2009年5月2日 (土) 掲載

◎「ハイカラ號」出発進行…今年から運行距離延ばす

 函館市電の復元チンチン電車「箱館ハイカラ號」の運行が1日始まった。これまで日中は五稜郭公園前から市内西部地区を走っていたが、今年から運行距離を延ばし、主に駒場車庫前から函館どつく前・谷地頭間を4往復する。

 ハイカラ號は赤を基調としたレトロな愛らしい姿で、車内は温かみを感じる木張りが市民や観光客から人気を得ている。93年から期間限定で運転しており、今年は点検作業のためスタートが遅れたが、10月31日まで運行する。

 車輪が単車のため、独特な揺れや走行音がする。杉並町電停で降車した人は「昨年までは途中で乗り換えていたが、ここまで来られてうれしい」と話していた。

 毎週火、水曜は車両点検のため運休する(5月は5、6日は運行し7日に運休)。雨天や荒天の時は予告なく運休する場合もある。運賃は一般の電車と同じだが、イカすカードは使用できない。運行に関する問い合わせは市交通局運輸課TEL0138・52・1273。(山崎純一)



◎函館初、函大・五嶋さん11日からロシアに派遣

 函館大学2年生の五嶋春奈さん(19)が、日本JCロシア友好の会(東京)などが主催する学生派遣事業のメンバーに選ばれた。11日から8日間の日程で訪問し、現地大学生との文化交流などに臨む。函館からの派遣は初。五嶋さんは「この体験を地域で広げ、函館のために役立てたい」と意気込んでいる。

 学生派遣事業は領土問題解決に向け、日露交流を担う人材を育成する目的で1998年から実施。大学生らを対象に全国の青年会議所から推薦者を集め、語学力や留学経験などを基準に15人程度を選ぶ。函館青年会議所(藤澤義博理事長)はロシアとゆかりのあり、開港150年の地元から学生を送ろうと、ことし初めて会員から候補者を集め、五嶋さんを推薦。応募者全国72人(道内10人)のうち、五嶋さんを含む13人が派遣されることになった。

 五嶋さんは函館生まれ。中学生のころから家族で何度もロシア人留学生のホームステイを受け入れたり、兄がロシア極東大函館校を卒業するなどなじみのある国としてロシアに興味を持っていた。高校時代にはオーストラリア留学も経験し、10月からは函館大と姉妹校のオーストラリア・ニューカッスル大に1年間の長期留学も予定。将来は英語を使う職業を目指している。

 現地では国立のモスクワ大とサンクトペテルブルグ大の学生に織り染めなど伝統文化を披露して交流したり、日本大使館を訪問する予定。「代表として責任を持ち、(交流の)結果を出したい」と話し、「世界的に良い関係を結ぶためにもロシアの学生と話し合いたい」と抱負を語る。

 溝田春夫学長は「現地での体験を他学生にも伝え、意欲喚起してほしい」と期待。函館青年会議所の丸谷史専務理事(34)も「函館を代表して参加し、この経験を今後の交流につなげてほしい」と激励している。(新目七恵)



◎広さ2倍 利用環境が向上…函館市消費センター移転オープン

 函館市若松町の棒二森屋本館に開設している市消費生活センターが1日、面積を2倍に広げて6階に移転オープンした。相談者のプライバシーに配慮し、仕切りを設けた相談室2室を新設するなど、利用環境が向上した。センターを管理する函館消費者協会の岩船寛会長や工藤寿樹副市長らが出席し、開所を祝った。

 悪質商法などからの消費者保護や暮らしの中の消費者問題に対応する目的で1974年11月、市が直営で棒二森屋5階に開設。78年4月から函館消費者協会に運営を委託し、2006年4月からは同協会が指定管理者となっている。面積は7階にあった35・5平方メートルから77・4平方メートルに広がった。

 開所式で岩船会長は「架空請求や悪質商法、食の安全など消費者を取り巻く諸課題に対応したい。センター内の業務だけでなく、合併した渡島東部旧4町村地域への出張相談やホームページ開設なども検討したい」とあいさつ。工藤副市長も「相談環境が充実し、市民の消費生活にかかわる相談拠点として機能強化が図られる」と期待した。

 岩船会長、工藤副市長、市議会民生常任委員会の佐古一夫委員長、棒二森屋の井上裕司店長の4人でテープカットし、午前10時の開店とともに利用を開始した。

 同センターによると、07年度の消費者相談は約2200件で、08年度は約1600件と減少しているが、架空請求などの手口は悪質、巧妙化し、解決まで時間がかかる事案が多いという。(高柳 謙)



◎地域とのつながり広げて…まちづくりセンターに移住者サロン

 函館に移住した人たちへの情報発信や交流を広げる「移住者サポートセンター」が1日、函館市末広町4の市地域交流まちづくりセンターに開設された。自身も移住者という同センター職員の佐久間正昭さん(58)が常駐し、移住者が培った技能を生かせる場の紹介やさまざまな相談に応じる。

 市の委託事業で、本年度から始まった。同センター3階に「ラブ里(リ)ーはこだて」と称したサロンとデスクを設置し、移住者が地域の活動に参加しながら横の広がりをつくっていくことを支援する。

 情報発信として、大型連休明けに「ラブ里ーはこだて」のホームページを開設し、メールマガジンの配信も始める。23日午後2時からは同センターで移住者交流会を開き、移り住んだ人と支援者が自由に語り合い、函館暮らしを応援する。移住者フォーラムの開催も計画している。

 佐久間さんは全国を転勤して歩き、1995年に神奈川県から函館に移り住んだ。「移住者は最初の2、3カ月は観光客の気分だが、その後は生活の不安などの現実問題に直面する。培った技能を発揮したくても活動の場が分からないことが多い。そうした不安や要望に応えるサロンにしたい」と語る。

 まちづくりセンターは市民活動や交流の拠点。センターの機能を活用しながら移住者が語り合い、充実した新生活を送ることができるよう、支援していく。サロンの利用は無料で、自由な来場を呼びかけている。

 佐久間さんは正午から午後8時まで同センターに常駐している。問い合わせは同センターTEL0138・22・9700。(高柳 謙)