2009年5月22日 (金) 掲載

◎地上70メートルの絶景、ゴライアスクレーン公開

 7月までに解体、撤去されることが決まっている旧函館ドック跡地の大型クレーン(ゴライアスクレーン)のけた部(頂上部)が21日、報道機関に公開された。

 2基のうち工場側に位置する1号機が対象で、同クレーンを所有する函館どつくの社員や市港湾空港部の職員が随行。参加者は地上70メートルのけた部まで階段を一段ずつ上った。

 最上部からは函館湾や沿岸沿いの街並みや、函館山のふもとに広がる住宅群などのパノラマが広がる一方、クレーン自体にはさびや鳥のふんなどによる風化が目立った。

 同クレーンの撤去工事は17日から始まっており、クレーンを製造、設置した石川島播磨重工業の関連会社、石川島運搬機器が施工。26、27日には1号機を海側の2号機方向に移動する工事に着手し、6月18日ごろからクレーン船でクレーンをつり上げ、市が保有するドック跡地に運搬し、解体を進めていく。 (鈴木 潤)



◎鹿部道路再開へ期成会、地域の特殊性訴える

 函館広域幹線道路整備促進期成会(会長・西尾正範函館市長)の本年度総会が21日、函館市内のホテルで開かれた。国土交通省が本年度の整備を凍結した国道278号鹿部道路(鹿部町大岩―同町本別間7.7キロ)の再開に向けて、防災や海産物輸送など地域の特殊性を加えて再評価してもらえるよう運動していくことを決めた。

 同期成会は函館、北斗、七飯、鹿部、森、厚沢部の6市町で組織。事務局の函館市土木部が本年度の事業計画として、函館新外環状道路や国道5号函館新道、国道278号など6路線の整備状況を説明し、早期完成を求めていくことを決めた。

 鹿部道路について、国は費用対効果の観点から凍結。効果を測る指標は交通事故の減少や交通利用量、時間短縮などであることから、鹿部町の川村茂町長が「駒ケ岳噴火時の避難道路などの特殊性を評価項目に入れてもらいたい」と提案し、了承された。

 西尾会長は「新外環状道路が着工の運びとなり、何としても6年後の北海道新幹線開業までに完成させる意気込みで臨みたい」とあいさつ。函館開発建設部の木村邦久部長と渡島支庁の寺山朗支庁長も「新幹線の開業効果を高める上で高規格道路や高規格幹線道路の整備は不可欠で、地域の方々の熱意という後押しを受けて東京に訴えたい」と述べた。(高柳 謙)



◎1―3月期、道南経済「厳しさを増している」

 函館財務事務所は21日、1―3月期の経済概況「道南経済レポート」を発表した。個人消費の弱まりや道外からの来函客数の減少に歯止めが掛からない状況から、景気の総括判断を前期(昨年10―12月期)の「厳しくなっている」から「厳しさを増している」として2期連続で下方修正した。

 項目別では、個人消費が「弱い動き」と判断を据え置き。主要大型店(7社)の売り上げは前年同期比7.8%減で、消費者の節約志向に加え、暖冬や春先の低温で主力の衣料品が冬物、春物とも商戦の不振が響いた。新車販売台数も普通乗用車が同40・6%減と急減し、景気悪化の影響が色濃く表れた。

 観光は「前年を大きく下回る」から「前年比減少幅が拡大」に後退。空の便は関西空港便の廃止・減便や、機材の小型化の影響で道外客が減少しているほか、海外からのチャーター便の縮減で台湾客が大きく下回り、同12.0%減と苦戦した。

 主要宿泊施設(15施設)の宿泊客数も団体客に加え、都市圏からのビジネス客が落ち込み、同15.0%減だった。同事務所は「開港150周年関連のツアーも旅行関係者から『事業内容の決定が遅すぎる』『ツアー日程が組めない』などの声が上がっている」と指摘する。

 住宅建設(函館、北斗両市)は貸家や給与住宅が好調で、所得環境の悪化で購入が慎重化している持ち家の減少分を補った。生産活動は引き続き「低下している」と判断したが、新幹線関連工事の影響で堅調な生コンや、多くの受注残を抱える造船が全体をけん引した。今後の見通しについて同事務所は「まずは雇用の安定が最優先課題。経営破たんしたナルミの影響もあり、当面は先行き不透明な厳しい状況が続く」としている。(森健太郎)



◎裁判員制度スタート、告知用看板「0」に

 函館地裁は21日、裁判員法の施行に伴い、同地裁前設置の告知用カウントダウンボードに「0」をはめ込んだ。数字の入れ替えは、同地裁のオリジナルキャラクター「ほーふくん」の考案者で会計課事務官の赤塚あいさん(27)が担当。看板は同日夕方には撤去されたが、大勢の地裁職員が見守る中、裁判員制度の初日を迎えた。

 告知用看板は2007年4月に設置され、昨年5月21日からは制度スタートまでの残り日数を刻んできた。裁判員にちなんだ「サイ」の「ほーふくん」は、裁判官の「法服」、「豊富な知識」から名付けられ、同地裁の“広報官”として活躍。看板とともに市民に親しまれてきた。

 看板撤去に当たり、瀧澤泉所長は「裁判員制度がスタートし、本日から地裁の日常業務のひとつとなった。気持ちを新たに裁判員制度の円滑な運用に力を入れたい。国民の理解と積極的な参加をお願いしたい」と述べた。(今井正一)


◎函館芸術会議がライブ、歌に合わせミュージックサイン

 芸術と障害者福祉の振興団体「函館芸術会議」(木村公一議長)はこのほど、音楽を動作や絵などで表現する「ミュージックサイン」を取り入れたライブを、市地域交流まちづくりセンター(末広町4)のカフェオタジィラで開いた。男性音楽ユニット「りぼん」、ピアノ弾き語りのm○kaさんの曲に合わせ、市内の手話通訳士、鈴木三千恵さんらがミュージックサインを披露した。

 ミュージックサインは聴覚障害者に音楽を楽しんでもらおうと、鈴木さんが中心となって広め、毎年9月に北斗市で開かれる「北海道ユニバーサル上映映画祭」(実行委主催)の上映全作品に取り入れられている。6月13、14日に市内で開かれる「第25回DPI(障害者インターナショナル)日本会議全国集会in函館」でも紹介される。

 この日は同集会のPRも兼ね、当日の開会式で演奏される「りぼん」の曲「ポケットの中の虹」のほか、ピアノ弾き語りのm○kaさんの曲「顔を上げて」など数曲に鈴木さんらがミュージックサインを付け、ギターやピアノの音などを動作で、歌詞を手話で表現。函館白百合学園吹奏楽団のメンバー23人もコーラスで出演した。

 ライブに立ち寄った市内の50代女性は「初めて見たがとても素敵。一体感があって涙が出るほど感激した」と聞き入っていた。このほか社会福祉法人道南福祉ネット内ToMoハウスに集う障害者によるユニット「ToMoブレンド」らも登場。会場には約60人が詰めかけた。(宮木佳奈美)