購入した店や日付などを記載した保証書、領収書などが必要となる。

 ベスト電器のNew函館店(昭和1)では14日夜から、店員が対象商品を知らせる案内をテレビや冷蔵庫に取り付ける作業に追われた。対象商品には自社のポイントを割り増しするサービスも開始。佐藤公泰店長は「大型連休は適用待ちの下見だけに来る人も多かった。エコポイントを好機に売り上げをばん回したい」と力を込める。

 「ヤマダ電機テックランドNew函館本店」(美原2)は、初日は平日とあって静かな滑り出し。これまでに独自のポイントを上乗せして販売促進を続けてきたが、「直前には買い控えも見られた。店頭に客足が戻り、対象品以外の商品の売り上げにも波及すれば」(吉田健二店長)と期待を寄せ、本格的な商戦開始を今週末からとみている。

 一方、薄型テレビを品定めしていた市内の男性(65)は「まだ決まっていないことが多すぎてよく分からない。ポイントより価格の方が重要で、他店のサービスや割引も見極めたい」と話し、別の夫婦も「売り場で初めて知った。今買えばお得な気はするが、ポイントをどう利用していいか心配」と困惑気味だった。(森健太郎)



◎「議会改革 大きな課題」…函館市議会 吉田新議長ら会見

 函館市議会の議長に就任した吉田崇仁氏(新生クラブ)と副議長の能川邦夫氏(民主・市民ネット)が15日、函館市役所内で記者会見した。吉田議長は「議会改革が大きな課題。函館の活性化のためには、これまで通り行政のチェック機関としての役割を果たしながら、互いに協力できる部分では手を差し伸べるスタンスも必要」と語った。

 吉田議長は、今後取り組む大きな3つの柱として「議会改革の推進」「函館国際水産・海洋都市構想の推進」「人材の育成」を挙げた。このうち、議会改革については「すでに2年前から取り組んでいて、いくつか成果を挙げているが、まだ市民の期待に十分応えられているとは言えない。厳しい経済状況の中、議会と行政は車の両輪となって市民の声を反映しなければならない」と強調した。

 能川副議長も「議会の中で生産性のある意見交換をするためには、行政側が事前に必要な情報を提供することも考えるべきではないか。行政側の趣旨が正しく伝わらないまま議会に入り、スムーズに議論が進まないことが見受けられる」と指摘した。

 また、旧4町村地域の議会出身者(戸井町)として初めて議長に就任した吉田氏は、「合併によって、(旧4町村地域の)住民サービスが低下したとの声が聞かれる。函館全体の活性化を考えるためにも、豊かな自然と天然資源に恵まれた同地域を行政がしっかり支えていくことが不可欠」と話した。

 このほか吉田議長は、函館国際水産・海洋都市構想の推進によって地域経済の活性化を目指すことや、地方自治体を取り巻く環境の大きな変化に対応するために多様な人材を育てることなどを課題として掲げた。能川副議長は「吉田議長とともに、市民の意見を反映できる、市民に見える議会を目指したい」と述べた。(小川俊之)



◎宣教師レニー氏しのぶ…函館で祈念祭

 明治から昭和にかけ、函館で英語教育などに力を注いだカナダ人宣教師ウィリアム・レニー氏(1866―1951年)をしのぶ、第38回の祈念祭が15日、函館市時任町のレニー氏の顕彰碑前で開かれた。日本基督教会函館相生教会牧師の久野牧さんが聖書を読み、参加したレニー氏の教え子ら約20人が賛美歌を歌い、思いをはせた。

 レニー氏は1906(明治39)年に来函し、現在の函館中部、函館商業高校などで英語教師を務める傍ら、キリスト教伝道に務めた。函館を愛し、自分の力、持てる物をすべてを与え、祈りの生涯を貫き通し、市民から愛された。41(昭和16)年に函館を去り、51年5月15日、カナダで84歳の生涯を閉じた。

 記念祭は教え子ら有志が命日に開いている。参加者は花や歌をささげ、レニー氏の姿勢や人柄を思い巡らせた。久野牧師は「レニー氏が見つめ、愛していたものを、私たちも同じよう愛することが大切」と話していた。(山崎純一)



◎函館市でも定額給付金支給開始

 函館市で15日、定額給付金の1回目の口座振り込みと窓口支給が始まった。同日の対象は、申請初日(4月13日)に受け付けた約2万4000世帯分で、うち窓口での現金支給は約300世帯。

 市役所本庁舎1階の特設窓口では、市民が早く訪れたことから予定を1時間繰り上げて午前9時から手渡し支給を始めた。職員が通知書と身分証明書を確認し、現金を渡した。夫婦2人で4万円を受け取った男性(75)は「やはりうれしいし、米などの食料品を買いたい」、2万円を受け取った男性(65)は「もともとは私たちの税金だが、もらうとうれしい。給付金できょう、回転ずしでも食べたい」と話していた。

 市定額給付金事務局は「できるだけ市内のデパートや商店街で使ってもらい、地域経済の活性化につなげてもらいたい」と期待。安全、確実に支給できるよう、全庁挙げて職員が休日や終業後に事務作業を進めたが、対象が約14万3000世帯と多く、5月中旬からの支給になったことに理解を求めている。

 窓口の受け取りは本庁舎と各支所で平日の午前10時から午後4時まで。2回目の口座振り込みは5月21日。振り込み前に市から通知書が届く。(高柳 謙)


◎江差町 イチゴ生産者支援…雇用対策交付金を活用 

 【江差】江差町は、生産額が低迷している「高設イチゴ栽培檜山方式」を導入したイチゴ生産者に対する支援事業を実施する。国の第2次補正予算に盛り込まれた雇用対策交付金を財源に、総額1797万円の事業費を計上し、栽培環境や品質改善に向けた調査業務、新商品開発を視野に入れた支援を行う。

 15日の第3回臨時町議会で、関連予算の専決処分を承認した。町農業担い手育成協議会に委託する「戦略作物拡大業務」は、国のふるさと雇用再生特別対策事業交付金を活用。イチゴの栽培技術向上に向けたデータ収集や分析を進める。事業費は人件費を中心に1312万円を計上。雇用人数は7人。雇用期間は本年度末まで。

 町内の農業生産法人グリーンネット・恵(めぐみ)を委託先とする「農産物新商品・販路開拓業務」は、国の緊急雇用創出事業交付金が財源。イチゴの規格外品を活用した新商品開発や販路拡大を進める。事業費は484万円。雇用人数は5人。雇用期間は今月から9月末まで。

 町は本年度、イチゴ生産者を対象に、事業資金の無利子融資のほか、農業用水の水質改善を目的に利用した水道料や土壌診断に要した費用について、それぞれ2分の1以内で補助金を交付するなどの支援策を講じ、生産額が伸び悩んでいるイチゴを戦略作物として定着させたい考えだ。

 臨時会では、江差追分会館隣接地に建設する「山車会館(仮称)」の設計委託費に450万円を計上した、総額586万円の一般会計補正予算案を可決。補正予算など7件の専決処分を承認し、同日閉会した。(松浦 純)