2009年5月20日 (水) 掲載

◎江差町 新型インフル対策本部を設置

 【江差】新型インフルエンザの国内感染拡大を受けて江差町は19日、濱谷一治町長をトップとする新型インフルエンザ対策本部を設置した。桧山管内での患者発生に備えて、防護衣やマスクなどの調達を急ぐほか、観光施設や小中学校などでの消毒やうがいの励行といった感染防止対策も本格化させる。

 18日現在、道南では、函館・北斗の両市が対策本部を設けているが、町レベルでの設置は初めて。同本部は、国内発生が確認された現時点を初動段階と位置付け、総務、福祉、危機、教育の4対策部を設置。町民福祉課は、現場対応を重視するため、災害対策を担当する建設課に事務局を置いた。

 初動段階に当たる19日時点では、患者発生時の対応に当たる町職員が着用する、防護衣、マスク、ゴーグル、手袋といった個人用防護資材の調達を開始。週内をめどに独居高齢者など、感染拡大時に支援が必要な町民のリスト化も進める。月内には個人や家庭レベルでの感染予防対策をまとめた広報紙を全戸配布する。

 町立の保育園、幼稚園、小中学校では、うがいや手洗いの励行を徹底するほか、スプレー式の手指用消毒薬の配備も検討。町が管理する観光施設でも、関西方面からのツアー客が数多く訪れており、施設入り口などに消毒薬を設置する。必要に応じて、補正予算を編成して、資機材購入費など財政面での手当ても進める。

 道内での発生が確認された段階で「第2非常配備」の段階に移行。経済・水道の両対策部を拡充する。桧山管内や町内で患者が確認された時点で町の全部局で対応に当たる「第3非常配備」の体制を取る。管内で多数の患者が発生した場合に備えて、町独自に住民の相談体制を整えることも検討している。

 濱谷町長は「国内での感染動向がどのように推移するのか分からない現状では、あらかじめ町内での発生に備えた体制を整えることが重要。弱毒性であっても多数の患者が発生すれば、医師不足の管内では医療体制が混乱する。事前の予防対策で患者数を減らすことが、医療機関の余裕を確保することにつながる」としている。

 新型インフルエンザ対策をめぐっては、檜山管内では江差保健所が「発熱相談センター」を設置。医療機関を受診前の相談を呼び掛けている。相談時間は午前9時―午後9時。夜間も対応する。問い合わせは同センターTEL0139・52・1053へ。(松浦 純)



◎日米交歓ガラコンサート 友好の歌声響く

 函館開港150周年、ペリー提督来航155周年記念「石田雪子with函館MB混声合唱団 日米交歓ガラコンサート」(函館日米協会主催)が19日、市芸術ホールで開かれた。アメリカ在住のソプラノ歌手で音楽博士の石田雪子さんと世界的ピアニストデービッド・アントニー・ロフトンさん(米)が出演。完成度のある熱演で大勢の来場者を楽しませ、日米の友好の和を深めた。

 開港後の函館に入ってきた西洋音楽を研究している石田さんは18日、函館市役所を訪れ、市観光大使の任命を受けた。演奏会には、石田さんと共演したことがある函館MB混声合唱団、石田さんが指揮するニューマン大学合唱団(米)、函館のピアニスト畑中佳子さんも出演した。

 全員による両国の国歌斉唱で幕開け。第一部では函館MB混声合唱団が、畑中さんのピアノに乗せて「夕焼け小焼け」「赤とんぼ」など昔懐かしい童謡13曲で美しいハーモニーを響かせた。

 石田さんとデービッドさんは第二部に登場し、グノーの「アヴェ・マリア」やガーシュインの「サマータイム」などを熱演。石田さんの美しい歌声に会場からは惜しみない拍手が送られ、最後は出演者全員で賛美歌「アメージンググレイス」などを歌った。

 演奏会に先立ち、石田さんらはこの日の午前、同協会の野田義成会長らと函館市西部地区の外人墓地(船見町)、ペリー広場(弥生町)を訪れた。外人墓地ではペリー提督とともに来航し、函館で亡くなった水兵の墓前で祈りを捧げ、アメージンググレースなどを歌った。(長内 健)



