2009年5月27日 (水) 掲載

◎寺田さんがポストカード作成、無料で配布

 函館市堀川町の寺田昭吉さん(67)は、来月1日の「写真の日」にちなんで、自らが撮影し続けてきた函館市内の風景写真を使った手作りのポストカードを作成し、来店客らに無料で配布する取り組みを始めた。寺田さんは「函館の良さをPRするのに使ってもらえれば」と話している。

 時計店を営む傍ら、仕事の合間を縫って5年ほど前から本格的に写真撮影を始めたという寺田さん。愛用のデジタルカメラを手に、教会群や函館山の夜景、撤去が決まった旧函館ドックの大型クレーンなど、市内の観光名所の移り行く風景を収めてきた。

 2年前にも撮影した写真を使ってポストカードを作り、1枚100円で販売した経緯があるが「写真の日に加え、開港150周年を迎えたこの機会に、函館を広く売り込もうと思った」と、無料での配布に踏み切った。

 ポストカードに使う写真は、膨大な数の作品の中から自信作をチョイス。昨秋に啄木小公園で撮影した作品が特に気に入っているといい、函館山をバックに、朝日が昇る様子と石川啄木像を絡めたもので、鮮やかな赤の色彩が特徴的な1枚だ。

 配布にあたり約50枚を作成したが、カードに写真を直接貼り付けているのが、寺田さんのこだわり。現像した写真の質感を、手に取った人にそのまま感じてもらう趣向だ。

 希望者には5枚セットで配布する。寺田さんは「誰かに手紙を出す際に使ってもらい、函館をアピールしてほしい」と話している。問い合わせは寺田時計店TEL0138・53・0145。(千葉卓陽)



◎五稜郭商店街振興組合がプレミアム商品券発売へ

 五稜郭商店街振興組合(小島正彦理事長、115社加盟)は6月1日から、函館市本町地区の商店約40店で使えるプレミアム(割増金)付きの商品券を発売する。行政の補助が期待できない中での独自の取り組みで、定額給付金の支給に合わせた市内商店街のプレミアム商品券の発行は今回が初めて。

 市内でも15日から支給が始まった定額給付金を当て込み、1枚500円で550円分の買い物ができる。販売期間は7月31日までの2カ月間で、計1万枚(総額500万円)の販売を目指す。利用客の反響を見ながら追加も検討する。使用期限は11月30日まで。

 同組合が4月に加盟店にアンケートを行い、飲食店や美容院、本町市場など物販店約40社が賛同した。理事会では「2―3割分のメリットを付けなければ意味がない」との意見も出されたが、プレミアム分を各店で負担するため、今回は1割増しで歩調を合わせた。

 同組合の中里好之専務理事は「急激な消費の冷え込みで大型店の厳しさ以上に地域の商店街は疲弊している。本町地区への買い物バスの運行も始まり、給付金の支給を商機ととらえ、今後も商店街の継続事業として定着させたい」と消費喚起に期待を込める。

 商品券は同組合事務局(本町8、協栄五稜郭ビル5階)のほか、加盟する約10店で販売する。問い合わせは同組合事務所TEL0138・53・9075。(森健太郎)



◎函館どつく内に本州の2社が金属処理会社

 金属表面処理会社大手の「ニホンケミカル」(広島県三原市、村上眞二社長)と「メタルワン」(東京都港区、松岡直人社長)の2社は、造船会社函館どつく内の函館造船所構内(弁天町20)に新たな金属処理会社「函館スチールセンター」を共同出資で設立した。26日に開かれた市の定例記者会見で西尾正範市長が発表した。加工処理した鋼材を主に函館どつくに供給する体制を確立していく。8月に社屋兼工場を着工し、来年4月からの操業を目指す。(鈴木 潤)

 市などによると、函館スチールセンターの資本金は5000万円で、資本構成はニホンケミカル60%、メタルワン40%。ニホンケミカルの村上社長が社長に就く。総投資額は7億円に上る。 

 従業員は約14人を見込んでおり、現地採用は10人を予定している。

 4・5メートル幅の厚板まで可能な自動塗装ラインを導入する方針。海上荷役ができる構内のメリットを生かし、鉄鋼メーカーの塗装工程を補完でき、物流の中継地機能も期待できる。

   函館どつくに対しても、処理した鋼材を納期通り確実に納入することができ、輸送、流通のコストダウンにもつながるメリットがある。

 市は今年制度化された、雇用人数などに応じて助成金を交付する市企業立地条例を適用する考えで、西尾市長は「地域にとって必然性の高い企業が来たことはうれしい」と話した。

 出資会社のニホンケミカルは「新会社を軌道に乗せて地域の活性化につなげていきたい」としている。



◎タクシー強殺、「報奨金」あと1カ月

 2006年12月、北斗市のタクシー運転手八木橋朋弘さん(当時42)が殺害された「函館市タクシー運転手強盗殺人・死体遺棄事件」で、函館方面本部、函館西署、函館中央署でつくる合同捜査本部は26日、函館市若松町のJR函館駅前など2カ所で街頭啓発活動を実施した。最大300万円の報奨金が支払われる「捜査特別報奨金制度」の情報提供期限まで、残り1カ月と迫り、捜査本部では事件を風化させず、早期解決に向けて、道行く市民に「ささいな情報でも寄せてほしい」と呼び掛けた。

 同事件は、06年12月21日、函館市港町3の函館港岸壁に乗り捨てられたタクシー車内から胸などを刃物で刺された八木橋さんの他殺体が見つかり、売上金などが奪われた。七飯町峠下の路上では、八木橋さんの血痕や携帯電話などの遺留品が発見された。合同捜査本部では現在も専従捜査員35人体制で捜査を継続している。

 昨年6月には未解決の凶悪事件を対象とする警察庁の特別報奨金制度の該当事件に指定され、情報提供を呼び掛けているが、犯人特定に向けた有力な情報は得られていないという。

 函館西署の伊藤勝博署長は「何としてでも犯人を検挙する覚悟で捜査を進めている。断片的でも良いので情報を寄せてほしい」と話している。

 情報提供は、合同捜査本部フリーダイヤル0120・004・179、函館西署TEL0138・42・0110(24時間対応)。(今井正一)