2009年5月23日 (土) 掲載

◎北前船の寄港地集まりフォーラム

 【松前】「第4回北前船寄港地フォーラム」(実行委主催)が22日、松前町総合体育館で開かれた。江戸時代、日本海を航路に北海道と本州の交易を担った「北前船」の歴史と功績を振り返り、まちづくりや観光振興について意見交換。町民や寄港地関係者ら約800人が参加し、「北前船が各地にもたらした栄華を今によみがえらせよう」と現代版“北前船”の羅針盤を探った。

 山形県酒田市、秋田県にかほ市と男鹿市に続き、道内では初開催となった。テーマは「新時代の、北前船浪漫を求めて」。観光庁観光地域振興部観光資源課長の水嶋智氏とJR北海道社長の中島尚俊氏が基調講演した。

 水嶋氏は「住んで良し、来て良しと自分が住む土地に誇りを持つことが重要。その土地ならではの姿が観光客の魅力となる」と指摘し、「人と人との生身の触れ合いが感動を招く。子どもも含めて住民一丸で観光を充実させようとする意識が重要」と述べた。中島氏は2015年度開業の道新幹線に触れ、「新幹線がただ来ればいいという発想ではなく、あと6年どう準備するか、広域的な連携の強化でその利益の享受を多く長くする知恵を絞ってほしい」と強調した。

 作家の石川好さんが進行役のパネル討論には、JR東日本の見並陽一常務やANAセールスの浅川修代表、JALツアーズの布留川成明常務ら計7人が登壇。

 「北前船は物資とともに各地で生活する人々の心をつないできた」と一様に口をそろえ、各寄港地に共通するものとして自慢の食材を挙げた。また、おいしい食べ物の人気はいつの時代も不動で、食や体験を生かした積極的な観光事業に切り替える必要性も指摘された。

 石川さんは「陸と空のライバル同士がこうしてアイデアを持ち寄り、地域の発展を考えることは実に素晴らしい。このフォーラムの意義そのもの」と締め、会場から大きな拍手が起きた。

 町内の永井竹子さん(68)は「活発な意見を聞いて、あらためて古里を盛り上げたいと思った」、ボランティア観光ガイドとしてまちの魅力を伝える松前高校3年生の木田亮君(17)と堀川里菜さん(17)は「今日の話はすべて勉強になった。まちを好きになることは自分や地域、ここに足を運んでくれた人の幸せづくりにつながると感じた」と笑顔だった。(田中陽介)



◎函館市議会、大間町議と航路存続へ意見交換

 青森県大間町議会の議員9人が22日、函館市議会を訪問し、存続が危ぶまれている函館―大間間のフェリー航路存続について意見交換した。市議会の吉田崇仁議長は「航路存続に向けて連携、協力し、知恵を出し合わなければならない」とあいさつ。同町議会の竹内弘議長は「われわれは“命の航路”と位置付けており、お互いに存続のために頑張りましょう」と協力を求めた。

 1月に函館市議会の当時の正副議長と吉田議員が大間町議会を訪問し、航路存続に向けた協力を伝えた際、意見交換の提案があり実現した。大間町議会からは、10人中9人の議員と議会事務局職員ら計12人が来庁。函館市側も議員や職員らが出迎えた。

 吉田議長は、この日の市議会臨時会で可決した「『函館―大間』フェリー航路の存続に関する決議」を読み上げ、協力する姿勢であることをあらためて強調。町議会側は決議に感謝し、「航路が国道の延長であり、災害時の避難道であることを国に認識してもらうため、ともに行動してほしい」と協力を求めた。

 これに対し市議会側からは、同町をはじめ下北半島から市立函館病院に多数の患者が来ることから「存続について一緒に調査、研究したい」との意見があったほか、国の交付金活用の可能性を提案したり、フェリー会社の経営状態把握の必要性を指摘する声があった。(小泉まや)



