2009年5月24日 (日) 掲載

◎道産米新品種「ゆめぴりか」田植え始まる

 【森】道産米の新品種で、今年から本格栽培される「ゆめぴりか」の田植えが23日、森町内で始まった。同町内で今年、約150ヘクタールの作付けが予定されており、新たなブランド米の成長に期待がかかっている。

 ゆめぴりかは、道立上川農業試験場(上川管内比布町)で育成された良食味米。昨年の試験販売を経て、今年は全道の水田の3%に当る3千ヘクタールの作付けを予定している。渡島管内では地域ブランド米として「ふっくりんこ」の作付けが推進されているが、森町は気温が低いなどの影響でふっくりんこの栽培に向かないことから、管内では唯一ゆめぴりかを栽培することになった。

 昨年の試験作付けに続き2回目となる、森町良質米生産部会の小原浩吾部会長(駒ケ岳)の水田では、冷たい雨が降りしきるあいにくの天候の中、田植え機を使って次々と苗が植えられていった。小原さんは現在きらら397やななつぼしを中心に栽培しているが、「ゆめぴりかはホクレンが中心となって全国販売を計画しているので、生産農家にとっては作りがいがある。今後町内の稲作農家の主流になってくれれば」と期待している。(小川俊之)



◎タケノコシーズン本番 遭難発生に注意

 【上ノ国】道南ではタケノコ(ネマガリタケ)のシーズンが本番を迎えている。毎年のように入山者の遭難が続発する桧山管内では、町や警察が入山時には、天候や地形の確認、装備品の準備などに細心の注意を払うよう呼び掛けている。

 桧山南部(奥尻町を除く)では2004―8年までの過去5年間、春のタケノコシーズンを中心に、山菜採りに伴う遭難騒ぎが頻発している。2日以上にわたり大規模な捜索が行われたケースは10件あり、06年5件、07年2件で、04・05・08年がそれぞれ1件。このうち8件が上ノ国町で発生し、入山者が短時間で発見されたケースは数え切れないほどだ。入山目的は不明だが、今年4月にも町内の大平山付近に入山した84歳男性が遺体で発見された。

 遭難が集中した06年には、4月に厚沢部町でギョウジャニンニク採りの男性が死亡。6月には上ノ国町で4件の遭難が連続して発生した。宮越の道有林で、男性(当時77)が現在も行方不明のまま。湯ノ岱国有林の「上の沢タケノコ園」では、体調不良の60代女性が死亡した。07年6月にも木無岳付近で男性(当時66)が死亡した。

 近年はアウトドアブームの影響もあり、愛好家によるタケノコ採りの人気が過熱気味だ。長引く不景気の影響から、山菜による収入を当て込んだ“セミプロ”も増えているという。さらに業者による乱獲も重なり「産地では良いタケノコが減っている。未明から入山しなければ良いものが採れない」(山菜愛好家)との声も。産地では、火の不始末やごみの投げ捨て、禁止エリアへの進入や林道ゲートの破壊などの悪質な行為も目立ち、入山者のモラルの低下が指摘されている。

 上ノ国町は道南有数のタケノコ産地だが、後を絶たない遭難騒ぎに、捜索に当たる町は対策に頭を悩ませている。遭難が相次いだ06年は、町、警察、消防、自衛隊から延べ約1000人が捜索に出動。町は500万円以上の負担を迫られた。町内では6月3日に「上の沢タケノコ園」が3年ぶりに開園する。04年は4418人、05年は3647人が入園。06年はエリア内で2人が遭難し、シーズン半ばで休園した。07・08年も、国有林内で大規模地滑りが発生したため開園を見送っていた。今年からは事故防止のため、閉園時間を午後3時から同1時に切り上げたが、捜索関係者は「管理者側で十分な捜索態勢を講じているのか」と神経をとがらせている。

 昨年までの遭難者はいずれも、天候不良、体の不調、装備や知識の不足などの無防備ぶりも目立った。町や警察は?天候の確認?体調の管理?家族に行き先や帰宅時間を知らせる?目立つ服装での入山?携帯電話や非常食の携帯?笛、ラジオ、懐中電灯の携行―など、入山時には細心の注意を払うよう求めている。(松浦 純)



◎移住者が市民と情報交換

 函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)に今月1日から移住者の支援を目的に開設された「移住者サポートセンター」の移住者交流会が23日、同まちづくりセンターで開かれた。主に函館在住歴2、3年の人と移住者を支援する市民ら約40人が出身地域ごとに分かれ情報交換を繰り広げ、親交を深めた。同センターは今後、毎月1回交流会を開き、移住者の仲間作りやまちづくり活動の参加を後押していく方針。

 同サポートセンターの業務はNPO法人「NPOサポートはこだて」(山内一男理事長)が市の委託を受けて運営。相談や情報発信などを通して移住者を支援している。

 交流会は支援業務の一環としてこれまで2006年から年2回程度開かれていたが、移住者同士で親密な付き合いが築きにくいなどの課題が指摘されていた。同法人への委託を機に、参加者が自由に発言できる場を設けるなどし、従来のやり方を改めた。