◎道南自動車フェリー 来月から土・日曜・祝日前後 マイカー利用客 最大25%値下げ

 道南自動車フェリー(函館市港町3)は19日、6月中旬からマイカー利用客を対象に函館と青森、大間を結ぶ土日、祝日前後の運賃を最大で約25%引き下げる割引サービスの導入を発表した。高速道路料金の大幅値下げや定額給付金の支給に合わせた需要を取り込み、新たな顧客獲得を図る狙いだ。

 「マイカーホリデー割引」と銘打ち、6月12日―9月28日までの土日、祝日の翌前日などに実施(8月1―24日の繁忙期を除く)。同社が現在、道運輸局に認可を申請していて、7月18日から運航再開予定の青函航路の高速船「ナッチャン」も対象とする。

 割引対象はマイカー(軽・普通乗用車)のドライバーが通常料金より一律20%引きで、函館―青森の在来船が片道1万6000円、函館―大間が同1万2800円。同乗者も最大で約25%引きとなり、函館―青森間の在来船2等(エコノミー)が大人片道2000円。

 6月12日―7月31日までの間は割引利用者が船内でアンケートに答えると、先着5000人に片道1台につき1000円分のガソリン券をプレゼントする。在来船は5月21日から、高速船は認可され次第、電話やインターネットで予約を受け付ける。乗船日の5日前までに決済を終えていることが条件。

 同社は割り引き期間中、前年比5000台の利用増を目標とし、「青函圏の往来を増やし、地域経済の活性化につなげたい」とPRしている。問い合わせは同社函館支店TEL0138・43・4545。(森健太郎)



◎石崎地主海神社ヤエザクラ満開

 函館市白石町248の石崎地主海(じぬしかい)神社の参道で、ヤエザクラの代表的品種「関山」約170本が咲き始め、濃紅色の大輪が約300メートルにわたりトンネルを織り成している。

 ヤエザクラは1968年、神社が現在地に移転した際、松前町から300本の苗木を譲り受けて植えられたのが始まり。暖冬の今年は早く見ごろを迎えるとみられたが、4月下旬からの寒さで足踏み状態となり、ほぼ例年同様の時期に咲き始めた。(山崎純一)


◎小中一貫教育 推進委員会が発足 江差町教委 検討作業が本格始動

 【江差】江差町教委が2011年度の本格実施を検討している、小中一貫教育の具体的な進め方を協議する「小中一貫教育推進委員会」が18日に発足した。学力向上や児童生徒の交流促進を目標に、3年後の本格実施に向けたカリキュラム編成や学校行事の一体化といった具体策の検討作業が本格的に始動した。

 推進委は、町立小中学校の校長、実施校となる江差北小学校(茶碗谷稔校長、児童133人)と江差北中学校(西川良宏校長、生徒47人)の教頭と教職員代表、PTAや地域住民の代表者、町教委や道教委檜山教育局の担当者ら17人で構成。委員長には、江差町校長会長の守嶋修二・江差中校長が就任した。

 初会合で新木秀幸教育長は「道南では小中一貫教育の先行的な事例がない。だからこそ新しい『江差モデル』を作り上げることができる。今までの経験則だけに頼ることなく、全員で挑戦する気概を持って取り組んで欲しい」とあいさつ。本年度は、小中一貫教育の中で重点を置く教科の選択などの検討を進める方針で一致した。

 町教委は昨年6月に「小中一貫教育基本構想委員会」を設置。義務教育9年間の連続性を生かしたカリキュラムによる学力向上、小学校から中学校への移行がスムーズに進まない「中1ギャップ」の解消などを重点目標に掲げながら、学校行事の一体化、地域住民との連携強化などを盛り込んだ構想案を4月下旬に策定した。

 本年度は検討期間、来年度を試行期間に位置付け、新学習指導要領が小学校で2011年度、中学校で12年度に本格実施されるのに合わせて、両校で小中一貫教育をスタートさせる方針。町教委は本年度、小中一貫教育の検討に約97万円の予算を計上。文部科学省の委託事業も取り入れながら、教職員や保護者を対象とした研修会や講演会の開催、道内外の先進地視察、8月に福岡県宗像市で開かれる小中一貫教育全国サミットへの関係者の出席を計画。町教委の小笠原正能・生涯学習課長は「本年度は小中一貫教育の具体像について情報収集を進めながら、教育関係者や保護者の認識を深めたい」としている。(松浦 純)