◎ユジノ線、来月3日運航再開

 搭乗率の低迷で4月下旬から運休しているロシア・サハリン航空の函館―ユジノサハリンスク線が、6月3日から運航を再開する。

 同航空日本総販売代理店UTSエアサービス(札幌)などによると、休止前と同様、週1往復を運航する予定で、同航空は再開に向けて往復料金(8万3300円)を値下げする方針を示している。

 新料金は明らかにされていないが、料金の値下げで利用者の新規開拓や競合路線との競争力を高める狙い。25日に新運賃を発表する見通しで、同サービスは同航空からの正式な連絡を受けて国土交通省に料金変更の手続きをする。

 同線はサハリンの石油・天然ガス開発が一段落し、ビジネス客の利用が減ったほか、ウラジオストク航空(ロシア)の東京―ユジノサハリンスク間の定期チャーター便の運航も影響し、今年1―3月までの利用客が前年比44%減と低迷。4月22日から5月末までの運休を関係機関に伝えていた。

 22日現在、函館市は同航空から正式な連絡を受けてはいないが、市港湾空港部は「市として支援できることがあれば関係部局と連携して協力していきたい」と話している。(鈴木 潤)



◎文団協の新会長に宍戸さん

 函館市文化団体協議会の本年度総会が22日、五島軒本店(末広町)で開かれた。役員改選で、函館音楽協会の宍戸雄一さんが新会長に就任。本年度から新体制で各事業を実施する。

 加盟する58団体の代表や役員ら約80人が出席。冒頭、加納裕之会長は「当協議会を支えてきた先生方、会員の皆さんには感謝の気持ちでいっぱい。今後も新体制で実りある活動ができるよう、頑張ろう」とあいさつした。

 議事では昨年度の各種事業や収支決算、本年度の事業計画・予算案が承認された。規約の一部を改正し、本年度は企画委員会を常設し、その下に舞台委員会、広報委員会、展示委員会、組織委員会を置き、活動の充実を図る。続いて新役員が発表、承認された。

 宍戸さんは「重責に身の引き締まる思いだが、課題に向かって一つ一つチャレンジできれば」と抱負を述べた。

 この後懇親会が開かれ、参加者は食を囲んで交流を深めたほか、「さかいスポーツダンススクール」のメンバーによる記念ステージを楽しんだ。

 新役員は次の通り。(敬称略)

 ▽会長 宍戸雄一(函館音楽協会)▽副会長 堺栄泰典(函館にしき石・水石同好会)、三国利栄子(三国バレエ研究所)、武内叶山(函館三曲協会)▽監事 後藤青園(財団法人独立書人団)、藤井譽了(はこだて陶芸“土”の会)(長内 健)


◎「重松清さんの原作」特集…アイリス13周年記念

 函館市本町22のシネマアイリス(菅原和博代表)は開館13周年記念第2弾として23日から、直木賞作家、重松清さん原作の映画を特集する。「『心の涙』重松清の世界」と題し、「青い鳥」と「その日のまえに」の2本を上映する。26日は開館記念として当日料金を1000円とする。

 「青い鳥」は中西健二監督、阿部寛さん主演。いじめを原因にした男子生徒の自殺未遂に揺れる中学校に吃音の臨時教師が赴任する…という内容で、中高生のいじめ問題に正面から取り組んだ感動作。

 一方、「その日のまえに」は大林宣彦監督、南原清隆さん主演。突然病に倒れ、余命を告げられた妻と夫が「その日」に向け、残り少ない日を工夫しながら一生懸命暮らす…という連作短編小説を映画化した。

 菅原代表は「近年、重松清の小説は人気だが、映画公開の機会は少ない。大人から子どもまで幅広い世代に観てほしい」と話している。

 「青い鳥」は23―29日の1週間限定。上映時間は午前11時45分。「その日のまえに」は23日から6月5日までで、29日までの上映時間は午前9時20分と午後6時10分。

 問い合わせはアイリスTEL0138・31・6761。(新目七恵)