 交流会では、はじめに市企画部の仲村公志移住化促進担当参事、同法人の丸藤競事務局長があいさつ。続いて、市議会議員で移住者でもある三遊亭洋楽さんや移住アドバイザーが、自身の経験談などを語った。

 その後、参加者は出身地域ごとに3グループに分かれて、情報交換。函館に移住した経緯や実際に住んだ印象、自分の特技・趣味などを語り合い、「グループに分けないで皆で話し合いたい」などの意見も挙がった。

 今年1月に埼玉県越谷市から函館に移り住み、戸倉町にコミュニティーカフェを営む國分晋吾さん(26)は「他の人の話を聞き、移住者が作るまちづくりの可能性を確認できた」と感想。移住アドバイザーの森満さん(67)は「移住者にはまずは自分のやりたいことを見付け、続けてほしいとアドバイスした。仲間作りはまちづくりにもつながる」と話した。

 今後の交流会に向けて丸藤事務局長は「まちの宝である、移住者の活躍機会につなげていきたい」と述べた。次回は6月20日に開く予定。(鈴木 潤)



◎新型インフル疑い…季節性に感染

 函館市内で23日、新型インフルエンザの感染が疑われる事例が見つかったが、道立衛生研究所(札幌)で遺伝子検査(PCR検査)を実施したところ、A型の季節性インフルエンザと判明した。市立函館保健所や函館市などの関係機関は対応に追われた。

 同保健所によると、感染が疑われたのは、21日に出張で函館入りした大阪府堺市の30代の男性会社員。男性は仕事をする一方で市内のホテルに宿泊した。22日夕ごろから体の不調を覚え、23日午前3時ごろに同保健所の発熱相談センターに相談。38・8度の発熱や関節痛、全身の倦怠(けんたい)感があり、新型インフルの患者急増地域から来たことなどから、同6時ごろ感染症指定医療機関で診察を受け、入院した。

 簡易検査ではA型、B型ともに陰性だったが、医師はこれまでの臨床例から新型インフルの可能性を強く疑い、抗ウイルス薬タミフルを投与するとともに、同保健所に連絡。同保健所は詳細な検査のため、道警のパトカーで急ぎ道立衛生研究所に検体を運び、検査を依頼した。男性の症状は安定しているという。

 結果を受け、同保健所の山田隆良所長は「新型と区別するのが非常に難しかった。今後も紛らわしいケースには早急に対処する」と述べ、疑わしい時は早めの相談を求めた。

 市役所に駆け付けた工藤寿樹副市長は、「函館はこれからが観光シーズン本番。道内最初の感染となると衝撃は大きく、市内観光にも悪い影響を与えただろう。新型ではなくてほっとした」とまずは胸をなで下ろした。

 函館市新型インフルエンザ対策本部(本部長・西尾正範市長)は25日、課長級の職員らで同本部幹事会を行い、今後の対応などを確認する予定。(小泉まや)


◎函大ハンドボール部が春季リーグ制覇…道内公式戦224連勝に

 函大ハンドボール部(松喜美夫監督)はこのほど、札幌で開かれた2009年度道学生ハンドボール春季リーグ兼東日本インカレ予選(道学生ハンドボール連盟主催)で5戦全勝し、26年連続29回目の優勝を飾った。これで道内公式戦連勝記録を224に伸ばした。松監督は「選手は意地を見せ、よく頑張ってくれた」とチーム一丸でつかんだ栄光を喜んだ。

 3月に市内で創部30周年記念祝賀会を開き、さらなる飛躍を誓った。しかし、今大会前の松監督は「やられるかもしれない」と語っていた。道内の最大ライバル道都大(札幌)が絶好調だったためだが、この言葉には裏がある。

 予想通り、4戦全勝同士で道都大との最終戦を迎えた。昨年から2、3点差と辛勝を続けており、試合前、松監督は選手は「負けてもいいよ」と話したという。「さらに上に行くには、負けという悔しさを味わうことも大切」

 川名貴宏主将(4年)は、「道都大戦に対し、プレッシャーはあったが、松監督の言葉に20人の選手は『負けたくない』と気持ちが一つになった」と話す。守備が自慢のチームは組織力が高まり、道都大の攻撃の核であるセンターと左45度の2選手を分離させ、相手自慢の攻め手をふさいだ。

 川名主将は前半終了前に右足を負傷し、後半開始の数分間はコートに立てなかった。その間チームは1点差のリードまで迫られたが、復帰後すぐにシュートを決め、チームを救った。「早く戻り、点を取りたかった」と笑顔。この試合で11得点するなどし、大会MVPに選ばれた。

 後半20分をすぎれば安定した試合展開へ。結果、35―32と3点差ではあるが、「王者」の壁を破ることは許さなかった。

 松監督は厳しい指導に耐える選手を高く評価する。「先輩が長年築いた伝統が後輩選手の意地をはぐくむ。負けたくないという気持ちで戦い続け、後輩たちにもつなげてほしい」と話す。次は8月に札幌で開かれる東日本インカレ。川名主将は「今回の優勝で精神面は充実しており、攻撃面の課題を修正し16強入りしたい」。と力を込めた。(山崎純一)