2009年5月29日 (金) 掲載

◎函館高専がノーステック財団と業務提携

 函館高専(岩熊敏夫校長)は28日、札幌市の道科学技術総合振興センター(ノーステック財団、近藤龍夫理事長)との業務提携契約に調印した。同高専と地元企業との情報交流や研究を進める過程で必要となる助成金の獲得を同財団が支援し、道南地域での産学官連携をさらに進める考えだ。

 業務提携は高専の持つ研究データを、同財団のノウハウを生かして地域企業の研究ニーズに結びつけ、地元経済の活性化を図るのが目的。

 契約は、同財団が高専と他の研究機関や地元企業との情報交換の場をコーディネートするほか、企業との共同研究の仲介、さらに行政機関からの研究助成金などの獲得支援などを行うとしている。来月にも具体的な事業内容についての覚書を交わす予定だ。

 この日は同財団の常俊優専務理事ら3人が学校を訪れ、契約書に調印した。岩熊校長は「今回の提携で企業や高等教育機関との連携をより一層強め、地域社会に貢献したい」、常俊専務理事も「高専は地元に根づいた実学に強い学校。産学官連携を推進し、函館の経済活性化に役立ちたい」と話した。

 同財団はこれまで釧路、苫小牧の各高専と同様の契約を締結。来月には旭川高専とも契約する方針だ。岩熊校長は「各高専とも連携し、函館はもちろん道内全体での産業振興を図りたい」としている。



◎函館市役所 分煙機購入やリース 10年間で6281万円

 函館市役所や支所などで空間分煙を導入した2000年度から09年度までの10年で空間分煙機の購入やリースなどに使われた市の予算は、6281万9056円に上ることが分かった。最大だった02年度の925万円に比べると減ってはいるが、本年度予算でも236万円を見込む。一方、これだけの予算をかけながら空間分煙が完全に機能していない状況もある。

 市役所内では以前、自席で喫煙ができた。1993年度、職員の健康管理や良好な執務環境を整備する目的で庁内に「職員喫煙対策検討委員会」を設置し受動喫煙などの対策を検討。2000年度から、廊下に置いた分煙機の周囲でのみ喫煙できるようにした。旧4町村も02年度から順次分煙機を導入している。

 初年度の費用は478万円。最も多い時期には分煙機は庁舎の各階ごと1台から数台置かれ、02年度は旧4町村で機器購入が重なったこともあり、最多の支出となった。支出の8割以上を占める本庁舎では、多い年度(01―04年度)には各673万円かかったほか、財政対策として各階1台に機械を減らした現在も208万円(本年度、19台分)を予算化した。

 「市民も利用する」(市総務部)との理由で、喫煙室からの排気を直接屋外に排出する設備を整えたのは、本庁舎1階の正面玄関横のみ。これ以外では排気設備が不十分な廊下の一角などに置かれている。分煙機の利用者が多い時には煙が直接廊下に流れ込むことから、「機械が吸い込むことのできる容量を超えているのではないか」と指摘する職員もいる。

 市立函館保健所の健康づくり推進室では、健康増進の3本柱に「適度な運動」「しっかり食事」とともに「禁煙」を挙げて生活習慣病予防を呼びかける。同保健所がある市総合保健センターは完全禁煙。同室は「健康のためには市役所内すべてを禁煙にするのが望ましい」とするが、実現は難しいという。

 市総務部も「時代の流れは完全禁煙」と理解しながらも、「禁煙などこれ以上の取り組みは職員のほかに議員や市民の理解も必要」として、当面は現在の状況を変更する考えはない。(小泉まや)



◎ナルミが自己破産申請 負債総額は80億円

 【乙部】経営破たんした建設系資材商社・ナルミ(乙部町、古畑篤社長)が28日、函館地裁に自己破産を申請した。民間信用調査機関の帝国データバンク函館支店などによると負債総額は約80億円。同社を含めたグループ8社の負債総額は100億円を超える見込みとなった。

 同社は4月30日、資金繰りに行き詰まり事実上倒産。4月末時点の負債額を約45億円としたが、その後の調査で総額が大きく膨らんだ。同社が明らかにしたグループ企業7社の負債は約25億円に上り、グループ全体の負債総額は100億円を超えた。グループ企業のうち、丸善産業(乙部町、杉村敏彦社長)は10億4400万円、新栄生コンクリート(八雲町、古畑篤社長)は1億3000万円の負債を抱えて事実上倒産。下請企業や取引先など8社も連鎖倒産しており、関連先の負債額の合計も30億円規模に達する見込みという。

 同社は1912年創業。ピーク時の2004年3月期には49億2300万円の売上があった。江差町など檜山南部を中心に、相次いで不動産を取得し、商業団地や宅地の造成を展開したほか、経営不振に陥った建設会社などを次々と傘下に収めていった。しかし、関係者によると、グループ会社や関連企業の間では、商取引の実態が無い“融通手形”を振り出し、金融機関や手形業者などで現金化を繰り返すといった、不透明な資金操作が恒常的に行われていた。

 今年1月には、古畑氏と密接な関係にある江差町の業者が多額の損失を抱え、融資約2億円が焦げ付く恐れが生じたため、運転資金をねん出する目的で、同社やグループ企業、関連会社の名義で融通手形を乱発。手形の一部は闇金融などにも出回っているという。しかし、資金の具体的な流れは依然として不透明な状態にある。取引先の金融機関は、粉飾決算の疑いが濃いと判断しているほか、融通手形などを悪用して、不正に融資を引き出された可能性もあるとみて、法的措置も視野に今後の対応を協議している。(松浦 純)



◎体や手で「音」伝えよう…ミュージックサイン活動参加者募集

 音楽や効果音を体や絵を使って表現し、音の聞こえない人たちに伝える「ミュージックサイン」を広めようと取り組む民間グループが、活動の参加者を募集している。メンバーは「手話はできなくても大丈夫」とPRし、多くの協力を呼び掛けている。

 ミュージックサインは函館の手話通訳士、鈴木三千恵さんが考案。北斗市で4年前から開く北海道ユニバーサル上映映画祭で取り入れているほか、今年からはライブ演奏など活動の幅を広げている。

 同映画祭には本州のろうあ者も訪れるなど取り組みは徐々に浸透している。しかしメンバーは5人程度のため、個人の負担を軽減し、より表現の幅を広げようと協力者を募ることにした。

 ミュージックサインを演じたい人はもちろん、絵を描くことが好きな人やボランティア活動に興味のある人など誰でも参加可。鈴木さんは「絵を出したり、楽器演奏部分の担当でもOK。表現を考える際、曲の印象を教えてくれるだけでもうれしい」と話す。

 6月は同映画祭七飯上映会(6、7日)、第25回DPI日本会議全国集会In函館(13、14日)、道教大函館校吹奏楽定期演奏会(13日)などで発表。鈴木さんは「音があることを知ることで、聞こえない人の生活が少しでも豊かになれば」と語る。

 問い合わせは同会の島信一朗さんTEL090・7519・7516か、鈴木さんTEL090・1388・7693。(新目七恵)